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3.地域一体内発型の観光振興成功の必要要素

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地域一体内発型の観光振興を成功させるには、①強力な統率力、②誇れる地域資源、③地域 構成員参加の仕組み、④新しい取り組み、の4要素が必要である。観光振興に関する信用金庫 の役割としては、第一に地域密着の特性を活かしてリーダーを発掘する手助けをすること、第 二に実際に活用できそうな地域資源を洗い出し具体的な観光振興策立案・提言をサポートする こと、第三に観光振興の一参加者となってイベント等に協力すること、が考えられる。

地域一体内発型の観光振興

−地域資源を活かした住民・地元民間企業・行政一体の地域活性化の取り組み−

総合研究所主任研究員・

笠原 博

(キーワード)

観光、地域活性化、一体、横浜町、甚目寺町、小布施町

はじめに

我が国の産業構造変化の中でサービス化は 一段と進むものとみられる。その中でも観光 は拡大が見込まれる分野の一つとされている。

2000年12月に発表された観光政策審議会の答 申である「21世紀初頭における観光振興方策 について」では、以下の2点から「観光は地域 社会にとって重要な意義を有している」とさ れている。すなわち、①地域にとって観光振 興のために地域固有の文化や伝統の保持・発 展を図り、魅力ある地域づくりを行うことは、

アイデンティティ(個性の基礎)を確保し、地 域の連帯を強め、地域住民が誇りと生きがい をもって生活していくための基盤となること、

②自然や歴史など地域の資源を活用した観光 によるまちづくりが地域活性化に大きく寄与 すること、である。

そこで、本稿では観光をテーマとして取り 上げ、観光の現状や観光振興による地域活性 化の成功地域を紹介し、観光振興に成功する ために必要な要素を整理した。観光は多岐に わたる産業が連関しているため、当該地域全 体に与える影響は大きい。そこで、観光を地 域振興の柱としている地域における信用金庫 の観光振興への関わり方についても言及した。

1.期待が高まる観光振興

(1)観光の位置づけ

国土交通省の調査では、2000年における観 光消費総額は22.6兆円、雇用創出効果は193.7 万人と推計されている。さらに、直接消費額

に誘発された生産高を合計した生産効果は国 内全産業で53.8兆円(国内生産額の5.7%)、雇 用創出も422.2万人(総雇用者数の約6.3%)を もたらすなど、大きな経済波及効果を有して いる。こうした効果は、宿泊、金融、運輸、飲 食、商業、製造(物産、グッズなど)、農業な ど幅広い産業に波及するとともに、多くの効 果が地域内企業にとどまることもあり、観光 振興が地域活性化に寄与することがわかる。

そのため、同答申でも「我が国は21世紀初 頭に向け、観光振興を国づくりの柱に据えて、

誰もが『気軽』に楽しめる観光、住民と旅人 とが互いに交流し合う観光、自然・社会環境 と共生する観光を振興していくという基本的 視点に立ち、改めて、今後の観光政策の基本 的方向を捉え直し、『触れあいと活力に満ちた 観光交流大国日本』を目指して各種政策を推 進すべきである。」としている。

さらに、2000年10月に(社)経済団体連合会

(現(社)日本経済団体連合会)が発表した「21 世紀の我が国観光のあり方に関する提言−新 しい国づくりのために−」でも、「ゆとりや潤 いのある生活を求める近年の国民意識の高ま りや価値観の多様化、経済的・時間的に余裕 のある高齢人口の増大に伴い、観光は21世紀 の成長産業の一つになると目されている」と ある。

加えて02年7月の副大臣会議による提言にお いても、観光を通じた交流が果す重要な役割 を見直し、観光交流を通じた地域の活性化な どにより元気な日本を再生することを目的に、

以下の5つの提言がなされている。

①「観光」から「観光交流」へ役割・価値を 見直して政策を推進

②ワールドカップ大会開催を飛躍台に文化・

観光大国へイメージを改革、訪日外国人旅 行者誘致を強化

③休暇の長期連続化、分散化を通じた日本型 長期家族旅行の普及定着

④国民のニーズの多様化に応えられる、地域 の多様な資源を活用した観光交流の空間づ くりの推進

⑤観光振興に関する関係府省の施策の連携・

協力の推進

03年1月には内閣総理大臣主催の観光立国懇 談会がスタートし、また03年度の国の観光関 係予算は02年度比約50%増となるなど、国でも 観光振興に本腰を入れたことがうかがえ、観光 は21世紀に成長が期待できる分野といえよう。

(2)観光の現状

『2002年観光白書』(国土交通省(2002年5 月))から観光の現状を見てみよう。

01年の宿泊観光旅行は、旅行回数で国民1人 当たり平均1.42回、宿泊数で2.23泊であり、旅 行回数、宿泊数とも減少傾向にある。

消費額についても、国民1人当たり約53,500 円と推計され減少傾向にあることがわかる。国

民1人当たりの消費額は、3年前の1998年と比較 して22.0%(15,100円)も減少している(図表1)。

同じく『2002年観光白書』によれば、旅行 関連支出の1世帯当たりの01年の年間支出額は、

宿泊費87,034円(前年比△4,948円、5.4%減)、 交通費49,943円(同△1,880円、3.6%減)、旅行 用かばん購入費822円(同△31円、3.6%減)の 合計137,799円(同△6,859円、4.7%減)となっ ている。

支出額は92年までは順調に伸びてきたが、93 年以降はおおむね横ばい傾向で推移し、99年 からは減少傾向を見せており、01年には宿泊 費が大きく落ち込んだ影響から過去10年間で 最低の水準となっている(図表2)。

このように国民の旅行回数や宿泊数、旅行 関連支出額が減少しており、国内の観光地で は地域経済が衰退するといった厳しい状況に なっていることがうかがえる。国内の観光地 が全体としてこうした現状となっている理由 としては、長引く景気低迷、海外旅行との競 合激化があげられ、さらに観光客ニーズへの 対応が不十分な観光地が存在している点も指 摘できよう。

ところが、『旅行年報2002』((財)日本交通公 社(2002年10月))によれば、温泉入湯客数は 98年度以降4年連続で増加しており、観光すべ

   年  1997  98  99  2000  01 

  1人当たりの回数   1.63回  1.62回  1.55回  1.52回  1.42回    1人当たりの宿泊数   2.77泊  2.73泊  2.63泊  2.47泊  2.23泊    1人当たり年間消費額   67,100円  68,600円  64,700円  57,500円  53,500円 

(備考)『2002年観光白書』より信金中金総合研究所作成 

図表1 宿泊観光・レクリエーション旅行の量および消費額 

てが低調というわけではない(図表3)。 ただし、温泉によって格差が生じている。市 町村別に見ると、入湯客数は減少傾向にある 市町村も少なくない。『旅行年報2002』の01年 度市町村別入湯人員全国上位30市町村のうち、

対前年で減少を示した温泉地は17市町村にな っている。北海道では、小樽市、札幌市など 増加市町村が多くなっているが、その他の地 域では入湯客数が減少している市町村も散見 され、同じ温泉地といってもその状況にはバ ラツキがみられる。このことは、顧客は自ら

のニーズに合致するものをシビアに選択して いることを表している。

(3)今後の方向性…既存の内部資源活用がポ イント

現状は非常に厳しい状況の観光ではあるが、

今後の成長が期待できる分野でもあり、観光 資源およびマーケティング次第では、観光客 が増加し地域が活性化する可能性はある。

観光振興に取り組む際の道具として、元か ら地域にある内部資源(自然、歴史など)を

54,911 54,528 54,719 53,007 53,821 54,984 53,050 52,104 51,823 49,943 103,968

96,511 96,448 94,474 95,635 96,045 93,948 96,791

91,982 87,034 159,945

152,057 152,175

148,487 150,388 151,965

147,938 149,674 144,658 137,799

40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000

1992 93 94 95 96 97 98 99 2000 01

交通費 

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