第 3 章 「発送電分離」体制下の電力工業(2002 年以降)
第 2 節 電力工業における新体制の構築
3. 電力工業における改革深化の方向
上述した課題に対応する改革が徐々に進展していった。いくつかの分野に分けてこ れを説明しよう。
第1は、管理体制の分野における改革の動きである。それは、具体的には、国家エ ネルギー局、その後の「国家エネルギー委員会」の設立を経て、さらに多くのエネル ギー部門を統合した「国家エネルギー局の再編」へと拡大されていったことであった。
まず、2008 年7 月29日、中央編制委員会辦公室が制定した新たな「国務院機構改革 方案」によって、「国家発改委」のうちに「国家エネルギー局」が成立し、これまで「国 家発改委」が担当していたエネルギー企画・政策などの管理職能は、この「国家エネ ルギー局」に移管された。これは、エネルギー産業全般に関する管理機構が新たに設 立されたことを意味している。電力工業をエネルギー部門の一つに位置付け、総合的 なエネルギー政策の下で、発展させようと意図したものであった。
この「国家エネルギー局」の主な職責は、元の国家エネルギー指導小組(グループ)
辦公室の職責、「国家発改委」のエネルギー産業の管理に関する職責、及び元国防科学 技術工業委員会の原子力発電の管理職責などを引き受けたものであった。この部門は、
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エネルギーに関する発展戦略・企画・政策の制定、関連体制改革の意見の提案、石油・
天然ガス・石炭・電力などのエネルギーを総合的に管理するものであり、具体的には、
国家石油の備蓄の管理・新エネ及び省エネの関連政策の提案・エネルギー全般に関す る対外的国際協力などであった。ここには、総合、政策、法規、発展企画、省エネ、
科学技術の装備、電力・石炭・石油・天然ガスの各担当部署、新エネ、国際協力の9つ の「司」が設置された。「国家エネルギー局」の設置は、エネルギー産業に対する集中 した統一管理を強化し、国際及び国内のエネルギー問題に対応して、国民経済の持続 的発展を保障することを目的とするものであった52。図 3-5 は、こうした関係を示し たものである。
図3-5 2008年以降の電力工業における主要管理機構の変遷
出所:筆者作成。
こうした動きのなかで、エネルギー戦略を統一して調整するために、2010年1月22 日、「第11期全国人民代表大会第1回会議」は「国務院機構改革方案」を可決し、「国 務院辦公庁の国家エネルギー委員会の成立に関する通知」(≪国务院办公厅关于成立 国家能源委员会的通知≫国办发[2010]12 号)を公布し、「国家エネルギー委員会」が 成立した。この「国家エネルギー委員会」は、最高順位の国家機構として位置づけら
52 前掲≪2009年中国电力年鉴≫,31页。
2008年国務院の機構改革
国家発改委には「国家能源エネルギー局」の成立
(元国家エネルギー指導小組(グループ)辦公室の職責の引き受け)
2013年国務院の機構改革
国家発改委にある「国家能源エネルギー局」の再編
(「電監会」組織の廃止+「電監会」職能の引き受け)
2010年国務院議事協調機構設置の改革
国家エネルギー委員会の成立(主任(1名)、副 主任(1名)、メンバー(各部・委員会の主任)
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れ、国家のエネルギー発展戦略の研究・制定、エネルギー安全保障に関する重大問題 の審議、及びエネルギーの国内開発と国際提携の重大事項の計画と調和といった職責 を担う機構とされた。この「国家エネルギー委員会」の主任は国務院総理が担当し、
「国家発改委」、科学技術部(「科技部」)、工業・情報化部(「工信部」)、財政部、国土 資源部、環境保護部(「環保部」)、交通運輸部、水利部、「電監会」などの21の国家部 委の責任者が委員を担当した53。
次いで、2013年3月、「第12期全国人民代表大会第1回会議」が提出した「国務院 機構の改革と職能の変更に関する方案の決定(草案)」(≪第十二届全国人民代表大会 第一次会议关于国务院机构改革和职能转变方案的决定(草案)≫)により、エネルギ ーの発展及び改革推進を統一的に調整し、国家エネルギーの監督・管理を強化するた め、「国家発改委」の「国家エネルギー局」及び「電監会」の職責を統合して「国家エ ネルギー局」を再編し、「国家発改委」が主体となって管理することにした。6月9日、
「国家エネルギー部における主要職能、内設機構および人員編制の規定に関する通知」
(≪国家能源局主要职责内设机构和人员编制规定的通知≫国办发[2013]51号)が公 布され、国家エネルギー局を新たに設置した。主要な職責は、総合的エネルギーの監 督・管理に責任を負うことのほか、エネルギー発展戦略・計画及び政策の制定、国家 の総合的エネルギー体制改革の研究・提起などであった。すなわち、「国家発改委」は、
電力工業のみではなく、エネルギーに対して全体的に統括して管理する。この再編に おいて、電力工業に限定されてきた監督管理の機構であった「電監会」は、組織とし てその歴史的使命を終えて、廃止された54。
この新たに再編された「国家エネルギー局」には、12 個の内設機構としての「司」
が設けられた。それは、総合司、法制・体制改革司、発展企画司、エネルギー節約・
科技装備司、電力司、原子力発電司、石炭司、石油天然ガス司(国家石油備蓄辦公室)、
新エネ・再生可能エネ司、市場監督・管理司、電力安全監督・管理司、国際協力司な どであった。この新たな職責は以下のように定められた。
①エネルギー発展、及び監督・管理に関する法令などの起草と見直し、エネルギー 開発戦略、計画及び政策の実施の公式化と組織化、エネルギーシステム改革の推進、
改革方案の制定、エネルギー発展及び改革間の重大問題の調和など。
②石炭、石油、天然ガス、電力、新エネルギーおよび再生可能エネルギー、並びに 石油精製、石炭ベースの燃料及び燃料エタノールに関する産業政策および関連基準の
制定。 国務院の権限に従って、固定資産のエネルギー投資プロジェクトを検証・承認・
許可する。農村におけるエネルギー開発・発展などの指導と調和。
53 国家能源局http://www.nea.gov.cn/2016gjnyw.htm。
54 ≪中国电力年鉴≫编委会编≪2014年中国电力年鉴≫中国电力出版社,2014年,8页,
张纯瑜≪中国电力监管探索≫,載≪华北电力大学学报(社会科学版)≫,2015年8月第 4期を参照。
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③エネルギーにおける重大な設備の研究開発、及び関連する重大な科学研究プロジ ェクトの推進、エネルギーの科学技術の進歩、完全なセット設備の導入と「創新」の 指導、関連する主要なデモンストレーションプロジェクト新製品・新技術・新設備の 普及と適用。
④原子力発電の管理を担う。原子力開発計画、参入条件、技術基準の策定、原子力 発電の実施、原子力レイアウトと重大なプロジェクトレビュー意見の提出、原子力研 究指導と調和、原子力発電所の原子力事故のリスクマネジメントの管理。
⑤エネルギー産業における省エネルギーと資源総合利用の担い、エネルギー消費総 量の控え目標の提案の研究、エネルギー消費総量に関する指導と監督、生産と需給の バランス。
⑥エネルギー予測と早期警戒、エネルギー情報の公開、エネルギー運用規制と緊急 保護への参与、石油・天然ガス保有計画、国内外の需要と供給の変化の監視測定、石 油・天然ガス備蓄の提案と実施、石油及び天然ガス貯蔵施設のプロジェクトの承認と 監査、商用石油及び天然ガス備蓄の監督と管理。
⑦電力市場の運営の監督、電力市場の秩序の規範、電力価格の監督と検査、各種類 な電力補助サービスの価格の策定、普遍的電力サービス政策の検討と提案、実施の監 督。電力の行政執行を担当。石油と天然ガスのパイプラインネットワーク設備の公正 な開放と監督。
⑧原子力発電の安全以外の電力運用の安全対策、電力建設プロジェクトの建設、安 全プロジェクトの品質に対する監督と管理、法的に確立された監督実施の組織、電力 生産の安全、信頼性管理、管理ライセンス。 法律に従って電力生産における安全事故 の調査と処理を組織または参加。
⑨国際エネルギー協力の推進を組織し、部門別に外国エネルギー当局及び国際エネ ルギー機関と協定を交渉し、海外エネルギーの開発及び利用を調整する。 海外の主な 投資プロジェクト(石炭、石油、天然ガス、電気など)を所定の権限に基づいて承認 または監査する。
⑩エネルギー関連財源、財政および税制、環境保護、気候変動の策定に参加する。
エネルギー価格調整と輸出入量提案を提案。
⑪国家エネルギー委員会の具体的な作業を行う。 国家エネルギー開発の戦略的意 思決定の包括的な調整とサービス保証を担当し、健全で協調的な連携メカニズムの確 立を促進。
⑫国務院、国家エネルギー委員会、国家発展改革委員会が割り当てたその他の事項 を引き受ける55。
55 前掲≪2014年中国电力年鉴≫,561-563页。電力司には主に火力発電および電網に関
する発展企画・計画・政策の制定と実施、電力体制改革の業務を担い、電力需給の平衡 を図る。