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第 5 章 ISO/JIS Q 10012 の企業内活用事例

5.3 計量確認と測定プロセスの実現の実例

図 2 ハンマリング用ハンマ 図 3 例:エンジンブロックのハンマリング

2.計測工程の設計

振動伝達計測の設計において、部品の共振振動を計測する工程を設計した。

1)P-① 計量要求事項

計量要求事項は、”部品の共振振動をしりたい(みえる化したい)”

が設計要求事項であることから、”振動をみえる化したい”を顧客の計量要求事項とし た。

2)P-②パフォーマンス特性の定量化

振動伝達特性の設計要求は、共振が分かるレベル(再現性を含む)とするから、±10dB 以内であること(振動専門部署にヒアリング)とした。

3)P-③リスクに相当した管理限界設定

共振再現性±10dBを正しく測るために、1/3以内の±3dB以内(少数点切捨を振動特 性測定装置の管理限界とした。

4)P-④誤測定時の是正処置

誤測定時の影響を小さくするために、振動伝達測定は、10回の平均値とした。

5)P-⑤測定プロセスの仕様書

部品の振動伝達測定装置の仕様を以下とした。

・振動伝達測定を簡便に測れること

・振動測定周波数帯域:100Hz~15kHz

・振動測定加速度範囲:0.01~5000m/s2

・精度:±3dB

・周波数特性測定装置:FFT演算できるもの

・測定値:10回の平均値

・測定環境条件:温度20~30℃、振動少なきこと

振動伝達を測定する方法としては、一般的に広く用いられるハンマリングを選定した。

①周波数測定装置(FFT解析パソコン)

②振動伝達装置(インパルスハンマリングセット)

③加速度計(アンプ付)

3.測定プロセスの実施 1)P-⑥制御条件下での実施

条件下で測定を実施した結果、以下の測定結果を得た。

・測定バラツキ:3.56dB(1σ)

4.妥当性の評価

1)P-⑦計測能力の確認

実施結果より、現在の振動特性評価装置の測定の不確かさを算出(表1)した。

表 1 現状の測定の不確かさバジェットシート

バジェットシートの結果を解析し、分かったことを以下(図 4)に示す。

図 4 バラツキ大の特性要因の解析

①振動のバラツキは、加振力のバラツキ(位置・打撃力)の影響が寄与

②加振出力が、オーバーロードするときがある。

5.改善

1)P-⑧計測工程の改善

(現状)①振動のバラツキが大きいのは、与える振動力のバラツキの影響が大きい ②アンプの出力飽和は、過大入力時の影響が大きい。

(検討)①ハンマリングは、人の手による打撃であることから、作業者のカンコツに 依存していることから、人に頼らない加振方法を検討した。

②打撃力のバラツキに関係なく安定した出力を得る方法を検討した。

(改善)①ハンマを機械的により加振力を与える機構に改良し、打撃箇所のバラツキ を抑制し、ダブルハンマリングを防ぐ構造とする。

②オーバーロードを防ぐためのオートレンジ測定とする測定系の精度を向上 する。

6.再測定プロセスの実施と妥当性の評価と標準化 1)P-⑥制御条件下での実施

条件下で測定を実施した結果、以下の測定結果を得た。

・測定バラツキ:1.19dB(1σ)

2)P-⑦計測能力の確認

改善後の振動特性評価装置の測定の不確かさを算出(表 2)した。

表 2 改善後の測定の不確かさバジェットシート

【結果】 装置の管理限界 ±3.0 dB > 装置の不確かさ ±2.6 dB

以上のことから、本装置の計測能力は有ると判断し、振動伝達測定評価装置の標準仕様

(P-⑨記録・標準化)とした。

なお、計量確認である測定機器の校正結果の確認と検証については、計量計測器の正確差 の維持にあたり、通常、当たり前に行われていることなので、説明を省略する。

終わりに

ISO10012 計測マネジメントシステムは、従来から日本の計量関係者が推進してきた計

量管理そのものである。グローバル社会を迎えた現在における、まさに計量計測管理のあ るべき姿である。「計測が品質を造り・改善する」モノづくりを支える日本の計量計測管理 を、世界の先頭に立って推進していけるように積極的に活動していくためには,これまで 先人の先輩達が行われてきたことを“愚直に・地道に・徹底的に”やることであると痛感し ている。明治維新以後、日本はモノづくりを通じて革新的に産業を発展させて現在に至っ ている。これまでに、日本が作り上げてきたものを見れば、疑う余地はない。

日本人の国民性上、計量計測管理を表舞台に立たせることはあまりないが、日本のモノづ くりを支えてきた、そして、現在も支えているのは、計量・計測管理(図 5)そのもので あることは間違いないと確信している。

図 5 計量管理の木