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都市下水生成量の推定モデル

第 3 章 世界の都市下水の生成量および処理量の推定

3.2. 材料および方法

3.2.3. 都市下水生成量の推定モデル

都市下水生成量を推定する因子には経済指標,都市人口および年間都市降水総量を使 用した.経済指標は以下の式を用いて算出した(UNDP, 2012).

経済指標( ) ( ) ( )

( ) ( ) (式2)

式 2 において,ln は自然対数を表し,GNI PPP は平均購買力平価を示す.190 および

76,470は,それぞれ1985~2010年までの平均購買力平価の最小値と最大値である.

表 13 各国の社会指標の引用元一覧

(CIESIN et al., 2011; FAO-AQUASTAT, 2012; FAOSTAT, 2013b; UNDE-PD, 2013; WB, 2013;

WHO-UNICEF-JMP, 2013; WHO, 2013)

人口

全人口,都市人口,農村人口,農業人口,非農 業人口,労働力人口の絶対数とそれぞれ全人口 に占める割合,都市人口と農村人口比

暫定都市下水生 /処 理 量 , 都 市 人 口 と GNI PPPの積

社会発展 HDI,GNI,GNI PPP,GDP,総都市面積,都 市発展係数,経済指標,地域

年 間 都 市 降 水総量 水資源

水資源賦存量(km3, m3 capita-1 yr-1),

降水量(mm, km3),実際の水資源量に占める 全産業界の取水割合(%)

衛生

改良衛生施設の利用人口と割合,地域の保健医 療従事者数,5 歳未満児の下痢疾患による死亡 者 数 , 健 康 に 対 す る 政 府 支 出 (US$ US$ capita-1,全政府支出に占める割合)

注:下線は処理量の推定にのみ使用した指標を示す。

略語はそれぞれ人間開発指数(HDI),国民像所得(GNI),国民総所得購買力平価

(GNI PPP),国民総生産(GDP)を表している.

年間都市降水総量はkm3で表され,以下のデータから式3により算出した.

年間都市降水総量( ) (式3)

式3において,APは年平均降水量(mm yr–1),Uは1990年における総都市面積(km2) を表し,10-6はmmからkmへの単位変換のための定数である.

本研究では,85か国の異なる年次の 169個のデータを使用した.得られた近似曲線はy

= 556.39x2.1738(r = 0.558; p< 0.013)で表された(図6).1人あたりの都市下水の生成量 は,式 2 で求めた経済指標(II)との関係性を示す近似曲線から推定した.都市下水の生 成量は,人口と経済状況だけではなく,水資源条件によっても増減するといわれている

(Jiménez and Asano, 2008b).そのため,経済状況と都市人口のみを考慮した年間の暫定 都市下水生成量(tmwwpest,km3)を式(4)から算出した:

(式4)

式4において,556.39および2.1738は得られた近似曲線の定数項であり(図7),IIは経 済指標を,Popuは都市人口,365 × 10–12はkm3 yr–1に単位変換するための定数である.

都市下水の生成量の推定値(MWWPest, km3 yr–1)は,重回帰分析によって求められた式 5を用いて計算した.

(式5)

式 5 において,1.069 および 0.082,0.016 は重回帰式の偏重回帰係数,tmwwpestは年間の 暫定都市下水生成量(式 4)を,AUP は年間都市降水総量(式 3)をそれぞれ示している.

なお,重回帰式(式 5)の決定係数(R2)は 0.897 であった.各説明変数の標準偏重回帰 係数は,年間都市降水総量で 0.58,年間の暫定都市下水の生成量で 0.40 であった.重回 帰式および全ての説明変数は有意(p<0.01)であった.

3

有意差検定は経済指標,一人あたりの都市下水生成量および処理量を対数変換した後,Peasonの相関係数(EXCEL統計,ver.

6.05a, Esumi Co., Ltd., Tokyo)を統計処理した.

図 6 都市下水生成量および経済指標との関係性

(n=178,曲線は近似曲線,r = 0.558**,p<0.01)

y = 556.39x2.1738

0 200 400 600 800 1000 1200 1400

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

1りの都市下水の生成量 (L d–1)

経済指標(II)