以上のように分野ごとに様々なオゾン層破壊防止、温暖化抑制への取り組みがなされている。
冷媒用途における特定フロン代替物質として、これまでに主として
HCFC
等が使用されてきた。しかし、モントリオール議定書により
HCFC
の使用が抑制されるため、さらにHFC
への転換が進むことを上記は示 している。当然ながらこれらHFC
の冷媒適用に併行して冷凍・空調機器そのものの経済性向上が図られて いるが、温暖化の観点からはHFC
への転化は有効な対策とはいえず、本質的な解決方法には至っていない。HFC
に替わりオゾン層破壊と地球温暖化を防止する新規代替化合物はNEDO
のプロジェクト等で明らかに されつつあるが、その工業的な合成技術開発の確立されるに至っていない。従って、このような環境変化に 応じた自然冷媒冷凍・空調システムおよび機器の技術開発が必須である。もちろん、既存の冷凍・空調機器として、例えばアンモニア冷凍機等が既に稼動実績を重ねているが、既 存の特定フロン等の化合物(CFC,HCFC)および代替フロン等(HFC)を冷媒とする冷凍機に比較した場合安 全性確保や初期導入費用等の弱みもある。
特定フロン等の化合物(CFC,HCFC)および代替フロン等(HFC)は、優れた安全性等から各種産業界はもと より、電気冷蔵庫、エアコン等の家電製品、カーエアコン等の分野における効率の良い冷媒として幅広く国 民生活に使用されてきた不可欠な化合物であった。また、優れた断熱特性と発泡特性によって各種産業分野 において、ウレタン樹脂やスチレン樹脂等の発泡剤として使われてきた。さらには、優れた安全性と洗浄特 性によって各種製造業をはじめドライクリーニング等の分野で幅広く使用され、水等の非フロン系物質と比 較して非常に省エネルギー効果の高い物質であった。
しかし、このような多様な用途に対応でき、しかも地球環境への影響に十分配慮した、安全性の高い代替 物質の開発はまだ多くの困難があり、このままの状況で推移すれば、環境負荷、エネルギー消費の著しい増 大を招くことが予測される。
この様な状況を踏まえ、運転時のエネルギー効率が高く且つ冷媒漏洩等による環境負荷が小さい冷凍空調 機器の開発を行うことが急務である。これは、環境の保全およびエネルギー使用合理化のために極めて重要 なことと考えられる。
また、代表的な自然冷媒である、アンモニア、二酸化炭素、炭化水素等は高圧ガス保安法や冷凍保安規則 等の法規や国内外の業界指針等により規制されており、国際的な温暖化防止の動向と協調し
HFC
から自然 冷媒への転換を促す規制の見直しを提言していくことが必要である。また冷凍空調機器に使用する冷媒にた いする指標である温暖化係数(GWP)値や機器の運転性能(経済性)指標である冷/暖房効率(COP)に ついても長期的な温暖化への影響を判りやすく、的確に示すため見直すことが必要である。以上のようにノンフロン型省エネ冷凍空調システム開発は国の環境行政に欠かせないものである。国際的 にCO2排出削減目標達成は我が国の責務であるものの、現状での目標達成は難しい状況になっている中目 標を達成するには、民生・産業分野でエネルギー消費の比較的大きい冷凍空調分野で、本計画にあるような ノンフロン(自然冷媒)で且つ高効率な機器の開発が不可欠であるが、一企業単位では開発の負担が大きく、
国からの継続的な支援が是非必要である。
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1.1.2. 実施の効果(費用対効果)1.1.2.1. 産業界への効果
CFC 製造が全廃された 1995 年時点で、日本国内のフルオロカーボン総出荷量は約 82 千トン程度であり、
このうち主な用途である冷媒に係わる事項は 54%であった。
この数量はモントリオール議定書によるフロン規制以前の 1986 年当時のフルオロカーボン総出荷量が約 180 千トンであったことを鑑みると凡そ半減しており、1995 年の時点で既に洗浄剤を中心にフルオロカーボ ンから主として水系洗浄剤等への代替が進んでいたことを示している。
しかし一方では、冷媒用途では依然としてフルオロカーボンが多用されている。
欧州でフルオロカーボンに代わる小型冷蔵庫用の冷媒として近年使用され始めた n-ブタン/i-ブタンや、
日本国内でも電気冷蔵庫断熱フォーム用発泡剤として使用され始めたシクロペンタン等の炭化水素は、可燃 性物質であるため用途・使用量が限定されており、冷媒として現在使用されているフルオロカーボンの主た る代替物質となるとは困難であると予想される。
このようにフルオロカーボン類の特異的な性質である、①気液二相間の変換の容易さ、②液相における表 面張力の低さ、③化学的・熱的な安定性、④適度な親油性、⑤比重の大きさ、を考えるとフルオロカーボン に代えて非フルオロカーボン系物質を用いることは、多くの技術的課題が存在する。
以上の事情から、冷媒用途については、現在でも HCFC 、HFC が使用されており、今後も引き続きフルオ ロカーボンに対する需要が相当量見込まれる。
2020 年に HCFC が全廃されることを考慮すると、代替技術の開発は社会ニーズの観点から極めて重要であ り、資金を投下する価値のある事業であると考えられる。
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1.1.2.2. 費用対効果表 1.1.1 及び図 1.1.5 に京都議定書における温室効果ガス排出削減目標達成に係る NEDO におけるフロン 対策技術の変遷を示す。
本プロジェクトは 5 年間で約 35 億円程度を予想している(平成 20、21 年度は未決定)。
年間 7 億円程度を投入しており、これは住宅、業務、運輸、性能評価及び安全基準という各分野において 実施している。プロジェクトリーダー(PL)による適時指導及び各年度末毎の技術評価委員会による第三 者評価を実施するなどして、14 テーマ中の 1 テーマが平成 18 年度までに製品化および実用化段階へ向け開 発目標をほぼ達成し事業完了するに至った。平成 19 年度事業完了予定の 9 テーマについても鋭意開発進行 中であり、更なる成果の積み上げが期待される。
表 1.1.1 NEDO におけるフロン対策技術の変遷
PJタイトル 実施期間・予
算
予算(年度) 研究概要
HFC-23破壊技術の開発 H10-H13 総額12億円
H10年度 約10億円
HCFC-22製造時に複製するHFC-23を高温 燃焼破壊し無害化、CaF2として回収 冷媒フロンのケミカルリサイクル技術の開発(3
R技術実用化補助金)
H12 総額2.2億円
H12 約2.2億円
使用済みエアコンから回収した冷媒フロ ンを樹脂原料としてリサイクル 塩素系化合物代替物質開発 H8~H9
総額3億円
H9年度 約2.9億円
半導体・液晶製造用や産業用洗浄剤への 適用
SF6等に代わるガスを利用した電子デバイス製造クリー ニングプロセスシステムの研究(半導体CVD洗浄プロジェ クト)
H10~H14 総額25億円
H14年度 約4億円
COF2 を用いたCVDチャンバークリーニングシステムの 有効性を実証
省エネルギーフロン代替物質合成技術開発 H14~H18 総額10億円
H15年度 約2.2億円
HFE類,CF3I,COF2などの低GWP値・新規 化合物の工業的合成技術開発
SF6フリー高機能発現マグネシウム合金組織制御 技術開発プロジェクト
H16~H18 総額2.9億円
H18年度 約1.1億円
高強度なMg合金ビレットをSF6を使用せず に連続鋳造
冷媒にHFCを使用しない空気サイクル冷凍シ ステム、空調に関する先導研究
H15~H16 総額0.3億円
H16年度 約0.2億円
業務用冷凍倉庫向け空気冷媒冷凍機の排 熱をデシカント除湿機の再生に利用 ノンフロン型省エネ冷凍空調システム開発 H17~H21
総額36億円
H19年度 約5.8億円
自然冷媒利用の安全かつ省エネな冷凍空調 機器の基礎研究、並びに実用化開発 革新的ノンフロン系断熱材技術開発プロジェク
ト
H19~H23 総額15億円
H19年度 約2.8億円
現行フロン系断熱材同等以上のノンフロ ン断熱材製造技術開発
代替フロン等3ガスの排出抑制設備の導入・実用 化支援事業
H18~H19 総額13億円
H19年度 約10億円
温室効果ガス排出量削減に資する先進的 かつ波及性の高い事業への助成
図 1.1.5 NEDO におけるフロン対策技術の変遷
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1.1.2.3. 制度への適用性冷凍・空調機器の製造、事故、修理・メンテナンス、廃棄における冷媒漏洩は完全にゼロには出来ない。
このため、地球温暖化問題への貢献に向けて、フッ素を含有しないオゾン層を破壊効果が無く地球温暖化効 果の少ない自然冷媒を使用する冷凍・空調機器を開発することが望ましい。
本プロジェクトは世界的な環境保護の高まりの中で経済産業省 特別会計のもと「ノンフロン型省エネ冷 凍空調システム開発」として、独立行政法人産業技術総合研究所、社団法人日本冷凍空調工業会、このほか 民間企業6社への委託(NEDO 費用負担 100%)、及び9社への助成(NEDO 費用負担 50%)により、平成 17 年度 から 21 年度の 5 年間の事業実施期間として開始した。
本研究開発の最終目標は「省エネ性を兼ね備え、オゾン層破壊を防止し、地球温暖化効果小さい自然冷媒 を利用した冷凍空調システム・機器を開発・商品化するとともに、その性能評価手法及び安全性基準を確立 する」ことにある。
要素機器技術やシステムコンポーネントの開発により省エネルギーで安全な工業製品を産業界へ供給し、
長期的観点から CO2 排出量の削減をはかる事が肝要である。