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第4章 ISO/JIS Q 10012 の企業内活用のための手引きと考察

付表 1 ガードバンドファクタ表

4.9 適正計量管理事業所への ISO/JIS Q 10012 規格適用の提案

4.9.1 ISO/JIS Q 10012 規格導入の提案

この章では、日本の産業及び経済の発展及び社会生活の向上に寄与することを目的に、

日本の計量法で定められている適正計量管理事業所制度に対し、国際規格であるISO/JIS Q

10012計測マネジメントシステムを導入すること提案する。

4.9.2 適正計量管理事業所制度とは

まず現行の制度である適正計量管理事業所 制度について説明する。適正計量管理事業所 制度とは、日本における計量制度の中で、自 主的、かつ適正に計量管理を行うことができ る事業所を都道府県知事が認定し、指定する 制度である。

「自主的、かつ適正に計量管理を行うことが できる事業所」とは、計量法第 127 条に定 められているとおり、1)特定計量器を使用 する、2)適正な計量管理を行う事業所である。ここに言う適正な計量管理とは計量法第 10 条で定められたとおり『正確にその物象の状態の量を計量する』ことができる体制があ るということである。

また、具体的な適正な計量管理の方法は、

①適正計量管理主任者が必要数いること、

②特定計量器を始め、その他計量器が定期 的に検査されていること、③計量器の管理 規程があること、それに基づいて④正しい 計測計量が自主的にされていることである。

これらは計量法施行規則第75条第3項に規 定されており、適正計量管理事業所には、適 正計量管理主任者を中心とした計量管理組 織の確立、および計量管理のルールを定める 計量管理規程を定め遵守することが要求さ れている。またその中で、正しい計測計量を 実施するために、計量専門家である計量士に よる指導・教育が義務づけられている。

また、これら計量管理の実施の記録は、計 量法上3年間の保管が義務づけられており、

特に特定計量器の定期検査の結果について は監督行政機関に対して年度報告をしなけ ればならない。また、監督行政機関は立ち 入り検査等により、指定された適正計量管 理事業所が適正に計量管理を実施し、正確 に物象の状態の量を計測・計量し顧客の期 待に応えているかを確認する。

計量法上の適正計量管理事業所と ISO/JIS

Q 10012 の要求事項には基本的な要求事項

について多くの共通点が見いだされる。な お、参考までにISO/JIS Q 9001品質マネジ メントの国際規格において測定に関する要 求事項の対比も示す。適正計量管理事業所 或いはISO/JIS Q 10012規格は、ISO/JIS Q 9001規格に比べてよりきめ細かな要求をし ており計量管理でしなければならないこと が明確になっている。

4.9.3 適正計量管理事業所制度の課題

日本の企業においては、適正計量管理事業所制度による基本的な計量管理の考え方のも とそれぞれの計測マネジメントシステムを構築し、それが日本のモノづくり品質を支えて きた。しかしながら、現行の適正計量管理事業所制度は、その前身である計量器使用事業 所制度の制定以来60年が経過し、以下の点において制度の見直しが求められている。

1) 国際間取引において適正計量管理事業所制度の知名度がなく、海外工場あるいは海外

取引先の適正な計量を確保するための取引条件として設定できない。また国内において適 正計量管理事業所の指定を受けてもそのメリットを海外顧客にアピールできない。また、

実際にISO10012規格の実施が海外顧客からの取引条件に入れられる場合がある。

2) 計量管理全般の管理レベルの向上のために設定された適正計量管理事業所制度が、運 用面で計量器の管理(特に特定計量器)のみに特化され、計量方法の改善等、本来行わな ければならない課題の解決に目が向けられていないために産業界の発展に寄与できていな い。

3) 適正計量管理事業所の指定のための実施必須項目が要求項目として明確になっておら ず、標準化できていないために(ISO規格においてはshall項目として標準化され、明確に なっている)、監督行政機関等の改善指導の内容にバラツキができる。

4.9.4 適正計量管理事業所制度の発展、展開

適正計量管理事業所制度とISO/JIS Q 10012規格の考え方には多くの共通点があり、日 本の適正計量管理事業所においては、計測マネジメントシステムの基礎はすでに構築され ている。日本の計量制度である適正計量管理事業所の指定条件にISO/JIS Q 10012規格を 導入することにより、以下の3つのことが可能になる。

① 正しい測定データを保証することにより企業のトータルな品質管理活動のグローバル 対応が可能となり、より大きくて確実なビジネス展開が可能となる。

② 計測方法の妥当性に目を向けることにより、測定データの信頼性が向上しより効率の良 い経営が可能になる。

③ ISO/JIS Q 10012規格の要求項目の実施に対する監査、監視により、企業が公表する測

定データの透明性が増し消費者、顧客に安心・安全を与えることができる。

4.9.5 適正計量管理事業所制度の発展、展開

ISO/JIS Q 10012規格はもともと製造業を年と念頭において作られた規格であるが、こ

の要求事項の多くのものが、流通業にも適用可能である。(次節事例、『計測管理国際規格 と百貨店の計量管理』参照)正しい計測・計量をするためにはプロセスの管理が重要であ ることは製造業も流通業も同じで、より進んだ計量管理マネジメントが可能となることに より、企業の品質、環境データの信頼性を増すことができ、顧客満足および消費者保護に つながる。従ってISO/JIS Q 10012規格を現行の適正計量管理事業所制度の指定要件に導 入することは、企業に無理な負担を強いることなく、日本の産業及び経済の発展及び社会 生活の向上に貢献するものとなる。

4.10 計測管理国際規格(ISO)と百貨店の計量管理

本資料は、平成23年11月25日に名古屋市主催により、名古屋市中区栄1丁目23-13伏見ライ フプラザ12階第一研修室で、百貨店、スーパーの計量管理担当者を対象に行われた『計量管理研修会』

の講義内容を記載するものであり、流通部門においてISO10012計測マネジメントシステムがどう適用 されるかを解説したものである。

本日は、計測管理の国際規格(ISO)と百貨店の計 量管理ということでお話しをいたします。本年5 月20日に ISO10012 計測マネジメントシステム 規格が新たに JIS として誕生いたしました。ISO とはなにか?国際的レベルの計量管理とはなに か?を説明いたします。ISO10012規格はもともと 製造業を対象として作られた規格ではあります が、みなさんの日頃の業務にも役に立つ規格です のでご紹介いたします。

まず、ISO 規格と何かということですが、ここに ありますように International Organization for Standardizationの略称です。本部はスイスのジュ ネーブにあり、世界中のどこでも共通の業務がで きるようにと考えられたものです。

例えば単位はこのISOによって統一されており、

みなさんが日頃お使いになっているkgとかgある いはm、cmなどはこの規格に基づいて決められて います。

この地図にありますように、世界中のほとんどの 国がこの組織に加盟しており、世界中どこでも仕 事のやり方が同じようにできるようにと考えられ たのがISO規格なのです。

現在、国際化が進んでおり、食品の売り場にもチ リ沖産あるいはインド洋からの魚介類、オースト ラリアの牛肉、アメリカ産のチェリーなど世界中 からの商品が売り場に並べられ売られる時代にな りました。

工業製品もタイで作られた車や部品が日本に輸入 されたり、中国で作られた電気製品が店頭に並べ られたりしているというのは御存知のとおりで す。

このようなことができるのはすべて標準化されて いるおかげなのです。

みなさんも日頃ISOと表記した看板を町でよく見 かけると思います。

ここにありますのは、左上からISO9001品質マネ ジメントのISO、その下がISO14001 環境マネジ メントの ISO そして、右上が食品安全管理の

ISO22000です。食品流通の世界では、お馴染みの

ものがあるのではないかと思います。

今回これに加えて ISO10012 計測マネジメントの 国際規格が日本の規格 JIS として誕生したわけな のです。

なぜ計測・計量のISOが必要なのでしょうか?

前のスライドのいろいろなISO規格はすべて測定 データに基づいて運用されています。もしこの測 定データに誤りがあったり、ごまかしがあったり したらどうでしょう。すべての管理が間違った方 向へ進んでしまいます。

つまり ISO10012 は品質、環境、食品衛生などの

規格の運用を下支えする大事な規格なのです。

さて正しい計量が確実にされているでしょうか?

残念ながらそうではありません。ここに面白い記 事を見つけたので紹介したいと思います。

これは今年の夏に週刊『女性自身』が調査したと いうお話で、居酒屋さんのジョッキで出されるビ ールの量を計量カップで真面目に測ってみたそう です。

題して『居酒屋のビール、中と小の量は同じか?』

という実験です。

その結果、居酒屋Aでは確かに中ジョッキのビー ルの量は、小ジョッキのビールの量より多かった のですが、その中ジョッキのビールの量は、他の お店の小ジョッキの量とほぼ同じで、瓶ビール中

ビン500mlにはおよばず、小ジョッキは正確に言

えば極小ジョッキというべき内容量だったそうで す。

また別の居酒屋Bでは、小ジョッキの量が中ジョ ッキの量を上回っており、逆転現象が生じていま した。