Int-Ball(イントボール)は2017年7月に軌道上での映像が公開されてそのユニークな形状から話題に なった球形の自律移動型船内カメラです。現在はまだ実証試験中で、実用化を目指して今後も改良を続 けていく予定です。Int-Ballが目指すのは以下の事です。
・自律飛行により好きな時に好きな場所に移動し、自由な角度から撮影を行うことができる。
・これまで、宇宙飛行士の作業時間の約10%程度を撮影作業が占めていたが、最終的には宇宙飛行士に よる撮影時間「ゼロ」を目指す。
・地上の管制官や研究者は、宇宙飛行士と同じ視点から作業を確認することができる。地上と宇宙の共同 作業を効率的に行うことで、「きぼう」利用実験による成果の最大化に貢献する。
・今後はInt-Ballの更なる性能向上・機能拡張を図り、「きぼう」船内外実験の自動化・自律化を進めると 共に、将来探査ミッション等に利用可能なロボティクス技術の獲得を目指す。
http://iss.jaxa.jp/kiboexp/news/170714_int_ball.html
図4.1.1-26 「きぼう」日本実験棟内で活 動するInt-Ball
http://iss.jaxa.jp/kiboexp/news/imag es/50P2017000924.jpg
図4.1.1-27 Int-Ballの外部装備
Int-Ballの紹介動画(Int-BallだよりVol.6まで公開済み)はこちら
http://iss.jaxa.jp/kiboexp/news/171017_int_ball.html
表4.1.1-2 IntBallの仕様
図4.1.1-28 Int-Ballの制御に使われている超小型三軸姿勢制御モジュール
http://www.kenkai.jaxa.jp/research/electrical/triaxial.html
【コラム 1-3】船内自律飛行ロボット日米対決!
金井宇宙飛行士の滞在中には、日本だけでなく米国の自律飛行ロボットもISSに運ばれる可能性があります
(2018年春頃)。米国のものはAstrobee (アストロビー)と呼ばれていて約30cm四方の箱型のロボット(3機構 成)です(Int-Ballの直径は約15cm)。小さなロボットアームも装備しており、Int-Ballよりもいろいろなことをさせ る目的で開発されています。デザインや作りにもお国柄が現れるので、そういう面からも比較すると面白いですね。
https://www.nasa.gov/astrobee
https://www.youtube.com/watch?v=LToXyJpwbUU (地上試験の動画)
(14)無重力での視力変化等に影響する頭蓋内圧の簡便な評価法の確立 (Intracranial Pressure & Visual Impairment: IPVI)
数年前より、宇宙飛行士の健康管理上の課題として、失明のリスクも伴う「視神経乳頭浮腫」が注目さ れています。宇宙飛行に伴い体液が上半身へシフトし、頭蓋骨内部の圧力が高まることに起因していると考 えられます。
頭蓋内圧は、脳や腰に針を刺して脳脊髄液圧を測定する手法が一般的ですが、リスクがあるため宇宙 医学研究には使えません。本研究では、針などを使用しない方法で頭蓋内圧を推定できる手法の確立を 目指します。
飛行前後で頭蓋内圧値の推定を行ない、頭蓋内圧の変化や長期宇宙滞在中の視機能の変化などの 関連性を確認します。軌道上ではクルーの顔の正面及び側面をUSBカメラで撮影し、地上の研究者が、顔 面浮腫状態の視診、視機能異常の有無の確認を行います。
この実験に関しては大西宇宙飛行士が2016年3月4日にGoogle+で紹介しています。
https://plus.google.com/101922061219949719231/posts/V3VjNjQiVCs
【コラム 1-4】IPVI実験
金井宇宙飛行士もブログでIPVI実験の事を紹介しています。
・宇宙実験:IPVI(頭蓋内圧の簡便な評価法の確立)
https://ameblo.jp/astro-kanai/entry-12315771950.html
[「無重力の視力変化」とありますが、ここ数年、宇宙に行った宇宙飛行士の視力が変わる・・・ということが宇宙医学の 分野で注目を浴びるようになりました。宇宙に行ってしばらくすると、遠くのものが見えやすくなったり、手元の文字が見え にくかったりするようになるのです。
不思議に思った航空医師たちが詳しく宇宙飛行士の目について検査してみると、目の奥、視神経がつながっている「視 神経乳頭(ディスク)」という部分が腫れていたり、本来球体の目玉が、あたかも後方から押されたようにわずかに変形 していたり、そのせいで網膜にしわが寄っていたりすることが分かってきました。]
[でも、宇宙飛行士が宇宙滞在をしているときに、本当に頭蓋内圧(脳圧)が高くなっているかどうかを測定した研究 はありません。もし脳圧を測定しようとするならば、手術で頭蓋骨に穴をあけて圧力を測定するためのセンサーを埋め込 んだり、背中から背骨の間に細い針を刺して「せき髄液」という体液の圧力を測定したりと、かなり大変な検査をしない といけないのです。
IPVIの研究チームは、血圧計と超音波検査を組み合わせて、大掛かりな検査をしなくても、簡単に脳圧を測定するこ とを目指しています。]
[また、地上においても、頭のケガや脳の病気によって脳圧が高くなるような患者さんに対して、体に負担の少ない検査 法として応用が期待されます。
わたしが宇宙に行ってから、脳圧が高くなったならば、もしかしたら近視用のメガネがいらなくなるかもしれませんね。有人 宇宙飛行が始まって50年経ちますが、まだまだヒトの体については分からないことばかりです。]