LIGHT EMITTING DIODE
3.5 セラミックケース
3.5.1 熱に対する留意点
熱の発生、もしくは、温度変化に対しても、アルミナ(Al2O3)や窒化アルミなどのセラミックケ ースは、樹脂ケースと比較して線膨張係数が LED 素子の線膨張係数と近く、温度変化に対する線 膨張の差が小さくなるため、線膨張差に起因する応力が発生しにくく、熱ストレスに強いケース と言える。
また、ケースと電気回路の密着性に関して言えば、セラミックケースに用いられる金属回路は、
タングステンやモリブデンなどのセラミックの線膨張係数に近い金属が一般的には用いられ、ヒ ートサイクル試験などでも劣化はあまりみられない。
図 3.5.1-1 に各種セラミック材料の線膨張係数を比較した図を示した。
3.5.2 電気に対する留意点
電気の信頼性に関して言えば、長期使用時の配線抵抗上昇が劣化の原因となるが、抵抗上昇の 原因は、熱劣化による配線の合金化、酸化などが考えられ、これらを支配する主因子は熱と水分 と考えられる。セラミックケースの場合、放熱性・水分透過性においては、樹脂ケースよりも優れ ていると考えられ、電気的な信頼性も十分であると予想される。
3.5.3 機械的留意点
機械的信頼性は、ケース自体の強度とケースと電気回路の密着強度という 2 つの観点から考え なければならない。まずケース自体の強度という観点で見た場合、セラミックは機械的強度が高
4.5 4.1
6.5 5.6
7.5
4.5 5.2
17
23.5
0 5 10 15 20 25
AlN Si GaAs GaN サファイア InP InAs Cu Al
熱膨張係数(×10-6/℃)
図 3.5.1-1 各種材料の線膨張係数の比較(代表値) 線膨張係数(×10-6 ・K-1 )
い反面、ある強度を加えると割れてしまう、という欠点を有する。しかし、セラミックの曲げ強 度は 300MPa と非常に高いため、ある程度の厚みの基板を用いることで、実用上は問題が無い。
3.5.4 放熱設計
チップはサブマウント(DVD や CD-R などのレーザーダイオードには窒化アルミが使用されてい る場合が多い)と呼ばれる、回路を形成した放熱板に実装され、それごと電極が付いたケースに面 実装される場合と、サブマウントなしで、ケースや回路基板に直接実装される場合など、様々で あるが、チップから出る光をどれだけ多く、効率的に取り出し、発光時にどれだけ多くの熱を外 部へ放出できるかが、各メーカーのノウハウとなっている。
この放熱設計こそが、LED 照明製品の寿命や性能の維持に必要不可欠な技術であることは前述 したとおりである。
図 3.5.4-1 に窒化アルミとアルミナをケースに使用した場合の放熱状態を示す。これを見ても、
窒化アルミが LED チップの局所的な発熱に対し、熱を分散させ、放散させていることが分かる。
今後は、高出力の白色 LED のパッケージ設計にあたり、熱伝導率が高い窒化アルミが有望であ る。
このように、各種要因に対して、セラミックケースは樹脂ケースに比べて優れた特性を有し、
高い信頼性を得られるが、コストパフォーマンスも考慮した場合、各々活躍できる持ち場がある。
図 3.5.4-1 素材による放熱性能の違い