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1)石垣隆孝・後藤幸弘・辻野 昭(1984)幼児・児童

期における前転の運動pattemの加齢的変遷.日本

教科教育学会誌9(3):29−38.

2)金子明友(1988)マット運動.大修館書店:東京。Pp 295.

3)文部省(1998)小学校学習指導要領解説体育編.

東山書房1京都.

4)中島光広・太田昌秀・吉田茂・三浦忠雄(1979)器 械運動指導ハンドブック.大修館書店:東京,38−40.

5)太田昌秀(1990)小学校体育実践指導全集4器械 運動.日本教育図書センター:27−28.

6)富田淳・後藤幸弘・辻野 昭(1984)ハンドスプリン

グの習得・習熟過程の分析的研究.第7回日本バイ

オメカニクス学会大会論集1228−234.

7)田中耕治編(2003)g)教育評価の未来を拓く.ミネ ルブァ書房:京都.p14.

第V章 マット運動を集団的に取り扱う有効性の検証

第1節 目 的

 著者は,児童がもっているカを生かして,器械 運動の運動課題であるr空間表現を創造する楽し さ」をより広く深く味わわせるために,マット運動を 集団的に取り扱う実践を,平成5年度から17回にわ たって,それぞれに工夫・改良を加えながら試みて

きた.

 これによって,器械運動の運動課題の達成に向 けてそれなりの手応えを感じていた.

 しかし,児童が意欲的に学習に臨む姿が見られ たことや,個々の技能にも伸びや変容が認められ たことは,著者の主観による感覚的なものであっ た.このことは,特に個人の技能の伸びについて 顕著であった,

 したがって,これまでの実践の成果を客観的な 指標を用いて評価し,その有効性について明らか にする必要があると考えるに至った.

 ところで,現行の学習指導要領8)において「集団 で取り組み,一人一人ができる技を組み合わせ,

調子を合わせて演技するような活動に発展させる こともできる」と示されたことに伴い,ここ数年,個 人的な種目であるマット運動を集団的に取り扱っ

た実践報告が増えてきたD2)3)5)7)10)n) 2) 3) 4〉監5) 6)置9)。これら

の多くは,(i)技能レベルの低い児童でも「友達と 合わせる」という課題を負荷することによって,課 題達成の喜びを味わわせることができること,(逓)

集団的達成感を味わわせることによって,協力的 な態度をより積極的に育成できることω,の2点に 主眼をおいたものであった.

 器械運動の集団的な取り扱いは,著者の経験か らも,「空問表現を創造すること」の楽しみ方を広げ る1つの方法である.

 しかし,取り扱い方を誤ると,器械運動の楽しみ 方の幅を広げたように見える手段が,他方では狭 めていることになる.近年の報告には,こうした状 況を生みだしていることに気づかないまま行われて いる実践がみられる.すなわち,集団的な取り扱い

が,すべての児童に有効に機能しているとは言い 難い.特に,集団的達成感や児童の関心・意欲の 向上についての効果は認められても,技能の向上 について,具体的・客観的な指標を用いて,学習 成果を評価されたものは見あたらなかった.したが って,すべての児童に有効に機能するマット運動 の集団的な取り扱い方を再検討することも必要で あると考えられた.

 そこで,第H章で明らかにしたrマット運動の集 団的な取り扱いにおける原理・原則」と第皿,IV章 で試案・作成した「技の指導体系」「評価基準表」

を生かしてマット運動の集団的な取り扱いをする 学習過程を再構築し,4年生と6年生児童を対象と して,その有効性を検証しようとした.

 6年生は,小学校においてマット運動を学習す

る最高学年であり,技能面・情意面ともに個人差が 生じていると予想される監8)ことから,また4年生は,

器械運動領域としてのマット運動を学習する初め ての学年であり,基礎・基本を築く上で重要な時 期であると考えられることから対象とした.

 すなわち,本章では,rマット運動の集団的な取

り扱いにおける原理・原則」「技の指導体系」「評価 基準表」を生かして再構築した学習過程を,4年生 と6年生に適用し,学習成果を技能的側面,情意 的側面から評価し,集団的な取り扱いの有効性を

検証しようとした.

 その際,r倒立からの前転」を練習過程に組み

込んだ群(HSR群)と「倒立」を練習過程に組み込 んだ群(HS群)を設定し,「倒立」をマット運動の中 核的技とし「倒立からの前転」を最も基底的な「技」

として位置づけた,「技」の指導体系の妥当性につ いても併せて検討しようとした.

第2節 方 法 1.対 象

 静岡県下のY小学校の4年生2学級(男子:32

名,女子:40名,計72名)と6年生2学級(男子:32

名,女子:31名,計63名)を対象とし,それぞれの1 学級をHSR群,HS群とした.

2.学習過程

 図5−1は,6年生の両群に用いた学習過程の概略

を示したものである。

 第H章で整理・抽出したマット運動を集団的に取り 扱う上での原理・原則を適用し,11時間からなる学習 過程を編成した.

 すなわち,第6時までは個人練習の比率を多くし,

単元後半は,集団演技づくりを中心に行うこととした.

また,集団演技づくりが中心となる単元後半は,第6 時までは週3時間で行っていた授業を,第7時以降 は,週2時間で行うことにした.

 また,単元前半の集団演技づくりは,「合わせる」

「ずらす」などの演技の基本的な構成について指導し た.単元後半は,児童の創意で演技を構成させた,

 マットの組み方は,各グループ内での話し合いによ って決定させた.

 演技に用いる曲は,著者が選択した2曲(r世界で1 つだけの花:SMAP」「ひょっこりひょうたん島:モーニ ング娘。」)から児童に1曲に選定させた.

 HSR群には,単元を通して毎時の前半に,「倒立か らの前転」を練習する時間を位置づけた.

 さらに,手支持の感覚や逆さ感覚を高めるための 運動や「倒立」を,両群ともに準備運動としても毎時 間のはじめに行うようにした.

 単元の最後に,各班の発表会を位置づけた.

群SH

会表発 集団演技づくり

技の個人練習

準備運蹴5予備運蹴

群RSH ま   と

会表発

集団演技づくり技の個人練習

倒 立前 転準    5予備運蹴

1  2  3  4  5  6  7  8  9  ⑩  

図5司,6年生に適用した学習過程

 図5−2は,4年生の両群に用いた学習過程の概略

を示したものである.

 全体の構成にっいては,6年生と同様であるが,

単元前半の個人練習における学習内容を変更し

た.

 すなわち,4年生は,器械運動領域としてマット 運動を初めて学習する学年であることから,文化と しての「技」の名称や運動様式,「技」の体系等に ついての基礎的な学習を行うために,「前転系」

「後転系」「側方倒立回転系jの「技」の練習を,そ れぞれ2時間ずつ行うように設定した.

 両学年,両群ともに,指導者による影響を等しく するため,一人の男性教師(教職年数14年)がす べての授業を担当した.

 本学習は,先行研究において態度得点が高まるこ とが報告されている小集団による課題解決型の学習

形態22〉によって行わせた.

 なお,両群の授業の諸条件の詳細は,表5−1に示

した.

3.学習成果の測定

(1)技能的側面

1)個人の「技」の変容

 単元前・中・後に「技」をVTRに収録し,第IV章で 作成した評価基準によって「技」の達成度を評価し

た.

 6年生については,前転・開脚前転・とび前転・倒 立前転・後転・開脚後転・伸膝後転・側方倒立回転の

HSR群 HS群

1  2  3  4  5  6  7  8  9  ゆ  

リエンテーション オリエンテーション

準備運動5予構運動

倒立前転の練習 集団演技の基礎練習

準備運動5予備運動 画後転系の練習側方倒立回転系 の練習

糞募毒響

立前転

前転系の線習

後転系の練習

側方倒立回転   の練習

鋼彌駐嫉り 鋼磁文り

発表会 発表会

1  1 5   10  1  20      3D      40  而

図5−2.4年生に適用した学習過程

8つの「技」を単元前に,また,第6時終了時と単元 後には,これらの「技」にロンダードを加えた9つの

「技」について評価した.

 4年生については,単元前に,前転・後転について 評価し,第7時終了時と単元終了後には,6年生の単 元前と同様のr技」について評価した.

2)集団演技における『技』の頻出度の測定

 第11時に位置づけた発表会の演技をVTRに収録 し,個々の児童が,集団演技に組み込んだr技」の種 類と総数について分析した.

(2)情意的側面

①高田・小林6)のrよい授業への到達度調査jから,

『精一杯の運動』の項目を削除し,『楽しさ』の項目を 加えた4項目からなるアンケートを,毎授業後に実施

した.なお,それぞれの項目に対する回答は,rはい」

または「いいえ」の2段階で評価させるとともに,その 理由を自由記述させた.また,『技や力の伸び』と『新 しい発見』の理由は,「自分のこと」「グループに関す ること」について分けて記述させた.

②小林6)・奥村ら13)の「態度測定」を単元前・後に実施

した.

③器械運動(マット運動,跳び箱運動,鉄棒運動)の 好嫌度調査(稿末資料1,2)を作成し,単元前・後に 実施した.なお,実践したマット運動については,単 元前・後ともに同じ質問紙を用いたが,今回は実践を 行っていない跳び箱運動及び鉄棒運動は,単元前・

後で質問文を変更した.

④マット運動の集団的な取り扱いに対する意識調査 票(稿末資料3)を作成し,単元後に行った.

表5−1.両群の学習の諸条件一覧

   燃

HSR群(倒立前転) HS群(倒立)

対 象

4,6年生(Y/1、学校)

単元教材 マット運動

目 標

「技』を身につけたり、今できる「技』を繰り返したり、

み合わせたりして、マット運動を楽しむことができる

学習課題

 身体操作によって空間表現を創造すること

支持感覚,逆さ感覚,回転感覚,バランス感覚の体感・体得 倒立前転の習得を通して、基礎的・基本的感

を磨くとともに、回転運動の原理を知り、

 それらを生かしてr技』の習得をする

基礎的・基本的感雌高めるとともに、

 回転運動の原理を知り、

それを生かして「技1の習得をする

教授活動 課題解決型(課題提示型)

学習集団 グループ学習

時 間 11時間

指導者 36才男性教諭(指導歴14年)

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