・ 関税庁では、これらの部門の実務と関連して積極的に日本の状況について知りたい。
・ AIPPI の紹介および調査研究の主旨、目的についての説明。
・ 質問事項の項目 1(1) について:関税法が通関手続について定める。関税法の中では、
知的財産権については、商標権と著作権についてのみ定めている。これに対して、司 法警察権は、すべての知的財産権について行使可能である。処罰については、別途各 法律の規定に従う。
・ 税関の取締り権限:税関には、①通関における取締り規制、②司法警察権の行使とし ての取締りの二つがある。①については、韓国において登録されている権利であるこ とが必要。また、税関に申請し登録をしておく。②は、税関公務員の有する司法警察 権に基づく権限行使である。これについては、登録されている権利であれば、税関に 対する登録はなくても取締り対象となる。
・ 知的財産権については属地主義が妥当する。そのため、あくまで国内法における権利 侵害のみを対象とする。外国の知的財産権侵害については判断しない。
・ 取締りの対象となる権利:間税法上通関規制の対象となっているのは、商標と著作権 のみ。司法警察権の行使には、すべての知的財産権が対象となる。
・ 不正競争防止法違反の取締り:近時、韓国の法改正で侵害の対象となった不正競争防 止法上のデッドコピーについては、通関取締規制の対象とはならないが、司法警察権 行使の対象とはなる。
・ 税関における登録制度:税関に対する、登録申告の制度が存在する。
・ 侵害者管理のためのブラックリスト:再犯者リストは存在する。しかし、公開はされ ていない。
・ 税関と裁判所手続きとの関係:権利者からの登録申告のある場合、商標権侵害のおそ れのある物品については、税関から輸出入申告事実通知を受けた後、 10 日以内に通 関保留要請を行う。この際、権利者は保留のために担保を提供する。侵害が認められ ると判断する場合、通関を保留し、権利者および輸入者に通知する。保留期間は、保 留通知から 10 日以内。権利者はこの保留期間内に裁判所に廃棄命令を得るための本 案訴訟を提起するのが通常。 本案提訴のある場合、 通関保留を継続できるからである。
この際、本案訴訟ではなく、仮処分を申請することも可能だが、 10 日以内に命令を 得るのは困難である。
・ 証拠保全に対する税関の取組み:税関では積極的に取組んでおり、権利者にサンプル を提供することも可能である。
・ 職権による取締り:司法警察権の行使として職権で通関を保留することも可能。
・ 税関内の権利侵害認定機関:税関内に、権利侵害を認定する機関や組織はない。権利 侵害のおそれのある物品について権利者の通関保留要請があれば、 それにしたがって 通関を保留する。その後、裁判所の判断にゆだねる。権利侵害が明白な場合、司法警 察権の行使として、通関を保留し、検察送致することも可能。
・ 没収後の処分:押収した物品は廃棄。競売はしない。保留物品については、2、 3 年
経過後、税関の判断により廃棄する。但し、裁判所の判断にゆだねる場合もある。
・ 税関の処分に対する異議申立制度:税関の判断に対する異議申立てについては、一般 の行政処分に対する不服申し立て制度が適用される。
・ 税関による調停手続:税関内に調停判断を行う機関はない。あくまで、裁判所の判断 にゆだねている。
・ 特許権・意匠権等の侵害疑義貨物の取締まり:特許や意匠については、税関の通関取 締り規制の対象ではない。司法警察権の行使としても、事実上できない。取締り能力 もないしそのケースもない。但し、取り調べるところまでは行うこともある。意匠権 については、年1、2件存在するが難しい。特許庁に問合せる場合もある。
・ 取締りにおける課題:税関固有の問題としては特にない。但し、1つに、税関では国 内における侵害物品の流通については取締まることができない。二つめに、犯罪構成 要件としての「故意」の立証は難しい。輸入者が侵害品であることを知らなかったと 主張する場合、それを崩すのは難しい。
・ 模倣品に対する取組み(政策) :韓国は米国から 301 条の知的財産権に関する優先監 視対象国として指定されており、韓国大統領は、知的財産侵害物についての取締り強 化を指示している。取締り専門班が、輸出入を月2回点検している。
・ 模倣品に対する取組み(国内法改正予定) :韓国は TRIPS 協定の要求を忠実に履行 している。大きな改正は予定されておらず、問題はないと思われる。
・ 模倣品に対する取組み ( 税関職員の研修・教育 ) 特許庁に国際特許研修部( IIPTI ) があり、関税庁から輸出入に関係する職員を派遣して、侵害品の識別や、有名商標、
知的財産権の意義などについて教育を受けている。また、関税庁として、外国から商 標権者を招聘してセミナーを行う等、海外実務者を招聘してセミナーを行っている。
また、関税庁として、ソウルやプサンで模倣品の展示会を行っている。関税庁のウェ ブ上にサイバー展示館が公開されている。
・ 模倣品に対する取組み ( 侵害情報のデータベース ) 模倣品等の侵害情報のデータベー スを有している。
・ 二国間での相互協力の有無:米国、 EU 、オーストラア、タイ等、その他 20 カ国と 協力関係を結んでいる。日本との協力関係はこれからである。
・ 自由貿易協定における税関取締規定:韓国はチリとの間で FTA を締結しているが、
TRIPS 協定を遵守するという規定があるのみである。日本との FTA の草案では、 IP
の保護について、日本から強力な保護を求められているという。
・ 米国からの要請の有無:関税庁に対する米国からの圧力は今のところない。但し、韓 国における著作権の保護について米国の圧力はある。
・ 欧州による協力・援助の有無:欧州とは協力関係を有している。
・ 多国間での取組み( WCO や ICPO 等) RILO ( WCO の地域情報連絡事務所)に職 員を派遣して情報を得ている。関税庁間では、中国、台湾、タイの大使館や領事館に 相互派遣して情報を取得している。
・ 麻薬や武器等の取締りにおける他の国との協力関係:麻薬や武器等の取締りに関して
は、国内による取締りだけでは不可能なので、国際会議等に積極的に出席して、相互
に協力を行うことが不可欠であると認識している。麻薬捜査については、日韓中で、
会議を開いてはどうかと考えている。
・ 経由品の規制:経由地である場合に取締りを行うこともあるが、特別な場合だけであ る。
・ 模倣品取締りに対する新しい枠組み:税関はモノのみを対象として扱い、ヒト(輸入 者、輸出者)がいないため、対応が難しいことが多い。国際間の協力が必要であり、
そのための議論をする仕組みを設けることが望ましい。
※ 税関から日本の税関の実務に関する質問票を受け取った。 AIPPI ・ JAPAN でも日本 の税関を訪問するかもしれないことを伝えた。韓国語資料を高栄洙氏に翻訳してもらい、
帰国後回答を作成し、送る予定であることを伝えた。
(3) 貿易委員会
日時 2004 年 8 月 19 日(木) 15 時~ 16 時 30 分
場所 貿易委員会( Unfair Trade Investigation Division )
相手 辛淇澤( SHIN, Ki-Taek ) (産業資源部貿易委員会輸出入調査課長)
KWAK, Sang-Hyun (産業資源部貿易委員会輸出入調査課長補佐)
<コーディネーター>
孫 京漢 (法務法人アラム代表 弁護士・弁理士、技術と法研究所副所長)
高 栄洙 ( Koh's Intellectual Property Institute(KIPI) ) 内容
・ 貿易委員会の業務は反ダンピング措置、相殺関税、セーフガード措置そして不公正貿 易の 4 つがある。知的財産に関するものは、不公正貿易行為に対するものとして実 施している。
・ 不公正貿易は、知的財産権侵害、原産地表示違反行為、輸出入の秩序を阻害する行為 について対象としている。
・ 不公正貿易行為調査及び産業被害救済に関する法律は、 知的財産に関する輸出入を目 的とした製造行為を禁止している。これは、すべての分野の知的財産権をカバーして いる。
・ 貿易委員会において、 知的財産権侵害の輸出入を目的とした製造行為について取調べ を行う。
・ 不正な貿易行為があれば誰でも調査申請が可能であり、 また職権でも調査を開始する ことができる。外国人も可能である。
・ 調査の申請がある場合には、 30 日以内に調査を開始するかどうかを決定する。調査 開始決定後 6 ヶ月以内の間調査し、侵害認定をすれば直ちに①課徴金や②是正措置 を命じる。
・ 課徴金は、違反した取引額の 100 分の 2 を超えない範囲とされているが、この額が 少ないことから、違反した取引額の 100 分の 30 まで引き上げられた( 2004 年 10 月 20 日施行) 。
・ 是正措置の内容は、当該物品等の輸出入、販売、製造行為の中止、搬入の排除および
廃棄処分、訂正広告、法違反事実の公表(言論、マスメディアへ公表を指示する)等
である。
ドキュメント内
本文: 外国知的財産制度に関する調査研究報告 | 経済産業省 特許庁
(ページ 79-115)