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あるべきモバイルプリペイド決済の方向性についての考察

4 モバイルとプリペイド決済の融合

5.5 あるべきモバイルプリペイド決済の方向性についての考察

いて議論されていた。しかし嘗てこの法律が適用されたケースはない。

なぜならプリペイドカードにおいては、換金が行われないためである。しかし、モ バイルプリペイドの目指すような利便性、換金性が可能になる場合には、問題が生じ るおそれがある。

(3) 出資の受入れ、預り金及び金利の取締りに関する法律(出資法)

不特定多数のものから業として預かり金を預かってはならないというもの。バリュ ーを金融機関以外が換金をしようとすると問題が生じる可能性がある。

モバイルプリペイド決済で、1,000円を払ってチャージすると、1,200円分のバリュ ーが入手できる場合、バリューが換金可能となるとプレミア部分は出資法違反になる。

もっとも1,000 円預かって1,000 円換金出来るとしても違法ではある。

プリカ法上の前受金は出資法の適用は受けないと考えられている。

また、昨今ではプリペイドの換金について、直ちに出資法に違反するという見解が なされなくなってきているのも事実である。

 

(4) 日本銀行法 

預金、貸し付け、為替のすべてを行えるのは銀行だけである。特に為替決済は銀行 固有の業務である。為替の定義とは、隔地間において直接に現金を送金せずに、資金 の授受の目的を達成する事であるが、これは単にAからBに送金するのも為替と見な される。

現在、Cmodeにおいて、この決済形態が為替との見方が出来ないわけではない。

しかし、通信会社は回線を繋いでいるだけという面もあり、それにより携帯電話機内 にデータ価値は入っていないことになる。すると、価値のホルダーは自動販売機の企 業が当てはまる。

これは出資法に違反するといった見解がある。しかし、Cmodeはまだ全国的に 拡大しているものではなく、あくまで実証実験段階を出てはいない。また対象金額が せいぜい缶ジュース程度の金額である。果たしてそこまでの規制が必要なのかどうか。

企業がモバイルプリペイドの決済方法を考察し、積極的に参加するにはやはり規制 緩和が必要である。

これらの法律の他にも

・通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(新貨幣法)

・税金等 

などで問題が発生する可能性もある。

平成14年12月から始まった、国の「経済活性化のために重要的に推進すべき規制 改革」において、金融部門では、「銀行子会社によるネットワーク上のプリペイド事 業の解禁及び銀行における電子マネー業務等の取り扱いの明確化」といった事項が、

平成15年度中に検討される。銀行が業務として電子マネーを発行することが認められ るようにする事や、銀行子会社によるネットワーク上のプリペイド事業が可能となる 事などの検討を行う予定である。銀行としては、電子マネーにより、従来の現金輸送 によるコストの削減、セキュリティの確保を期待していると思われる。

プリカ法に関して、施行当時発行業者が倒産する事を想定して、預託金の供託を規 定していた。また、発行者の破産により発行保証金を還付する場合には、公告する事 になるが、所有者に知ってもらう事には工夫が必要である。

課題のひとつに、管轄省庁がプリペイドに関しては金融庁、クレジットカードにお いては経済産業省など異なっている為、保護規制が違っているといった問題がある。

プリペイドでは、技術的には充分規格をほぼ統一化できると思われる。

現行の制度をどう改革していけるかで、モバイルプリペイドの方向性、また、今後 発展していけるかどうかも決まってくるのではないかと思われる。しかし現時点の法 規制が2005年にすべて解決出来るかは難しい。

5.5.2 今後のモバイルプリペイド決済の方向性

近い将来、例えば 2005年の世界を想定したとき、モバイルプリペイド決済の一般化や、

インフラ整備などは、まだ発展途中であると思われる。

もっと先になればインフラも進み、多種の機能を兼ね備えたモバイルプリペイド決済が 流通するようになっていると考えられるが、発展途中段階においては、インフラに投資す るような企業等団体が積極的に参加するための、モバイルプリペイド決済方法も必要では ないかという事になる。

その際有力視される方法に、Gift型バリューの決済が考えられるのである。Gift型バリ

ューにより、送りつけられたバリューの使い道は、いろいろな利用シーンが考えられ、店 舗やサービス提供地域など、利用シーンが多ければ多いほど良いと思われるが、ギフトに 限ると使い道も見えやすくなってくる。つまり、誰でも欲しがるギフトや、それに交換で きるバリューなら、利用シーンが限定されても大丈夫である。例えばテーマパークの入場 券などに使えるとすると、送られる側の期待度も大きく、受け入れる側も、そのバリュー に対応する読み込み端末を専用窓口にひとつ置けば良いのである。

利用シーンによっては、モバイル間でバリューを自由にやり取りが可能であることも重 要である。貰ったバリューを転々流通型で利用できるようにするか、貰ったらそこで現金 化するような方式にするかによって、利用シーンも変わってくるからである。

以上の事をふまえると、従来のあらかじめチャージするプリペイド方式に加え、Gift 型 バリューのチャージ方式により、バリューを取得して使用する方法も、今後将来性が期待 される。