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電子文書標準化の対象範囲

ドキュメント内 XML/EDI調査研究・普及促進報告書 (ページ 182-188)

3 海外メッセージガイド調査研究

3.3 電子文書標準化手続ガイド

3.3.1 電子文書標準化の対象範囲

電子文書標準化対象範囲を大別すると,既存の国内標準CIIや国際標準UN/EDIFACT,およびXML/EDI をベースにしたCII/XMLやSWIFT,EAN.UCC,UBL,ANSI X12,CNAMTS(フランス医療業界標準)

等に,XML/EDI電子文書およびコア構成要素のライブラリーがつくられている。さらに,これらを利用し

て電子文書を開発するのに先立って実施されるビジネスプロセス分析および設計の成果物や,電子文書と関 連するコード等が対象となり得る。

X M L  E D I 

標準化対象範囲 

電子文書関連コード

ビジネスプロセス カタログ

XML/EDI 電子文書  

コア構成要素   ライブラリー    CII・EDIFACT 

しかしながら,ebXML 関連標準に関しては以下に指摘した 2つの理由により,新たな標準化手続きを検 討する必要があると考えられる。

第一は,昨今の電子商取引の普及により B2B電子商取引の構造が,従来の企業系列を中心とした閉鎖的な 商取引構造から,オープンかつ業際的な商取引構造に移行しつつあることである。

第二は,現在EDIだけに限らずXMLがITプラットフォームの中核技術になっており,XMLに対する標準 管理体系を維持しなければならないという点である。XMLと関連して生成される成果物としてはXML/EDI 電子文書,ビジネスシナリオとコンポーネントライブラリーを挙げることができ,こうした成果物を維持・

管理する手続きが必要となる。

  インターネットとその関連技術を活用した情報のオープン化の進展が想定される中で,ビジネスプロトコ ルが多数乱立することによる混乱を回避し,各種ドメインにまたがって使用されているコア構成要素などを 単一のドメイン横断的なものとするためには,図1に示したような組織体制を整えることが肝要である。

  すなわち,経済産業省の傘下に,国内の電子文書標準化と関係のある政府部署の委員および各業界ドメイ ン代表の民間委員とで構成され,国内の電子文書標準に対する審議,議決権を有するXML/EDI標準委員会 を設置することを提案する。当該委員会には,①標準化推進グループ,②技術評価グループ,③リポジトリ 管理機構の3つのタスクチームを設け,各業界ドメインから提出された標準化案の業界間ハーモナイゼーシ ョン(Harmonization),技術審査,標準文書の登録,維持・管理業務を推進するとともに,左記の業務の 円滑な遂行を担保するため,JEDICおよびJEC(EDIFACT日本委員会)と協調し,更にJEDICの傘下に業 界ドメイン別サブワーキンググループを設置して,各業界・部門別に電子文書開発やビジネスプロセス分析 および設計などが出来るようにすることが望ましい。

  なお,標準化を進めるにあたっては以下の点に留意する必要がある。

1) 既存のCIIやUN/EDIFACT基盤文書の場合には,現在まで適用してきた標準化手続きを踏襲する。

2) CIIやUN/EDIFACTのマッピングによるXML/EDI電子文書の場合,文書の規定や文書に対するXML フォーマットが互いに異なることがあるため,従来の業界別・部門別の標準管理の基に,新たにそれぞ れのガイドラインを検討する必要がある。

3) ビジネスプロセス管理手続きは,標準として決められているビジネスプロセス規格(中立的であり,再 使用可能な)を選定することと,その標準に合わせて各業界別に作り出されるビジネスプロセスを業界 別,地域別コンテキストに分類して,ビジネスプロセスカタログで管理する方針であり,表現形態とし てはBPSS(用語集参照)とダイアグラムを推奨する。

4) コンポーネントライブラリー関連標準化手続きは,ebXMLにおいて提示する手続きを適用することが 必要である。

なお,3)および4)の標準化手続については,以下の節(3.2.1, 3.2.2, 3.2.3)に具体的に提案する。

図 3-1標準申請手続関係組織図

図 3-2標準申請手続図

(1) ebXMLビジネスプロセスカタログとコンポーネントライブラリーの提出

開発されて成果物として提出されたebXMLのビジネスプロセスとコンポーネントライブラリーは,標準化 のための調整および承認プロセスを経なければならない。標準の提出手続きは図 3-3の流れに従って実施さ れる。

提出に係わる事務手続きは、基本的には申請者または申請者が所属する業界標準化組織が行う。日本の場

図 3-3標準提出フロー

再利用・変更パターンは以下の3種類に分類できるが,(2)と(3)の場合には,XML/EDI標準化委員

新規登録パターンとしては,電子文書開発プロセスにおいて新たに開発されて,既存のビジネスプロセスカ タログとコンポーネントライブラリーに追加するために提出するもので,以下の2種類に分類できる。

1)新たなビジネスプロセスカタログのビジネスプロセスとコンポーネントライブラリーにあるビジネス情 報エンティティまたはコア構成要素の新規登録要求を行なう。

2)既存の集約コア構成要素を再利用する新たな集約ビジネス情報エンティティの要求を行なう。

なお,新規登録パターンの成果物を提出するにあたって,申請者は,以下の2点について事前検討を行った 後に成果物を提出しなければならず,以後,調整および技術評価過程においても綿密に検討されなければな らない。

1)ビジネスプロセスの場合は,本ガイドラインの対象外

2)コア構成要素やビジネス情報エンティティに対し正しい命名規約が適用されているかどうか

3)提出されたコア構成要素やビジネス情報エンティティの場合,既存コンポーネントライブラリーとの整合性 のチェック

(2)  ebXML関連標準の調整および技術評価プロセス A. 調整

  標準化の申請が行なわれ,事務局でスクリーニングされた開発成果物については,他の各ドメインから 提出されたビジネスプロセスとコア構成要素,ビジネス情報エンティティのセットと,既存の登録・保存 されているものとの差異点と類似点を識別して,各種ドメインにまたがって使用されているコア構成要素 などを単一のドメイン横断的なものとして生成するために,XML/EDI 標準委員会に設置する標準化推 進グループにおいて,ハーモナイズの必要性等について検討を行ない,業界間での調整が必要な場合には

JEDIC の傘下に設置される業界ドメイン別サブワーキンググループと協働して業界間のハーモナイゼー

ションを実施する。

調整は,ビジネスプロセスカタログとコンポーネントライブラリーを維持するにあたって重要な手順で

あり,図 3-4に推奨する調整プロセスを記述する。

   

図 3-4調整および技術評価フロー

第1ステップ:(National Registry & Repositoryの)コア構成要素発見技法に合うように,提出されたコア構 成要素を評価して,各申請者グループとの討議を通じて,疑問事項や論争点を解決。

第2ステップ:ビジネスプロセスカタログとコンポーネントライブラリーにすでに登録されているものと,提 出されたコア構成要素の定義および構造を比較。

1)提出されたコア構成要素が既存のものと同一であるかまたは類似していれば,既存のものとの差異点 を識別するために,各々の属性などを比較して,既存のものに適当な属性がなければ,各属性を 追加するように調整する。

ドキュメント内 XML/EDI調査研究・普及促進報告書 (ページ 182-188)