∗ 分散関係:c=√g
ktanhkh
∗ 流体粒子は楕円運動(深さを増すとともに楕円は平たくなる)
∗ 近似
流体粒子の運動は楕円の中心x0の近傍,v=v(x0)
A∼Φ =O(ε), v=O(ε), x−x0∼η=O(ε) と考えれば,これもO(ε2)を落とす近似
流体粒子の位置xの時間平均がx0となるように積分定数をとる – 定常波,stational wave(§ 35b) (定在波,sanding wave [4, 6-4]*11)
x軸負の方向への進行波との重ね合わせ
η∼sinkxcosωt は定在波
これを与える速度ポテンシャルΦから,
腹:u= (0, v), 節:u= (u,0) が見出される
• 長い波,浅い水の理論(§ 36前半) (長波,浅水波[4, 6-2-1]) – 近似h≪λ
y方向の振幅
x方向の振幅 = (y0+h)≪1 としてy方向の運動を無視
– c=√
gh:非分散的*12
– x座標が共通の水の層は,深さによらない一定振幅の水平方向の単振動 – kh≡ξの一次近似
tanhξ≃ξ, sinhξ=ξ+ξ3
3! +ξ5
5! +· · · ≃ξ, coshξ=1 +ξ2
2! +ξ4
4! +· · · ≃1.
• 深い波の理論(§ 36後半),短波・深水波 – 近似h≫λ(目安:λ <2hで有効) – c=√
g/k:分散的*13
– 流体粒子は円運動,半径は深さとともに指数関数的に減少
*11定常という表現は時間変化しないものを指すと考えらえる.定在波との使い分けについては文献[4, p.92]脚注参照.
*12深いほど速い.波が屈折して海岸線に平行になる理由.
*13波長が長いほど速い.
– ξ→ ∞のとき
tanhξ=eξ−e−ξ eξ+e−ξ ≃1, sinhξ≃eξ/2,
coshξ≃eξ/2.
• 表面張力波=さざ波(§ 38),重力波[4, 6-3])
微小振幅波において,表面張力を考慮して境界条件をp∞→p∞+δpと修正
δp=γ ( 1
R1
+ 1 R2
)
≃ −γ(∂xx+∂yy)ζ, Φ =Acoshk(y+h) cos(kx−ωt) – 分散関係c=
√(g k +γkρ
)
tanhkh
長波: c≃√ gh, 短波: c≃
√ g k+γk
ρ =
√
c∞2+c02
∗ λ=λm= 2π√
γ/ρgで最小値cm
∗ λ > λmで表面張力がないときのc=c∞にほぼ一致 → 重力波
∗ λ < λmで重力がないときのc=c0にほぼ一致 → 表面張力波・さざ波 群速度cg= dω/dkに対し
cg
c = 1−1 2
1−(λ/λm)2 1 + (λ/λm)2
{
<1(表面張力波), → 1/2(λ/λm→0)
>1(重力波), → 3/2(λ/λm→ ∞) . – 近似
∂t(q2/2) =O(ε2)を落とす
• 静振(§ 33) [4, 6-4]
{今井:運動方程式,水面の境界条件,質量保存から 文献[4,6−4]:∆Φ = 0,境界条件から
∂ttΦ =c2(∂xx+∂yy)Φ, c=√ gh.
– Φ =ϕ(x, y)eiωtとおくとϕはHelmholtz方程式
(∂xx+∂yy+k2)ϕ= 0 を満たす.
– 長方形の湖では固有振動の重ね合せ ζ=∑
m,n
Am,ne−iωm,ntcosπmx
a cosπny b – 長波近似
■水面の運動学的境界条件(34.4)について 境界の方程式(34.3):F(r, t)≡z−ζ(x, y, t) = 0におけるzは,
以下で解釈するように流体粒子の位置を表しているけれど,境界条件(6.4):DF/Dt= 0を適用する際,
∂z
∂t = 0, ∂z
∂x = ∂z
∂y = 0, ∂z
∂z = 1, ∴ Dz Dt =w とする.
なお公式的にDF/Dt= 0を用いるのではなく,流体粒子の時刻t, t+δtにおけるz座標をそれぞれ z=ζ(x, y, t),
z+δz=ζ(x+δx, y+δy, tδt) =ζ+∂ζ
∂tδt+∂ζ
∂xδx+∂ζ
∂yδy と書いて境界条件を表せば,辺々引いて式(34.4):
w= ∂ζ
∂t +u∂ζ
∂x+v∂ζ
∂y を導ける.
■定常波(§ 35b)について 速度ポテンシャル(35.20)の計算にはη =−g1(∂Φ
∂t
)
y=0を用いるのが安全であ る.Φ =Acoshk(y+h) cos(kx−ωt)≡f(ω)を直接用いるなら,Φ ={f(−ω)−f(ω)}/2とする.
Ref = Φとなるように,複素速度ポテンシャルfの式(35.23)を定めた.与えられたΦに対してf = Φ+iΨ が解析関数となるならば,Ψ = Imf は速度ポテンシャルΦと同一の流れを表す流れ関数である.流線の概形 を知るには速度ポテンシャルよりも流れ関数をを用いる方が容易である.流れ関数Ψの表式(35.24)より,
|x|増大 → coskx減少 → sinhk(y+h),y+h増大 と流線の概形が分かる.
■表面波の群速度(37.6),(38.13)の計算 ω=
√(
g+γρk2 )
ktanhkhより
cg= dω dk = 1
2ω {(
g+γ
ρk2+ 2γ ρk2
)
tanhkh+ (
g+γ ρk2
) kh cosh2kh
}
=c {
1 2 +
γ ρk2 g+γρk2
tanhkh
tanhkh+ kh 2 sinhkhcoshkh
}
であり,第1,2項を(λ/λm)2=γk2/gρによって書き換えると 1−1
2
1−(λ/λm)2 1 + (λ/λm)2
となる.第3項について,三角関数の倍角公式と類似の関係式2 sinhXcoshX = sinh 2X が成り立つこと を,双曲線関数の定義から直接確かめる.これを用い,cschX ≡1/sinhXに注意すると
cg =c {
1−1 2
1−(λ/λm)2
1 + (λ/λm)2 +khcsch 2kh }
を得る [4, 式(6.59)].深い水の理論では第3項が落ちて,式(38.13)になる.張力γの現れる(λ/λm)2 = γk2/gρの項を消すと,張力を考慮しない場合の表式(37.6)になる.
§ 39 ゲルストナーのトロコイド波
渦運動を許容すると,以下に紹介するように有限振幅の波に対する厳密解が得られる.これはGerstnerの トロコイド波と呼ばれ,現在までに得られている有限振幅の波に対する唯一の厳密解である.
鉛直上向きにy軸をとり,一様な重力場(0,−g)の下でのxy面内の2次元運動を考える.流体粒子の運 動を
x=a+1
kekbsink(a−ct), y=b− 1
kekbcosk(a−ct) (8) の形に仮定する.ただしc=√
g/kであり,このとき上式(8)は 波数 kをパラメーターに持つ.(a, b)は 流体粒子を指定し,これは点(a, b)を中心とする半径ekb/k,角速度ω=ckの時計回りの等速円運動を表す.
上式(8)はLagrangeの連続の式∂(x, y)/∂(x0, y0) = 1を満たし[流体粒子の初期位置(x0, y0)を円運動の中 心(a, b)と区別した],式(8)に対してLagrangeの運動方程式
∂2x
∂t2
∂x
∂a+∂2y
∂t2
∂y
∂a=− ∂
∂a (p
ρ+gy )
, ∂2x
∂t2
∂x
∂b +∂2y
∂t2
∂y
∂b =−∂
∂b (p
ρ+gy )
は
p
ρ =−gb+ 1
c2e2kb+ const. (9)
と積分される[constはa, bに依らない定数].これは式(9)のような圧力分布の下で,流体の運動(8)が連続 の式と運動方程式に従って実現可能であることを意味している.
式(9)より共通のbの値を持つ流体粒子には同じ圧力が働く.そこで特に大気に接する水面の粒子に対して b=b0とすると,
p=p∞−ρg(b−b0) +ρ
2c2(e2kb−e2kb0)
となり(p∞は大気圧),[この段階で初めて]各流体粒子に働く圧力は時間変化しないことが分かる.
等圧面b= constの形を調べるために,式(8)を x−ct= θ
k+ 1
kekbsinθ, y=b−1
kekbcosθ, θ≡k(a−ct)
と書き換える.これは与えられた時刻tに,共通のbの値を持ち,異なるaの値を,したがって異なるθの値 を持つ流体粒子の位置(x, y)をθでパラメトライズした式と見ることができる.すなわちθを変化させたと きに得られる点(x, y)の軌跡が,求める等圧面b= constの形である.それはトロコイドであり,b >0に対 してはループを描き,b <0に対しては波状となる.水面b=b0の形として適しているのはb0<0であり,
水中の流体粒子に対してb < b0である.また上式からθを消去すれば,進行波の形y=f(x−ct)となる.
以上をまとめると,各流体粒子は図77のように等速円運動を行い,その半径ekb/kは水深が深くなるにつ れて(b→ −∞)指数関数的に減少する.また等圧面b= constの各々は,したがって特に水面は任意の時刻 にトロコイドを成し,時間とともに速度c=√
g/kでx方向に進行する.
最後に渦度
ζ= ∂v
∂x−∂u
∂y を求めよう.これは
∂v
∂x = ∂(v, y)
∂(x, y) = ∂(v, y)/∂(a, b)
∂(x, y)/∂(a, b)
図77 Gerstnerのトロコイド波
のように(a, b)を介した微分に帰着させれば計算することができ,
ζ= 2e2kb 1−e2kbkc
を得る.水深が深くなると(b→ −∞)速度はekbのように減少するのに対し,渦度はe2kbのように減少する.
§ 39 について
■円運動の式(39.3)における(a, b)はLagrange座標でないこと 式(39.3)は点(a, b)を中心とする円運動を 表すため(式(39.9)も参照),(a, b)は流体粒子の初期位置とはなり得ず,また流体粒子を一意的に指定するよ うな粒子の名前にもなり得ない.しかし流体粒子の初期位置を(x0, y0)と書くと,式(39.4)により
∂(x, y)
∂(x0, y0) = ∂(x, y)/∂(a, b)
∂(x0, y0)/∂(a, b) =1−e2kb 1−e2kb = 1
となるので,結局Lagrangeの連続の式(5.7)は満たされている.またLagrangeの運動方程式(5.8)の導出に は(a, b)が流体粒子の初期位置であることを用いておらず,これは(a, b)が流体粒子の名前でありさえすれば 成立する.
■「この第1式をbについて微分したものは……存在する」(p.145下3行)について
∂
∂a (p
ρ+gy )
=P(a, b), ∂
∂b (p
ρ+gy )
=Q(a, b) が完全微分方程式となるための条件(可積分条件)は
∂aQ=∂bP であり(§ 19の補足を参照),上式は
p
ρ+gy=
∫ a a0
P(a, b0)da+
∫ b b0
Q(a, b)db+ const
=−c2ekb0{((((cosk(a−((ct)−cosk(a0−ct)} −c2(ekb−ekb0) cosk(a−ct) +1
2c2(e2kb−e2kb0) + const
=−c2ekbcosk(a−ct) +1
2c2e2kb+ const と積分される(p.146,l.3の式).
■「こうすれば,pはtによらないから」(p.146,l.14,15)について 圧力の式(39.5)における積分定数const はaとbに依らない定数であり,その導き方から時間には依存しても良いと考えられる.しかしながら水面の 圧力は大気圧p∞(一定値)に一致するという境界条件を考慮すれば,(式(39.6):c=√
g/kの選択の下で)const は時間に依らないことが分かる(p.146,l.18,19).
■水面での境界条件 式(39.7)において水面b=b0での圧力を大気圧p∞にとることができたから,境界条 件(34.5)は満たされていると考えられる.また水面は常にbの値b0を持つ同一の流体粒子群で占められてい ることから,境界条件(34.4)は満たされていると考えられる.