6 空力モデル
6.6 運動方程式の積分時における慣性力変形効果の取り扱い
表 8 空力データの適用範囲と補外方法(第 2 回落下試験)
適用範囲 補外方法
𝐻𝐻 𝑅𝑅 𝐻𝐻 𝑅𝑅 = 0~1.7 𝐻𝐻 𝑅𝑅 = 0.2 以下の領域は 𝐻𝐻 𝑅𝑅 = 0.2 , 𝐻𝐻 𝑅𝑅 = 1.8 以 上の領域は 𝐻𝐻 𝑅𝑅 = 1.8 のデータで端点保持.
𝛼𝛼 𝑅𝑅 𝛼𝛼 𝑅𝑅 = −10 ∘ ~+15 ∘
適用範囲下限以下の領域は 𝛼𝛼 𝑅𝑅 = −10 ∘ のデー タを端点保持.適用範囲上限以上の領域は 𝛼𝛼 𝑅𝑅 = 15 ∘ のデータを端点保持.
𝛽𝛽 𝑅𝑅 𝛽𝛽 𝑅𝑅 = −10 ∘ ~+10 ∘
𝛽𝛽 𝑅𝑅 = −5 ∘ 以下の領域は 𝛽𝛽 𝑅𝑅 = −10 ∘ まで線形補 外し,それ以下は 𝛽𝛽 𝑅𝑅 = −10 ∘ のデータを端点保 持. 𝛽𝛽 𝑅𝑅 = 5 ∘ 以上の領域は 𝛽𝛽 𝑅𝑅 = 10 ∘ まで線形補 外し,それ以上は 𝛽𝛽 𝑅𝑅 = 10 ∘ のデータを端点保 持.
𝛿𝛿 𝑥𝑥 ′ , 𝛿𝛿 𝑛𝑛 ′ , 𝛿𝛿 𝑟𝑟 𝛿𝛿 𝑥𝑥 ′ , 𝛿𝛿 𝑛𝑛 ′ , 𝛿𝛿 𝑟𝑟 = − 20 ∘ ~+ 20 ∘
𝛿𝛿 𝑥𝑥 ′ , 𝛿𝛿 𝑟𝑟 は適用範囲上下限までデータが定義され ており,舵面機構上適用範囲を超えて動作し ないので補外は行わない. 𝛿𝛿 𝑛𝑛 ′ は 𝛿𝛿 𝑛𝑛 ′ = − 10 ∘ 以下 の領域は適用範囲下限まで線形補外, 𝛿𝛿 𝑛𝑛 ′ = 10 ∘ 以上の領域は適用範囲上限まで線形補外
𝑞𝑞� 𝑅𝑅 𝑞𝑞� 𝑅𝑅 = 0~80 kPa
𝑞𝑞� 𝑅𝑅 = 60 kPa 以上の領域は適用範囲上限まで 線形補外,それ以上は適用範囲上限のデータ を端点保持.
𝐴𝐴 𝑍𝑍 𝑠𝑠𝑠𝑠 𝐴𝐴 𝑍𝑍 𝑠𝑠𝑠𝑠 = − 44.13~+44.13 m/s 2
𝐴𝐴 𝑠𝑠𝑠𝑠 𝑍𝑍 = −40 m/s 2 以下の領域は適用範囲下限ま
で線形補外,それ以下は適用範囲下限のデー
タを端点保持. 𝐴𝐴 𝑍𝑍 𝑠𝑠𝑠𝑠 = 40 m/s 2 以上の領域は適
用範囲上限まで線形補外,それ以上は適用範
囲上限のデータを端点保持.
た閾値よりも大きい場合には, 𝐴𝐴 𝑠𝑠𝑠𝑠 𝑧𝑧𝑧 を 𝐴𝐴 𝑧𝑧 𝑠𝑠𝑠𝑠 に置き換えてから再度式(45)により 𝐴𝐴 𝑧𝑧 𝑠𝑠𝑠𝑠 を求め,閾 値を下回るまでこの手順を繰り返す.なお誘導制御則の設計・評価に使用した飛行シミュ レーションプログラムでは閾値を 1.0×10 -3 m/s 2 に設定した.
6.7 各種空力誤差の相関
6.2 節で述べたように,第 2 回落下試験時の空力誤差モデルでは縦 3 分力の基本特性誤差
Δ𝐶𝐶 𝐿𝐿𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 , Δ𝐶𝐶 𝐷𝐷𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 , Δ𝐶𝐶 𝑥𝑥𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 および横・方向系のラダーの舵効き誤差 Δ𝐶𝐶 𝑛𝑛𝑟𝑟 , Δ𝐶𝐶 𝑠𝑠𝑟𝑟 については相関
を考慮して誤差値を決定する必要がある.これらの空力誤差の相関行列のデータを表 9 と 表 10 にまとめる.相関を有する誤差の設定方法は A.1.3 節を参照のこと.
表 9 縦 3 分力の基本特性誤差の相関行列
Δ𝐶𝐶 𝐿𝐿𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 Δ𝐶𝐶 𝐷𝐷𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 Δ𝐶𝐶 𝑥𝑥𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠
Δ𝐶𝐶 𝐿𝐿𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 1 0.6 −0.83
Δ𝐶𝐶 𝐷𝐷𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 0.6 1 −0.5
Δ𝐶𝐶 𝑥𝑥𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 −0.83 −0.5 1
表 10 横・方向系のラダーの舵効き誤差の相関行列
Δ𝐶𝐶 𝑛𝑛𝑟𝑟 Δ𝐶𝐶 𝑠𝑠𝑟𝑟
Δ𝐶𝐶 𝑛𝑛𝑟𝑟 1 −0.9
Δ𝐶𝐶 𝑠𝑠𝑟𝑟 −0.9 1
6.8 傾斜誤差の取り扱いについて
6.2 節で示したように,第 2 回落下試験時の空力誤差モデルには傾斜誤差である Δ𝐶𝐶 𝐿𝐿𝑥𝑥 , Δ𝐶𝐶 𝑥𝑥𝑥𝑥 , Δ𝐶𝐶 𝑌𝑌𝑥𝑥 , Δ𝐶𝐶 𝑠𝑠𝑥𝑥 , Δ𝐶𝐶 𝑛𝑛𝑥𝑥 が考慮されている. 𝛼𝛼 𝑅𝑅 , 𝛽𝛽 𝑅𝑅 に関する傾斜誤差は式 (55) および式 (57) から式 (60) に示されている通り
Δ𝐶𝐶 𝑥𝑥𝑥𝑥 (𝐻𝐻 𝑅𝑅 ) × (𝛼𝛼 𝑅𝑅 − 𝛼𝛼 𝑧 𝑅𝑅 ) exp �− (𝛼𝛼 𝑅𝑅 − 𝛼𝛼 𝑧 𝑅𝑅 ) 2
2𝜎𝜎 𝑧 2 � (72)
Δ𝐶𝐶 𝑥𝑥𝑥𝑥 (𝐻𝐻 𝑅𝑅 ) × 𝛽𝛽 𝑅𝑅 (73)
の形で与えられる( 𝑥𝑥 = 𝐿𝐿, 𝑚𝑚, 𝑌𝑌, 𝑙𝑙, 𝑛𝑛 ). 𝛽𝛽 𝑅𝑅 は姿勢制御により飛行中の全区間を通して 𝛽𝛽 𝑅𝑅 = 0 の
近傍にあるため, Δ𝐶𝐶 𝑥𝑥𝑥𝑥 は 𝛽𝛽 𝑅𝑅 = 0 を中心として Δ𝐶𝐶 𝑥𝑥𝑥𝑥 (𝐻𝐻 𝑅𝑅 ) だけ 𝐶𝐶 𝑌𝑌 , 𝐶𝐶 𝑠𝑠 , 𝐶𝐶 𝑛𝑛 を回転させるような式
(73) のモデル化を行った.ただし Δ𝐶𝐶 𝑥𝑥𝑥𝑥 に関しては飛行フェーズ毎に基準となる 𝛼𝛼 𝑅𝑅 は変化す
ることから, 𝛽𝛽 𝑅𝑅 と同様なモデル化により傾斜誤差を定義すると基準迎角から離れたところ
で過大な誤差を生じてしまう.そこで文献 [4] を参考にして 𝛼𝛼 𝑅𝑅 = 𝛼𝛼 𝑧 𝑅𝑅 において Δ𝐶𝐶 𝑥𝑥𝑥𝑥 (𝐻𝐻 𝑅𝑅 ) だけ
𝐶𝐶 𝐿𝐿 , 𝐶𝐶 𝑥𝑥 の傾きを変化させ, 𝛼𝛼 𝑅𝑅 = 𝛼𝛼 𝑧 𝑅𝑅 を中心とした標準偏差 𝜎𝜎 𝑧 の正規分布の形で傾斜が減少し
ていくような式 (72) のモデル化を行った.このモデルは 𝛼𝛼 𝑧 𝑅𝑅 から離れるほどノミナルの傾斜に
漸近するようなモデルであり, 𝜎𝜎 𝑧 がその漸近挙動を支配するパラメータである.図 14 は
た閾値よりも大きい場合には, 𝐴𝐴 𝑧𝑧𝑧 𝑠𝑠𝑠𝑠 を 𝐴𝐴 𝑠𝑠𝑠𝑠 𝑧𝑧 に置き換えてから再度式(45)により 𝐴𝐴 𝑧𝑧 𝑠𝑠𝑠𝑠 を求め,閾 値を下回るまでこの手順を繰り返す.なお誘導制御則の設計・評価に使用した飛行シミュ レーションプログラムでは閾値を 1.0×10 -3 m/s 2 に設定した.
6.7 各種空力誤差の相関
6.2 節で述べたように,第 2 回落下試験時の空力誤差モデルでは縦 3 分力の基本特性誤差
Δ𝐶𝐶 𝐿𝐿𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 , Δ𝐶𝐶 𝐷𝐷𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 , Δ𝐶𝐶 𝑥𝑥𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 および横・方向系のラダーの舵効き誤差 Δ𝐶𝐶 𝑛𝑛𝑟𝑟 , Δ𝐶𝐶 𝑠𝑠𝑟𝑟 については相関
を考慮して誤差値を決定する必要がある.これらの空力誤差の相関行列のデータを表 9 と 表 10 にまとめる.相関を有する誤差の設定方法は A.1.3 節を参照のこと.
表 9 縦 3 分力の基本特性誤差の相関行列
Δ𝐶𝐶 𝐿𝐿𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 Δ𝐶𝐶 𝐷𝐷𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 Δ𝐶𝐶 𝑥𝑥𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠
Δ𝐶𝐶 𝐿𝐿𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 1 0.6 −0.83
Δ𝐶𝐶 𝐷𝐷𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 0.6 1 −0.5
Δ𝐶𝐶 𝑥𝑥𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 −0.83 −0.5 1
表 10 横・方向系のラダーの舵効き誤差の相関行列
Δ𝐶𝐶 𝑛𝑛𝑟𝑟 Δ𝐶𝐶 𝑠𝑠𝑟𝑟
Δ𝐶𝐶 𝑛𝑛𝑟𝑟 1 −0.9
Δ𝐶𝐶 𝑠𝑠𝑟𝑟 −0.9 1
6.8 傾斜誤差の取り扱いについて
6.2 節で示したように,第 2 回落下試験時の空力誤差モデルには傾斜誤差である Δ𝐶𝐶 𝐿𝐿𝑥𝑥 , Δ𝐶𝐶 𝑥𝑥𝑥𝑥 , Δ𝐶𝐶 𝑌𝑌𝑥𝑥 , Δ𝐶𝐶 𝑠𝑠𝑥𝑥 , Δ𝐶𝐶 𝑛𝑛𝑥𝑥 が考慮されている. 𝛼𝛼 𝑅𝑅 , 𝛽𝛽 𝑅𝑅 に関する傾斜誤差は式 (55) および式 (57) から式 (60) に示されている通り
Δ𝐶𝐶 𝑥𝑥𝑥𝑥 (𝐻𝐻 𝑅𝑅 ) × (𝛼𝛼 𝑅𝑅 − 𝛼𝛼 𝑧 𝑅𝑅 ) exp �− (𝛼𝛼 𝑅𝑅 − 𝛼𝛼 𝑧 𝑅𝑅 ) 2
2𝜎𝜎 𝑧 2 � (72)
Δ𝐶𝐶 𝑥𝑥𝑥𝑥 (𝐻𝐻 𝑅𝑅 ) × 𝛽𝛽 𝑅𝑅 (73) の形で与えられる( 𝑥𝑥 = 𝐿𝐿, 𝑚𝑚, 𝑌𝑌, 𝑙𝑙, 𝑛𝑛 ). 𝛽𝛽 𝑅𝑅 は姿勢制御により飛行中の全区間を通して 𝛽𝛽 𝑅𝑅 = 0 の 近傍にあるため, Δ𝐶𝐶 𝑥𝑥𝑥𝑥 は 𝛽𝛽 𝑅𝑅 = 0 を中心として Δ𝐶𝐶 𝑥𝑥𝑥𝑥 (𝐻𝐻 𝑅𝑅 ) だけ 𝐶𝐶 𝑌𝑌 , 𝐶𝐶 𝑠𝑠 , 𝐶𝐶 𝑛𝑛 を回転させるような式 (73) のモデル化を行った.ただし Δ𝐶𝐶 𝑥𝑥𝑥𝑥 に関しては飛行フェーズ毎に基準となる 𝛼𝛼 𝑅𝑅 は変化す ることから, 𝛽𝛽 𝑅𝑅 と同様なモデル化により傾斜誤差を定義すると基準迎角から離れたところ で過大な誤差を生じてしまう.そこで文献 [4] を参考にして 𝛼𝛼 𝑅𝑅 = 𝛼𝛼 𝑧 𝑅𝑅 において Δ𝐶𝐶 𝑥𝑥𝑥𝑥 (𝐻𝐻 𝑅𝑅 ) だけ 𝐶𝐶 𝐿𝐿 , 𝐶𝐶 𝑥𝑥 の傾きを変化させ, 𝛼𝛼 𝑅𝑅 = 𝛼𝛼 𝑧 𝑅𝑅 を中心とした標準偏差 𝜎𝜎 𝑧 の正規分布の形で傾斜が減少し ていくような式 (72) のモデル化を行った.このモデルは 𝛼𝛼 𝑧 𝑅𝑅 から離れるほどノミナルの傾斜に 漸近するようなモデルであり, 𝜎𝜎 𝑧 がその漸近挙動を支配するパラメータである.図 14 は
�� �� �� � � を例に式 (72) のモデルを図示したものであるが, � � が大きいほど � � � から離れても ノミナルの傾斜からの誤差の影響が残りやすいことがわかる.ただし,図 14 では誤差の影 響を分かりやすくするために, �� �� �� � � の値を 10 倍にして描画している. � � � � � � は一様分 布の誤差とし, D-SEND#2 の全フェーズでの飛行パターンを参考にその幅をそれぞれ
� � � � �0 ∘ ,10 ∘ � , � � � �1 ∘ ,4 ∘ � に設定した.
傾斜誤差の値はマッハ数のみをパラメータとしたモデルになっているが,たとえば姿勢 制御の安定性に大きな影響を与える �� �� のモデル化については以下の問題点が指摘されて いる.デルタ翼の �� �� は後退角の影響によって左右の主翼に揚力差が生じることで発生する.
そのためゼロ揚力迎角では �� �� は発生せず, � � � が大きくなるほど揚力差が生じるはずであ る.そのためゼロ揚力迎角から離れるほど誤差が大きくなるように, � � もパラメータとし て考慮すべきである.ただし平板翼ではゼロ揚力迎角で �� �� は発生しないが, S3CM はゼ ロ揚力迎角でも主翼上では局所的に揚力を発生してキャンセルし合って結果的にゼロ揚力 になっているため,必ずしもゼロ揚力迎角を基準とすることはできない. �� �� の適切なモデ ル化については引き続き空力的観点からの検討が望まれる.
図 14 迎角に関する傾斜誤差のモデル化( � ������ と �� �� のみ考慮, � � � 1.2 )
-10 -5 0 5 10 15
-0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8
[deg]
C
L-10 -5 0 5 10 15
-0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8
[deg]
C
LCL
誤差なし CL
誤差あり
0=5[deg]
0=3[deg]
0=5[deg]
0=1[deg]