□ 鯉
F. velutipes
4. 考 察
シベ リア産お よび本邦産 (北海道産
,長
野県産)と
供試 した産地 の異 な るカラマツ材 の 水抽 出物 にはI共
通 してア ラ ビノガラクタ ンが主要構成成分 として合 まれ ていた。各 々の 水抽 出物 におけ る全糖量i中
性還 元糖 の糖組成,ウ
ロン酸量に著 しい相違が認 め られなか った ことか ら,水
抽 出物 に 占めるアラ ビノガ ラクタ ンの割合は,産
地 間で大 きな相違 はな いと考 えられ る。 しか し,水
抽 出物 の収率が シベ リア産 で約10%,本
邦産が約5%で
あるこ とか ら,シ
ベ リア産カラマツ材 におけるアラ ビノガラクタ ンの合有率はI本
邦産 カ ラマツ 材 の2倍以上であると考 え られ る。カ ラマツ材 のアラ ビノガラクタ ンの合有率 は,カ
ラマツC 駕
■ ヽ こ P 声
﹈
︼ o 卜 ゝ H 巧 引 ω
︼ 引 o o ヽ 周
400
300
200
100
ConcentratiOn of added KWE(%)
Fig. Ⅱ―‑11. Relationships between added amount of KWE in PDA medium and Шycelial dry weight of edible mushrooms incubated incubated for ten dayst
Legends i O:HIRATAKE(P.Ostr92ι
EPs),
● :ENOKITAKE(F.79′Ertwipes)△ :YANAGIMATSUTAKE(Л .りFFЛJr2θθβθ), A I SHIITAKE (と .θ」οJ9♂),
□ :NAMEKO(P.コβ〃
94o), ││:MAITAKE(♂
.i〔饂 」9sコ).
Note: The vertical bars represent standard deviation.
‑ 29 ‑
40o
奮 器 E ヽ こ
目
∞
・出 0 卜 ゝ H 巧 引 ω
・H
﹁ o o ゝ Σ
300
200
100
Concentr
10 15 ion Of added KWE(%)
Fig. Ⅱ―‑12. Relationships between added amount of KWE in PD medium and mycelial dry weight of edible mushrooms incubated incubated for ten days.
Legends:O:HIRATAKE(P.Os材
留 ιrd)・●
:ENOKITAKE(F.79カ
ιlipθs)△ :Y△NAGIMATSUTAKE(】.θ /′ fЛJraσθβθ
), A :SHIITAKE(と
.θ」οJ9s),□ :N△MEKO(P.コβ〃θb), 1日 :MAITAKE(fぅ とて甑 」ο
s2).
Note l The vertical bars represent standard deviation.
0
´
R v at
材の樹種
,樹
齢,年
輸幅,樹
高 に よって異 な る (C6tёet al.11966,1967;C6tё
・Time―H,1967)が ,本
実験 におけ るアラ ビノガラクタ ンの合有率の相違 は,樹
種 による違 いが 大 きな要因であると推察 され る。カラマツ水抽 出物 中のフェノール成分の合有量は
,シ
ベ リア産 と本邦産では大 き く異な り,本
邦産 にはシベ リア産の3.5倍 余 りのフ ェノール成分が合 まれていた。 また,北
海道産 のフ ェノール成分 には長野県産 には見 られない高分子量の成分が存在 していた。一般 に樹 木抽 出成分 には,そ
の樹種 固有の代謝産物が合 まれてお り (今村 ら,1983),特
に樹皮や材の温水抽 出物 ・酢酸エチル抽 出物 ・タ ンエ ン類 は
,材
を識別す る上 で指標 とな る ことが 報告 されている (岸 本 ら,1979,1981)。
したが って,カ
ラマツ材 の樹種,生
育立地条件 の違 いは,微
量成分 である水溶性 フェノール成分の形成 に影響 を及ば して いるもの と考 えられ る。
フ
シベ リア産
,北
海道産,長
野県産の いずれの産地 にお いて も,
ヒラタケiエ
ノキ タケ〕シイタケ と供試 した3菌種 に対 してカラマツ水抽 出物 を添加す るに したが い
,菌
糸体重量は 増加 し,特
に5〜15%の
添加濃度 で顕著 な増加 を示 した。一方:菌
糸体伸長量 は10%以
上の 添加濃度では,供
試 した3菌種すべてにおいて抑制 された。 この ように10%以
上の添加濃度 では,菌
糸体 の伸長成長 と重量成長に対 して全 く逆 の作用 を示 した。食用 きの この子実体 発生 には,ホ
ダ木 や培養基 内の菌体量が関与 し,菌
体量が多 いほ ど子実体発生量 が増 える ことが知 られている (Tokimoto・Fukuda,1981,Ohga,1990a)。
また,木
粉培地 の伸長 試験 と子実体形成試験 では,両
者 の結果 は必 ず しも一致 しな い ことが指摘 されて いる (有 田 ら,1969)。
これ らの ことは,菌
糸体 の総成長量 を現す菌糸体重量 は伸長成長量 よ りも 子実体形成 の状況 を反映 している ことを示唆 している。 したが って,い
ずれの産地 のカラ マツ水抽出物 も子実体形成 を促す ことが期待 できる。 この点 については1第 V章
で検討 を イ〒う。菌糸体重量成長 に対 して
,1〜3%の
添加濃度 では産地間で成長量 に差 が生 じなか ったが,‑ 31 ‑
5%以
上の添加濃度 では産地間で著 しい差 が生 じた。 いずれのカラマツ水抽 出物 も主要構成 成分がアラ ビノガ ラクタ ンであ り,抽
出物 中の糖関連成分はほぼ 同様 な傾 向を示 した こと か ら,産
地 間におけ る添加効果 の差 には,糖
関連成分以外 の物質 の関与 が推察 され る。シベ リア産カ ラマツ水抽 出物 は
,
ヒラタケiエ
ノキ タケiヤ
ナギマツタケ,シ
イタケ! ナメコ,マ
イタケ と供試 した6菌 種全 ての食用担子菌 に対 して, PD培
地,PDA培
地のいずれの培地 において も菌糸体重量成長 に顕著 な促進作用 を示 した。カ ラマツ内樹皮 の温水 抽 出物 は
,エ
ノキ タケ,ナ
メコ,
ヒラタケ,キ
クラゲ,ア
ラゲキ クラゲに対 して顕著 な成 育抑制作用 を示す こと (善木 ら,1984)か
ら,カ
ラマツ材 の水抽 出物 は, 内樹皮温水抽 出 物 とは化学組成が異 な ることが示唆 され る。スギ
,
ヒノキ,ア
カマツの 内樹皮温水抽 出物 は,キ
クラゲ,シ
イタケの成育には促進作 用 を示すが,
ヒラタケに対 しては成育抑制作用 を示 している (善本,1984)。 。 また,
シイノキ辺材部 の熱水抽 出物 はシイタケには成育促進作用 を示すが
,ナ
メコ,
ヒラタケに対 し ては成育抑制作用 を示 している (松尾,1957)。
一般 に,樹
木心材 の温水抽 出物 は,食
用 担子菌の成長 に対 して抑制作用 を示す場合が多 く,例
外的にブナ心材がナメコ,
ヒラタケ に対 して,
ミズナラ心材が シイ タケに促進作用 を示 す ことが報告 されて いる (高畠,1987, 1989)。 カラマツ材 の製材鋸屑 は大部分が心材か ら生 じていることを考慮 に入れ ると, シ ベ リア産カラマツ水抽出物 が供試 した6菌種全 ての食用担子菌に対 して顕者な促進作用 を示 す ことは,樹
木心材 の水抽 出物 として極 めて特異的 であ り,カ
ラマツ水抽 出物 には[特
定 菌種 に限定 され る ことのな い,広
範 囲な担子菌 の菌種 に共通 して作用す る成育促進成分の 存在が示唆 され る。5。
結
論
シベ リア産
,北
海道産,長
野県産 と産地 の異 な るカ ラマツ材水抽 出物 につ いて,化
学組 成 を検討 した ところ,い
ずれ も主要構成成分 は共通 してアラ ビノガラクタ ンであ り,糖
関 連成分 は産地間で顕著な差 が認 め られなか った。 しか し,全
フェノール量 は,本
邦産 (北海道産
,長
野県産)で
は,シ
ベ リア産の約3.5倍 の合有量 を示 した。三産地のカラマツ水抽 出物 につ いて:
ヒラタケ,エ
ノキ タケ,シ
イタケと三菌種 の食用担子菌の菌糸体成長 に及 ぼす影響 を検討 した ところ,い
ずれのカラマツ水抽 出物 も供試 した三菌種全 てに対 して添 加量が増加す るに したが い菌糸体重量は顕者 に増加 した。1〜3%の
添加濃度 では産地 間で 添加効果 に差 が生 じなか ったが,5%以
上の添加濃度 では菌種 に応 じて産地間で差 が生 じた。シベ リア産カラマツ水抽 出物 につ いて
,
さ らにヤナギマツタケ,ナ
メコ,マ
イタケ と対象 菌種 を増や して食用担子菌 の菌糸体成長 に及ぼす影響 を検討 した ところ,全
ての菌種 で寒 天,液
体,木
粉 と物理条件 の異 な るいずれの培地 にお いて も,菌
糸体成長 に顕著 な促進作 用 を示 した。第 Ⅲ草
ヒラタケ菌 によるカ ラマ ツ水抽 出物 の資化性 と菌体外 酵素 の産 出
前章 にお いて
,カ
ラマ ツ水抽 出物 は ヒラタケ,エ
ノキ タケ,シ
イ タケ等 の有用 な食 用担 子 菌 の菌糸体成 長 に顕著 な促進作 用 を示 す ことを見 いだ した。 また,カ
ラマ ツ水抽 出物 の 主要 構成成 分 は,水
溶性 多糖 類 の ア ラ ビノガ ラク タ ンで あ る ことを明 らか に した。シイ タケ (吉田 ら
,1987)i
ヒラタケ (吉 田 ら,1986),エ
ノキ タケ (Kitamoto・ Cru―en,1976)に
お いて,栄
養成 長 の段階 で菌 糸体 の発 育 に ともな い培地 中の炭素源 が トレハ ロー ス,グ
リコー ゲ ン等 の多糖類 に変換 され て菌糸体 中に蓄積 され る ことが知 られ て いる。この ことか ら
,カ
ラマ ツ水抽 出物 中のア ラ ビノガ ラク タ ンは培地 中の戊素 源 として資化 さ れ て い る可能性 が あ る。培 地 成分 は菌 糸体 成長 を左 右 し,
これ に付 随 して菌体外酵 素活性 も変 化 す る ことが シイ タケ (池ヶ谷 ら,1993),
ヒラタケ (岩原 ら,1983)で
報 告 され て いる ことか ら,カ
ラマ ツ水 抽 出物 の添加 は食 用担子 菌 の菌体外酵 素活性 に も影響 を及 ば し て いる可能性 が あ る。そ こで
,本
章 ではカ ラマ ツ水抽 出物 として水抽 出物 の調製 が容易 な シベ リア産 カ ラマ ツ 材 の水抽 出物 (以下,KWEと
略す る。)を
用 い,KWEの
添加 に よって菌 糸体 重 量 の増 加 が最 も顕著 であ った ヒラ タケ菌 につ いてl KWEお
よびその主要成 分 で あ るア ラ ビノガ ラク タ ンを添 加 した培地 での菌 糸体重量及 びフ ェノール酸 化酵素,多
糖 分解酵素 の活性 を 測定 し,菌
糸体成 長 お よび菌体 外 酵素活性 に及 ばすKWEと
ア ラ ビノガ ラクタ ンの影響 を 検討 した (高 畠 ら,1995)。
1.カ
ラマツ水抽 出物の資化性1.1
材料 お よび方法(1)供
試菌当セ ンター保存菌株 である ヒラタケ PFθprOと,s οstrθttιps(」
acq:Fr.)Kummer.
Po‑03菌
株 を供試 した。なお,接
種源 として供試菌 をMYA培
地 で24℃ にて6日 間平面 培養 した後,コ
ルクボーラーで直径5mmに打 ち抜 いたデ ィスクを用 いた。(2)カ
ラマ ツ水抽 出物前章1・ 1で 記述 した シベ リア産 カ ラマ ツ (肋rデχ dP。
)の
製材 鋸屑 よ り調製 した粉 末状 の カ ラマ ツ水抽 出物(KWE)を
供 試 した。(3)供
試培地基 本培地 には
,ア
スパ ラギ ン・グル コー ス培地(AsG培
地)を
用 いた。AsG培
地 の 組成 は,Glucose 20g, L― Asparagine 2g,MgS04'7H200.5g,K2HP040.46g,
KH2P 04 1g,ThiaminttHC1 0,lmg,蒸
留水lLで
あ る。AsG培
地 よ リグル コー スを 除 いた培地 をア スパ ラギ ン培 地(As培
地)と
し,AsG培
地 とAs培
地 にKWEお
よび ア ラ ビノガ ラク タ ン (Sigma社製l minimum98%(TLC),以
下AGと
略す る。)を
添 加 しi lN― HClで p H5.5に
調製 して供試培 地 とした。KWEお
よびAGの
添 加量 はW/V
比 で
0.5,1,2,3,5,10,15%と
した。 なお以下,AsG培
地,As培
地 にKWEを
添加 した培地 をKWE― AsG培
地,KWE― As培
地 と表示 し,ま
た, AsG培
地,As培
地 に
AGを
添 加 した培地 をAG― AsG培
地:AG― As培
地 と表 示 す る。(3)菌
糸体 の培養 お よび菌 糸体 重量 を測定供試培地20mとを100ml容三 角 フ ラス コに分注 し,121°
Cに
て15分 問滅 菌 し,供
試 菌 を接種 した。培養 は124°Cに
て10日 間静置培養 を行 った。培養後,菌
糸体 を濾別 し,温
水,冷
水 で順 次洗浄後,菌
糸体 の乾 燥 重量 を沢J定 した。(4)グ
ル コー ス と還 元糖 の定量培地 中の グル コー ス量 は
POD― GOD法 (Trinder,1969)を
用 い,波
長505nmの吸光 度 か ら測定 した。還 元糖 量 は,供
試培地 お よび培養濾 液 を加 水分解 してSomogyi一Nelson法(Somogyi,1952)に
よって測定 した。1.2
結果
KWEお
よびその主要構成 成分 であ るAG,KWEの
構成 単糖 であ るア ラ ビノー ス (以 下,Araと
略す る。),ガ
ラク トー ス (以下,Calと
略す る。),
さ らにKWEの
糖 組成 の 割合(Ara:Gal=12:88,重
量 比)(高
畠 ・水 本,1994)に
従 って,Araと
Galを 混 合 した混‑ 35 ‑
合糖 (以下
, Ara+Galと
略す る。)の
それぞれ をAsG培
地 に添加 して ヒラタケ菌 を培養 し,菌
糸体重量 を測定 した。その結果 をFig.Ⅲ‑1に
示す。KWE― AsG培
地 では,菌
糸 体重量はKWE添
加の増加 に ともな って著 し く増加 した。KWEの 5,10,15%添
加培地で は,菌
糸体重量 はそれぞれ無添加培地(33.2mg/flask)の
5.1倍 (168.2Ⅲg/flask),8.6倍
(286.8mg/flask),9.6倍
(317.2mg/flask)と な った。AG― AsG培
地 では,AG添
加 濃度が3%ま
で,添
加量の増加 とともに菌糸体重量 は増加 し,無
添加培地 の2.3倍 (74.9mg/flask)と
な った。 しか し,
さらにAGの
添加濃度 を高 くす ると菌糸体重量は漸減 し,添
加濃度
10,15%で
は,無
添加培地 の1.7倍 前後 とな った。Ara,Calお
よび Ara+Gal添 加培地 では,い
ずれ も添加す るに従 い菌糸体重量は漸減 し,15%添
加 区では無添加培地 の2/3〜1 /2と なった。 この ように ヒラタケ菌糸体成長 に対 して,KWEと
その構成糖 の作用 は,全
く逆 の傾 向を示 した。また
,AGは
促進作用 を多少示 したが,KWEの
よ うな顕著 な促進 作用は示 さなか った。庚素源 としての
KWEの
資化性 を他 の炭素源 と比較す るために,Tableユ
ー1に示す各種 炭素源 を供試 し,基
本培地 であるAsG培
地 のグル コース(2%(W/V))と
置 き換 えて菌糸 体重量 を測定 した。その結果 をTable皿‑1に
示す。マ ンノース,グ
ル コース,可
溶性デ ン プ ンで良好 な成長 を示 し,次
いでガラクツ ロン酸が良好であった。KWE関
連 の単糖類 で あるAra,Gal,Ara+Galで
は,キ
ンロース・ ラク トース,シ
ュク ロース とともに菌糸体成長 量が劣 り1
ヒラタケ菌 に とって資化 し難 い炭素源であった。また,KWEや AGは
グル コ ースの40〜50%の
成長量 とな り,フ
ラク トース,マ
ル トース とともに供試 した反素源の中 では,中
庸 な成長量 を示 した。炭素源 としての