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ドキュメント内 教化研究 No.20 (ページ 146-154)

これらはこれまでにその名が挙げられることはあるが︑

内容の検討はされていないとして現代語訳とその解釈

が挙げられている︒

(三)日本仏教史・浄土教史における源信

源信は先述したように︑当時の貴族や地方の豪族な どに多大な影響を与え

また︑当時の天台浄土教や︑

浄土宗・浄土真宗などの後世における浄土教の流れに も大きな影響を与えたため︑日本における浄土教成立

史の中で重要な人物として取り上げている研究が多い ︒

源信は主に日本の浄土教史を専門とする研究書で注目 されるが︑仏教史の中でも注目され︑例えば辻善之助

﹃日本仏教史﹂一

・上

世 篇( 岩波 書店

一九

四四

) で は

研究ノート

浄土教の発達を最もよく代表するものと

して

源信に注

目し いて る

浄土教史の研究書の中で︑特に源信について詳しく

言及しているものとしては︑石田充之﹃日本浄土教の

研究

(百

華苑

一九

二)

︑井 上光 貞

﹃新訂

日本 浄

土教成立史の研究﹄

( 山

川出

版社

一九

七五 )︑ 石田 瑞

麿﹃浄土教の展開﹂

(春

秋社

一九

六七

)︑

大野

達之

﹃上

代の浄土教

(吉

川弘

文館

一九

二)

︑普

賢晃

寿

﹁日

浄土教思想史研究﹂

(永

田文

昌堂

一九

二)

︑伊

藤真

﹃平

安浄土教信仰史の研究﹄

(平

楽寺 書庖 ︑

一九

七四 )︑ 佐 藤哲 英

﹁叡山浄土教の研究﹂

(百

華苑

一九

七九 ) ど が挙 げら れる

これ らの 研究

にお

いて

も︑

﹃往生要集﹂

が中心に研究されるが︑浄土教史として︑源信以前か

ら天台宗で行われていた四種三昧とその時代による変

化 や

﹃往生要集﹄

が当時まわりに与えた影響︑後世へ

の影響などについて述べられている︒またその他に

勧学

や︑その後成立

した

二十五三昧会といっ

た念 仏

結社の成立︑それらと源信との関係などにふれている

もの が多 い

(四

)論

文集

源信に関する論文集としては︑大隅和雄・速水情編

﹃源信﹄(﹃日本名僧論集﹄

四 ︑

吉川

弘文

館︑

一九

三)

ゃ︑往生要集研究会編﹁往生要集研究﹄

(永

田文

昌堂︑

一九

八七 )

などがある︒これらの論文集には︑源信の

伝記や︑教学︑当時の平安文化との関係に関する研究

から

︑他 宗と の関 係︑

さら はに

美術や日本文学との関

連について研究されているものなど︑非常に幅広い

注目すべき研究が多く集録されている

︻研 究論 文}

源信に関する論文は非常に多く︑ここにすべてを挙

げることはできない︒しかし先ほど挙げた︑往生要集

研究会編﹃往生要集研究﹂

末の

には

﹁研究文献目録﹂

とし て

一八九五年一

か月 ら

一九

六年九月までの研

究論文が年代順に並べられている︒ここでは内容の分

近年における浄土学研究の状況 145 

類による整理はされていないが︑一九八六年までの論

文は基本的にこの﹃往生要集研究﹄を参照することと

し︑今回はその後の研究を中心にまとめてみたい︒

な お

その後の研究をまとめる際に一九八六年以前の研究

と関連するものがあった場合はその都度挙げていくこ

ととする︒

(ご理信の伝記・思想

源信の伝記に関する研究としては︑速水筒﹁源信伝

の諸問題﹂(﹃東アジアと日本宗教文学編﹂︑一

九八 七)

がある︒

速水 は宮 崎円 遵﹁ 源信 和尚

の別

伝に つい て﹂

(﹃龍

谷学報

﹄三

一 八 ︑

一九三七)による研究以後︑この宮崎

の成果が十分に生かされておらず︑教学面の研究に比

して伝記の研究がはるかに遅れているとしている︒そ

の理由として諸伝記資料の成立年代や相互関係などの

基礎的研究が近年ほとんど行われていないことによる

とし︑各伝記の成立年代を考察している︒さらに伝記

研究に関する問題として︑近年の啓蒙的な源信関係の 書物は︑初期の伝記によらず︑室町時代の

﹃ 三

国伝記﹄

をはじめとする後世の伝説の類を容易に利用している

場合が多いことを指摘している︒

次に源信の戒律観については

利根

川浩行﹁恵心憎

都と円戒﹂(﹃天台学報﹄三

O

︑一九八八)があり︑浄土

観に つい ては

︑内 藤円 亮﹁ 源信 にお ける 浄土 の問 題﹂

(﹃親

驚教 学

﹄七

O

︑一

九九

七)

︑同

﹁源

信の

浄土

観﹂

(﹃

印仏

研究

四六

一 ︑

一九九七)などがある︒

乙れら︑伝記や思想に関しては︑先ほど挙げたよう

な研究書類において体系的にまとめられているため

それらを中心に参照し︑研究論文によって細かな問題

を参照していくべきである︒

(二

) ﹃

往生要集﹄諸本・引用・他経論との関係

論文においても研究の対象として主となるのは﹃住

生要集﹄はじめに﹃往生要集﹄

に関 であ る

そこ

で︑

する研究をまとめておきたい︒

はじめに﹃往生要集﹂の諸本に関する研究としては

研究ノー卜

相馬

一意

﹁﹃ 往生

要集﹄遺宋本・留和本の再検討﹂(﹃印

仏研究﹄四一│一︑一九九二

)が 挙げ られ る

相馬

は︑

﹃往

生要集﹄の諸本に︑宋に送った﹁遺宋本﹂と遺宋のた

めに修正加筆する以前の﹁留和本﹂という

こ系

統が

あり

その相違点は一六あるとするのが一般的であるが︑実

際に諸本の校合をすると︑その区別に肯定できない事

実が認められるとして︑詳細に校合している︒校合に

用い た諸 本は 六つ あり

︑解 説は

﹃浄 土真 宗聖

典│

七祖 篇

の解説によっている︒

校合

の結

果︑

﹁遺

宋本

﹂と

﹁留

和本

との間には見かけほど相違点が多くないこと︑龍谷大

学所蔵の承元版を覆刻した室町時代の刊本(通称

﹁ 承 元覆刻本﹂)が実際は承元版の価値を持っていないとい うことを明かし︑研究の途中経過としている

また

﹃往生要集﹄には一六

O

部もの他経論からの

引用があるが︑それらの引用から﹁往生要集﹂

の思 想

を考察しようとする研究が多い︒それらの研究として

は︑渡辺顕正﹁往生要集と釈浄土群疑論﹂(﹃龍谷教学﹂

一 二

︑一

九八

六)

︑福

原隆

善﹁

﹃往 生要 集﹂ の

別相観1﹃観 仏三昧海経﹄の影響をめぐって│﹂(﹁仏教学セミナー﹂

四三︑一

九八 六)

︑中 村恵

美子﹁往生要集古点本の訓法

について﹂(﹃松村明教授古稀記念国語学研究論集﹂

一九

八 六)

︑兼 子鉄 秀﹁ 源信 と

﹃維摩経﹄仏道品偏﹂(

﹃ 天

台学報

﹄二

九 ︑

一九八七)︑大南龍昇﹁

三昧経典と﹁往

生要集﹄

│源 信の

﹃観

三昧経

﹄観

│﹂

(往生要集研究﹄﹃︑

一九

七八 )︑ 大南 龍昇

三昧経典と﹃往生要集﹄│所引

の﹁般舟三味経﹄・

﹁ 念

仏三昧経﹂について│﹂(﹃仏教論

叢﹂

O

一︑

九八 六)

︑福原隆善﹁

仏典 にお るけ 白毒 観﹂

(﹃印仏研究﹄四

O

ー一︑一

九九

一)

辻︑ 本俊 郎﹁

﹃往生要

集﹄

に引用される

﹃無

量寿 経論

﹄に つ

いて

﹂(

﹃印仏研究﹄

O

ー一︑二

O O

二︑福原隆善﹁﹁往生要集﹄における

﹃観仏三昧海経﹄

の受容﹂(

﹃香川孝雄博士古稀記念論集

教仏

学浄土学研究﹂︑二

OO

一)

柴︑

田文

彦﹁

﹁往

生要

集﹄

における仏身観│﹁

観仏

三昧海経﹂の引用を中心とし

駒 沢 大,>14 

仏 教 学 部 論

四 0 0 

が挙げられる︒様々な引用経論からの考察がなされて

いる が︑ その 中で も︑

﹃往生要集﹄の中で最も引用回数

近年における浄土学研究の状況 147 

が多 い

﹃観

三昧海経﹂との関係を検討している研究

が多 い

(三

)﹃

往倖

若草

需﹄

の念

﹃往

生要

集﹂における念仏に関する研究は︑その他の

研究に比べて最も数が多い︒その中で一九八六年以

降の 研究 に比 べ︑

それ以前の研究が圧倒的に多いので

あるが︑先述したように一九八六年以前の研究は基本

的に﹃往生要集研究﹂にある﹁研究文献目録﹂による

こととし︑近年のものを中心に注目していきたい︒念

仏について説かれているものとしては︑藤本佳男﹁源

信浄土教にみる念仏と浄土往生思想﹂(

﹁ 二

葉憲香博士

古稀 記念

日本 仏教 史論 童︑

一九

八六 )︑ 福原 隆善

﹁往

生要集﹂における観相について﹂(﹃印仏研究﹂三

二︑一九八七)︑藤堂恭俊﹁往生要集にみられる五念門

説の独自性│五念門の創説とその展開│﹂(﹁往生要集

研究﹄一九

八七 )︑ 高橋 弘次

﹁往生要集﹄における念

仏と 見仏

﹂(

﹃往生要集研究﹂︑一

九八

七)

︑久

米原

恒久

﹁往 生要集﹄に於ける五念門の歴史的意義再考﹂(﹃印仏研

究﹄三

│一九八九)︑坪井俊英﹁法然以前の諸師二︑

をめぐって﹂(﹁

浄土

教文

化論

﹂︑

一九九二︑福原隆善﹁叡

山浄土教の念仏思想﹂(﹃浄土教文化論﹄︑一

九九

一)

︑同

﹁﹁往生要集﹄別相観の四十二相について﹂(﹃村上速水

先生喜寿記念

親邸

周教

学論

叢﹄一︑

九九 七)

︑高 田文 英

﹁源信における称名念仏について﹂(﹃宗教研究﹂

七六│

四 ︑

OO

三)などが挙げられる︒藤本は﹃往生要集﹂

の分析はそのまま日本浄土教の原点を明らかにするこ

とでもあるとして︑源信における浄土教思想の歴史的

位置を明らかにしようとしている︒

次に 福原 は別 相観

総想観

・雑 略観 のこ

とばの規定や︑それらが何に基づ

いて定められたか︑またその理由などについて解明し

ょうとしている︒次に藤堂は︑世親における五念門創

設の意義と︑その中国・日本における展開として

︑曇

情・源信に注目している︒

次に

高橋

は︑

﹃往生要集﹄に

説かれる観仏と見仏に注目し︑それによって︑﹃

往生 要

集﹄の念仏についてその行法が一つの型に定まらな

ドキュメント内 教化研究 No.20 (ページ 146-154)

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