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図 4.21: 3[bit]マスクに個別に投影したようす

図 4.22: 3[bit]マスクに同時に投影したようす

/LJKW

3URMHFWRUERG\

0DVN

0DUNHU

図4.23: STGCプロジェクタ

図4.24: マスク5[bit]分解能(左),7[bit]分解能(右)

使用するパターンマスクは図4.24のようなSTGC条件を満たす明暗模様をもつ。ここでは実験で もちいた2種類のマスクを示しているが、分解能は5[bit]型で30、7[bit]型で126となる。もちろん 必要に応じて、より高分解能マスクの利用も可能である。

マスクの配置については、有効に利用するために2枚並べて貼り付ける必要がある。なぜなら、元 の回転型エンコーダではマスクは同心円状に配置されていたためパターンの両端が接触していたため 終端は存在しない。しかし本手法においては、水平に展開することから、終端が現れるために、グレ イコードの空間投影パターンに加えて光源の配置のためのパターン領域も必要となる。一方、光源配 置のパターン領域として、計測範囲とは関わりなく、mm1周期分のマスクの幅があらかじめ必要であ る。本研究においては絶対値エンコーダとして使うことから、位置情報に繰り返しがないマスク1枚 分において絶対値を計測可能である。以上のことから、マスクの幅は最低 2mm1 周期分となり、本試 作実装においては2周期分のパターンを貼り付けている。

プロジェクタ型及び高速カメラ型の分類

また、受信側は一つの赤外線リモコン用受光ICにより、光源からの光を受光する。この構成では、

光源を時分割で切り替えるため、光を一定の時間受光し、STGCとしてデコードを行い実際の位置情

報に変換する。この計測方式では、多数のデバイスがあっても計測時間は一定となる。この方式をプ ロジェクタ型とする。

ここで実際の光の発信・受信を逆にしたバージョンも考えられ、輝点と、高速カメラ型方向受信装 置によって構成される高速カメラ型と呼ぶ。

(1)プロジェクタ型

上記の説明の通り、プロジェクタから投影し、デバイス側で受信を行う。この方式では、デバイス 側は受光素子1つで位置情報を取得できるため、小型なシステムで位置情報を取得する場合、あるい は数多くのデバイスがある場合に同時に位置を取得する場合などに用いる。

(2)高速カメラ型

外部のデバイスに光源を内蔵し、プロジェクタ部のマスクの裏には受光部を複数置く。この構成で は、計測にかかる時間が少ないために、高速計測が可能である。この方式では、デバイス側は光るこ とで位置を知らせ、プロジェクタ側はマスクと裏側に複数の受光部を持ち、デバイスの位置を計測可 能である。また、この手法では、1度の点灯で一つの光源の位置を確定できる。このような理由から、

少数ポイントの位置を高速に取得したい場合などに有用である。例えば、人の手先に発光部をつけ、

デジタイザとする場合などが想定される。1つの光源の位置に限定する使用法においては、位置情報 を連続的に取得することも可能である。

設計

実際に投影距離、マスクの寸法、分解能を決めた場合の、光源の間隔を算出方法を述べ、実際に設 計を行った結果を掲載する。

まず本システム概要を説明する図4.25に沿って変数を説明する。

w : パターンの幅[mm]

f : パターンから光源までの距離[mm]

d : 光源同士の間隔[mm]

n : パターンの分解能

m : 光源数

L : 投影されるパターンの投影長[mm]

light(k) : ライトの番号

z : パターンからスクリーンまでの距離[mm]

z1, z2 : パターン投影範囲の距離[mm]

必要分解能を求めると、パターンの分解能と光源数(グレイコードのbit数)が決まり、マスクの 幅wと光源同士の間隔dと、投影距離zを決定することで、マスクから光源までの距離fがきまる。

マスクが有効に働くためには、複数の光源から投影した光が、スクリーン上に投影されるパターン の映像上において常に位相差が一定でm である必要がある。つまり隣同士の2光源からの光線がマ

Mask w

d

f

(m-1)d=W

z

light(m)

Screen

n bit length pattern w/n

L

w d

f

(m-1)d

light(m)

: 0 .. w/n

: (m-1)w/m..(m-1)w/m+w/n

z1zz2

a

b

c d

図4.25: コード投影範囲,光源の投影範囲(左),受光点から見た光源方向(右)

表 4.7: マスク試作パラメータ

  マスク分解能 マスク幅 光源間隔 光源とマスクの距離 投影幅 投影距離

試作1 5[bit] 35[mm] 7.62[mm] 100[mm] 430[mm] 1129[mm]

試作2 7[bit] 42.5[mm] 7.62[mm] 100[mm] 209[mm] 400[mm]

スクの同一位相の点を通り、スクリーン上の2点を通る。なお2点間の距離はスクリーン上でL/m だけ離れている必要がある。結果として、f を求めると以下の式となる。

f =zmd−w w 次に位置情報が正しく届く距離範囲を求める。

図4.25はスクリーンからの距離zに向けて投影した場合、デバイスがすべての光源からの光を受 光可能な領域を示している。

各線は各光源からマスクの同一のパターンを通り、デバイスに向かう光線を表している。スクリー ンまでの距離Zにおいては正しい位相関係を持ったパターンを投影できるが、距離が近い部分におい ては、パターン位相が変化することが読み取れる。同様に距離が遠くなる部分でもパターンが変化す る。よって、投影範囲は図中の、z1, z2の範囲となる。

2光源light(1)とlight(m)の光線がパターン上の1ブロックを通過し、正しいグレイコードパター ンを提供できるのは図中abcdで示す範囲である。但し、以下の式ではlight(1)とマスクの左端を結 ぶ線を基線とする。マスクからz1の距離で、light(1)light(m)の光が交差する点aを求める。

z1 = (m1) df

w

n + (m1)dmm1w −f

次にマスクからz2の距離で、light(1)light(m)の光が交差する点dを求める。

z2= (m1) df

(m1)d((m1)/m+ 1/n)w −f 以上のようにして、プロジェクタのパターン投影の有効範囲を与えられる。

また、投影幅(以後swとする)に関しては次式のように一意に決定される。

sw = Z+f

f ×w

次は、マスクのスリット幅と回折の関係である。マスクの裏から光が入り、光の通るスリット幅と 波長によってフラウンフォーファー回折パターンを発生する。これが、受光部までに到達するまでに 光が広がるか検討する。マスクの最小幅は wn、使用する波長をλ= 0.94[µm]とするとゼロ点の位置 は以下の式で表せる。

x z =±λ

w n

この値から、実際の使用範囲での値を検討する。試作したプロジェクタに用いたマスクパターンの計 算結果を表3.1に示す。試作1、試作2については実際に試作したパラメータを示しており、計算例に ついては実際のアプリケーションを想定して試算した結果である。このように、小型サイズとなる。

表4.8: 実験結果

名前  計算値 実験値 測定レンジ最小距離 382[mm] 460[mm]

測定レンジ最大距離 418[mm] 510[mm]

計測幅 209[mm] 152[mm]

4.2.5 システムの実装と評価

以上の手法でマスクを設計し、実際のプロジェクタを試作した。実際に試作したプロジェクタを図 4.26に示す。表4.7の試作2型で、高速カメラ型である。

システムの実装

試作システムは、図4.27のように大きく光マーカと高速カメラ型位置検出装置の2つから構成さ れる。光マーカは赤外線LED,制御用マイコンから構成されており、断続的に周波数455[kHz]の矩 形波を赤外線LED(Vishay TSMF3700)にて送信している。

一方、高速カメラ部は、透明シートにSTGCパターンを印刷したマスク、受光センサが8個、受光 用ピンホールマスク、制御用PICマイコンボードから構成されている。受光センサは455[kHz]の周 波数について感度を持つリモコン受信用素子(VISHAY TSOP7000)である。光エンコーダの位置 情報受信手順は以下の通りである。

1. 光マーカから出力された光が、高速カメラ前面のSTGCマスクによって遮られ、透明部を透過 した光が受光部に向かう。

2. 受光部手前には小さなピンホール付きの遮光板が配置され、受光部の大きさによる位置誤差を 減少することができている。

3. 受光部は位相の異なる複数のバイナリコードを出力する。

4. この複数の受光部出力を角度情報にデコードする。

試作機では受光部の出力をマイコンを用いて受信し、Windowsマシンに転送してデコードを行い、

位置情報を画面に表示している。試作機の位置情報を取得できる範囲と計算値の関係を表に示す。

また、本体は大型のレンズ等は使っていないため、軽量である。サンプリング周波数については現

在は100[Hz]であるが、最高20[kHz]まで同一手法で実現できる。本試作機による制限として、リモ

コン受信用素子の反応時間が遅いために、サンプリング周波数に制限が発生している。しかしなが ら、使用素子を変更することにより、LED、フォトダイオードの反応時間、つまり10[MHz]オーダ までサンプリング周波数を向上できると考えられる。

図4.26: プロジェクタ本体外観

455kHz

Os ci l l at or PI C

Boar d USB

Windows PC I r r ecei ve I C

Camer a uni t

Phot o Beacon

I r LED STGC pat t er n

Pi n hol es boar d

図4.27: 試作システムのブロック図

システムの評価

このプロジェクタを用いて、データを取得し,計測範囲を測定した。結果を表4.8に示す。

本プロジェクタは0.5[m]程度の範囲で使えるがこの表より実際の計測範囲は計算値と異なってい ることが読み取れる。実際の計測範囲の数値を得るための計算を行うと、マスクの幅w= 44[mm]で あれば計算値と一致するが、現状のシステムでは回折の影響等を考慮していないために、誤差が発 生していると考えられる。また、本システムで空間エンコード、デコードが実際に可能か示すため、

マーカLEDを手で左右に振り、受信データを記録した。図4.28に示す。この図より、受信データか らマーカの動きの概略が伺える。しかしながら、本データでは一切フィルタ処理を行っていないため、

スパイク性のノイズが発生している。本方式では1[bit]の誤りが大きな誤差に結びつく可能性がある ため、受信部にフィルタ挿入を検討する必要がある。