3 国内の石油系鉱物、非石油系鉱物の鉱山における鉱山保安MSの導入状況等調査
3.3 鉱山保安マネジメントシステムの導入状況等調査
3.3.5 鉱山保安MSの再構築や制度設計などの事業背景を考慮した様式
表 3.3.5に「鉱山保安MSの再構築や制度設計などの事業背景を考慮した様式」によるア ンケート調査の結果を示す。
(1) 保安上の課題
「熟練労働者、将来の作業監督者の不足、人材の確保」、「設備の老朽化」及び「教育の効 果と検証」、災害が発生した原因に「設備の老朽化」及び「ヒューマンエラー、確認不足、
慣れ」が挙げられた。
(2) 鉱山保安MSの実施状況に対する内部監査の実施
5鉱山が「十分に実施」、1鉱山が「ある程度実施」、1鉱山が「実施できていない」、とい う結果であった。鉱山A~D及びFといった、複数の鉱場や事業所を有する鉱業権者は、
全社として内部監査を行う仕組みが確立している一方、鉱山E、G及びHといった、主に 鉱業のみに従事する鉱業権者は実施が不十分という傾向にあった。実施していない鉱山に ついては、今後も検討する予定はなく、保安衛生パトロール・巡視で代替しており、またヒ アリングでは、ISO9001 の内部監査では、あら探しをする傾向にあり、社内の雰囲気がす さんでしまった経験があり、実施には躊躇するとの意見があった。
(3) 請負作業のリスク
5鉱山で「十分に特定」、3鉱山で「ある程度特定」という結果であり、「特定していない」
と回答する鉱山はなかった。一方、請負選定の手順がある鉱山はA及びB鉱山(同一の鉱 業権者)であり、鉱業権者が確立しているHSEの評価を踏まえた手順となっている。また、
請負へのリスク伝達手段については、アンケートではないと回答がある鉱山もあったが、そ のような鉱山では入構者教育にて伝達を行う取組みを行っており、実質的にリスク伝達手 段を確立していることも分った。
(4) 労働安全衛生MSの認証
調査を行った8鉱山全て取得を行っていなかった。一方、4鉱山では、自社HSEMSが 導入・運用されており、今後の取得に関しても「検討しない」あるいは「今後検討するかも しれない」といった意見であった。鉱山保安MSの認証については、制度ができた場合は3 鉱山で「利用したい」、それ以外は「利用する予定なし」あるいは回答なしであり、「利用し たい」と回答した3鉱山は、「保険料率引き下げ」「保安手続の簡素化」「対外的なイメージ アップ効果、取組の公表」といったインセンティブを期待する意見があげられた。
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(5) リスクアセスメントの際の鉱害の観点での特定の有無
6鉱山で「十分に特定」、2鉱山で「ある程度特定」という回答結果で、リスクアセスメン トは保安のみならず、鉱害の観点でも実施していることが分かった。
(6) 経済産業省公開のツールの利用状況
3鉱山が 2ツール、4鉱山が1ツール、1鉱山は全く活用していないという結果であり、
利用するツールは「(災害事例の)水平展開(詳報)」が5鉱山と最も多く、他の鉱山におけ る災害事例に関する情報が有用と考えている傾向があった。また、B 及びD鉱山は、アン ケート結果は「(災害事例の)水平展開(詳報)」を活用していないという回答であったが、
ヒアリング調査によって同ツールを参照していることが分かった。
ヒアリング調査で、概ね災害が発生した際に情報提供される災害情報は活用され、自社の 場合での発生の可能性の検討、さらに発生する可能性がある場合については、リスクアセス メントが行われていることが分かった。一方、全ての鉱山で、新たな支援ツールは必要ない と回答されている。ただし、この傾向は、調査対象の鉱山が、全て鉱山保安MSの取組みが 十分な鉱山であることに起因する可能性がある。全て鉱山保安MSの取組みが十分である ことは、鉱山保安MSの目標管理について、8 鉱山全てで、「目標管理を行っている」とい う回答であったことからも推定ができる。
(7) ヒヤリハットの活用状況
8鉱山全てで活用を行っており、7鉱山でデータベース化を実施、6鉱山でヒヤリハット 時にリスクアセスメント及び対策の検討を行っている。報告の方法として、5鉱山はヒヤリ ハットの記載フォーマットがあり、1鉱山はフォーマットのない自由記載かつノートの利用 を行っている。周知の方法として、8鉱山全てにおいて、ミーティングで全員に周知してい る。また、ある鉱山では、毎日当日の作業に近い作業に関連しそうなヒヤリハット事例を検 索し、作業班内で周知徹底を行っている。一方、定期的にヒヤリハット情報の収集は 1 鉱 山、ヒヤリハット情報に対してリスクアセスメントを実施している鉱山は2鉱山であった。
その他、ヒヤリハット等の報告に応じて、ポイントを付与する取組を行い、ヒヤリハットの 報告のモチベーション向上の工夫を行っている鉱山もあった。表 3.3.4に、ある鉱山で実施 しているヒヤリハット発生時の手順の例を示す。
77 表 3.3.1表 3.3.2表 3.3.3
表 3.3.4 ヒヤリハット発生時の手順の例
現場 班長 管理職 事務局
ヒヤリハット 発生
作業後ミーティングで報告 内容把握
・重要ヒヤリは管理職に報
告 -
-ヒヤリハット提出
・直接的な原因
・リスクの評価 - -
-1.周知、情報共有
朝ミーティングで報告
・現場に周知が必要なもの
・リスクレベルⅢ以上(同類ヒヤリの起きそうなもの等)
原因・対策の検討を指示
・重要ヒヤリを抽出
データベース登録
・コード、リスクの確認
・メール配信、周知
2.原因・対策の検討
ヒヤリハット検討会に参加
・リスクの特定
・リスクの原因検討
・リスクの低減対策
ヒヤリハット検討会の実施
・取りまとめ
・検討シート作成、提出
検討状況の把握
・進捗確認 ・内容確認
・助言、協力
3.対策の決定・評価
-リスクアセス委員会
・検討シートの評価 ・最終対策決定
・リスクレベルの再評価 ・過去対策の再評価 4.進捗の確認 職場保安懇談会 リスクアセス報告(HSEかわら版)
5.対策実施
対策の実施 対策実施の指揮
・リスクアセス結果の説明
・対策実施の指示
・実施状況の把握
・実施結果の報告
対策実施状況の管理
・対策実施の指示
・実施状況の把握
・完了確認
データベース更新
・対策完了情報の更新
・メール配信、周知
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表 3.3.5 鉱山保安MSの再構築や制度設計などの事業背景を考慮した様式の結果一覧(1/4)
質問No 質問内容 A B C D E F G H
Q1
鉱山現場作業で気になっている保安上の課題はありますか?
(不安全行動、風安全な設備、不安全な環境、教育不足、等に関して)
- - 【ご記入ください】
・今以上の保安意識の向 上、保安に対する取り組 みの活性化が望まれる。
・5S運動が停滞してい る。
【ご記入ください】
・作業監督者選任資格の 取得が芳しくない。将来 的な作業監督者不足が 懸念される。
【ご記入ください】
①古い鉱山施設(設計思 想や基準化されていな かった時代)の安全対策
②教育の効果と検証
特になし ①熟練労働者の不足 ② 人材確保(有資格者、若 手) ③鉱山施設の老朽 化
【ご記入ください】 不安全 行動に関して。
Q2
過去10年で、鉱山保安法上報告が義務付けられている災害(もしくは鉱害)が2 件以上発生している鉱山に伺います。災害(鉱害)の発生原因の共通点があると お考えでしたら具体的に記載欄にご記入ください。
- - 【ご記入ください】
・該当しない。
【ご記入ください】
・該当なし。
【ご記入ください】
経年劣化する設備に対す る評価と対策が不十分で あった。
該当なし ①ヒューマンエラー ②基 本作業の確認不足 ③慣 れによる作業のマンネリ 化
【ご記入ください】 該当な し。
Q3
鉱山保安マネジメントシステム(以下MS)の実施状況に関して内部監査を実施し ていますか?(実施者は社内、社外を問いません。)
内部監査とは:経営トップが保安方針を定め、それを実現する鉱山保安MSの仕 組みが出来上がり、その通りに行われたかを確認することです。
1:十分に実施 1:十分に実施 1:十分に実施 1:十分に実施 2:ある程度実施 1:十分に実施 3:実施できていない 2:ある程度実施
Q4
(Q3で「3:実施していない」を選択した鉱山に伺います)
今後実施することを検討していますか?
- - - - - - 3:検討できない -
Q5
(Q4で「3:検討できない」を選択した鉱山に伺います)
検討できない理由についてお聞かせいただけますか?
- - - - - - 保安衛生パトロールを年
4回実施しており、指摘事 項については、その都度 対応結果を確認してい る。 また、各部門で保安
-
Q6
計画したリスク低減措置の内容(とくに設備対策のための資金の捻出など)を事 業計画に反映させていますか?
1:十分に検討し反映 1:十分に検討し反映 1:十分に検討し反映 1:十分に検討し反映 1:十分に検討し反映 1:十分に検討し反映 3:反映できていない 3:反映できていない
Q7
請負が実施している作業内容について教えて下さい(具体的な作業内容のほ か、掘削段階or生産段階、定常or非定常などの作業区分)
- - - - 【ご記入ください】
掘削作業、坑井改修・点 検作業、坑水処理施設維 持管理作業、砂揚げ作業
パイプラインのドレン抜き 作業・沈砂槽の砂あげ作 業(共に、生産段階・定常 作業)
定常作業:①鉱石・表土 類の積み込み運搬作業
②場内清掃・散水作業
③製品袋詰め・積み込み 作業
非定常作業:鉱山設備の 保守管理
【ご記入ください】
Q8
請負に関してのリスクを特定していますか?(例:プラントメンテナンスの際、コミュ ニケーション不足で請負業者との上下作業となり、飛来落下災害発生等)
1:十分に特定している 1:十分に特定している 1:十分に特定している 2:ある程度特定している 2:ある程度特定している 2:ある程度特定している 1:十分に特定している 1:十分に特定している
Q9
請負の選定手順はありますか? 1:ある 1:ある 2:ない 2:ない 2:ない 2:ない 2:ない 2:ない
Q10
請負へのリスク伝達手順はありますか? 1:ある 1:ある 1:ある 2:ない 2:ない 1:ある 1:ある 1:ある
Q11
労働安全衛生MSの認証を取得していますか(OHSAS 中小事業場労働安全衛 生評価事業(中央労働災害防止協会)等)
2:取得していない 2:取得していない 2:取得していない 2:取得していない 2:取得していない 2:取得していない 2:取得していない 2:取得していない
Q12
(Q10で「2:取得していない」を選択した鉱山に伺います)
今後取得することを検討しますか?
- 3:検討しない 2:今後検討するかもしれ
ない
3:検討しない 2:今後検討するかもしれ ない
3:検討しない 3:検討しない 2:今後検討するかもしれ ない