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108 195 303 411

教区

サン・ピエール・ドゥ・スシ サントゥ・エレンヌ・ドゥ・ラック コアズ

7

つの教区

8

つの教区

黒 死 病 で ど れ だ け の 人 が 死 ん だ か

― 214 ―

7

モーリエンヌ地方の中心モンメリアン

地図

5

モンメリアン近郊の

8

教区の黒死病(Benedictow, 323.)

― 215 ― 黒

死 病 で ど れ だ け の 人 が 死 ん だ か

8

モンメリアンを流れるイゼール川と橋

イゼール川の左岸の農民は、モンメリアンへ作物を売りに出た。イゼール川にかか る橋を渡る時に料金を課され、その記録が現在、当時の人口把握に利用されている

9

黒死病で

108

世帯から

55

世帯まで減少したサン・ピエール・ドゥ・スシ 黒 死 病 で ど れ だ け の 人 が 死 ん だ か

― 216 ―

10

黒死病で

108

世帯から

61

世帯まで減少したサントゥ・エレーヌ・ドゥ・ラ ック

11

フランス・アルプスの麓の村プラネーズ(現在の人口約

500

人)

― 217 ― 黒

死 病 で ど れ だ け の 人 が 死 ん だ か

の一 三四 七年 に存 在し た﹁ 四一 一世 帯﹂ が︑ 黒死 病後 の一 三四 九年 に﹁ 一九 七世 帯﹂ にま で減 少し てい る︒ これ はす なわ ち﹁ 五二 パー セン ト﹂ の減 少率 であ る︒ ただ

︑こ れら 八教 区の うち

︑残 念な がら 三つ の教 区か らし か︑ 個別 の正 確な 史料 は残 って おら ず︑ あい にく

︑残 る五 つの 教区 につ いて は︑ 教区 ごと の個 別の 死亡 率の 変化 は確 かめ るこ とは でき ない

︒そ のた め表 10の よう な記 載に なっ てい る︒ こ の情 報か ら︑ ペス トに よる 平均 世帯 規模 の縮 小を 考慮 して

︑標 準想 定を 運用 する こと で︑ 人口 を割 り出 して 得ら れる 人口 死亡 率は

﹁五 七パ ーセ ント

﹂と なる

︒総 人口 死亡 率を さら に実 際の 状態 に近 づけ るに は︑ 土地 を持 たな い貧 困階 級の 大量 死を 考慮 しな けれ ばな らな い︒ それ は標 準想 定に よる と﹁ 二・ 五パ ーセ ント

﹂が 加算 され る︒ これ によ って 総人 口死 亡率 は︑ 結局 およ そ﹁ 六〇 パー セン ト﹂ にな る︵

pp.322−323.

︶︒ モ

ンメ リア ン近 郊の 八教 区に おけ る黒 死病 によ る世 帯減 少と 総人 口死 亡率 黒死 病前

︵一 三四 八年

四 一一 世帯 黒死 病後

︵一 三四 九年

一 九七 世帯 世帯 減少 率

五二 パー セン ト 調整 後の 総人 口死 亡率

六〇 パー セン ト

黒 死 病 で ど れ だ け の 人 が 死 ん だ か

― 218 ―

モー リエ ンヌ の農 村︵

pp.323−327.

││ サン

・ミ シェ ル︑ サン

・ジ ュリ アン

︑グ ルニ

││ デ ンマ ーク の研 究者 M・ ゲル ティ ンの 優れ た研 究︵ 一九 九一 年︶ は︑ 一三 四六 年と 一三 五九 年の 上納 金報 告書 に含 まれ た租 税一 覧︑ さら に︑ 毎年 作成 され た相 続税 一覧 にも とづ く史 料を 活用 する

︒そ れに よっ てイ ゼー ル川 沿い のモ ー リエ ン ヌ に 数多 く 存 在し た 教 区の 農 民 の 人口 変 動 を 明 ら か に し て い る

︒ ま ず サ ン

・ミ シ ェ ル の 六 つ の 教 区 を 見 る︒ そこ には

︑特 権市 場村

︵サ ン・ ミシ ェル

︶や イゼ ール 川の 流域 でブ ドウ 栽培 をお こな う教 区︵ サン

・マ ルタ ン・ ラ・ ポル トゥ

︶︑ さ ら に︑ 山 岳教 区

︵オ ル ル︑ ボー ヌ

︑ル

・ト ゥ ル︑ モン デ ニ︶ な ど︑ 地 理的

︑経 済 的 に様 々 な 教区 が含 まれ る︵

pp.323−324.

︶︒ ゲ ルテ ィン は︑ 一三 四六 年の 時点 にお いて 確認 でき たサ ン・ ミシ ェル の六 つの 教区 の男 子納 税者

﹁三 一七 人﹂ を調 査対 象と して 選び

︑そ の動 向を 探る

︒そ して

︑生 命表 や年 間死 亡率 等を 検討 して

︑一 三四 八年 の黒 死病 の発 生直 前ま での 二年 間に つい て﹁ 一・ 六パ ー セ ン ト﹂ の死 亡 率 を採 用 し︑

﹁ 三一 七 人﹂ の う ち﹁ 一〇 人

﹂の 死 亡を 見 込 む︒ これ は適 正な もの と判 断さ れる

︒こ れに よっ て黒 死病 直前 には

﹁三

〇七 人﹂ の男 性納 税者 がい たと する

︒そ して 問題 の黒 死病 の猖 獗に よっ てそ れら の男 子納 税者 は﹁ 一三 二人

﹂に まで 減少 する

︒こ こか ら﹁ 五七 パー セン ト﹂ の世 帯減 少率 が 得 ら れ る

pp.325−326.

︶︒ さ ら に︑ こ れ に 黒 死 病 後 の 平 均 世 帯 規 模 の 縮 小 を 考 慮 し て︑ こ の 教 区︵ 中 層・ 上 層 農 民︶ の人 口死 亡率 を﹁ 六二 パー セン ト﹂ とす る︒ さら に︑ ここ では 史料 に出 てこ ない

﹁見 えざ る﹂ 無産 階級 の存 在と そ の非 常 に 高 い死 亡 率 を考 え

︑全 体 の死 亡 率 に﹁ 二・ 五 パー セ ン ト﹂ を加 え て︑ こ の 教区 に 住 む 総 人 口 の 死 亡 率 は

﹁ 六五 パー セン ト﹂ とす る︵

p.326.

︶︒

― 219 ― 黒

死 病 で ど れ だ け の 人 が 死 ん だ か

中 規模 の村 サン

・ジ ュリ アン は︑ サン

・ミ シェ ルと 同じ く特 権市 場村 であ り︑ 比較 的活 発な 商業 的交 流を おこ なっ て いた

︒一 三 三 二 年の 上 納 金台 帳 で の記 載 か ら︑ 納 税義 務 の ある 農 家 の 世帯 主 の 数 は︑

﹁一 一 一 人

﹂と 推 定 さ れ る︒ そし て︑ その 数は 一五 年後 の一 三四 七年 の終 わり

︵つ まり 黒死 病の 直前

︶ま でに は︑ 一三 四〇 年代 の飢 饉等 の危 機的 状況 によ って かな り減 少し たと 考え られ る︒ そこ で︑ それ を差 し引 かね ばな らな い︒ ここ で﹁ 一・ 六パ ーセ ント

﹂と いう やや 控え めな 年間 死亡 率を 適用 し て︑ こ の 集団 の 数 は﹁ 一一 一 人﹂ か ら﹁ 八七 人

﹂に ま で 減っ た と 判断 さ れ る︒ 結局

︑黒 死病 後に

︑こ れら の集 団の うち

﹁三 五人

﹂が 生き 残っ たこ とが 確認 され る︒ その こと から

︑黒 死病 によ るサ ン・ ジュ リア ンの 農民 の死 亡率

﹁六

〇パ ーセ ント

﹂が 得ら れる

︒し かし

︑も し年 間死 亡率 を﹁ 一・ 六パ ーセ ント

﹂で はな く︑

﹁ 二パ ーセ ント

﹂を 適用 した 場合

︑黒 死病 直前 には

﹁八 二人

﹂の 世帯 主が 生き 残っ たこ とに なる

︒こ の場 合︑ 黒死 病に よる サン

・ジ ュリ アン の世 帯主 の死 亡率 は︑ 少し 減っ て﹁ 五七 パー セン ト﹂ にな る︵

pp.326−327.

︶︒

﹇* ベネ ディ クト ーは

︑一 三三 二年 から 一三 四七 年 ま での 間 に︑ 世 帯主 の 数 が︑ 適用 す る 年 間死 亡 率 に応 じ て 世帯 主の 数が 異な るこ とを 問題 にし てい る︒ それ は正 当な こと であ るが

︑他 方︑ この 一五 年間 に新 たに 結婚 によ って 発生 した 世帯 もあ った はず で︑ それ が全 く問 題に され てい ない のは 問題 では ない だろ うか

︒﹈ 標 準想 定で は︑ 黒死 病に よっ て農 村部 では

﹁四

・五 人﹂ の平 均世 帯が

﹁四

・〇 人﹂ に縮 小し たと 見る

︒つ まり

︑一 家族 あた り﹁

〇・ 五人

﹂が 減少 した とみ る︵ この 標準 想定 は︑ 次に 具体 的に 見る グル ニの 家族 の動 向の 事例 から 判断 する と︑ 慎重 過ぎ るほ ど控 えめ なも ので ある こと が わ か るで あ ろ う︶

︒こ の 標 準想 定 に よ って サ ン・ ジ ュリ ア ン の中 層・ 上層 の小 作農 死亡 率は

﹁六 四パ ーセ ント

﹂と なる

︒こ れに 加え て税 金を 免除 され た貧 しい 無産 階級 の存 在と その 高い 死亡 率を 考慮 され る︒ こう して 総人 口死 亡率 は﹁ 六七 パー セン ト﹂ とな る︵ 黒死 病直 前の 年間 死亡 率を 控え めに

黒 死 病 で ど れ だ け の 人 が 死 ん だ か

― 220 ―

設定 した 場合

︑﹁ 六 五パ ーセ ント

﹂と なる

︶︵

p.327.

︶︒ サ ン・ ジュ リア ンの 近郊 の山 間部 に小 村 グ ル ニが あ る︒ こ こに は 一 三四 六 年 に﹁ 一

〇人

﹂の 男 性 世帯 主

︵納 税 者︶ が住 んで いた

︒研 究者 ゲル タン は︑ グル ニの 小 村 を 構成 す る 一一 軒 の 農家

︵納 税 世 帯 主︶ のう ち

︑一

〇 軒に つ い て︑ 家族 の構 成員 がた どっ た運 命を 伝え る史 料を 発見 した

︒次 にそ れを 示す

p.268.

︶︒ 黒 死病 の恐 るべ き病 魔が

︑そ れぞ れ の家 族 に お いて

﹁一 人

﹂以 上 を死 に 至 らし め

︑不 幸 の どん 底 に 陥れ た こ と が 想 像 さ れ る︒ こ こ で は︑

〇・ 五 人﹂ にと どま らな い世 帯規 模の 縮小 が認 めら れる

﹇家 族に つい ての 付記

︵* 以下

︶は 石坂 によ る︒ 世帯 主の 死去 は●

︑生 存は

○を 付け てい る﹈

︒ 一 ヨ ハ ン ネ ス

・ デ

・ グ レ ニ ア ー コ と そ の 兄 弟

︵ 複 数

︶ は 死 去 し た

︒ お そ ら く 嫡 出 子 は い な い

* 家 族 の う ち

﹁ 三 人

﹂ が 死 去 か

︒ そ の う ち の 一 名 の 死 者 が 世 帯 主

︒ マ イ ナ ス 三 二 ヤ コ ブ ス

・ コ ス テ は お そ ら く 死 ん だ

︒ 嫡 出 子 は お そ ら く い な か っ た

︒ 妻 が 生 き 残 っ た

* 家 族 の う ち

﹁ 二 人

﹂ 死 去

︒ そ の う ち 世 帯 主 も 死 去

︒ マ イ ナ ス 二 三 故 ヨ ハ ン ネ ス

・ ロ イ マ ン に は 二 人 の 子 ど も が い た

︒ ヨ ナ ン ネ ス と ヨ ハ ン ナ で あ る

︒ ヨ ハ ン ナ の 方 は 疫 病 で 死 ん だ

︒ 彼 女 の 兄 弟

︵ ヨ ハ ン ネ ス

︶ の 方 は 生 き 残 っ た

* 家 族 の う ち 二 名 死 去

︒ マ イ ナ ス 二 四 ア イ モ

・ デ

・ モ ラ ー リ オ は 生 き 残 っ た

︒ し か し

︑ 甥

︵ ま た は 孫

︶ の ア イ ナ ル ド ゥ ス

・ デ

・ モ ラ ー リ オ は 死 ん だ

* 家 族 の う ち 一 人 死 去

︒ 世 帯 主 は 生 存

― 221 ― 黒

死 病 で ど れ だ け の 人 が 死 ん だ か

マ イ ナ ス 一 五 ア イ モ

・ デ

・ フ ル ノ は 二 人 の 娘 を 残 し て 死 ん だ が

︑ ひ と り の 娘 は

︑ そ の 後

︑ 遅 れ て 疫 病 で 死 ん だ

* 家 族 の う ち 二 人 死 去

︒ そ の う ち 世 帯 主 も 死 去

︒ マ イ ナ ス 二 六 ヨ ハ ン ネ ス

・ デ

・ フ ル ノ は 死 去 し た

︒ 寡 婦 と 幼 い 子 が 残 さ れ た

* 家 族 の う ち 一 人 死 去

︒ そ の 死 去 し た 一 名 が 世 帯 主

︒ マ イ ナ ス 一 七 ヨ ハ ン ネ ス

・ デ

・ フ ル ノ

﹇ 六 と は 別 人

﹈ は

︑ 一 三 四 六 年 に 幼 い 娘 を 三 人 残 し て 死 ん だ

︒ こ の 三 人 の 娘 は 疫 病

﹇ 黒 死 病

﹈ の 後 に ど う も 名 前 は 見 あ た ら な い

* 家 族 の う ち 少 な く と も 一 名 は 死 去

︒ そ の 死 去 し た 一 名 が 世 帯 主

︵ こ と に よ る と さ ら に 三 名 死 去 か

︒︶ マ イ ナ ス 一

︵ ま た は マ イ ナ ス 四

︶ 八 ア ン セ ル ム ス

・ カ ス テ ッ リ に は ミ カ エ ル と ペ ト ル ス の 二 人 の 息 子 が い た

︒ ペ ト ル ス と そ の 母 親 ア ニ ェ ソ ー ナ は 疫 病 で 死 ん だ

︒ ミ カ エ ル は 生 き 残 っ た

* 家 族 の う ち 二 名 死 去

︒ 世 帯 主 は 生 存

︒ マ イ ナ ス 二 九 ス テ フ ァ ヌ ス

・ デ

・ グ リ ニ ア ー コ は 死 ん だ

︒ 少 な く と も 三 人 の 子 ど も が 残 さ れ た

* 家 族 の う ち 一 名 死 去

︒ そ の 死 去 し た 一 名 が 世 帯 主

︒ マ イ ナ ス 一 か 一

〇 ヨ ハ ン ネ ス

・ ア メ デ イ は 生 き 残 っ た が

︑ 妻 は 死 ん だ

* 家 族 の う ち 一 名 死 去

︒ 世 帯 主 は 生 存

︒ マ イ ナ ス 一

黒 死 病 で ど れ だ け の 人 が 死 ん だ か

― 222 ―

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