る 。
今次の漁業交渉も 3 ソ連側の強硬論に押されて,日本側は受け身に立たさ れた。ソ連側としては,今後もますます日本に対する規制を強化して,ソ連
側の漁獲量を増大させようと圧力をかけてくるであろう。ソ連は新 5ヵ年計 凶で,
1970年には総漁獲量を
900万トンまで増大させ,世界一の漁獲高を狙 おうとしている。ソ連側の強硬態度の裏には,このような自国の経済発展政 策の遂行がかけられている事を忘れてはなるまい。
‑335‑ 一( 81)ー
シベリア開発(4月〉
。シベリアおよび極東開発の投資削減
第23回党大会においておこなわれた演説の中で,極東地域やシベリアにおける建設 の問題点を取りあげて論じたものが若干あった。例えば沿海地方第一書記チェノレヌイ シェフは要旨次のように述べた。(1日付日誌参照)
「沿海地方では船舶修理設備と港湾施設が立おくれている。また年間100万トン の石炭を他地域から搬入しているが,これは沿海地方産の石炭より高価で,しかも 劣品質である。ゴスプランは沿海地方の石炭産業の発展に努力してくれない。
また,イマン河とウスリー河の氾濫で年々深刻な被害を蒙っているが,これを解 決して,発電と濯慨に利用すべきである。
沿海地方には干拓して水田稲作の可能な沼沢が100万ヘクタールもあるのだ
J
またロシア共和国ゴスプラン議長ゲラシーモフは4月7日の大会で次のように述べ た。
「東部諸地域に対する投資額は共和国全体の30%である。しかし,新しい5ヵ年 計画のなかで,ソ連邦ゴスプランは政府の予定した一連の企業の実現を計画してい ない。例えばサハリンと大陸との聞のガスパイプライン,コムソモリスク ・ナ・ア ムーレの窒素肥料工場,ハバロフスクのセノレロ}ズ・製紙コンビナートの建設など を計画に入れていなし、し,ライチハとピキンの両炭田の稼動その他一連の建設も予 定に組んでいない。その上,住宅や文化・サービス関係の建設も計画されていない。
ゴスプランはこれらの問題をもう一度再検討して,以前に採択された決定を実行に 移すべきである。そして東部諸地域では全国平均よりも高いテンポで建設をすすめ
るという指令草案を実現させるべきである。
J
これらの内容をみると,北樺太のオハ油田からコムソモリスクを結ぶガスパイプラ インは新5ヵ年計画に入っておらず, またコムソモリスクの肥料工場も予定に組まれ ていない事が判明しよう。北樺太天然ガス問題でソ連が日本に協力を要望しているの は,一面では,極東におけるこのような投資削減に結びついているのである。今年の コムニスト,No.5に掲載されたシベリア科学アカデミー支部の経済学博士B・オノレ ロフの論文でもこの点が指摘されている(後記の資料参照)。実際のところクレムリン の指導者達も, ゴスプランの立案者達も,広大な国土と膨大な産業各部門に対して,
どのように資金,資材をわりふるべきか,深刻な苦悩を味わっているのではなかろう か。
。北樺太天然ガス交渉
一(82)一 ‑336‑
シベリア開発(4月〉 丸紅飯田グ、ノレープは目下モスクワにおいて北樺太の天然ガス問題を交渉中である が,このほど次のような点が明らかになった。
ソ連の計画によると北樺太のオハから年間,①20{意maをパイプラインで南樺太の真 岡〈ネベリスク〉まで圧送し,そこから液化して新潟港へ運ぶ,②同じく20億msをノ、 パロフスク地方のコムソモリスク・ナ ・アムーレまで800kmをパイプラインで圧送し,
そこに日産3000トン級の肥料工場をつく って尿素や硫安を製造するーーというもの で, 日本に対しては2億ドノレ相当の開発資材と技術の提供および6000万ドル相当の消 費物資を求めており, その代金は天然ガスと共にコムソモリスクで生産される肥料を 全量日本で引取るととを要求してきているという。 しかし日本としては尿素,硫安と もに園内供給過剰の傾向にあり, 市況も弱ふくみであるため,日産3000トンものソ連 製肥料を引取ることは不可能であり,交渉は暗礁に乗り上げた形になっている。
φ3
商社の沿岸貿易交渉妥結丸紅飯田, 日本海貿易,進展実業3社と,全ソ極東貿易事務所〈ダリイントノレグ、〉
の問で, 4月上旬以来おこなわれていた商談は21日にまとまった。ダリイントルグ、の パジンスキー所長代理は, これについて次のように語ったという。 「本年度の両国間 の沿岸貿易は契約の75%がすでに達成された。極東地域の日本向け輸出製品はワクを 広げており,本年度, 当事務所から輸出されるものには,針葉樹の種,キャビア,薬 草,大理石などがあるJ
⑫日ソ領事条約実質合意
4月11日の記者会見で下回外務事務次官は 「日ソ領事条約の交渉は実質的な合意に 達したので, 2〜3日中に妥結するだろう。政府はグロムイコ・ソ連外相に調印のた め来日するように,近く正式の招請状を造ることになろう」と語った。もし,この条 約が調印されたあかつきには,政府は既定方針どおり,来春からナホトカに日本総領 事館を開設する計画である。
φ
リーベルマン教授,再び問題提起4月24日付の KomsomoliskαifaPravda紙は,ハリコフ大学教授リーベ/レマン氏と のインタビュー記事を掲載した。その内容は次のようなものであった。
1. ソ連邦が今,直面しつつある経済改革は客観的な経済法則の要求に添ったも のである。しかし,付随する問題が沢山あるので,段階的な形で導入してゆかねば
‑337‑ ‑( 83)ー
シベリア開発(4月〉 ならない。
2. 消費物資の生産が充分とはいえないので,労働者の賃金を急に引上げても,
買うべき物資がないのが実情である。しかし,消費物資が豊富に出まわるようにな った時には,工場は非能率な労働者を整理して,有能な少数の労働者に高賃金を文 払うようにすべきである。
3. 中央集権化されすぎた機構のもとでは,例えば,ひとつのナットやボルトの 類にいたるまで,蓬かな上層部の指令で支給されることになっている。このような 煩わしいやり方を止めるならば,中央部の計画は国民経済の発展に歩調を合わせて,
技術政策や価格体系,財政等の諸問題に努力を集中することができょう。
4. 例えば,モスクワのある自動車工場では,近くのボーノレ・ベアリング工場か ら製品を入手するのに, 14の手続き過程を通った上,商工場の代表が会談して,ょ うやく品質と量を決定しているが,このようなわずらわしい中間の過程を省き,直 接企業から企業へ注文する方法をひらくべきである。 (以下略〉
φ
ソ連外相のイタリア訪問グロムイコ ・ソ連外相は21日からイタリアを訪問し, 23日までファンファーニ外相 と会談したあと, 27日ローマ法王パウロ 6世とも接見した。これは,ソ連とイタリア との貿易拡大の機運を促進する目的の外に, カトリックとの板ばさみで最近伸び悩ん でいるイタリア共産党に対して,間接的なテコ入れをする意味も含まれていると推測
される。
また27日ローマでおこなわれた記者会見でグ外相は全ヨーロッバ会議を提唱した が, この全ヨーロッパ会議がもし開催されるようになれば,東西双方に相当な影響を 与えよう。現在のところ,東西融和のムードは高まりつつあるが,各国間の具体的な 問題の調整は殆んど出来ていない状態であるから, もし,軽卒に会議を招集すれば決 裂は必至であり, その結果,東側ではワノレシャワ機構の強化という逆効果を招くであ ろうと予想される。そのため,との全ヨーロッバ会議案には,東欧各国は微妙な表情 を示している。西側諸国もフランスを除き,おおむね冷淡な態度を示している。
φ
ソ連邦銀行,スイスに設置かソ連の金融当局は最近スイスの銀行委員会に銀行開設の申請を提出したと伝えられ る。この銀行の資本金払い込みは多分,ソ連邦ゴスパンク(国立銀行)もしくはソ連 邦外国貿易銀行によって行なわれるものと推測されている。もともと永世中立国のス
一( 84)ー ‑338ー
シベリア開発(4月〉 イスには為替管理がなく,世界各国から逃避してくる外国資本の安全な かくれ家
となっているが,最近スイス政府がインフレ抑圧のため,外国人によるスイス有価証 券の取得を原則的に禁止したので, スイスに逃避している外資は適当な投資の対象を 失ないかけていた。 ソ連はこれに目をつけ,スイス市場でソ連産の金を有利な条件で 売ることを狙ったものと考えられる。 しかも,スイスでは取引上の秘密は厳重に守ら れる立前になっているので,その点もソ連にとっては魅力であろう。
ソ連は主として極東のチュコトカ民族管区などで採金企業を営んでいるが, 余りに 僻遠の不便な地域のため, コストがかさみ, 1オンス166ドノレ前後という国際価格の 5倍の高さにも達しているといわれる。それゆえ,少しでも有利な条件で金を売却し たいのは当然のことであろう。一方,外資や金売買の取扱い手数料の収入で潤おって いるスイスの当局が,ソ連に銀立設立をみとめるのは,ほぼ確実とみられている。
φ
ソ連トロール船団,大幅増強か水産庁筋によると, 最近,ソ連の大規模なトローノレ船団が米国西海岸のオレゴン州 ニューポートの沖合約60キロの地点に現われ, めぬけ,おひょう,たらなどを漁獲し ていると伝えられる。 ソ連は新5ヵ年計画で漁獲量を850〜890万トンに増大させる計 画をたてているがp これには国内における農業不振を漁業によってカバーしようとす る狙いも含まれている。 とくに,極東海域における漁獲高はソ連全量の約35%を占め ており, 今後ますます極東地域でのソ連大規模トローノレ船団の進出は促進されよう。
すでに, サンマ漁のトローノレ船団が, 三陸沖から銚子沖まで出現して,日本漁民の不 安をかきたてた前例もあり, この傾向は今後強まるばかりであろう。ソ連側も,この ような膨張によって,各国の風当りが強くなる事は承知しており,そのため,①国際 的条約などに進んで参加する, ②資源を枯渇させないため,多数回による資源管理方 式を自から提唱する, ③米国とは,とくに譲歩しながら協調体制をとる。一ーなど細 かい配慮をみせているという。
φ
大型高炉の建設しきりソ連の鉄鋼企業体は, このところ,しきりに,大型高炉の建設に努力を集中してい る模様である。とれまでは内容積2000m3の高炉が最大であったが,このほど,内容 積2300m3のものが完成した。続いて内容積2700m3の高炉を建設する計画も伝えら れている。これは内容積が大きい程,高炉の生産性が高いところから,投資効率の面 からも世界的に大型化しつつある傾向におくれまいとするソ連の計画担当者の意向を
‑339ー 一( 85 )ー