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(3)研究者の国際交流

わる経費は、科学研究費補助金等による海外出張が18.6%、自弁によるものが44.1%を 占める。

国際会議における責任者あるいは組織者の任に当たった研究者は、1996〜99年度で延 べ515人を数え、本学が主催もしくは中心となって開催した国際シンポジウム等の増加を 考慮すれば、本学は教育研究機関として、国際交流と学術交流の場を提供していると言え る。国際共同研究・研究プロジェクトへの参加状況では、1996〜99年度で延べ503件と、

各分野で研究者間による国際的共同研究が進められている。本学研究者の国際会議におけ る研究成果の発表、さらには若手研究者の参加も確実に増加しているといえよう。

このように、本学の学術研究交流はますます盛んになる傾向である。しかし関連事項を 他大学のそれと比較してみると、海外渡航における増加率は同水準であるが、絶対数は必 ずしも多くはない。外国人研究者の受入数についても、増加率は他大学よりも高い一方で、

絶対数が少なく、外国人来訪者の数自体も他大学に比較して少ない上に、増える傾向も見 られない。また、これに関連する要素である科学研究補助金の採択状況を見ても、採択件 数は程々だが、採択率が低く、件数の伸張も必ずしも大きくはないと判断される。

アジアからの外国人研究者の受け入れは、交流協定に基づき増加している。ただし、地 域的に見ると、協定機関からの招聘を含めて、開発途上国からの受け入れが半数を占め、

著しい地域的偏りが認められる。他方、短期間の受入数は141件で、その目的は研究の打 ち合わせや学術講演などが多い。こちらはアジアだけでなく、欧米諸国との交流がうかが える。

このように、本学の研究者の相当数が国際会議における責任・組織者として国際会議の 企画・運営に貢献したが、参加者数や発表する演題数に比較して、国際会議等の責任者や 組織者としての参加数は限られている。世界各国との対等な条件による共同研究数も限定 されており、多様な国際共同研究事業の実施件数は3年間で124件と少ない。

一方、共同研究の対象国・地域として、環日本海側の諸地域を挙げている研究課題は、

1996年度以降、着実に増加し、国際共同研究件数の全体に占める割合も、1998年度には 4分の1に迫るに至っている。本学の国際共同研究で重要な地位を占めているといえよう。

外国人教員

金沢大学において初めて外国人教員が採用されたのは、1989(平成元)年4月である。

1982(昭和57)年9月、「国立又は公立の大学における外国人教員の任用等に関する特 別措置法」(以下、外国人教員任用法と略す)が公布、施行された。外国人教員任用法は、

「大学等における教育及び研究の進展を図るとともに、学術の国際交流の推進に資する」こ とを目的とし(一条)、大学における外国人教員の教授、助教授又は講師の就任を認めるも のであった。それによって国公立大学において外国人も国家公務員および地方公務員に就 任できる道が開かれたのである。

それを受けて金沢大学では、1987年6月、「外国人教員の任用に関する規程」(以下、

「任用規程」と略す)を作り、外国人の金沢大学への教授、助教 授及び講師(以下、外国人教員と略す)としての就任を可能に した。そして、金沢大学における外国人教員の任期については、

「外国人教員任用法」における「任用される(外国人―筆者注)

教員の任期については、大学管理機関の定めるところによる」

(第3項)に基づき次のように定めた。すなわち、外国人教員の 任用は「3年とし、再任を妨げない」(「任用規程」第2条第1 項)、「特別の事情があるものについては、評議会の議に基づき、

学長が任期を定めないで任用することができる」(同、第2条第 2項)、「特別の事情があるものについては、評議会の議に基づ き、学長が別に任期を定めて任用することができる」(同、第2 条第3項)ものとした(『金沢大学規程集』)。それに基づいて、

金沢大学における外国人教員任用形態は、任期を定めたものと 任期を定めないものとに分かれている。

1989年4月から1999年度末まで外国人教員で金沢大学に在 職していた(いる)者は延べ69名である(図9−1)。それを 国籍別に見ると、中国(中華民国を含む)が17名で一番多く、

続いて韓国9名・ロシア9名・インド7名・ポーランド5名・アメリカ4名などとなって いる。そして、国は18カ国に上る(表9−6)。地理的に日本に近い国である中国・韓 国・ロシアから外国人教員が多く赴任していた(いる)ことがわかる。

2000(平成12)年5月1日現在、金沢大学における外国人教員数は18名である。全国 1989 

(平成元) 

1990 91 92 93 94 95 96 97 98 99

(人) 

(年) 

2

4 4 8

3 6

5

11 10

8

0 5 10 15 20

8 

図9−1 外国人教員の受け入れ数の推移

国    籍 教員のべ数(名)

中国(中華民国1名を含む) 17

韓     国 9

9

7

ポ ー ラ ン ド 5

4

2

3

ブ ル ガ リ ア 2 ス ロ バ キ ア 2

2

オ ー ス ト ラ リ ア 1 ハ ン ガ リ ー 1

1

1

ス リ ラ ン カ 1

1

1

合     計 69 表9−6 外国人教員の国籍

国立大学の外国人教員数が656名(1999年度)であることを考えると、金沢大学の外国人 教員の任用は進展しているといえる。

外国人教員のうち任期が定められていない者は、2000年10月現在6名である。国籍別 に見ると、韓国4名・中華民国1名・バングラデシュー1名である。学部別には、法学部 2名・経済学部2名・医学部1名・留学生センター1名となっている。

金沢大学において任期を定めないで外国人が初めて採用されたのは、1992年4月、当 時の教養部においてである。韓国籍の外国人2名が当時の教養部に助教授として採用され たが、任期を定めないで日本人と同等な立場で採用された外国人が当時全国の国公立大学 においては5〜6名程度であったことを考えると、金沢大学はかなり早い時期から外国人 教員をパーマネントとして受け入れたことになる。

しかし、全国でもかなり早い時期に外国人を日本人と同等の立場で採用しながらその後 それほど人数は増えていない。今後の課題である。

なお、外国人教員ではないが外国人研究員として、がん研究所に来ていた人は11名であ った。また、外国人特別招聘教授3名と、日英共同によるイギリスの大学教授1名が本学 で研究教育を行った。

JAICA(国際協力事業団)に関する事業

わが国は、1991(平成3)年から世界第一位のODA(政府開発援助)供与国となって いる。JAICAはODAの技術開発を一元的に実施する特殊法人として、持続可能な開発の担 い手を育てる研修員の受け入れや、プロジェクト方式技術協力事業・専門家派遣事業等の 技術的協力の重要な柱となる事業を実施している。

これまで、わが国の開発途上国に対する協力は「経済協力」の名が示すように、経済的 に重要な社会基盤の整備を重視する傾向が強かったが、「政府開発援助に関する中期政策」

においては、「基礎教育」や「人材育成」が重点事項とされ、21世紀の経済協力の在り方 を規定する要素として、「人間中心の開発」という考えが大勢を占めるに至っている。

本学は、専門家派遣事業に小西健二教授(理学部)が参加して以降、現在までに6部局

(文学部・理学部・医学部医学科および保健学科・工学部・自然科学研究科)の研究者13 名がアジア(タイ・インドネシア・中国・ミャンマー)、アフリカ(ケニア・ウガンダ・エ チオピア)、南米(グアテマラ)、中近東(トルコ)に参加している。

○アジア地域

タイ 大谷 吉生(工学部) 2回 タマサート大学工学部拡充計画 長尾 年恭(理学部) 熱流量と堆積盆評価セミナー インドネシア 中村 浩二(理学部) 2回 生物多様性保全計画

金岡 千嘉男(工学部) 環境保全技術 中国 大山 卓昭(医学部医学科) ポリオ対策 ミャンマー 大森 絹子(医学部保健学科)

○アフリカ地域

ケニア 市村  宏(医学部医学科) 3回 感染症研究対策 山川 清孝(医学部医学科) 細菌学

木村 和子(自然科学研究科) 医療技術教育強化プロジェクト ウガンダ 荒井 章司(理学部) 地質学

エチオピア 鹿野 勝彦(文学部) 地下水開発水供給訓練計画

○南米地域 

グアテマラ 近藤 力王至(医学部医学科) 熱帯病研究

○中近東地域

トルコ 大山 卓昭(医学部医学科) 流入イラク難民救済

大学が教育協力に参加することは、大学自身の国際化を推進し、その経験を通して視野 を広め、教授能力をより高めてゆくことができるものと考えられ、こうした研究者の取り 組みに対しては学内で積極的に評価する姿勢が望まれる。1992年10月には北陸支部が設 置され、現在に至っており、本学との連携による多様な教育交流が期待される。