2006年9月から2008年2月までの期間に、当院にて PCPS を必要とした AMI の7症例につ いて考察する。 患者の平均年齢は45〜83歳(67±12歳)、在院日数は2〜52日(18±18日)、
PCPS 留置期間は2〜14日(5.9日〜5.0日)であった。病変は1VD が1例、2VD が2例、
LMT+2VD が2例、3VD が2例、また最大 CK は8738±6621IU/L、最大 CKMB は618±
392IU/L であった。 7例とも死亡退院と残念な結果であった。3例は PCPS からの離脱も 不可能であった。直接死因の内訳は5例がポンプ失調による心不全、1例は心臓破裂、1例 は発症時心室細動に陥り転倒したことによる外傷性くも膜下出血であった。各々の症例を振 り返ってその問題点などを考察する。
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3‐2
○宇佐美雅也
1)、佐藤 洋
1)、坂田 泰彦
1)、中谷 大作
1)、清水 政彦
1)、 砂 真一郎
1)、堀 正二
2)、松宮 護郎
3)、澤 芳樹
3)大阪大学大学院 医学系研究科 循環器内科学
1)、大阪府立成人病センタ ー
2)、大阪大学大学院 医学系研究科 心臓血管外科学
3)左主幹部が責任病変である急性心筋梗塞に対する PCI と CABG の治療成 績
経皮的冠動脈インターベンション(PCI)治療の進歩に伴い、従来冠動脈バイパス術(CABG)
の適応とされてきた冠動脈左主幹部(LMT)病変に対しても PCI の適応が拡大されつつある。
しかし、LMT を責任病変とする急性心筋梗塞症例に対する PCI と CABG の治療成績を比較 した知見は少ない。我々は1998年から2006年に大阪冠症候群研究会(OACIS)に登録された 7323症例から、 LMT の高度狭窄病変(>90%)が梗塞責任部位と考えられた161例を抽出し、
PCI および CABG の施行頻度と予後に関する検討を行った。これら LMT 梗塞に対しては全 例において再灌流治療が施行され、内訳は血栓溶解療法16例、緊急 PCI122例、緊急 CABG 25例であった。PCI 後に CABG を施行した2症例を除いた PCI 群120例と、この2例を含む CABG 群25例を比較すると、PCI 群ではショックなど重症例を数多く含んでおり、院内死亡 率、1年死亡率、全経過死亡率はいずれも、PCI 群で高かったが(53.3%vs20.0%p=0.004,57.5%
vs24.0%p=0.004,60.8%vs32.0%p=0.014)、来院時 Killip 分類を含めた患者背景で補正し たところ、全経過死亡に関しては PCI 群に対する CABG 群のハザード比は0.91(95%CI0.35
−2.34,p=0.84)、死亡と再梗塞、心不全を合わせた主要心事故に関してもハザード比は0.65
(95%CI0.26−1.64,p=0.36)と両群で治療成績に差は認めなかった。血栓溶解療法施行の 16例の1年死亡率は62.5%、全経過死亡率は100%であった。以上より、LMT 梗塞症例に対 する PCI と CABG の治療成績には統計上は差を認めず、状況に応じて外科と内科双方が協調 して最適な選択を行なうべきと考えられる。
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3‐3
○浅野 冬樹、前澤 秀之、森 敬善、本田 雄気、太田 圭、
河内 恵介、若月 大輔、若林 公平、清水 信行、佐藤 督忠、
鈴木 洋、嶽山 陽一
昭和大学藤が丘病院 循環器内科
AMI に対する hANP と超短時間作用型 β1遮断薬ランジオロールの併 用の有効性
背景と目的
急性心不全に hANP は有効で、AMI や慢性の心不全にβブロッカーが有効であるが、急性 心不全を呈している状態の AMI に対し積極的にβブロッカー使用することは困難である。
今回急性心不全を伴い頻拍を呈している AMI に対し、急性期から hANP に加えて、超短時 間型でβ1選択性の高いβブロッカーであるランジオロールを急性期から積極的に併用し、h
ANP のみで治療した群と比較検討した。対象は2007年に緊急 PCI を施行した AMI157名の うち Killip II,III の心不全を伴った73例で、全例に hANP を0.025γを使用。HANP 単独治 療群は、来院時の心拍数が100以上の群(>100H 群25例)と以下の群(<100H 群28例)に分 類し、>100H 群は、ランジオロールを0.5γから併用した群(HB 群:20例)の2群に分類し 合計3群で比較検討した。検討項目は、血圧、心拍数、SG データ、H−1までの時間、急性 期合併症(死亡、心破裂)、BNP、EF で、慢性期の BNP、EF、MACE(1カ月以降の死亡、
心不全、脳梗塞)を検討した。
結果:全群再灌流は平均 onset5.8時間で行われ、平均ピーク CK は3826IU/l。HB 群のランジ オロールは、平均 onset8.7時間で開始され、平均使用量は2.1γ。PAF の合併率は30%。患者 背景に差はなく、血圧変動、SG データも有意差は認めなかったが、HB 群は有意に H−1ま での時間が平均21時間と>100H 群の48時間、<100H 群の36時間比較して有意に短縮してい た。急性期合併症は HB 群で12%、H 群(>100H 群と<100H 群の合計)は28%と有意に高率 であった。100bpm 以上では、>100H 群は急性期合併症が38%で HB 群の10%と比較し有意 に高率で、心破裂、Sepsis、VT が有意に発症していた。H 群内の差異は H−1時間以外認め なかった。また BNP の改善度は H 群47%、HB 群で48%と両群とも有意に改善していたが、
EF は HB 群で38%から43%と有意に改善していた。MACE は H 群で29%、HB 群で2%と有 意に低率であり、その理由として HB 群は急性期合併症が低率で心不全が早期に改善すること が慢性期 EF の改善や MACE 抑制に関与していると考えられた。
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結論:心不全と頻脈を伴う AMI に対し hANP に加え、急性期のランジオロールの使用は、
H−1までの時間を短縮し、急性期合併症を抑制し、慢性期 EF の改善、MACE の発生を抑 制していた。
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3‐4
○宮本 昌一
1)、猪子 森明
1)、永井 邦彦
1)、春名 徹也
1)、中根 英策
1)、 安部 朋美
1)、佐々木健一
1)、福田 旭伸
1)、伊藤 秀裕
1)、中島 準仁
1)、 田中 希
1)、上原 京勲
1)、植山 浩二
1)、野原 隆司
1)、藤田 正俊
2)(財)田附興風会医学研究所北野病院心臓センター
1)、京都大学大学院医 学研究科人間健康科学系専攻医療検査展開学講座
2)当院での急性心筋梗塞発症24時間以内の再灌流後からの β 遮断薬内服は 生命予後を改善する
《背景》本邦の日本循環器病学会ガイドラインでは急性心筋梗塞後のβ遮断薬治療が二次予防 の観点からも推奨されている。著者らは急性心筋梗塞発症24時間以内に再灌流が得られれば 1か月後の左心機能は改善すると以前に報告したが再灌流だけでは生命予後までは改善しな い。(Miyamoto S,et al.Jpn Circ J2001;65:389−394)発症後24時間以内に TIMI3以上の 再灌流の得られた急性心筋梗塞患者において、β遮断薬内服を追加した場合の予後への影響は 十分には検討されていない。《目的》本研究の目的は発症後24時間以内に TIMI3以上の再灌 流の得られた急性心筋梗塞患者において、β遮断薬内服追加の有無で心筋梗塞後の予後にどの ような影響を与えるか調べることである。《方法》北野病院 CCU における発症後24時間以内 に自然再灌流あるいは末梢静脈からの tPA 静注、経皮的冠動脈インターベーション(PCI)
により TIMI3の再灌流が得られた患者連続94名(2002年4月〜2007年9月)が対象で、再灌 流後からβ遮断薬内服の有無でβ遮断薬内服群(βGroup)及びβ遮断薬内服しない群(No
βGroup)の2群に分類し検討した(研究は後ろ向き研究)。《結果》1)βGroup において、
NoβGroup に比べて高血圧の頻度が有意に高かった。2)両群間において、高血圧以外の患 者背景や血管造影所見に差を認めなかった。3)βGroup において NoβGroup に比べて再梗 塞を含む心血管イベントによる再入院が有意に少なかった。4)βGroup において NoβGroup に比べて総死亡が有意に少なかった。《結語》発症後24時間以内に TIMI3以上の再灌流の得 られた急性心筋梗塞患者において、β遮断薬内服追加により心筋梗塞後の総死亡や再梗塞を含 む心血管イベントの有意な減少が認められた。
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3‐5
○井上 耕一、伊藤 浩、岩倉 克臣、黒飛 俊哉、木村 竜介、
永井 宏幸、豊島 優子、伊東 範尚、藤井 謙司 桜橋渡辺病院 心臓・血管センター
本邦における ACC/AHA/ESC2006の ICD 植込みガイドラインを満たす 心筋梗塞患者の ICD 作動状況
背景;心筋梗塞を基礎疾患とする低心機能患者は心臓突然死が多いことが知られているが、
我々は過去に、本邦の心筋梗塞患者の突然死が欧米と比して比較的少ないことを報告した。
今回、本邦における ACC/AHA/ESC2006の ICD 植込みガイドラインを満たす心筋梗塞患者 の ICD 作動状況を調べた。方法と結果;対象は上記ガイドラインを満たす ICD が植込まれた 心筋梗塞患者連続45例で、一次予防が26例(58%)、二次予防が19例(42%)である。平均 LVEF は34±9%で、有症候性心不全を33例に認めた。平均14ヶ月の追跡期間中に ICD が適正作動 した症例は12例(27%)であった。二次予防例では、一次予防例に比べて、LVEF は良い傾 向にあったが(37±11vs.32±8%,p=.08)、作動率は有意に高かった(47vs.12%,p=0.007)。 また、適正作動した症例では、植え込み時の血清クレアチニン値(作動あり vs.なし,2.9±
3.8vs.1.7±1.6mg/dl,p=0.01)、および BNP 値が高値であった(568±667vs.385±262pg /dl,p=0.02)。適正作動例のうち、AntiTachy Pacing(ATP)のみで頻拍が停止した症例 は8例(67%)で、Cardioversion(CV)にまで至った症例は、4症(33%)のみであった。
CV に至ったのは全例、二次予防の症例であった。結語;ICD の適正作動は、欧米ガイドライ ンに基づいて植えられた一次予防の患者では比較的少なく、二次予防の症例、腎機能の悪い 症例、BNP の高い症例で多かった。これらの所見はリスク階層化に役立つと考えられる。ま た、多くの症例で ATP が有効であり、それを積極的に用いることの妥当性が示唆された。
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