• 検索結果がありません。

マスターカード・インタナショナルのモバイルプリペイド決済方式

2 海外における主な実用化事例

2.5 マスターカード・インタナショナルのモバイルプリペイド決済方式

携帯電話に格納するクレジットカード情報を作成。

偽造防止の観点から一定のアルゴリズムによる暗号化が施される。

(携帯電話購入時に最初からデータを格納する方法と後から通信を利用して ダウンロードする方法がある)

c) Harex社

クレジットカード情報のダウンロード中継。

クレジットカード使用停止登録の中継。

(携帯電話キャリアが 1 社であればカード会社とキャリア間で対応が可能で あるが、キャリアは複数存在するためHarex社のような存在が必要になる。) d) 加盟店・カード回収会社(アクワイアラ)

クレジットカードの既存インフラ(磁気対応)に対応デバイスを追加する。

(加盟店・端末・ネットワークへのインパクトは比較的少ない)

(4) まとめ

韓国では携帯電話の普及率が高いという点と、クレジットカード一体型の後払い型 交通系ICカードの急激な普及に見られるように、国家政策の後押しもあり利用者側 のクレジット利用範囲の拡大ニーズが高いことからみて、クレジットの小額決済分野 への利用範囲拡大につながるものであれば利用者から受け入れられる可能性は土壌的 にも十分あるものと考えられる。

一般的な加盟店利用ではプラスチックカードのクレジットと比較して特段利便性が 向上するものではなく、クレジットの取扱いが大幅に携帯電話にシフトするようなこ とは考えにくいが、プラスチックカードのクレジットの補完的な利用として、また今 までクレジット取扱いが難しかったが小額利用分野(有料トンネルの課金、自動販売 機など)において、どの程度利用者からの支持が得られるのか、城南市のプロジェク トの結果がどのようなものになるのか注目される。

(1) 事業概要

利用箇所   フィリピン

パートナー  Smart Communication Inc. (http://www.smart.com.ph) 利用者数   未公開

概要   プリペイド型MasterCardカードの発行・運用

(2) SMART Money MasterCard Electronic のシステム 

SMART Money MasterCard Electronicとは、リロード可能なプリペイドカードを

さしており、携帯電話からのリロード、加盟店先でのリロードが可能になっている。

携帯電話からはSMART’s Mobile Banking Service(MBS)という仕組みがあり、

カードホルダーの個人口座よりSMART Money MasterCard Electronicへリロードす ることにより、必ず利用できる額をカード内に保持することができる。

(3) SMART Money MasterCard Electronic の位置付け 

SMART Money MasterCard Electronicはクレジットカード、デビットカード両方

の特性を活かした仕組みでありつつ、電子財布の役割を担っている。

また、この仕組みで特筆すべき点はカードホルダーを選ばないカードであることで ある。通常クレジットカードの発行においては厳しい審査があり、中にはクレジット カードをもてない消費者もいる。また、未成年においてはほとんどの国でカードが持 てない。クレジットカードはやはり信用取引であり、責任及び債権担保が取れる場合 に発行されるのが常である。

このカードでは、銀行口座からリロードするため、カードイシュアにとって債権の 確保をする必要がない。言い換えれば、事前に承認されている金額を利用するが故に イシュアはリスクなしで運営することができる。

フィリピン市場は電子決済が非常に少なく、圧倒的な現金市場である。また、銀行 口座を持っている人口は25%ほどであるのに対して、18%が口座を持っておらず、残

りの57%が未成年である。しかし口座保有者の個人年間消費額合計が1,000億フィリ

ピンペソに対して残りの75%の人口の個人年間消費額合計は1.4兆フィリピンペソに なる。すなわち、銀行口座・クレジットカードをもてない消費者をターゲットにする ことは必須であるといえる。

(4) SMART Money MasterCard Electronic のメリット 

SMART Money MasterCard Electronicの有効性は、世界2,900万のMasterCard

加盟店 (但しオンライン決済対応店のみ)にて利用できるところである。通常、プリペ イドカードのシステムを導入する場合、カードのみならずリーダ・ライタ機器に膨大 な イ ン フ ラ 整 備 コ ス ト と 手 間 が か か っ て し ま う 。 こ の シ ス テ ム で は 、 既 存 の

MasterCard 加盟店にて利用ができるため、リーダ・ライタ機器を新たに導入する必

要がない。

(5) SMART Money MasterCard Electronic の利用箇所 

現在、フィリピン国内おおよそ2万5千店舗のMasterCard加盟店で利用が可能で あり、また、MasterCard の加盟店ではなくてもSMART の加盟店であるファースト フード店、コンビニエンス・ストア、映画館などでも利用できる。

(6) SMART Money MasterCard Electronic その他の機能  1. 携帯電話を利用したM-Commerce

2. P2Pの資金移動が可能

3. エアタイム(プリペイド携帯電話)の補充 4. 携帯電話でのカード残額照会

5. ATMからの出金

6. 利用・リロード時にポイント獲得

このように携帯電話を利用したプリペイド決済もさることながら、他メディアを活 用してのカード媒体でのプリペイド決済を実現している。この方式であれば、コスト 削減、事前承認されたリスクフリーな決済、そして何よりもカードにて支払いを行う というカードホルダーの慣習を作り上げることができる。