2 海外における主な実用化事例
2.2 韓国のK ‑Cash カード( 全分野利用の汎用型カード)
(1) K‑Cash の概要
K-Cashとはコンビ型ICカードをベースとした汎用型プリペイドカード(電子マネ
ーカード)であり、交通機関はもとより電話、自動販売機、一般ショッピング、ネッ ト決済、行政サービス等に利用できるオールマイティカードを目標としている。非接 触ICカード部分はプリペイド決済、接触ICカード部分はクレジットカードもしく はデビットカード等に利用できる。
(2) K‑Cash の特徴
① 全国的互換性と安全性を確保
クリアリングセンターとしては金融決済院が中核になり、全国の銀行、クレジッ トカード会社とネットワーク化され、金融決済ネットワークの全国一元化を達成し ている。
② セキュリティと信頼性
韓国政府が認定したセキュリティシステム*SEEDを使用し、不正防止、ハッカー 対策等万全を期している。
*SEEDとは暗号化algorithmで内容は非公開
③ 多機能型コンビカードを使用
K-Cashは電子マネー機能とともに、クレジットやデビットの支払機能、ID機能、
公認認証書のストック等が追加できる多機能カードである。非接触チップはバス、
地下鉄の交通手段、接触チップは一般加盟店でのショッピング支払い、インターネ ットショッピングモールでの支払いに利用できる。
④ 最大の対顧客接点の保有と誰でもが銀行口座を持てばカードが持てること
K-Cash は韓国内の金融機関の本支店で発行され、21の各銀行のCD/ATM端
末はもちろんインターネット、モバイル、各加盟店端末等、多様な媒体を通じて価 値補充(電子マネーのチャージ)が出来、支払手段として利用できる。リアル店舗 での端末インフラ整備はネットワーク事業社(VAN会社)、銀行、クレジットカ ード会社が推進するK-Cashの利用分野を以下の図に示す。
⑤ 既存交通カード(プサンのハナロ、ソウルの交通カード)との互換性を保つため、
タイプA、タイプB共用端末の開発を行う。
K‑K‑Cash Cash 活用分野活用分野
交通部門 利用
公衆電話 利用 Shopping center 利用
病院,薬局 利用
自販機 利用
インターネット決済
各種の身分 確認 地方税 納付 及び
公共書類 手数料納付
商店
図 2-1 K-Cash の活用分野
(3) K‑Cash カードの概略仕様
使用するICカードはコンビカードであるが、接触型ICカード部分はISO7816に 準拠、非接触ICカード部分はISO14443 に準拠し、信号インタフェースはタイプB を使用する。
(4) K‑Cash システム構成
K-Cashのシステムは金融決済院が端末、カード、アプリケーションシステム等の認
定機関であると同時にクリアリングセンターの中核機関としての機能を保有している。
カード発行は参加する銀行、カード会社であり、加盟店管理会社も同様である。特徴 的なことは金融決済院のセンターに既存の大手決済VAN会社のセンターが接続され ていることである。