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音更川中下流域(国管理区間)における被災状況

第 1 章 序 論

2.3 音更川の河道変動と側岸侵食特性に関する既往研究

2.4.2 音更川中下流域(国管理区間)における被災状況

図2-12に,2016年8月洪水にて音更川の国管理区間(KP0.0~KP30.0)で被災した箇所を示す。

今般の出水では,音更川下流域のKP21.2付近で4波目の出水時に堤防の破堤が確認された。また,

音更川の随所で低水護岸の流失や破損,高水敷の浸食が確認された。流路拡幅と側岸侵食のタイミ ングに関しては,2011年9月出水と同じく流量減水期において発達し,破堤に至った状況が現地で

図2-10 2016年8月降雨前後におけるAMEDAS(糠平温泉郷,士幌)

により観測された降雨強度および累積降雨量

図2-11 2016年8月降雨前後における音更川(士幌観測所)の

水位・流量ハイドログラフ(北海道開発局提供,暫定値)

確認されている。

図 2-13 より出水前後の写真を比較すると,破堤箇所において流路が大きく湾曲していることが 分かる。現地データによると,破堤区間における最終的な側方移動距離は約170m にも及んだ。こ れは,既往出水に比べ,2016年8月洪水の出水継続時間は非常に長期に及んだためと考えられてい

29)30)。川村ら29)30) は,音更川の国管理区間における出水前後の低水路と高水敷の河床高の変化を

比較し,土砂の堆積と侵食傾向と流路の側方移動についての考察を行い,全体的に元低水路部では 堆積傾向,高水敷部で侵食傾向が確認されることを報告している(図 2-14)。この結果より,元低 水路部には高水敷から流出した大量の土砂が堆積していること,ならびに既往報告22)23) が指摘する

図2-12 2016年8月洪水による河岸侵食(侵食幅20m以上)の発生箇所(開発局提供28)

図2-13 2016年8月洪水前後の破堤地点(KP21.2)の様子(開発局提供)

ように低水路が埋没することで高水敷へ向かう流れが形成されたことが考えられ,今般の出水では 流量低下時に更なる側岸侵食が進むことで堤防決壊に至ったものと推察されている。ただし,川村

らの報告29)30) でも指摘されているが,流量低下時に流路の側方移動が発達しやすいメカニズムが存

在する(図2-15)としても,今後の将来降雨予測のように流量規模が大きい場ほど流体力が大きく,

かつ河道内の土砂の移動量も相対的に大きくなることを踏まえると,必ずしも流量減少期だけに危 険性があるわけではないことに留意するべきである。

続いて,2016年8月洪水における音更川中下流域(KP0.0~KP30.0)で確認された河岸侵食幅29)30) を図2-16に示す。これは,上述した2011年9月洪水における検討6)と同様に侵食箇所の横断方向

図2-14 2016年8月洪水における音更川中下流域(国管理区間,KP0.0~KP30.0)における 低水路と高水敷の堆積・侵食(川村ら29)30)より引用)

図2-15 数値計算を用いた再現計算による音更川KP21.2付近(2016年8月洪水で破堤した箇所)の

流量減少期における堆積と侵食箇所(川村ら29), 30)より引用)

の最大幅を侵食幅と定義し,音更川の区間において出水前後の航空写真の河岸線を重ね合わせるこ とで蛇行振幅ごとの侵食幅を求めたものである。図2-17と2011年9月洪水(図2-6)と比べると,

2016年8月洪水では100~200m 規模の侵食が多数で発生しており,大規模な側方侵食は流量その ものが大きいほど発生することが分かる。

音更川の河岸侵食対策では,既往の洪水履歴を背景とし,堤防防護の観点から必要な高水敷幅を 80mと設定している31)。しかし,2016年8月洪水時に確認された側岸侵食幅(図2-16)は堤防決 壊箇所のみならずそれ以外の複数個所においても80mを超えており,今後,将来降雨を考慮した対 策を考えるにあたり,音更川の堤防防御の考え方の見直し・検討が必要となる。