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B 器械運動

ドキュメント内 保健体育 (ページ 68-90)

[第1学年及び第2学年]

 器械運動は,マット運動,鉄棒運動,平均台運動及び跳び箱運動で構成され,器 械の特性に応じて多くの「技」がある。これらの技に挑戦し,その技ができる楽 しさや喜びを味わうことのできる運動である。

 小学校では,技ができることや技を繰り返したり組み合わせたりすることを学 習している。

 中学校では,これらの学習を受けて,技がよりよくできることや自己に適した 技で演技することが求められる。

 したがって,第1学年及び第2学年では,技ができる楽しさや喜びを味わい,器 械運動の特性や成り立ち,技の名称や行い方,その運動に関連して高まる体力な どを理解するとともに,技がよりよくできるようにする。その際,技などの自己 の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとともに,自 己の考えたことを他者に伝えることができるようにすることが大切である。また,

器械運動の学習に積極的に取り組み,よい演技を認めることや一人一人の違いに 応じた課題や挑戦を認めることなどに意欲をもち,健康や安全に気を配ることが できるようにすることが大切である。

 なお,指導に際しては,知識の理解を基に運動の技能を身に付けたり,運動の 技能を身に付けることで一層知識を深めたりするなど,知識と技能を関連させて 学習させることや,「知識及び技能」,「思考力,判断力,表現力等」,「学びに向か う力,人間性等」の内容をバランスよく学習させるようにすることが大切である。

(1)知識及び技能

 器械運動について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

(1)次の運動について,技ができる楽しさや喜びを味わい,器械運動の特性 や成り立ち,技の名称や行い方,その運動に関連して高まる体力などを理 解するとともに,技をよりよく行うこと。

 ア マット運動では,回転系や巧技系の基本的な技を滑らかに行うこと,条 件を変えた技や発展技を行うこと及びそれらを組み合わせること。

 イ 鉄棒運動では,支持系や懸垂系の基本的な技を滑らかに行うこと,条 件を変えた技や発展技を行うこと及びそれらを組み合わせること。

 ウ 平均台運動では,体操系やバランス系の基本的な技を滑らかに行うこ

第2章保健体育科の 目標及び内容

と,条件を変えた技や発展技を行うこと及びそれらを組み合わせること。

 エ 跳び箱運動では,切り返し系や回転系の基本的な技を滑らかに行うこ と,条件を変えた技や発展技を行うこと。

 器械運動の各種目には多くの技があることから,これらの技を,運動の構造 に基づいて,系,技群及びグループの視点によって系統的に分類した。系とは 各種目の特性を踏まえて技の課題の視点から大きく分類したものである。技群 とは類似の課題や技術の視点から分類したものである。グループとは類似の課 題や技術に加えて,運動の方向や運動の経過の視点から分類したものである。さ らに,各系統の技は,発展性を考慮して示している。なお,平均台運動と跳び 箱運動については,技の数が少ないことから系とグループのみで分類している。

この分類については,小学校から高等学校までの一貫性を図ったものである。

 器械運動では,生徒の技能・体力の程度に応じて条件を変えた技,発展技な どに挑戦するとともに,学習した基本となる技の出来映えを高めることも器械 運動の特性や魅力に触れる上で大切であることから,発展技の例示を示すとと もに,技の出来映えの質的変化を含めた指導内容の整理をしている。それによ って自己の技能・体力の程度に適した技を選ぶための目安をより一層明らかに し,学習に取り組みやすくしようとしたものである。

○ 知識

 器械運動の特性や成り立ちでは,器械運動は,マット運動,鉄棒運動,平 均台運動及び跳び箱運動で構成され,種目に応じて多くの「技」があり,技 の出来映えを競うことを楽しむ運動として多くの人々に親しまれてきた成り 立ちがあること,オリンピック競技大会の種目では体操競技として行われて おり,主要な競技として発展してきたことを理解できるようにする。

 技の名称や行い方では,技の名称は,運動の構造と関連して,懸垂・支持・

上がり・回転などの運動の基本形態を示す名称と,運動の経過における,方 向・姿勢・運動などの課題を示す名称によって成り立っていることを理解で きるようにする。例えば,マット運動の「前方倒立回転とび」では,前方(方 向課題)・倒立回転(運動の基本形態)・跳び(運動の課題)が示されている。

技の行い方は,技の課題を解決するための合理的な動き方のポイントがある ことを理解できるようにする。

 その運動に関連して高まる体力では,器械運動は,それぞれの種目や系,技 群,グループにより主として高まる体力要素が異なることを理解できるよう

2      各分野の目標 及び内容  

にする。例えば,器械運動を継続することで,筋力や柔軟性,平衡性などが 種目や技の動きに関連して高められることを理解できるようにする。

 などの例には,発表会のねらいや行い方がある。学習の段階によって,発 表会のねらいや行い方に違いがあることを理解できるようにする。例えば,初 期の段階の発表会では,技能の状況や課題を確認し合うねらいがあり,後期 の段階では学習の成果を認め合うねらいがあることを理解できるようにする。

また,発表会の行い方では,技能の状況に応じて,補助をつけたり,易しい 場を用いたりして行うことができることを理解できるようにする。

 なお,指導に際しては,動きの獲得を通して一層知識の大切さを実感でき るようにすることや,知識を活用し課題を発見・解決するなどの「思考力,判 断力,表現力等」を育む学習につながるよう,汎用性のある知識を精選した 上で,知識を基盤とした学習の充実を図ることが大切である。

 また,器械運動においては,難易度の高い技のみに興味をもつのではなく,

基本的な技の出来映えを高めることも大切であることや,技の課題を解決す るための合理的な動き方を理解して練習に取り組むことなどを,学習場面に 応じて効果的に指導することが大切である。

〈例示〉

・器械運動には多くの「技」があり,これらの技に挑戦し,その技ができ る楽しさや喜びを味わうことができること。

・器械運動は,種目に応じて多くの「技」があり,技の出来映えを競うこ とを楽しむ運動として多くの人々に親しまれてきた成り立ちがあること。

・技の名称は,運動の基本形態を示す名称と,運動の経過における課題を 示す名称によって名づけられていること。

・技の行い方は技の課題を解決するための合理的な動き方のポイントがあ ること。

・器械運動は,それぞれの種目や系などにより主として高まる体力要素が 異なること。

・発表会には,学習の段階に応じたねらいや行い方があること。

○ 技能

 基本的な技とは,各種目の系の技の中で基本的な運動課題をもつ技を示し ている。平均台以外の種目では,小学校第5学年及び第6学年で学習される 技を含んでいる。

 滑らかに行うとは,その技に求められる動きが途切れずに続けてできるこ とである。

第2章保健体育科の 目標及び内容

 条件を変えた技を行うとは,同じ技でも,開始姿勢や終末姿勢を変えて行 う,その技の前や後に動きを組み合わせて行う,手の着き方や握りを変えて 行うことなどを示している。

 例えば,マット運動の回転系のうち,接転技群の前転グループでは前転が 基本的な技にあたる。その動き方は,両足をそろえたしゃがみ立ちの開始姿 勢から手の平をマットに着いて一回転し,再び両足をそろえたしゃがみ立ち の終末姿勢になることである。条件を変えた技では,その前転を,足を前後 に開いた直立の開始姿勢からや歩行から組み合わせて行ったり,回転後の終 末姿勢を片足立ちに変えたり,両足で立ち上がった直後にジャンプしたりす るなど,動きを組み合わせて行うことを示している。

 指導に際しては,条件を変えた技を行うことにより動き方に変化を生じさ せ,発展技への準備状態をつくり出した上で,発展技を行わせるようにする ことが大切である。

 発展技を行うとは,系,技群,グループの基本的な技から発展した技を行 うことを示している。

 指導に際しては,自己の技能・体力の程度の高まりに応じて,学習した基 本的な技の中からいくつかの技を選択して行うことができるようにすること が大切である。

 組み合わせるとは,学習した基本的な技,条件を変えた技,発展技の中か ら,いくつかの技を「はじめ

なか

おわり」に組み合わせて行うことを示 している。

ア マット運動

 回転系や巧技系の基本的な技とは,回転系の接転技群,ほん転技群の基 本的な技,巧技系の平均立ち技群の基本的な技を示している。

〈回転系の例示〉

○ 接転技群(背中をマットに接して回転する)

 ・体をマットに順々に接触させて回転するための動き方や回転力を高 めるための動き方で,基本的な技の一連の動きを滑らかにして回る こと。

 ・開始姿勢や終末姿勢,組合せの動きや手の着き方などの条件を変え て回ること。

 ・学習した基本的な技を発展させて,一連の動きで回ること。

○ ほん転技群(手や足の支えで回転する)

 ・全身を支えたり突き放したりするための着手の仕方,回転力を高め

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