• 検索結果がありません。

高齢がん患者への社会的支援にはどんなものがあるのか

ドキュメント内 高齢者がん医療 Q&A 総論 (ページ 187-200)

第 8 章 高齢がん患者の社会・経済的サポートケア

2. 高齢がん患者への社会的支援にはどんなものがあるのか

179

180

1)

文献 1) 厚生労働省. 我が国の医療保険について.

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken01/i ndex.html (閲覧日2018年5月19日)

181

Q2 医療費の支払いが苦しいときは、治療を断念しなければならないか?

【 解説 】 自己負担額、高額療養制度

医療費の一部負担(自己負担)割合は、以下のとおりとなっている。

・75歳以上では、1割(現役並み所得者は3割)

・70歳から74歳まででは、2割※(現役並み所得者は3割)

・70歳未満では3割

・6歳(義務教育就学前)未満では2割。

※平成26(2014)年4月以降70歳となる者が対象となり、段階的に2割になっている。

高額療養費制度とは、医療費の自己負担が過重にならないよう、医療機関の窓口で医療費の自己 負担分を支払った後に、月ごとに設定された自己負担限度額を超える分について、保険者から償還 される制度である。

現役並み所得者で70 歳以上75歳未満で標準報酬月額28 万円以上(現役並み、3 割負担)の場 合、仮に医療費の総額が100万円となった場合、3割負担では30万円となるが、自己負担限度額が 年齢と所得によって設定され(この例の場合は80,100円(1,000,000-267,000)×1%=87,430円と なり、30万円から差し引いた212,570円が高額療養費として支給される。

1 回分の窓口負担では上限を超えない場合でも、複数の受診や同じ医療保険に加入している同じ 世帯で医療費が発生している場合に自己負担分を合算し、一定額を超えた場合に超えた分が高額療 養費として支給される制度(世帯合算)や、過去12か月以内に3回以上上限額に達した場合には4 回目以降の自己負担上限額が軽減する制度がある。

また、事前に保険者に「限度額適用認定申請書」を提出し、健康保険制度額適用認定証の交付を受 けることで、いったん多く払ってその後払い戻されるのではなく、医療機関の窓口での支払いを自 己負担限度額までにとどめることができる。

高額介護合算療養費制度は、世帯内の同一の医療保険の加入者について、年間の医療保険と介護 保険の自己負担額を合計し、基準額を超えた場合にその超えた金額が支給される制度である。

A2 断念する必要はない。医療機関や市町村の福祉課、医療保険などの相談窓口で相談できる。

182

文献 1) 厚生労働省. 我が国の医療保険について.

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken01/i ndex.html(2018年5月19日)

2) 国立がん研究センターがん対策情報センター. 患者必携 がんになったら手にとるガイド. 治療にかかる費用について

https://ganjoho.jp/data/public/qa_links/hikkei/hikkei_02/files_01/23_096-100.pdf

(2020年2月18日)

183

(2)介護保険

Q1 介護保険を利用できるか?

A1 できる。必要に応じて訪問、通所、短期滞在、居住、入所などさまざまな形態での介護保険 サービスを受けることができる。

【 解説 】 1. 介護保険の仕組みの概要

介護保険は、介護サービスに対して給付される保険である。人口の高齢化に伴い、それまでの給 付型の老人福祉・老人医療制度や社会的な理由での長期入院が課題となっていることなどの背景か ら、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして介護保険法に基づき平成12(2000)年より施 行された。加齢に伴って生じる心身の変化に起因する疾病などによって「要介護状態」となり、介 護、看護や療養上の管理や医療を要する者について、尊厳を保持しつつ、能力に応じた自立した日 常生活を営むことができるよう保険制度が設けられた。要介護者本人や家族が必要とする介護サー ビスを介護事業者から受けることができる。

保険者は市町村および特別区であるが、広域連合が運営していることもある。介護給付費用の財 源は公費(国、都道府県、市町村)と介護保険料(高齢者と若年者)でまかなわれている。被保険者 は65歳以上の場合(第1号被保険者)と、40歳以上65歳未満の医療保険加入者(第2号被保険 者)である。65歳以上の場合は原因を問わず要支援・要介護状態となったときに、40から64歳の 場合はがんや関節リウマチなどによる病気が原因で要支援・要介護状態になった場合に、介護保険 サービスを受けることができる。

2. 介護サービスと自己負担

介護保険サービスの体系としては、在宅や施設など、利用者のニーズに応じて、「訪問系サービス

(訪問介護、訪問看護、訪問入浴介護、居宅介護支援など)」「通所系サービス(通所介護、通所リ ハビリテーションなど)」「短期滞在系サービス(短期入所生活介護など)」「居住系サービス(特 定施設入居者生活介護、認知症共同生活介護など)」「入所系サービス(介護福祉老人福祉施設、介 護老人保健施設など)」が提供される。サービスに応じた価格や利用者負担額が定められ、介護認定 に基づいて支給される費用(支給限度額)が設定されている。上限を超えてサービスを利用する場 合は、上限を超える分の金額が自己負担になる。介護サービスを利用する場合、サービスの費用の9 割が介護保険から給付され、1割が自己負担となる。一定以上の所得がある場合には 2 割負担とな っている。

・高額(医療合算)介護サービス費

所得区分に応じて介護サービスの自己負担の合計額の上限が設定されており、超えた場合には超 えた金額が給付される。世帯内の同一の医療保険の加入者について、年間の医療保険と介護保険の 自己負担額を合計し、基準額を超えた場合にその超えた金額が支給される制度である。

184 3. 介護保険に関する最近の動き

要介護認定(要支援認定を含む)は、介護の必要量を全国一律の基準に基づいて客観的に判定さ れる。一次判定(市町村の認定調査員による認定調査と主治医意見書に基づくコンピュータ判定)

と二次判定(保健・医療・福祉の専門家からなる介護認定審査会による審査判定)の結果に基づき、

市町村が申請者について要介護認定を行う。

介護保険制度は制度創設から被保険者が一貫して増加の一途をたどっており、制度開設時(2000 年)と比べて、要介護(要支援)認定者は約3 倍(218 万人→608 万人)、介護サービス利用者は 3.9倍(97 万人→382 万人)となっている。居宅サービスの伸びが著しく、住み慣れた家での生活 を維持しながら生活者としての高齢者をどのように支えていくかが鍵といえる。2005年には介護予 防を重視した制度改革がなされ、2011 年には地域包括ケアの推進、2014 年には医療法と介護保険 法の同時改正によって地域包括ケアシステムの整備に向けた取り組みが推進されつつある。地域共 生社会の実現に向けて、市町村が地域福祉計画を策定し、地域住民が主体的に、多様で複合的な地 域生活課題について、住民や関係者による現状把握と関係者の連携による解決を目指す取り組みが 重視されてきている。

市区町村は地域包括支援センターを設置し、ケアマネジャー、保健士、社会福祉士などのさまざ まな職員が、専門知識や技能をもとに、地域の高齢者や要介護・支援者、家族などへの、介護予防・

生活支援を含めた相談や総合的な支援を行っている。

文献 1) 厚生労働省. 介護保険制度の概要.

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaiyo/ind ex.html(2018年5月19日)

2) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング. 地域包括ケア研究会 報告書 ―2040年に向けた挑 戦―. https://www.murc.jp/sp/1509/houkatsu/houkatsu_01/h28_01.pdf

185 付録:主治医意見書の書き方

介護保険の被保険者が介護サービスを利用するためには、介護の必要性の有無やその程度などにつ いての認定(要介護認定・要支援認定)を保険者である市町村から受ける必要がある。主治医意見書 は、要介護認定・要支援認定にあたり、主治医の意見を市町村等に置かれる保健・医療・福祉の学識 経験者から構成される介護認定審査会に提出されるものである。被保険者からの要介護認定の申請に 基づき、市町村は申請者の「身体上又は精神上の障害(生活機能低下)の原因である疾病又は負傷の 状況等」について、主治医から意見を求めることとされており、その書式は全国で一律のものが使用 されている。要介護認定の結果によって、申請者が介護保険によるサービスを利用できるかどうか、

また利用できる場合には在宅サービスの上限や施設に支払われる報酬が決定され、介護サービス計画 作成の際にも活用されることになるため、適正でわかりやすい意見書の記載が求められる。

市町村や都道府県において医師会などで主治医意見書記入のための講習会が行われており、最近 の介護保険をめぐる状況や、要介護認定・要支援認定の現状、主治医意見書記入のポイントなどが 実例とともに提示される。主治医意見書を記入する役割のある医師には参加が望まれる。

主治医意見書作成のポイントをいくつか提示する。

・記載は読みやすい文字で、略語や高度に専門的や用語を用いないで平易な言葉を使用する

・治療経過や治療内容だけでなく、病状の経過や今後の見通し、想定されるリスクなど、介護サー ビス計画作成の参考になる情報を記載する

・生活者の視点での支障や、本人・家族の気持ちがわかる記載も参考になる

・診断名

現在罹患している傷病の診断名を記載する。65歳以上の第1号被保険者については、生活機能低 下の直接の原因となっている傷病名を、40歳以上65歳未満の第2号被保険者については、介護 を必要とさせている生活機能低下などの直接の原因となっている特定疾患病名(がん、間接リウ マチ、筋萎縮性側索硬化症などの16疾病のいずれか)を記入する。なお、従来「末期がん」の記 載が必要とされていたが、要介護認定において記入しづらく利用が進まない指摘がなされたこと や、心身の状況に応じて、迅速に介護サービスの提供が必要となる場合があることから、「末期」

の記載が削除され、特定疾患病名としては、「がん(医師が一般に認められている医学的知見に 基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)」と変更された。(2019年2月 19日)

・経過および投薬内容を含む治療内容

生活機能低下の直接の原因となっている傷病または特定疾病の経過や投薬内容を含む治療内容に ついての要点を簡潔に記入する。生活機能の背景として医療・療養面の問題点だけでなく、転倒 や入院などを契機とした生活の変化、外出機会の減少、配偶者との死別や転居などの社会的背景 の変化、意識障害や認知機能の低下などがあれば併せて記載する。

・日常生活の自立度

障害高齢者の日常生活自立度および認知症高齢者の日常生活自立度について、判定基準を参考に 記載する。

ドキュメント内 高齢者がん医療 Q&A 総論 (ページ 187-200)