ヒラタケの ビン栽培において
,KWEを
鋸屑 。米 ぬか培地 に添加す る ことによ り栽培期 間が1〜2日 間長 くな ったが,子
実体のサ イズが大 き くな り,子
実体収量は増加 した。添加 濃度が2〜3%の
とき子実体収量 は,対
照 区の約1.2倍,10〜 15%の
添加濃度 では約1,3倍 と なった。 この ことか ら,KWEは
菌床栽培 における増収剤 としての利用が可能 であ ると考 え られ る。ヒラタケ菌床栽培 の未利用培地基材 (モ ミ殻
,バ
ー ミキュライ ト,セ
ル ロースアセテー ト,新
聞紙)の
適性 に関 して・ モ ミ殻,新
聞紙 はスギ鋸屑 よ りも適 した。 また,セ
ル ロースアセテー トもスギ鋸屑の代替材 になると考 え られた。 しか し
,バ
ー ミキ ュライ トは スギ 鋸屑 よ り劣 った。KWEを
添加す ることによ り,供
試 したいずれの培地基材 にお いて も培 養過程終了時の培地 中のグル コサ ミン合有量お よび水 ポテ ンシャルが増加 した ことか ら,培地 中の菌体量が増加 した ことが推察 された。子実体収量 に及ぼす
KWE添
加の効果 は培 地基材 によって異 な って現れ,ス
ギ鋸屑,バ
ー ミキ ュライ ト,セ
ル ロースアセテー トで顕 者に現れた。特 に,バ
ー ミキ ュライ ト,セ
ル ロースアセテ ー トはKWEを
添加す る ことに よ リスギ鋸屑 よ り適 した培地基材 となった。‑ 99 ‑
第Ⅵ草
総合考察
食用担子菌への成長促進剤 の開発 は
,培
養基 内におけ る菌糸体 の蔓延 を促 し,そ
の後の 子実体形成 を容易 にす るのでi
きの こ栽培 における生産効率 の向上,省
力化等 の今 日的な 技術課題 を解決す る上で重要 な要件 である。本論文 はカ ラマツ水抽 出物 を食用担子菌への 成長促進剤 として利用す るために,食
用担子菌 の成 育に及ばすカラマツ水抽 出物 の影響 を 検討 した。カラマツ水抽 出物 は, ヒラタケ
,エ
ノキ タケ]ヤ
ナギマツタケ,シ
イタケ]ナ
メコ,マ
イ タケ と供試 した全 ての食用担子菌類 の菌糸体成長 に促進作用 を示 した。食用担子菌 の菌 糸体成長 に促進作用 を示す樹木抽 出物 として
,
これ までに数例の報告があ り(松尾,1957
i鮫島 。善本,1984),シ
イ ノキ辺材部 の温水抽 出物 はシイタケに,ア
カマツ・スギ 内樹 皮温水抽 出物 はシイタケ,ア
ラゲキ クラゲに促進作用 を示す。 しか し同時 に,シ
イ ノキ辺 材部 の温水抽 出物 は ヒラタケ,ナ
メコに,ア
カマツ ・スギ 内樹皮温水抽 出物 は ヒラタケ,エノキ タケ
iナ
メコに阻害作用 を示す。 この ように,
これ まで報告 された樹木抽出物 は促 進作用 を示す食用担子菌の菌種 は1,2の
菌種 に限定 され,同
時に阻害作用 を示す菌種 を有 す るものであった。 したが って広範 囲な食用担子菌類 に及ぼすカラマ ツ水抽 出物 の促進作 用は,樹
木抽 出物 中の特殊成分 に起 因 して特定 の木材腐朽菌の成長 を促す作用,即
ち担子 菌の宿主選択性 に基 づ く作用 とは異な るもの と考 え られ る。 また,食
用担子菌の菌糸体成 長に促進作用 を示 す樹木 由来 の成分 として,木
酢液蒸留成分,亜
硫酸パルプ廃液成 分が知 られている。木酢液蒸留成分 は ヒラタケ,ナ
メコ,マ
イタケiヤ
ナギ マツタケ,シ
ョウロ励 ′z9四♂河rμわθscθη
dに ,亜
硫酸パル プ廃液成分 はシイタケ,ナ
メコ,
ヒラタケ,エ
ノキ タケに促進作用 を示 し: いずれ も広範 囲な食用担子菌類 に作用す ることが報告 されている(Yoshimura・
Hayakawa,1991,1993;稲
葉 ら,1979,1981)。
しか し,木
酢液蒸留成分, 亜硫酸パル プ廃液成分の最適添加濃度 は,食
用担子菌の菌種 によって異な るが,各
々2%, 4%以
下 であった。 これに対 してカラマツ水抽 出物 では,添
加す るに従 い菌糸体成長 は促進され
,特
に5%以
上の添加濃度 で顕著 であった。 したが って,カ
ラマ ツ水抽 出物 は木酢液蒸留成分 や亜硫酸パ ル プ廃 液成 分 と同様 に広 範 囲な食 用担子 菌類 に促進作 用 を示 す もの の, 菌糸体 へ の作用 は各 々で異 な る もの と考 え られ る。
カ ラマ ツ水抽 出物 は主要 構成 成 分 と してのア ラ ビノガ ラク タ ン
(AG)と
微 量成 分 と し ての フ ェノール性成 分 よ り構 成 され,分
子 量20000前後 の高分子 で あ った。カ ラマ ツ材 のA
Gは
β―D(1→ 3)結
合 したポ リガ ラク トー スを主鎖 と して:
これ にO‑6位でD― ガ ラク トー ス】L一
ア ラ ビノー ス,グ
ル ク ロ ン酸 か らな る狽J鎖が分 岐 して い る ことが報告 され て いる(Fu・ Timell, 1972;Lynch et al., 1968:Aspinall et al., 1968; Teratani et al., 1989)。 また
,カ
ラマ ツ材 の主要 な水溶性 フ ェノール性 成 分 はタキ シフ ォ リン等 の フ ラボ ノイ ドであ る (笹谷 ら,1980,1987)。
カラマツ水抽 出物 の主要構成成分 である
AG単
体 の添加 では菌糸体成長 に対 して顕著な 促進作用 を示 さず,カ
ラマツ水抽 出物 の主要 なフ ェノール性成分 であ るタキ シフ ォリン単 体 の添加は菌糸体 の成長 を抑制 した。 また,AG単
体 とタキ シフ ォリン単体 をカ ラマツ水 抽 出物 を構成す るAGと
フ ェノール性成分の割合で混合 して添加 した場合 も,AGと
タキシフ ォリンの混合物 の添加濃度が高 くな るに従 い
,菌
糸体 の成長は抑制 された。 これ らの 結果 は,水
溶性 多糖類 であるAGと
水溶性 フ ェノール成分のタキ ンフ ォ リン祭 が,カ
ラマツ水抽 出物 と同様 な状態 で混 合 あるいは結合 している場合 に限 って
,菌
糸体成長 に促進作 用 を示 す ことを示唆す るものであ り,カ
ラマツ水抽 出物 におけるそれ らの存在状態や構造 に興味が もたれ るところである。カラマツ水抽 出物 の菌糸体成長 に対す る促進作用は
5%以
上の高濃度 の添加で著 し く現れ る こと,ま
た,カ
ラマツ水抽 出物 を構成す るAGが
菌糸体 に資化 ・消費 されている ことから
,カ
ラマツ水抽 出物は菌糸体成長 に対 して炭素源 としての栄養源 の役 割 を果 た している と考 え られ る。カラマツ水抽 出物 お よびAG添
加培地 におけ る菌体外酵素 の産 出状況 と菌 糸体成長 との関係 をFig.Ⅵ‑1,2に
模式 図 とした。カラマツ水抽 出物添加培地 では,接
種 さ れた食用担子菌はカ ラマツ水抽 出物 を構成 す るフ ェノール性成分 を直ちに感知 し,そ
のフェノール性成分が誘導物質 とな ってフ ェノール酸化酵素が誘導 され
,菌
糸体 の成長開始期‑ 101 ‑
Karamatsu water extracts Mvcelium KaraⅢatsuDiagrammatic representation of interaction between water extracts and mycelium of P′θErrOをFS Dotted line represent that myceliutt recognizes phenolic compounds contalned in Karamatsu water extracts.
O:galactose,□ :arabinose,△
:uronic acid, ●:phenolic compollnd. P o I Phenoloxidase, Ps:polysaccharase.Fig. VI‑1.
Notes: Ledends:οsをrθaをコs. ―
102 ‑
Arabinottalactan
Mycelium
Po Po Po Fig. Ⅵ‑2.
Notes Ledends随げ adati m\ 殆 咀
/Absor 拘n Diagrammatic representation of interaction betveen arabinogalactan and mycelium of PFeFrOとE「S :Dotted line represent that ttycelium can not recognize phenolic compounds. :○:galactose,□ :arabinose,△
:uronic acid. Po:Phenoloxidase, Ps:polysaccharase.
OstreatFS.
‑ 103 ‑
よ り著 しく産 出 され る。そ してフ ェノール酸化酵素 が充分 に多量 に産 出 された ことに基づ いて多糖分解酵素が誘導 され
,著
しく産 出 された多糖分解酵素 によってカラマツ水抽 出物 を構成す るAGが
分解 されて低分子の糖類 とな り,炭
素源 として菌糸体 中に取 り込 まれ, 菌糸体成長 に寄与 したと推察 した。一方,AG単
体 を添加 した場合,フ
ェノール酸化酵素 の誘導物質 とな るフ ェノール性成分が存在 しな いため接種 された食用担子菌は,誘
導物質 を感知する ことがで きず,菌
糸体成長 に伴 つて培養4〜6日 目にようや く微量のフ ェノール 酸化酵素 を産 出 し,
このフ ェノール酸化酵素の産出状態に基づ いて培養8〜10日 日に多糖分 解酵素が僅 かに産 出 され,微
量のAGが
低分子 の糖類 に分解 されて菌糸体 に資化 ・消費 さ れ るもの と推察 した。 したが って,カ
ラマツ水抽 出物 中に存在す るフ ェノール性成分はフ ェノール酸化酵素の誘導 ・産出に直接関与 し,
さらに多糖分解酵素 の誘導 ・産出に も間接 的に関与 してお り,カ
ラマツ水抽 出物 は食用担子菌 の菌体外酵素 の賦活 に大 きな影響 を及 ば しているもの と考 えれ る。 シベ リア産,北
海道産,長
野県産 と産地 の異 なるカ ラマツ水 抽 出物 では,食
用担子菌の菌糸体成長 に対す る促進効果 は,そ
れぞれの産地 で異 な って現 れた。各産地 のカラマツ水抽 出物 の糖関連成分 には著 しい相違がなか ったのに対 して,フ
ェノール性成分に関 して
,本
邦産 カラマツ水抽 出物 の合有量はシベ リア産カラマツ水抽 出 物 の約3.5倍 であ り,シ
ベ リア産 と北海道産カラマツ水抽 出物 には長野県産カラマツ水抽出 物 に存在 しな い高分子量のフ ェノール性成分の存在が示唆 された。 したが って,そ
れぞれ の産地 の異な るカラマツ水抽 出物 を構成す るフ ェノール性成分は,量
的 に も質的 に も異な っている可能性があ り,
この ことが食用担子菌の菌糸体成長 に対す る促進効果の程度 に差 とな って反映 され たのではな いか と考 え られ る。カラマツ水抽 出物
,AG添
加培地 において,菌
糸体成長 に大 きな相違 が生 じ,ま
た,菌
体外酵素の産 出動 向に関 して