読む ことの情報化対応
一 国語科 におけ る情報教育 1‑
③
目的や内容に応 じて速読 した り必要な部分だけを読んだ りする学習 活動
④
様 々な情報を活用 しながら、自分の考えをまとめ、相手に適切に表 現 した り、参考資料を調べた ことに基づいて、理論的に説明する学習 活動
⑤
必要な参考資料を、図書館などを利用して収集、活用する学習活動
⑥
読解、鑑賞や話し方、作文の指導に
OHPや
ビデォテープ教材等を活用する学習活動
⑦
課題学習や作文に日本語 ワー ドプロセッサゃコンピュータ等を活用 する学習活動
である。
このように、国語科における情報教育の学習内容や学習活動についての包 括的かつ具体的指針が示されている状況にあって、情報教育の進展になけて 考えてみなくてはならない課題は、読むこと ‐書 くこと・聞き話すことを情 報という観点から問いなおすことだといえる。この点についての考察を進め ないまま、情報教育を国語科において実践するならば、情報教育は結局のと ころ多彩な学習活動、その根底に育成すべき能力のあ りようをとらえぬまま 展開される学習活動とならざるをえまい。
情報活用能力と読むこと
では、読む学習において、情報活用能力の うちの「 内容を的確にとらえ」
るとヽヽう活動や能力は、従来の読む こと・読む能力 とどのようにかかわ るの であろ うか。 また、「 的確」 とは、なにを もって判断すれば よいのであろ う か。
情報は、私たちが合 目的的な行動を とる うえで必要な手掛か りのことであ る。 よ り正確にいえば、ある知 らせが私たちの判断に影響を与え、私たちの 行動を 目的に適合するように働いた とき、その働 きを情報 と考えて よい。情 報 とは実体概念であると同時に機能概念なのである②。読む学習にあ って合 目的的な行動 とは、首尾一貫 した解釈を産みだ してゆ く行動である。ひ とま
とま りの文章表現の解釈を積み上げ、総体 としての文章表現に安定 した解釈 の秩序を もたらす ことである。ひ とつひとつの表現の解釈を、それ までの解 釈 との関連において、 またあ りうべ き解釈の秩序に対 し、 より最適な もの と なるよう自己の解釈行為を検討 し、解釈内容を産みだそ うとするとき、切実 な判断が もとめられる。 この とき、整合性のある解釈をつ くりだすために役 立つ手掛か りを もとめ、それを活用 して解釈 してゆ くことがで きるならば、
それは情報 とい う観点か らみた読む ことに他ならない。 この とき「 的確 さ」
は解釈行動の一貫性、整合的な解釈内容を産出す る行為の自律性 として把握 す ることがで きる。
ところで、機能 とは構造の別名である。わた したちは、構造体の構成要素 が相互に規定 しあい、 また構造体によって統合 され る関係を機能 と呼んでい るのだろ う。情報は一般にある知識のかたちで得 られ る。 と同時にその知識 は機能をそなえている(3)oしたが つて、機能 と構造 との関係か らいえば、情 報を活用するとは、第一に、その知識は構造体の他の構成要素 と関係付け ら れ ることが必要であ り、第二に、その関係のあ りかたを構造体の総体 との関 係か ら規定 されねばならず、第二に、それに よって構造体の総体が、それ ま でとはちが った構造を もって安定す ることを要件 とす る行為だ とい うことに なる。だか ら、情報的な読むこととは、表現体に対 し、その構造を定めつつ 構成要素を抽出 し、要素間の関係を見はか らいながら、抽出 した要素の解釈 を産みだ し、それに よって新たな構造を現 してゆ くこととなろ う。 この場合 の「 的確 さ」は、構成要素の抽出や関係付けの妥当性、解釈方法の適切性 と
して示す ことができるだろ う。
この場合重要なのは、構造は、半ばは所与 としてあたえられているが、半 ばは情報を活用す る主体が定めねばならないことである。か りに、構造すべ てが所与であるなら、いかなる情報 もうまれない。情報は、構造を組み立て なおす行為にかかわるのであ り、それを許容する構造体は、いまだ不安定な 部分、未定の箇所をそなえていな くてはならない。一方でまた、初期条件 と してなんの構造 も存在 しないならば、情報は無意味である。なんの構造 も存 在 しない とい うことは、情報のエン トロピーが無限大だとい うことである。
その ようなカオスにあっては、 どれはどの情報を注 ぎ込んでも構造は生成 し ない。だか ら、読む学習にあっては、表現体 と学習主体 との相互作用 こそが、
表現の構造を形成 し維持する力 となる。 この点か らい うならば、主体の、表 現体 と拮抗す る緊張関係をもって立つあ りよう、所与の表現体の構造にいた ず らに依存せず、かつ 自己の構想する構造にのみ拘泥す ることのないあ りよ
うが「 的確 さ」を保障す ることになる。
以上のように、情報にかかわ る行為、方法、主体の側面か ら「情報活用能 力」「 情報の よき受け手 としての基礎的能力」をは ぐくむ読むことのあ りよ うを考えてみた。国語科における情報教育の基底 としての読むことは、 この 三つの座標軸によって示 され ることになろ う。次に、具体的に教材を読むに あた って留意すべ き点をと りあげてみ る。
閉 した構造
「 イ ワナのなぞを追 う」(石城謙吉、三省堂『 現代の国語1』)は、赤い斑 点のイ ワナと白い斑点のイ ワナの発見か ら、それ らが別種であることを明ら かにす るまでを記 した説明文である。丹念な観察・調査の様子を的確に述べ なが ら、読み進むにつれ、パズルの空 白を一つ一つ埋めて全貌を明らかにす
る楽 しさがある表現である。
発端の箇所では、当幌川で白い斑点のイ ワナを釣 ったこと、以前忠類川で 釣 ったイ ワナは赤い班点ではなかったか とい うこと、 したがって当幌川の自 い斑点に納得できない、 とい うことが述べ られ、次いで、斑点の色を確かめ るために忠類川へでかけ、イワナを釣 った ところどれ もみな赤い斑点であ っ たことが述べ られている。そ して、「 赤い斑点 と白い斑点。なぜだろ うか。」
と文章全体を うごかす疑間を提出する。
そ こで、忠類川へでかけ、赤い斑点のイ ワナを確認する箇所を空欄に した 教材を、学生に読 ませ、空欄の内容が どの ようなものか考えさせてみた。結 果は、多 くの学生が、空欄に「 赤いイ ワナの存在を確認す る」 とい う内容を 予想 していた。
①
内容 :忠類川で釣 ったイ フナの斑点が赤か ったこと。
理由 :次 に赤い斑点 と白い斑点のイ ワナについての疑間が書かれ、
実際に標津地方の分布を調べることまで しているか ら。