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LIGHT EMITTING DIODE

3.1 青色 LED チップ

一般的な白色 LED は InGaN 系青色 LED チップと YAG 系黄色蛍光体との組合せにより構成されて いる。白色 LED パッケージにおける青色 LED チップの搭載箇所を図 3.1-1 に示す。高性能で高品 質な白色 LED 実現のために青色 LED チップに要求される性能としては、高効率、高光出力、低駆 動電圧、耐静電気性等があげられる。本節では青色 LED チップの基本構造、放熱の観点からの特 徴、信頼性に対する留意点について述べる。

青色LEDチップ

3.1.1 基本構造

白色 LED における発光の源である青色 LED チップの代表的な構造を図 3.1.1-1 に示す。

InGaN 系青色 LED チップは、pn 接合を有した半導体結晶であり、通常サファイア基板上に結晶 成長された n 型窒化物半導体層と発光層、p 型窒化物半導体層からできており、その他として半 導体層へ電気を供給する n 側および p 側の電極から構成されている。青色 LED チップメーカ各社 は、これら半導体層を構成する結晶のクオリティを向上させることや、層構造およびチップ形状 を工夫することで高効率で高輝度の青色 LED チップ実現を競って開発している。

図 3.1-1 白色 LED パッケージ

サファイア基板 n型窒化物半導体層 発光層(MQW)

p型窒化物半導体層 n電極パッド p電極パッド

透明電極

図 3.1.1-1 青色 LED チップの代表的構造

3.1.2 青色 LED チップの劣化要因 (1) 温度(発熱)

青色 LED チップは発光の源であると同時に発熱の源でもある。そのため青色 LED チップ内部で 発生した熱をいかに効率よく放熱するかが、青色 LED チップの信頼性ひいては LED アプリケーシ ョンの信頼性を高めるために重要である。例えば、一般的なサイズの 0.35mm 角の青色 LED チップ に 20mA の電流を印加したときの熱密度は 47W・cm-2となる。このことから青色 LED チップの熱密度 は、ホットプレートの熱密度:約 10W・cm-2の 5 倍近い値となり、図 3.1.2-1 で示すように、青色 LED チップの周辺材料に対しての熱の影響は相当なものであることがわかる。

チップ自体の放熱性を考慮するためには、青色 LED チップを形成する素材の特性に注意しなく てはならない。一般的に基板にはサファイアが用いられるが、放熱性や線膨張係数、さらには格 子定数からみても SiC 基板はサファイア基板より優れている。SiC 基板を使用したチップ構造は 導電性材料である SiC 基板上に GaN 結晶を成長させた上下電極構造である。サファイア基板より も熱伝導率が良いため放熱の観点からは有利であるが、コスト面においてはサファイア基板より も割高であるのが実状である。参考値として青色 LED チップを構成する基本材料の諸特性を表 3.1.2-1 に示す。

青色LEDチップ

ロケット噴射口

10 100

W・c-2

1000

ホットプレート

*(写真:NASA) 図 3.1.2-1 熱密度のイメージ

表 3.1.2-1 青色 LED チップを構成する基本材料の諸特性 線膨張係数(10-6・K-1) 熱伝導率(W・m-1・K-1) サファイア 7.5(a軸)

8.5(c軸) 30 SiC 4.2(a軸)

4.68(c軸) 420 GaN 5.59(a軸)

3.17(c軸) 130

(2) 電気的ストレスによる劣化

青色 LED チップの電気的ストレスによる劣化現象については、ESD(静電気放電)や EOS(電気的 オーバーストレス)による突発的な劣化モードが挙げられる。

ESD や EOS による劣化については、一般的な青色 LED チップの場合、サファイア基板上に結晶 成長させた n 型および p 型窒化物半導体層にそれぞれ n 型および p 型電極が同一面側に形成され ており、その距離は非常に近いため耐電圧は低い傾向にある。またサファイア基板と GaN 結晶と の格子定数差による結晶内の欠陥により局所的に耐電圧が低い部分も存在することも理由である。

ESD により破壊された青色 LED チップは外観で判別することは難しいが、ESD による劣化の判定方 法としては微少電流域の電気的特性を評価する方法が紹介されている 1)。そのため LED パッケー ジによっては静電気保護素子を搭載したものもあるが、青色 LED チップ単体を取り扱う実装メー カにおいてはチップメーカに確認した上で十分な静電気対策を講じることが重要である。

3.1.3 実装方法と放熱性 (1)WB タイプ

InGaN 系青色 LED チップの実装方法は二種類に大別され、一つは n 側および p 側電極が発光層 に対して上面に配置され、ワイヤボンディングにより電気的接合を行うワイヤボンドタイプ(以下 WB タイプ。フェイスアップ構造とも言う)である。WB タイプは、一般的なワイヤボンダーを使用 するため現在でも主流であるが、図 3.1.3-1 に示すように、金ワイヤの影による光量ダウンや、

透明電極による光取り出しロス等の影響がある。また青色 LED チップの発熱について考えた場合、

熱伝導率のあまり良くないサファイア基板を経由しての放熱が前提になる。

(2)FC タイプ

もう一つは n 側および p 側電極を上下反転させて実装し、電気的接合を行うフリップチップタ イプ(以下 FC タイプ。英語で反転する意をフリップと言う)である。実装にはワイヤボンダーでは なくフリップチップボンダーが必要になるが、FC タイプはボンディングワイヤや透明電極による 光量ダウンの影響が無く、高輝度化が実現可能である。また放熱性においても図 3.1.3-2 に示す ように、発光層での発熱を比較的短距離で実装基板へ放熱できる FC タイプの方が、LED チップの

発光層 接着剤

配線パターン 金ワイヤ

サファイア基板 影になる

放 熱

図 3.1.3-1 WB タイプ

寿命に最も影響のある発熱を低減させることが可能である。ただし、WB タイプより電極間が近い ためショートに注意が必要である。

3.1.4 実装方法に応じた留意点

白色 LED の信頼性を左右する上で最も重要なことは熱への配慮である。これは LED パッケージ の放熱設計のみならず青色 LED チップの実装方法を含めた熱への配慮が必要である。表 3.1.4-1 に実装方法別の長所、短所を示す。各々に特徴があるが、要求仕様により実装方法を選択せざる を得ないため、短所をカバーする方策が信頼性確保のためのポイントになる。しかし、今後更に 光量 UP が望まれることから FC タイプへの期待が高まるが、その一方で信頼性を得るためのブレ イクスルーがまだ必要な状態であると言える。

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【参考文献】

1)田口常正他:「LED 最新技術動向~性能向上・課題解決集~」、情報機構、(2005)p140 発光層

サファイア基板

金バンプまたは金錫はんだ 配線パターン

放 熱

図 3.1.3-2 FC タイプ

表 3.1.4-1 WBタイプとFCタイプの長所と短所

長所 短所

WBタイプ

・従来装置のダイボンダー、ワイヤボンダーで

実装が可能 ・封止樹脂の熱歪により金ワイヤに断線の危

険性がある

・金ワイヤの影により光量低下がある

・サファイア基板の熱伝導性が良くないため 効率よく放熱ができない

FCタイプ

・金ワイヤが無いためワイヤ断線が発生しない

・金ワイヤが無いため小型化・高集積化が可能

・透明なサファイア基板側から光を取り出せる ため光量UPが可能

・金ワイヤの影がないため均一な発光面が得ら れる

・ジャンクションからの発熱を効率よく放熱が 可能

・金バンプ方式の場合、特別な実装装置(フリ ップチップボンダー)が必要であり実装条件 の確立が難しい

・金バンプ方式の場合、バンプ数が多くなる と実装時の超音波による LED チップへの負 担が大きくなる

・金錫はんだ方式の場合、高温(約300℃) で実装するため、周辺部材への熱影響に注意 が必要

・実装基板との線膨張係数の違いによるクラ ックや剥離に注意が必要

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