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2種 2例

ドキュメント内 言語文化研究所年報 9号 (ページ 70-75)

    秘 め る(1)・ ひそむ(1)

表2を見てい く。前回の結果 と大 きく違 うのは、「 女 らしさ」に公的な要 素が入ってきた ことである。文化・社会の報道 と人事 ‐心情の栄辱である。

報道は「 出来事を広 く世間に告げ知 らせ ること」、栄辱は「 名誉になること と恥になること」 と説明 されている。報道に見 られたのは「 秘め る」「 ひそ む」、栄辱に見 られたのは「控えめ」、言わば全て「隠す」系の語である。 こ れは、女性が魅力的な様相 と感 じている「 女らしさ」が一般に押 し並べて社 会性を有す公的な場面では受け入れ られなか った、あるいは受け入れ られな い様相 とヽヽう評価を受けていることを示すのであろ う。

u.公

的な場では受け入れ られず、秘めな くてはならない ものである。

また、「女 らしさ」に人事・心情が入 って きたことも大 きな変化の一つで ある。下位分類は、思考・闘争・栄辱である。心情 としてみるとき中でも注 意 され るのが関争であ る。今まで管見による限 り、「女 らしさ」は優 しげで 何 もか もを包み込みあるがままを受け入れ る、そんなイメージとして捉えら れていた。 ところが、「 女 らしさ」に激 しく相手にさか らい戦 って打ち負か そ うとす る、そんな語群に位置す る語が入 ってきたのである。「 女 らしい」

とい う形容を受け る女性には、対時す るものを取 り入れ内包する、 とヽヽう性 質があった。関争は今回一例だけであ り、その表出に意味を持たせ られ るの かは今の時点では明らかではない。だが、聞争 自体が「 女 らしさ」 と対時す るもの、あるいは何か対峙す るものを取 り入れ る手段、 として意味を有す現 象 として捉えたい。何故ならば、そ う捉えると、「 隠す」系の公的要素が共 に表出 されてきた説明がつ くのである。それは、次のような構図である。

「女 らしさ」は女性が魅力を感 じている様相である

そ こで未だ持ち込 まれていない公的な場に持ち込 もうとした

しか し、不必要なものとして評価付けが された

「女 らしさ」は魅力的で認め られないのは不当である。今は内面に隠 し つつ、さりげな く出 しなが ら、それらを排除す るものに認めさせ よう これは、実態調査を しなければ、明確な事は言えない。だが、 こう考えれ ば、 これ らの語群の説明がつ くのである。推論の域をでないが、現代の「女

らしさ」は、

v.公

的な ものと間 って、女性が認め させ ようとしているものである。

w.女

性の社会での位置づけ と、それに対す る女性の方略が見られ る語 である。

とい う様相を持つ。

5.お

わ りに

以上、今回の調査か ら新たに見えてきた「 女 らしさ」は次のよ うである。

n.努

力 と持 久 力を もって、意識 しなが ら自身で磨 いてい く感性であ る。

o.イ

メージではあるが、他からの評価を受ける価値を有 している。

p.自

己管理 された メリンヽりのあるボデ ィに存在す るものである。

q.時

代の様相を反映す るものである。

r.仕

事の場では隠す ものである。

s.時

代によって要求 され る有 りようが違い、模索 されつつ意味を変容 させてい く様相である。

t.少

な くとも現在は

T.P̲0が

存在す る。

u.公

的な場では受け入れ られず、秘めな くてはならないものである。

v.公

的なものと闘 って、女性が認め させ ようとしているものである。

w.女

性の社会での位置づけ と、それに対す る女性の方略が見 られる語 である。

まとめ ると、前回に続 き修正・付加 される「女 らしさ」は次のようである。

 

大 きな動作を伴 うときには関係せず、足元・ ヒップ・ウエス ト・肩 幅・鎖骨 とい った体の部位のち ょっとした所作に感 じられ る。(鎖骨 の修正)

⑥   努力や持久力を伴 う自己管理によって得られる。

⑦   女性の社会進出の様相を反映する。

③   現在は、公的な場、つまリー般社会

(男

性社会と言 うべきか )で は

認められてはいない。

 

公的な場で隠されはするものの、女性は内面ではなおかつ磨いてい

こうとする様相である。

 

女性がその価値を広 く認め させ ようとしている。

 

女性が今の時代の流れの中で模索 しながら形成 していっている。

仮説の域を出ないが、「 女 らしさ」はやは り生 き方を示す語であるように 思われ る。 しか も、女性が一つの指針 とす る生 き方である。ただ、「 女 らし い」生 き方を 目指そ う、等 と護われないのは、女性が与えているほどの価値 を男性を中心 とす る世間一般が与えていないためであると思われ る。現在、

あま り「 女 らしい」 とい う語を書 き言葉で見ることは無い。それが ファッシ ョン雑誌に多 く見 られ るとい うのは、最近で こそ男性 ファッシ ョン雑誌 も隆 盛をは こってはきた ものの、 ファッションは女性の ものである、 とい う一般 認識があったためであると思われ る。「 らしさ」とは「 可愛 らしい」子供、「 日 本 らしい」家屋、 といったように良い意味 も内包 している。女性は公的な力

(男性・一般社会)の介入 しない女性の意思が主に反映 される雑誌の中で、

自分たちの考え望む「 女 らしさ」を模索 し磨いてきたのではないだろ うか。

そ して今 も発展 させ続けているのであろ う。現在は、女性が現時点で求めて いる「女 らしさ」を一般に認めさせるために虎視眈 々と時期が熟すのを待っ ている、 とい うよ りもさ りげな く時期を早めつつ「女 らしさ」 も影で磨いて いる、 といった状況であると思1)れる。

これ らは、今後調査の幅を広げ実質調査なども加えながら続行 し、確証を 得てい くことを考えている。

(武庫川女子大学大学院修了生・現神戸学院大学大学院博士課程在学)

1"8年6月25日

1"8年6月30日 印刷

発 行 編 集 者

武 庫 川 女 子 大 学

言 語 文 化 研 究 所

発 行 者

武 庫 川 女 子 大 学

西 宮 市 池 開 町

6番

46号

大和 出版印刷株式会社

神戸市東灘区向洋町東2‑7‑2

(非

 

 

)

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