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改革期における電力工業の発展(1985-2000 年)

第 2 章 「改革開放期」の電力工業の展開(1979-2001 年)

第 3 節 改革期における電力工業の発展(1985-2000 年)

1.発電分野における発展状況

「七・五」計画以降、とりわけ「九・五」計画における電力工業の発展は、それま での「計画経済体制」下の計画的調整に偏重したものではなかった。この期の電力工 業は、市場メカニズムを調整機能として資源配分の最適化を図り、電源及び電網にお ける合理的な配置を図るというものであった。この期間において、総発電設備容量が 1億キロワットを突破し、発電量は年平均8.0%の増加率を達成した。これは、8.3%

のGDP成長率に相伴った成果として、これまでの長期的な電力不足の現象を解消して いった。この期に、電力の需給関係は基本的なバランスを確保することができた。こ のことによって、中国の産業構造の転換がスムーズに進行し、今後の発展の基礎を固 めることになった。

(1)「七・五」計画における電力工業の状況(1986-1990年)

電力工業における初期の改革が進展した期間は、「七・五」計画期を中心とする時期 であった。この間、経済体制の改革にともなう急速な経済発展に追いついていけなか った電力供給は、ようやく「基本的な電力需給」118を実現することができるまでにな った。とはいえ、電力不足がいまだ厳重な状況にあったことは確かであり、この期に は、後掲の表2-4にみるように、いまだ発電設備の利用時間を増加させることで対応 したことから分かる。とくにそれが、火力発電における設備利用時間数の増加に現わ れた。「七・五」計画初期の3年間の利用時間数は6000時間に達するほどであり、発 電設備容量と用電設備容量の比率は、1981 年の1:2.3から1987 年の1:2.5に上昇

116 前掲≪中国电力规划・上册≫,135页。

117 同上≪中国电力规划・上册≫,135页。

118 前掲≪中国电力发展的历程≫,173 页。

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した。1989年には、その比率は1:2.4に下がったが、1981年よりもなお高かったと されている119

「七・五」計画に関しては、改革開放以後の成果を問われる「計画」であったこと から、早くも1983年に国務院はこの「計画案」の起草準備を始めていたが、この時期、

すでに指摘したように、「対内では経済の活性化、対外には開放の実行」という「総方 針」は確定していたが、この「総方針」のもとで「計画」を主体にするのか「市場」

調整を主にするのかについての「論争」は継続中であった120

1985年9月23日、「中国共産党全国人民代表大会」は「国民経済と社会発展の第7 期 5 ヵ年計画に関する建議(草案)」(≪关于制定国民经济和社会发展第七个五年计划 的建议(草案)≫)を制定した。この「5ヵ年計画」では、①既存設備の拡充に重点を 置き、②大いに消費財生産に力点を置き、③電力を中心とするエネルギー工業の発展 に重点を置き、④積極的に産業構造の転換を図り、⑤国外からの新技術の導入に取り 組む、という方針を明確に示した121。これを受けて、国務院は、電力工業に関する「七・

五」計画では、「火力発電を積極的に発展させ、水力発電の開発に力を入れ、重点的・

計画的に原子力発電を行う」122ことにするとし、計画目標として、総発電量を1985年 よりも 1400 億キロワット/時増の 5700 億キロワット/時、発電設備容量を 3000 万-3500万キロワット完成させて、総発電設備容量を 1 億2000 万キロワット規模にする ことを掲げ123、1980年に比していずれも「倍増」させるとした124

なお、参考までに、この間における「七・五」計画の主要な計画案の指標を示すと 下記の表2-3のようである。

ここでは、投資規模との関係において、次のことを指摘しておかなければならない。

投資規模は予算内投資と予算外投資の総額である。予算内投資とは、基本建設投資を 中心にした国家の予算によって賄われる資金である。これに対して、予算外投資とい うのは、国家予算外の基本建設投資あるいは固定資産投資である。それは、①各種金

119 杨鲁、田源主编≪中国电力工业改革与发展的战略选择≫中国物价出版社,1991年,25

页,表1-9参考,前掲≪中国电力工业志≫,271页。

120 刘国光主編≪中国十个五年计划研究报告≫人民出版社,2006年,484页以下参照。こ

の段階においては、大枠としては、「社会主義経済は計画調整と市場調整を結合させなけ ればならない」(同上,485页)ということが大勢を占めていたが、1984年10月の「中国 共産党第11期3中全会」で決議された「経済体制改革に関する決定」は、明確に「社会 主義経済は計画的な商品経済であり、計画経済を主にして市場調整を従(補)とする」

とした。

121 「六・五」計画の後期、投資規模が大きすぎただけでなく、投資構造も不合理であっ

たとされ、主にエネルギー・交通・通信・原材料などのインフラ及び基礎工業の投資率 を引き下げるという状況のなかで、この「計画」が準備されたのである(前掲≪中国十 个五年计划研究报告≫,476-482页,488页以下参照)。

122 孙海彬≪电力发展概论≫中国电力出版社,2008年,24页。

123 同上≪电力发展概论≫,24页。。

124 前掲≪中国电力工业志≫,271页。

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融機関からの借入金(但し、国家のこれまでの供与資金を貸付に改めた「撥改貸」は、

この借入金には含まれない予算内の資金である)、②「自籌資金(自ら収集した自己調 達の資金)」であり、各部門・各地方・各事業単位及び住民が収集・自己調達して投資 した資金、③「外資」とされる国外からの資金(外国から調達された資金)であり、

外国からの贈与資金・借入金(政府借款、国際的金融機関からの借入金、輸出補償借 入金、外国債券の発行など)及び直接投資資金(例えば、「三資」経営・補償貿易・技 術設備等のリース)などである。これまでの電源開発は、基本的に国家の予算内投資 に依存してきたが、「七・五」計画期以降は、国家の予算内投資が大幅に減少して、予 算外投資が拡大して、電源開発における政府の財政負担を軽減したのである。

表2-3 電力工業「七・五」計画の主要計画案の指標

科目 各指標 1985年 4月の 水電部「草案」

1985年11月の 国家計画委員会

の調整案

1986年4月の 国家計画委員 会の下達案

実際の完成 状況

1990年の発電量

(億キロワット/時) 5700 5500 5500 6213 新増設備容量

(万キロワット) 4200 3588 3790 3931 投資総額

()内は国家基本建設 投資(億元)

(536) 780

(510)

672

(430)

989.3

(424)

出所:前掲≪中国电力规划・上册≫,106 页,前掲≪电力发展概论≫,25 页などの記述を 参考にして、筆者作成。

注:新増設備容量には大・中型(華能プロジェクトを含む)。( )内数字は国家基本建設投資である。

1986年4月、「第6期全国人民代表大会第4回会議」は、「七・五」計画の実施を可 決した。電力工業における「七・五」計画は順調に推移し、目標とされた任務は前倒 しでほぼ達成されただけではなく、「二つの突破」が果たされた。一つは、この5年間 に、毎年の新増発電設備容量が 1000 万キロワットを突破したことであり、もう一つ は、総発電設備容量が1億キロワットを突破したことである125

表2-4にみるように、1986年から1990年までの発電設備容量は、毎年、ほぼ1000 万キロワット規模で増加し、1987年には1億キロワットの大台に乗せた。これを発電

125 前掲≪中国电力规划・上册≫,105页。なお、≪中国电力规划・上册≫には、この間

の調整数値が紹介されている(106页の表1を参照)が、ここでは省略した。

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設備容量の水力・火力別でみると、発電所総数は 6537 ヵ所、総発電設備容量は 1.29 億キロワット、その内、火力発電所 2201 ヵ所、9708 万キロワットであり、水力発電 所4336 ヵ所、3175 万キロワットであった。詳細な規模別の数値を得ることはできな いが、いくつかの資料の記述によれば、25万キロワット以上の容量を有する大型発電 所は129ヵ所、総発電設備容量7824万キロワットで、全体の56.7%を占めた(うち、

水力発電所は24ヵ所、1497.4万キロワット、火力発電所は105ヵ所、6329.1万キロ ワット)。最大の100万キロワット以上の容量を有する発電所は19ヵ所(うち、水力 発電所4ヵ所、火力発電所15ヵ所)であった126。この計画期間、発電設備容量のうち、

火力発電設備容量の比率は「六・五」計画期(第1章2節参照)を上回って70%以上 にも達し、その比率が高くなっていっただけではなく、発電設備容量も、毎年、ほぼ

1%ずつ増大するという勢いを示した127

表2-4 発電量及び発電設備容量の推移(1986-2000年)

126 前掲≪中国电力工业志≫,19页,前掲≪电力发展概论≫,24页。

127 このように「七・五」計画期に主導的地位にあった火力発電は、依然として、主な石

炭生産地域あるいは沿海部地域の電力需要の旺盛な地域に建設された。例えば、産炭地 としては、山西北の大同二所と神頭、江蘇の徐州、安徽の洛河と平圩、山東の鄒県、内 蒙古の元宝山、河南の姚孟、河北の陡河などの「坑口発電所」であり、電力需要地とし ては、江蘇の望亭・諫壁、浙江の鎮海・北侖・台州、山東の黄島、上海の石洞口、広東 の黄埔などの港湾区や交通の要所の発電所であった(同上≪中国电力工业志≫,18页)。

発電量

(億キロワット/時)

発電設備容量

(万キロワット)

年間発電機 使用時間(時)

合計 火力 (%)

水力 (%)

原子力

(%) 合計 火力

(%)

水力

(%) 総合 火力 水力

「七・五」計画期(38.2%/47.0%)

1986 4496 79.0 21.0 - 9382 70.6 29.4 5388 5974 3882 1987 4973 79.8 20.2 - 10290 70.7 29.3 5430 6011 3795 1988 5451 80.0 20.0 - 11550 71.7 28.3 5313 5907 3710 1989 5847 79.7 20.3 - 12664 72.7 27.3 5171 5716 3691 1990 6213 79.7 20.3 - 13789 73.9 26.1 5041 5417 3889

「八・五」計画期(48.6%/43.4%)

1991 6775 81.6 18.4 - 15147 75.0 25.0 5030 5451 3675 1992 7542 82.6 17.4 - 16653 75.6 24.4 5029 5462 3567 1993 8364 81.7 18.0 0.03 18291 75.6 24.4 5068 5455 3730 1994 9279 80.5 18.0 0.02 19990 75.5 24.5 5233 5574 3877