b. 飛翔流 が上面に作用する大気 圧で押さ れてゴム押さ えに接触し、 高圧水が空気室に侵 入し て圧力が上昇する。
c . 飛翔流は。下面の低圧が解消するの で、慣性力 で最初 の位 置の近 くに戻る。
以上のサイクルが繰り返さ れて飛翔流の振動が継続するものと考えられる。振動が継続す るかどうかは諸種の要因の関わり合い で決まる が、その中で飛翔の方向と流れの厚さが大 きな要因 である。 c . の段階で形状が完全に復元するのか、 それ以 前に又空気室側に又引 き付けられるか、或いは。オーバ スト ロー クし て次のサイクルに入るか定かではない。以 上の説明では空気 室の圧力変 化が反転する要因とし てゴム押さ えが介在していたが、 コン ジットリップ 付近の形 状によっ ては止水ゴムが介在し得 る。こ の例が模型実 験‑3 の試験番 号256 で見られた。空気 の巻き 込みが振動流発生の要因と なること は前 小節 で述べ たが、
詳細につ いては(2 ) の3 )項 で論じ る。a ‑> b ⇒c の機 構により飛翔 流に生じ る振動は ある周期を 持っ た横波 であると 考えられるのに対し、空気の 巻き込 みにより生じる振動は ラン ダムな縦波であると考え られる。
[下降流]
下降流は。 ゲート側部 にお ける コン ジット内の高圧水が扉板に押さ えられてコン ジット端 の壁面に沿っ て流れ下り。ゲート リップ の下から飛び出す水流であ る。下降流の巾及び流 れの面内方向 は扉体の開度と共に変化し、ゴム押さ え、止水ゴムなどを直撃する。 流れの 面内方向を知ることは損傷位 置を予見するのに不可欠であ る。下 降流の振動要因は キャビ テーショ ンと剥離渦流である 。コンジット リップ 下流でのビ ャギテ ーション が振動要因と なることは模型試験‑3 の試験番号151 及び152 、実機試験‑2 で確認さ れている。キャビテ ー ションによる白濁がゴムに達し た瞬聞からゴム中心の昇温か始 まること が実機試験‑3 で確 認さ れたが、 白濁の接触が昇 温の必要条件 であ るかどうかは 未解明 であ る。コン ジット リ ップ下流での剥離渦流がゴム に接触し ても振動を誘起すること はない。
[ 遷移流]
遷移流は下 降流から飛翔流に至 る連続的に変形し た飛翔する幕流であ る。下降流に近い部 分ではゴ ム押さ えや止水ゴムに 遮られて完全な飛翔 はできないが、飛 翔流の方向に移るに 従い飛翔角 度を増し て完全に飛翔する流れとなり、更に飛翔角度と水幕厚さ を増し ながら 飛翔流に 連なるものと考えられる。即ち、遷移流はゴム押さ えや止 水ゴムを 直撃する流 れ と完全に飛翔する流れから成り立っている。直撃流部分では不安定 現象は起こ り得ない が、
空気の巻き込 み及び下降流に見られるキャビテ ーションや 剥離渦流は存在し得 る。 完全 に2.
卜51
飛翔する流れについては飛翔流で述べた説明がそのまま適用できる部分とそうでない部分 がある。飛翔流は2 次元的流れであるのに対して遷移流は3 次元性の強い流れであるから である。飛翔方向はコンジットとゲートのリップ位置関係以外に扉体開度が大きく影響す 亜。振動要因は流れの不安定現象と空気の巻き込みである。不安定現象による振動が継続 するかどうは飛翔の方向と距離及び水幕の厚さに大きく支配されていることを述べたが、3
次元性の強い遷移流の中では方向・距離・厚さが場所により大きく変わる。扉体開度が 大きくなってゲート中央部から飛翔流の振動が消えた後でも遷移流に振動が残るのはこの 為であると考えられる。この事実は実機試験‑1で確認されている。
2.卜52
3 )飛翔流の飛 翔角度と 安定条件
[ 飛翔 方向]飛翔 流の飛翔方 向を知 ることは飛翔流の不安定現象の予 見に不可 欠である。
近似的にこ れを算 出する方 法を以下に述べる。図2. 1 −25 はコン ジット 底部及び扉板 からなる吐き 出し口 を簡単 な2 枚の壁 面に置き換え た2 次元の計算模型 であ る。 ①①断面
飛m 流二二]] し:T χ ム、、
V
a ‑
に χ 軸 .=…………
・一 斗=TO − りー← ・‑………・ニ.‑. _h よ;l _ プ ……………………
図2 , 1 −25
a
は角θの2 等分線a a に直交する断面 であ り、もし断面 の高さhi が矢印 で示し た水流の吐 き出し口であ るならば。飛翔 流の方向は2 等分線a a の方 向と一致する。その流速をvl で 表す。下面 の壁が更に △x だけ 続く場 合には流速vl は △x 面 の圧力 により。面に 直角方向 に、 △v だけ 加速さ れ、図に示 す様に、飛翔流は βだけ方向 を変えると考える。次 にβを 近似的に算出する式 を導く 。x 軸を2 等分線a a の上に右方 向に設定し、その原点を断面
①①との交点 に置く。hi より吐き 出される単位 巾当 たりの流 量q が質 点に集中し ていて、
その質点 が △x 面の水圧力P を受けながらx 軸上を 移動し、 △v 迄加速されると考える。
上流有効水 頭をHd 、重力加速度 をg とすると、縮流状態にあ る飛 翔流の最大流速VO は 次の式で与 えられる。
V02 二2g xHd
●● 田上 面 壁 の ① 点 か ら 下 面 壁 に 下 ろ し た 法 線 の 長 さ は 扉 体 開 度 に 相 当 し 、 こ れ をL と し 、 飛 翔 流 の 縮 流 率 ( = 縮 流 係 数 ) をCc と す る と 、 流 量 は 次 の 式 で 与 え ら れ る 。
‑
2.卜53
q =L X Ccχvo
水 流 が 断 面 ① ① を 通 過 す る 時 の 流 速 は 次 の 式 で 与 え ら れ る 。
q vl = ―hi
‥ ‥(2)
(3)
X 軸上の質点は距離=vlに 工個の割合で存在するので、1 質点が受ける力f は次式で与え られる。
f 一一
vl X P
cos( 0/2 )
‥ ‥(4)
流水の密度をρとすると、1 質点の質量はq X p であるので、質点が受ける加速度αは次 式で与えられる。
a  ̄ q
f
− X
d
ρ d
'y 12
・・‥(5)
y は質点が△X 上の水圧力により加速されて移動し た距離である。求める △V は次の式で 与えられる。
△V =
〔 ド 〕t
‑ t o
‥ ‥(6)
(6 ) 式 中 のte は 質 点 が △x ・ cos(0 /2)飛 翔 す る の に 要 す る 時 間 で 、 次 式 で 与 え ら れ る 。
te =
△X ・ cos(6 /2 ) vl
‥ ‥(7)
2.1‑ 54
位置の座標X は速度vl でt 秒間飛翔し た時の距離である 。即ち、
X 一一 vl ・ t ‥ ‥(8)
更に、P を ①点の静圧力PI と △X 上 の圧力分布を表す関数f (p )に分け、 次式 で表す。
P =PlX f (p ) 但 しO ≦P ≦1
PI はベル ヌーイの定 理により次式で与 えられる。
PI ‑‑ P gHd −
ρ Vl2‑
2
‥ ‥(9)
‥ ‥(10)
以 上 の 式(1) 〜(10) よ り △X 上 の 水 圧 力 に よ り 加 速 さ れ る 速 度 を 与 え る 次 の 式 が 得 ら れ る 。
△V
=√2gHd ・
tan(l3 ) =
△X (1
L^ C C 2
) 5
0 f (P )d P
・cos ( θ/2 )
り
但 し 、A
L ・Cc 2
‑A ・ sin( 6/2 )
‥ ‥(11)
‥ ‥(12)
は 流 量 、I f (p )d p は △X 上 の 圧 力 2LCc
△v ・ cos(e /I ) v1 − △v ・ sin( θ/2 )
‑
‑
hi2
飛翔流の方 向を表す角度 βは次 の式により与えられる。
∧
言 〔1 − じI ゴ 宍〕2) もf(P)dP
式(12)にお い て、廿
は吐き出し 口の形状、hi
hi
2.1‑ 55
分布 を表す項 であ る。 △X 上 の圧力分布につい ては直角 歯形堰での詳細な計測 例゛があり、
吐き 出し 口か ら離れる に従い急 激に曲線状 に滅少し、縮 流水頭に近づく。圧力分 布関数 f (p) をp =O で1 、p =1 でO 、その間を二次曲線 で表すと ∫f (p)d p =1 /3 と なる。参l 考とし て2 点間を直線 で表す場 合につ いて計算し た結果 は1/2 であ る。式(12) で計 算した 結果 は実験値に比較し てかなり 大き な値を示す。連続し た流体の流れを質点 とし て取り扱 っ たこ と、叉は、 △X の上の圧力 分布 の設定、或い は、 その両者が原因で式(11) が与 える 速度 が過大となっ たものと考え られる。 そこで、 式(11) と(12) に修正 係数を導入し。次の 様に 書き 改める。
△V =C 実・ √2gHd
tan(/3 ) =
A L ・Cc
2
hi
但 し 、A =C 実・
J 1 し 1 13文 献(5 マ )
△X
(1 −
L^Cc 2
) i" f (p )d p
2
△X
− hi
50
‥ ‥(13) 2LCc
・cos (6 11 )
A ・ sin(B /2 )
h 12
修正係数C は実験値から定めることができる。先に参照した直角歯形堰における水路底面 圧力の計測結果によれば、扉体から扉体開度の2倍 離れた位置で水圧力は縮流水頭と等し くなり、流れの方向はその点 で水路底面に平行であると考えられることから、C 実=0.5 が 得られる。計算に用いた条件は次の通りである。
9 ― n ÷2 (コンジット底面と扉板の交差角度=90度)
△x =hl ・ (2 ・ cos( 0/2) 十sin (0/2) )(加速面の長さ)
L =hl ・ cos (θ/2) (扉体閲度)
β=d ÷2 (角度の2 等分線からの飛翔角度=45度)
Cc =0.632 (縮流係数=実験値)
2.1‑ 56
[ 安定 条件]飛 翔流の不安定現 象について前項2 ) で述 べたが、飛 翔流の下面 に周期 的 な圧力変 化が起こ らなければ流れ が安定することはその機 構から明 かである 。こ れが実現 する状態は次の二 つであ る。
①飛翔流がゴム押さ えの側面を 直撃し ている状態。流れはゴム押さえ ではじかれ。下流に 飛散し、 流れ下 面の圧力は上昇するが、周期的変化は起こらないと考えられる。
②飛翔流がゴム押さ えに達し ない状態。空気連行により流れ下面の圧力低下 が起こるが。
周期的変化 に迄達し ないと考 えられる。
ゴム押さ えから飛翔 流下面迄の最短距離をa 、飛翔流下 面の圧力低下により飛 翔流がゴム 押さえに接近する距離をa の上 で計っ た値をyb とすると、 流れが不安定と なる条件は次
の式で表さ れる。即ち、yb は飛翔流が安定するa の限 界距離であ る。
O ≦a ≦yb (安 定条 件はa <O 、叉は、a >yb ) ‥ ‥(15)
a は、式(14 )で飛翔方 向を算出し て飛翔流中心の軌跡をCAD で正 確に描き 、ゴム押さ え から軌跡迄 の最短 距離(a 心) を計測することにより 次の式 により 算出するこ とができ る。
式中のL は扉 体開度(図2 . 1 −2 6# 照)、Cc は縮流係数 である。
a ニa 心−L ・Cc
この式で得られるa は図面に描かれた飛 翔流形状に対する距離 である が、実際 の飛翔流 の 下面形状は、コン ジットリップ形状の不規則さや水流の乱れ等 により、図面形状と は異 な っていると考 える必要 があ る。こ の不確定 な差をa 差とし て、a の算出式を次 の様 に表す。
a ニa 心−L ・Cc ― a 差 ‥ ‥(16)
a 差は実験係数的な側面があ るので、実機試験3 ケ ース及び模型実験4 ケー スの結果につい てシ ユミレーショ ン解析を行っ た結果、工場加工し たリ ップ に対し て7 min、現地加工し た リップに対して14mniを仮定値として採用し た。仮定 の妥当 性につい ては次項(2 ) で論じ る。次に、yb を近似的に算出する方法につい て述 べる 。図2. 1 −26 は 計算模型 であ る.b は、 飛翔流の中心線上 に沿っ て、扉体開 度L からa 心迄計っ た距離であり、yb は飛2.
卜57