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通信・放送法制の抜本的再編の方向性

(1)ユビキタスネット社会を見通した検討の視点

○ ピキタス社会という日本の、しかも極一部でしか通用しない用語が何を指しているか明確でなく、法律の達成目標とすることに疑問がある。

(2)基本的方向性

○ 諸法のさまざまな矛盾を整合させようとする点は評価できるが、国民全体に「情報権」がいきわたるためには、事業者法をコミュニケーション 基本法に転換すべきである。つまり「従来の個別保護法益」を守るのみならず、基本的に地域の諸メディアによる非営利の公益的放送/通信や情報 基盤、障害者や各種マイノリティ向けの公共放送/通信、メディア教育やメディア文化・芸術振興のための諸事業を、優先的に競争から保護すべき である。「受信料=NHK財源」という仕組みを改革し、諸外国なみに非営利公共のコミュニケーション共通の財源と位置づけるべきである。ま して受信料を選挙の道具にするなどもってのほかである。

○ そもそも「ユビキタス化」、「ALL IP 化」の望ましさはデジタルデバイド、環境破壊(e-waste、電発)、障害をもつ人々を含むユニバーサル・ア クセス、公共性の破壊、知識の商業化、監視社会化の恐れ等の総合的観点から再検討する必要があるのではないか。

この仕組みでは優先的な国際契約に違反する制度に走る可能性。人権宣言、 文化的表現の多様性の保護及び促進に関する条約、 障害者権利条 約、子供の権利契約などにそった制度は望ましい。(資料1参照)

クレイティブコモンズ (creativecommons.jp)のような、 社会の共通財産を豊かにするポジティブな取り組みも視野にいれてもらいたい。

「刑罰」・「規制」というネガティブな取り組みより効果的なのは、メディアリテラシー教育、市民社会メディアへの支援、メディアの多様性の 促進、ombudsman 制度、などのポジティブな取り組みであるという研究結果が少なくはありません。そもそもサイバー犯罪や人権侵害などは起こ りにくい環境作りを優先にし手もらいたい。

市場だけに基づいたイノベーションの促進は不可能。歴史的に、 非商業的な動機から生まれた新しいジャンル、フォーマット、ソフトの事例は 多い。

大企業の経済的な利益だけではなく、社会的な利益も視野にいれてもらいたい。

保存、アーカイブ、記録、記憶などの文化の共有・維持・発展も重要

資料1コミュニケートする権利に関する国際契約・宣言

• 世界人権宣言

http://www.unhchr.ch/udhr/lang/jpn.htm Art 7 (equality)

Art 12 (privacy)

Art. 18 (thought and religion) Art 20 (assembly and association) Art 21 (participation in government)

Art. 22 (dignity, development of personality) Art. 26 (education)

Art. 27 (enjoyment of arts and scientific progress)

・経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約 (社会権規約) (抄)

http://www.kobe-u.ac.jp/campuslife/human-rights/international-covenant-A.htm Art. 13 (free, high quality eduction)

Art. 15 (paricipation in cultural life)

• 文化的表現の多様性の保護及び促進に関する条約 http://www.mext.go.jp/unesco/009/003.htm

Art. 7, Art. 11 (Article 11 – Participation of civil society)

• 国連第 4 回世界女性会議行動綱領「J 項 女性とメディア」

http://www.mlpj.org/gn/gn-pdf/med_bei.pdf

Strategic objective J.1. Increase the participation and access of women to expression and decision-making in and through the media and new technologies of communication.

Strategic objective J.2. Promote a balanced and non-stereotyped portrayal of women in the media.

○ 利用者の利益や必要な保護水準が多様であることを考慮して「最低限の規律」について検討するべきである。本中間まとめの延長での規律形成

は、この点で最低限とはいえないと思われる(具体的には後段に譲る)。先駆的な規制強化は、必ずしもイノベーションの促進につながらないの ではないかと考える。

○ <放送法等および電気通信事業法の目的条項について>

今回の対象となる放送法(有線ラジオ・テレビを含む)および電気通信事業法の目的条項が掲げる下記の理念については、変更なく新法制でも 盛り込まれると考えてよいのか。

放送法:

「放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ること」

「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」

「放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」

電気通信事業法:

「電気通信役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者の利益を保護し、もつて電気通信の健全な発達及び国民の利便の確保を図り、公共の 福祉を増進することを目的とする。」

また、これらの要項はすべて盛り込まれる必要のある重要な概念であると考えられるが、もし盛り込まれないのであればその理由を明確にされる よう求めるものである。

○ 情報の取捨選択基準があいまいなまま、何が信頼性か、何が安全かは、恣意的に政府によって決められる恐れがあり、表現の自由を侵害するお それがある。

○ 情報権について

情報権という言葉で、従来出口規制であったものを、情報通信法により入口規制にしようとしているが、これは、表現の自由に抵触する。憲法 第19条の「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」にも同様に抵触する。

(3)具体的枠組み~レイヤー型法体系への転換・規律の集約化

○ 「①既存メディア別で縦割りの規律の枠組みを維持しつつ、個々の問題への対応を図る米国型、②規律をコンテンツやサービスで横割りに大別

し、類似コンテンツ・サービスについては用いられている技術に関係なく同じ規律を適用するという技術中立性を目指すEU型」(p5)とありま すが、日本においてこの報告書に基づいたコンテンツ規制が進められるとなれば、このどちらの型とも異なるスタイルにて進められる結果となる でしょう。

上記の2スタイルと違い、まず何がどう「有害」なのか「公共の福祉に反する」のかの議論が置き去りとなったままで、それでも、その結論あ りき点からは、「それは行政が随時定義し、決定する」という答えが見出されます。

先の教育基本法改正、そして教育三法の採決、そして安部晋三首相の(憲法九条・従軍慰安婦・沖縄集団自殺の検証をめぐる)放送局への圧力 行動や(自分のスキャンダルを巡る)出版社への恫喝などを通して行政府の姿勢を見るなら、彼らを批判する言論がすべからく「適正でない情報」

「有害」と定義される可能性は、十分に予想されます。

極論するなら、「中国・朝鮮型」の言論統制システムに近いものへ進化する規制の発想であると考えられます。

○ レイヤー構造による整理は、実ビジネス・法体系を全く考慮していない単なる理念的なものであり、法体系の移行のための理由付けとして全く 妥当性を欠く。また、情報通信産業が「横割り構造」に変化してきている等の全く根拠のない断定がなされている上、そもそも各国法が存在して いるEUの状況と、我が国を同一視することもできず、このようなことに基づいて法改正が必要とする文章を書いたことについて担当部局の良識 を疑う。

○ EU型を選択しているが、その根拠が状況説明に依るものであり、根拠になりえない

米国型は、「サービス類型別規律体系」、EU型は、「レイヤー型規律体系」であるが、現在の日本の産業構造が横割り構造に変化し、その変化に 対応するEU型が技術革新の進展に繋がるとの早計な見方だけで、EU型を推奨するのは無理がある。

EU型を推奨し、その方向性で議論を進める背景には、「コンテンツ」「プラットフォーム」「伝送インフラ」という区分けを大前提とし、コンテ ンツに対する規制をかけたいという思惑から来ていると見受けられる。

○ 米国型の「縦割り構造」も、EU型の「横割り構造」も基本的に見方の違いがあるだけであり、技術革新の進展という観点においては同等であ る。縦割り構造なら、横断的な連繋を原則自由にすればいいし、横割り構造なら、縦断的な連繋を原則自由にすればいい話である。