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1 ―環境への取組み

ドキュメント内 EABKR (ページ 36-40)

生まれる排出権については、当行他が出資する日本カーボ ンファイナンス株式会社(JCF)が購入する予定です。当行は、

日本企業による投資や技術提供、JCFによる排出権の獲得、

当行の融資という3つの要素を組み込んだ排出権におけるビ ジネスモデルの確立に取り組んでおり、本事業は、このビジネ スモデルを初めて活用した案件となりました。

一方、円借款事業においても、CDMを活用した案件の支援 に取り組んでいます。2003年度に円借款供与が行われた「ザ ファラーナ風力発電事業」は日本のODA事業で初めてのCDM プロジェクトとして登録されました(20076月)(P.40参照)。

なお、2006年度に円借款の供与が承諾された環境案件は、

インドネシアの「ジャカルタ都市高速鉄道事業(E/S)」やインドの

「トリプラ州森林環境改善・貧困削減事業」、また、ケニアの「ソ ンドゥ・ミリウ/サンゴロ水力発電所建設事業」等、合計36件、

同年度の円借款承諾額全体の47.7%を占める結果となりました。

◆環境ビジネス支援室の創設

当行は、海外における資源エネルギーの利用効率化や 温室効果ガス削減プロジェクトへの取組みの強化を目的と して、200610月に環境ビジネス支援室を創設しました。

環境ビジネス支援室では、排出権の活用も視野に入れた 中国の石炭火力発電所効率改善事業等、日本企業や各 管理流通のためのプラットフォームの構築を目指しています。

◆環境案件に対する融資

当行は、京都メカニズム活用の一環として、CDMや共同 実施(JIとなることが見込まれる個別案件向けの融資を行っ ています。

例えば、20073月、日本企業による初めてのJI案件で あるブルガリアの「カリアクラ風力発電事業」に対し融資を 行いました。近年、地球温暖化を背景として、風力発電の ような再生可能エネルギーによる発電が世界的に急拡大 しています。ブルガリアにおける発電事業の約5割は石炭 焚きを主とする火力発電であるところ、風力発電事業を 行うことにより、温室効果ガスの削減を実現することが可能 になります。本事業は、日本企業からの投資および技術提 供を伴う温室効果ガス削減型のJI案件であり、本事業から

国際協力銀行 および民間金融機関 カリアクラ

風力発電事業 ブルガリア

国営電力公社

京都議定書

(UNFCCC)

ブルガリア政府

三菱重工業 JCF/

日本温暖化ガス削減基金

投資・技術

返済

融資(2007年3月)

政府保有

再生可能エネルギー優遇制度に関する助言

温暖化ガス削減事業支援に対する業務協力

(2004年12月)

支払 排出権

事業推進の協力

(2005年11月)

電力

電力料金

(優遇価格)

申請

(JI第二トラック)

承認

(予定)

ブルガリア

カリアクラ風力発電事業

カリアクラ風力発電事業(イメージ)

国政府等と協働しつつ、環境分野のプロジェクト形成支援 に積極的に取り組んでいます。また、環境ビジネス支援室 が中心となり、海外からの排出権獲得のための円滑な手 続きや情報提供のための具体的枠組みについて、信託機 能の活用や排出権プロジェクトのリスク評価・格付サービ スの導入等を含め、国内外の企業等と検討・協議も行っ ています。

◆国際社会・日本企業へ積極的な情報発信

200610月、世界最大の排出権関連イベント(排出権ビ ジネスにかかる国際会議および見本市)であるCARBON EXPOがアジアで初めて開催され、当行は、世界銀行、ア ジア開発銀行および中国政府等とともに、本会議を主催し ました。当行は、各地で開催されている国際会議において、

日本の技術を用いた省エネルギー製品の導入促進による 温室効果ガスの削減効果とその仕組み等を説明し、世界 に推奨しています。

また、200612月には、2005年に引き続き、日本最大の 環境総合イベント「エコプロダクツ2006」へ出展し、排出権 取引について、市民を含めより多くの方に理解して頂くた めに、「ドイツ・ワールドカップと地球温暖化」と題した発表も 行いました。

このように当行は、さまざまな機会を捉え、排出権取引の 新たなビジネスモデルの提案や提言を行い、地球温暖化 対策を推進しています。

■−環境ガイドラインと環境社会配慮

◆審査の透明性を高め、適切な環境評価を行う

当行は、地域住民等の参加促進と対話の重視、積極的 な情報公開を特徴とする「環境社会配慮確認のための国

際協力銀行ガイドライン」(以下、「環境ガイドライン」という)を、

200310月に施行しており、これに基づきプロジェクトに対し て、適切な環境社会配慮確認を行っています。

さらに、当行は、環境ガイドラインが遵守されるよう、当行の 投融資担当部署から独立した第三者が、現地住民等からの 申し立てを受け付ける異議申立手続きを、200310月より 導入しています。

異議申立があった場合、公募を経て任命された環境ガイ ドライン担当審査役が、独立・中立的な立場から調査を行い、

その結果を総裁に報告するとともに、当事者間のコミュニ ケーションを促しながら問題解決を図っていきます。その活動 の透明性を確保するため、異議申立のプロセス等は、当行 のホームページに掲載して公表しています。

■―環境コミュニケーション

◆ステークホルダーとともに環境問題に対応

環境社会配慮の効果を高めるためには多くの関係者の 理解と協力が必要です。当行は内外のステークホルダーと パートナーシップを構築し、環境問題におけるさまざまな活 動や支援に取り組んでいます。

グローブインターナショナル(地球環境国際議員連盟)は、

国際的な環境問題の議論や検討を行う場として、1989 から活動を行っています。このなかの気候変動対策のため の検討グループであるG85(中国、インド、メキシコ、ブラ ジル、南アフリカ)気候変動ダイアローグに、インターナショナ ルアドバイザリーボードが設置されました。当行は本アドバ イザリーボードのメンバーで、日本から唯一参加をしている機 関として、日本企業が保有する省エネルギー技術の普及と ともに、民間企業にビジネスチャンスを与えることを目的とし、

さまざまな働きかけを行っています。

国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)においては、

当行は、アジア太平洋タスクフォースの下部組織であるアウ トリーチグループで議長を務めていましたが、200611 からは、同タスクフォースの議長に就任しました。今後もタス クフォース参加国とともに、アジア太平洋地域における経済 発展と環境保全の調和を目指し、情報発信や働きかけを 行い、活動を推進します。

「エコプロダクツ2006」で使用した発表資料

また、当行は国内外の17の民間金融機関と「環境審査 にかかる協定書」(注1)を締結しています(20073月末現在)。 近年、個々のプロジェクト審査において、当行と民間金融機 関が協調して環境審査を行う案件が増加しており、当行では、

蓄積してきた環境審査情報やノウハウを民間金融機関に提 供するなど、連携を一層深めています。さらに、独立行政法 人日本貿易保険との間では、「輸出金融対象案件における 環境審査に係る日本貿易保険に対する協力に関する協定 書」を締結し、当行より日本貿易保険に対して環境面での 支援・情報提供を行うことにより、輸出金融利用の際に必 要な手続きの簡素化・効率化に努めています。

これらの取組みにより、民間金融機関は、社会的ニーズの 高まりつつある環境への対応を促進することが可能になりま

す。こうした活動は企業の社会的責任や社会的責任投資等 の側面からも必要とされるため、当行は引き続き民間金融機 関の環境社会配慮への取組みを支援していきます。

◆環境セミナーで職員、関係者の意識を啓発

当行は2006年度、行内において「環境・社会配慮セミ ナー」を計10回開催しました。環境社会配慮については事 業実施国が行うことが原則ですが、審査を担当する当行職 員の意識を向上させ、能力強化を図ることによって、審査業 務に資することが、セミナー開催の目的です。

また、20068月から9月にかけ、国際協力機構(JICA との連携により、「環境改善・公害対策融資セミナー」を開 催しました。これは、開発途上国の政府機関や事業実施

(注1)環境審査にかかる協定書を締結している民間金融機関については、当行のホームページ(http://www.jbic.go.jp/japanese/environ/)をご参照ください。

(注2)気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC:United Nations Framework Convention on Climate Change)は、1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された 地球サミットで採択され、1994年に発効しました。地球の温暖化によりもたらされる悪影響を防止するため、温室効果ガスの安定化を図ることを目的に策定された国際的な枠 組みのことです。

温室効果ガスの削減に弾み

わが国ODAによる初のCDMプロジェクト エジプト「ザファラーナ風力発電事業」への期待

エジプトにおける電力需要は、1995年以降毎年5 7%という高い伸びを示しています。同国では電力需要 の逼迫を緩和する供給力を確保するため、環境保全を 視野に入れつつ、燃料の多様化、効率性の改善、省エ ネルギー、新・再生エネルギー(風力、太陽光、バイオマ ス等)の活用促進に取り組んでいます。2010年までに 総発電設備要領のうち880MWを新・再生エネルギー

(うち風力発電を815MW)で賄うとしており、化石燃料へ の依存を抑制しながら代替エネルギーへの転換を図っ ています。

このようなエジプト政府の方針を踏まえ、当行は2003 年度に同国の「ザファラーナ風力発電事業」に約135 円 の 円 借 款を供 与しました。本 事 業 はカイロ南 東 220kmに位置する紅海沿岸ザファラーナ地区に120MW の風力発電所を新設するものです。同地区は年間を通 し、安定的な風向・風速が得られるため、風力発電所 の設置に適しています。

本事業は、同国の電力供給量を増加させるという目 的に加え、風力という新エネルギーを活用することによ り、温室効果ガスの削減に効果があることから、京都メ カニズムの一つであるCDMの利用が可能です。

当 行は2 0 0 6年 度 、国 際 連 合 気 候 変 動 枠 組 条 約

UNFCCC(注2)事務局に対し本事業のCDM登録申請 を行い、20076月のCDM理事会において円借款支 援第一号のCDMプロジェクトとして登録されました。本 事業により生じる認証排出削減量(クレジット)は日本企 業により購入されることとなっており、これにより、京都議 定書で課せられた6%削減(対1990年比)というわが国 の目標の達成に向けて役立てることができることとなりま した。また、エジプト政府にとっては、本事業により電力 供給の安定化とともに環境改善効果を図りつつ、かつ クレジットの売却代金収入を得ることもできることになりま す。このように、本事業はエジプトの電力供給安定化を 図りながら温室効果ガスの削減にも貢献する副次的便 益(コベネフィット)を生じさせる事業であるとともに、CDM プロジェクト化されたことにより、エジプトと日本の両国に とってメリットのある事業となります。

ドキュメント内 EABKR (ページ 36-40)