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[第1学年及び第2学年]

ドキュメント内 保健体育 (ページ 35-38)

 第1学年及び第2学年の体育分野の目標は,保健体育科の目標を受け,これを 体育分野としての立場から具体化したものであり,小学校,中学校及び高等学校 12 年間の一貫性を踏まえるとともに,特に小学校高学年との接続を重視し,中学 校第1学年及び第2学年における体育分野の学習指導の方向を示したものである。

(1)運動の合理的な実践を通して,運動の楽しさや喜びを味わい,運動を豊 かに実践することができるようにするため,運動,体力の必要性について 理解するとともに,基本的な技能を身に付けるようにする。

(2)運動についての自己の課題を発見し,合理的な解決に向けて思考し判断 するとともに,自己や仲間の考えたことを他者に伝える力を養う。

(3)運動における競争や協働の経験を通して,公正に取り組む,互いに協力 する,自己の役割を果たす,一人一人の違いを認めようとするなどの意欲 を育てるとともに,健康・安全に留意し,自己の最善を尽くして運動をす る態度を養う。

 この目標は,第1学年及び第2学年における「知識及び技能」,「思考力,判断 力,表現力等」,「学びに向かう力,人間性等」の育成を目指す資質・能力を示し たものである。

 次に,第1学年及び第2学年の体育分野の目標に示されている各部分を解説す ると次のとおりである。

 (1)は,知識及び技能の目標を示したものであり,生徒が運動の合理的な実践 を通して,運動の楽しさや喜びを味わうことができるようにすること,運動の行 い方や体力の必要性の理解を基に基本的な技能を身に付けることを目指したもの である。

 運動の合理的な実践とは,発達の段階や運動の特性や魅力に応じて,運動に関 わる一般原則や運動に伴う事故の防止等などの科学的な知識を理解するとともに,

それらを活用して運動を実践することを示している。

2      各分野の目標 及び内容  

 運動の楽しさや喜びを味わいとは,心と体が関連していることを実感したり,そ れぞれの運動が有する特性や魅力に応じて,運動することそのものを楽しんだり,

その運動の特性や魅力に触れたりすることが大切であることを示したものである。

 運動を豊かに実践することができるようにするとは,第1学年及び第2学年で は,全ての領域の経験を通して,それぞれの運動が有する特性や魅力に触れ,第 3学年以降の自己に適した運動を選択できるようにするための基本的な知識や運 動の技能を身に付け,運動との多様な関わり方を実践ができるようにすることを 示している。

 運動,体力の必要性について理解するとは,運動についての理解及び体力の必 要性について理解することを示している。運動について理解するとは,発達の段 階や運動の特性や魅力に応じて,運動に関わる一般原則や運動に伴う事故の防止 等を科学的に理解することを示している。また,「する,みる,支える,知る」等 のスポーツとの多様な関わり方や,運動やスポーツの価値を理解する観点から,ス ポーツに関する科学的知識や文化的意義等の基本的事項について理解を図ること が大切である。体力の必要性について理解するとは,体力は人間の活動の源であ ること,体力と運動の技能は相互に関連して高まることなどを理解することを示 している。そのため,それぞれの運動の特性や魅力に触れるために必要となる体 力や健康に生活するための体力を,生徒自らが高められるようにすることが大切 である。

 基本的な技能を身に付けるようにするとは,小学校段階からの学習を踏まえ,発 達の段階に応じて運動を豊かに実践するための基本的な技能や動きを身に付ける ことを示している。その際,育成を目指す資質・能力として「知識及び技能」と 示されたことを踏まえ,単に運動に必要な知識や技能を身に付けるだけではなく,

運動の行い方などの科学的知識を基に運動の技能を身に付けたり,また,運動の 技能を身に付けることで,その理解を一層深めたりするなど,知識と技能を関連 させて学習することが大切である。

 (2)は,思考力,判断力,表現力等の目標を示したものであり,運動について の自己の技能的な課題や学習を通した課題を発見し,合理的な解決に向けて思考 し判断する力を養うとともに,学習したことを基に,解決の仕方や気付いたこと 等について自己や仲間の考えたことを他者に伝える力を養うことを目指したもの である。

 運動についての自己の課題を発見しとは,各領域特有の特性や魅力に応じた自 己の課題を発見することを示している。第1学年及び第2学年では,提示された 動きなどのポイントと自己の動きを比較して課題を発見したり,仲間との関わり

第2章保健体育科の 目標及び内容

合いや健康・安全についての課題を発見したりすることなどができるようにする ことが大切である。

 合理的な解決に向けて思考し判断するとは,運動の行い方,組合せ方,仲間と の関わり方,安全上の留意点など,これまで学習した運動に関わる一般原則や運 動に伴う事故の防止等の科学的な知識や技能を,学習場面に適用したり,応用し たりすることを示している。そのため,第1学年及び第2学年では,基本的な知 識や技能を活用して,自己の課題に応じた取り組み方を工夫することができるよ うにすることが大切である。

 自己や仲間の考えたことを他者に伝えるとは,自己の課題について,思考し判 断したことを,言葉や文章及び動作などで表したり,仲間や教師などに理由を添 えて伝えたりすることを示している。

 (3)は,学びに向かう力,人間性等の育成に向けた運動についての態度の具体 的な目標を示したものであり,運動における競争や協働の経験を通して,公正,協 力,責任,共生などの意欲を育てるとともに,健康・安全に留意し,運動に積極 的に取り組み,自己の最善を尽くして運動をする態度を養うことを目指したもの である。

 運動における競争や協働の経験を通してとは,運動には,一定の条件の下で技 などを競い合うこと,仲間と協働して演技や表現をすること,作戦を立てて攻防 をすることなどがあるが,体育分野の学習が技能の獲得のみにとどまらず,社会 生活における望ましい態度や行動にもつながることを示している。

 公正に取り組む,互いに協力する,自己の役割を果たす,一人一人の違いを認 めようとするなどの意欲を育てるとは,第1学年及び第2学年の段階において,運 動における競争や協働の経験を通して,生徒に身に付けさせたい情意面の目標を 示したものである。例えば,小学校学習指導要領の第5学年及び第6学年の内容 の「陸上運動」の「(3)学びに向かう力,人間性等」では,「約束を守り助け合っ て運動をしたり」,「場や用具の安全に気を配ったりする」などのように,具体的 な遵守事項に対しての行動形成を主なねらいとしている。これに対して,中学校 第1学年及び第2学年の段階では,小学校における「約束を守る」などの具体的 な事項から,「自己の役割を果たす」などの概念的な事項へ指導内容が発展するこ と,社会性や規範意識に基づく運動への価値観の形成が求められることなどから,

行動の意義などのその態度を支える知識を理解させ,運動に積極的に取り組むこ とができるようにすることを重視している。

 各指導内容を説明すると次のとおりである。

 公正に取り組むとは,運動独自のルールや仲間を称賛するなどのマナーを守ろ

2      各分野の目標 及び内容  

うとする意思をもつことが大切であることを示している。

 互いに協力するとは,技能の向上や安全に学習を行うために,仲間の学習を援 助するなど仲間や組んだ相手と積極的に関わろうとする意思をもつことが大切で あることを示している。

 自己の役割を果たすとは,学習を円滑に進めるための準備や後片付けなどの分 担した役割に積極的に取り組もうとする意思をもつことが大切であることを示し ている。

 一人一人の違いを認めようとするとは,体力や技能,性別や障害の有無等によ る,動きや課題及び挑戦などに違いがあることに気付き,その違いを可能性とし て捉え,積極的に互いを認めようとする意思をもつことが大切であることを示し ている。

 健康・安全に留意しとは,運動による事故,けがなどを防止するためには,健 康・安全に対しては,意欲をもつだけでなく,自己の健康とともに,自己や仲間 の安全に対して,その行動化が求められることを示したものである。

 運動を行う際は,事故などが起こることもあるため,練習や試合を行うに当た っては,自己の健康状態や体力を十分に理解し,体育施設・用具等の安全を確か めるとともに,運動の難易度や自己の技能の程度を把握して行う必要がある。そ のためには,学習した健康・安全に関する知識を運動場面に当てはめ,場の安全 を確かめたり,安全な行動を選択できるようにしたりすることが大切であること を示している。

 自己の最善を尽くして運動をする態度を養うとは,体育理論や各領域で学習す る知識との関連を重視した運動の学習で,生徒が課題の解決に向けて,全力を出 して積極的に運動に取り組むという運動への愛好的な態度を育成することを目指 したものである。

 こうした自己の最善を尽くして運動をするなどの運動への愛好的な態度は,公 正に取り組む,互いに協力する,自己の役割を果たす,一人一人の違いを認めよ うとするなどの意欲や,健康・安全に留意する態度などの具体的な学習を通して 育成されるものである。

ドキュメント内 保健体育 (ページ 35-38)