• 検索結果がありません。

逆三角関数

ドキュメント内 .1 1,... ( ) (ページ 106-114)

正弦・余弦関数の幾何学的意味は、単位円周上の点の座標を、座標軸との角度(=弧長) を変数とした関数として表すことである。例えば、正弦関数は弧長 θ に対し円周上の 点の y座標(正弦)を対応させる関数だが、これは θ [π2,π2]で全単射だから、この 範囲では逆に、円周上の点の y 座標(正弦)に弧長(arc length)を対応させる関数を 考えることが出来る。それが逆正弦関数(Arcsin)である:

命題 8.3.1 (逆正弦関数) sin : [π2,π2] [1,1] は連続な全単射、狭義 (命題

8.1.2)。そこで、その逆関数を逆正弦関数と呼び、Arcsin と記す。このとき、

(a) Arcsin : [1,1][π2,π2] は連続な全単射、狭義である。

(b) y∈(1,1) なら(Arcsiny) = 1/√

1−y2. (c) y∈[1,1] ならArcsiny=

n=0

bny2n+1

2n+ 1 ,但し bn = (2n(2n)!!1)!! = 212n

(2n

n

).

π 2

π 21 1

証明:(a): 狭義単調関数の逆関数定理(定理 3.5.1)による.

(b): Arcsiny [π2,π2] よりcos(Arcsiny)≥0. 従って (sin)(Arcsiny) = cos(Arcsiny) =

1sin2(Arcsiny) =√ 1−y2 y∈(1,1)なら逆関数の微分(定理 7.6.1)より

(Arcsiny) = 1

(sin)(Arcsin y) = 1

√1−y2.

(c): まず y∈(1,1) とする。一般二項定理の応用例(例8.2.2)で見たように、

(1) 1

1 +y =

n=0

(1)nbnyn,(右辺は絶対収束)。

(1) 右辺の絶対収束から、示すべき式右辺の絶対収束も分かるので、それを f(y) と置 く。巾級数の微分(例 7.1.7)より

(2) f ∈D1((1,1)) かつf(y) =

n=0

bny2n.

故にy (1,1)なら

(Arcsin y) (a)= 1

√1−y2

(1)=

n=0

bny2n(2)= f(y).

以上と微分による増減判定(定理 7.5.1)より(1,1)上Arcsin −f =c(定数). 更に 0 = Arcsin 0−f(0) = 0.

次にy =±1 を考える。示すべき式の両辺はyについて奇関数だから、y= 1 で言えれ ばよい。y(1,1) に対する結果と 問6.3.3 よりy= 1 に対する結果を得る。\(2)/

注:双曲正弦関数 sh :R−→R に対し 命題8.3.1 と同様の結果を問 8.2.3(ii),(iii)で述 べた。問 8.2.3(ii),(iii)を 命題 8.3.1 の方法で示すことも可能。

命題 8.3.2 (逆正接関数) tan : (π2,π2)Rは連続な全単射、狭義(命題8.1.7)。

そこで、その逆関数を逆正接関数と呼び、Arctan と記す。このとき、

(a) Arctan :R−→(π2,π2)は連続な全単射,狭義従って

y→±∞lim Arctan x=±π

2, (複合同順).

(b) y∈R なら(Arctany) = 1 1 +y2. (c) y∈[1,+1] ならArctany=

n=0

(1)ny2n+1 2n+ 1 .

π 2

π 2

証明:(a): 狭義単調関数の逆関数定理(定理 3.5.1)による.(b): y∈R なら (tan)(Arctany) = 1/cos2(Arctany)簡単な書き換え= 1 + tan2(Arctany) = 1 +y2.

従って逆関数の微分(定理 7.6.1)より (Arctany) = 1

(tan)(Arctany) = 1 1 +y2.

(b): y = ±1 での証明は別の機会に譲り、y (1,1) のみ考える。このとき、示すべ き等式右辺は絶対収束するので、それをf(y) とおく。巾級数の微分(例 7.1.7)より (1) f ∈D1((1,1)) かつy∈(1,1)ならf(y) =

n=0

(1)ny2n. 故にy (1,1)なら

(Arctany) (a)= 1 1 +y2

指数級数=

n=0

(1)ny2n(1)= f(y).

以上と微分による増減判定(定理 7.5.1)より (1,1)上Arctan −f =c(定数)。所が

c= Arctan 0−f(0) = 0. \(2)/

注:双曲正接関数th : R−→(1,1)に対し 命題8.3.2と同様の結果を問 8.1.7 (ii),(iii) で述べた。問8.1.7 (ii),(iii) を 命題8.3.2 の方法で示すことも可能である。

8.3.1 (逆余弦関数) cos : [0, π] −→ [1,1] は連続な全単射、狭義単調減少(命題

8.1.2)。そこで、その逆関数を逆余弦関数と呼び、 Arccos と記す。このとき、狭義単

調関数の逆関数定理(定理3.5.1)よりArccos : [1,1]−→[0, π] は連続な全単射、狭 義単調減少である。y[1,1] に対しArcsiny+ Arccosy= π2 を示せ。この式により、

Arccos に関する性質は全て Arcsin のそれらに帰着する。

8.3.2 a∈C, Ta(x) = cos(aArccosx) (x∈[1,1]) とおく。以下を示せ:

(i) (1−x2)Ta′′(x)−xTa(x) +a2Ta(x) = 0.

(ii) n Nなら Tnn 次多項式であり、Tn(cosθ) = cosnθ, Tn(−x) = (−1)nTn(x).

Tn をチェビシェフ多項式 という。

8.3.3 以下を示せ:

(i)x >0 に対し、π2 = 2Arctanx−Arctan x22x1.

(ii) (⋆) tan(π/16)< x < tan(3π/16) なら、π4 = 4Arctanx+ Arctan xx44+4x4x336x6x22+4x+14x+1. (ii) よりπ4 = 4Arctan 15 Arctan 2391 . 右辺の Arctan を命題 8.3.2の巾級数で表した とき、その収束は速い。従って、それら巾級数の部分和はπ の良い近似値を与える。

8.4 (⋆) 対数の主値

命題 8.4.1 (対数の主値)z 7→ez{z C; Imz (−π, π)}上C\(−∞,0]への 全単射。この逆関数を対数の主値と呼びLog と記す。このとき、

(a1) z 7→Logz は C\(−∞,0]上{z C; Imz (−π, π)} への全単射, (a2) z C\(−∞,0]なら eLogz =z.

(a3) z C, Imz (−π, π) ならLog (ez) =z,

(a4) z =|z|e C\{0}, θ∈(−π, π) ならLogz = log|z|+iθ.

(b) z 7→Logz は C\(−∞,0]上連続。

証明:(a0): 系8.1.4よりz 7→ez{z C; Imz [−π, π)}上C\{0} への全単射。ま た、直線 :Imz =−π の像は(−∞,0). 従って所期の全単射性が判る。

(a1)–(a3): (a0) の帰結。

(a4): (a3) の言い替え。

(b): θ :C\(−∞,0]−→(−π, π) を次で定義12:z =x+iy (x, y R)に対し

θ(z) =







Arctan (y

x

), x >0, π/2 + Arctan xy, x≤0, y >0,

−π/2−Arctan xy, x≤0, y <0.

このとき、以下は容易に確かめられる(問 8.4.1,問 8.4.2):

(1) eiθ(z) =z/|z|, (2) θ∈C(C\(−∞,0]).

(1), (a4)よりz C\(−∞,0]に対し

Logz = log|z|+iθ(z).

上式と (2) より所期連続性を得る。 \(2)/

注:系 8.1.4 より、z 7→ez{z C; Imz [−π, π)} 上C\{0} への全単射。従って、

逆写像は (−∞,0) 上でも定義可能ではあるが、(−∞,0]上では連続にならない。この 理由から(−∞,0] は Log の定義域から除く。

8.4.2 逆三角関数を、対数の主値を用いて表示出来る。例えば x [1,1] に 対し

Arcsin x= 1

iLog (

1−x2+ix).

証明:Arcsinx∈[−π/2, π/2] よりcos(Arcsinx) =√

1−x2. 従って

eiArcsinx = cos(Arcsin x) +isin(Arcsinx)

12θ(z)は、z と正の実軸との角度を(π, π)で表したもの。従って、(1), (2)はごく自然。

=

1−x2+ixC\(−∞,0].

上式両辺の Log をとれば結論を得る(命題 8.4.1(a4))。 \(2)/

例 7.5.4 は次のように一般化出来る:

命題 8.4.3 z C,|z|<1ならLog (1 +z) =

n=1

(1)n1zn

n (右辺は絶対収束).

証明:x, y R,z =x+iy, |z|<1,

f(z) = Log (1 +z), g(z) =

n=1

(1)n1zn n とする。命題8.4.1 (a4) より

f(z) = 12log((1 +x)2+y2) +iArctan y 1 +x. これを用いた直接計算(問 8.4.6)より、

(1) ∂f

∂x(z) = 1

1 +z, ∂f

∂y(z) = i 1 +z. 今、|z|<1 ならg(z) は絶対収束。故に

(2) ∂g

∂x(z) |{z}=

7.2.5

n=1

(−z)n1 = 1

1 +z |{z}=

(1)

∂f

∂x(z).

同じく |z|<1 で

(3) ∂g

∂y(z) |{z}=

7.2.5

i∂g

∂x(z) =|{z}

(2)

i

1 +z |{z}=

(1)

∂f

∂y(z).

故に、|z| < 1 の範囲で f(z)−g(z) = c (定数)。所が z = 0 で c = f(0)−g(0) = 0

\(2)/

8.4.1 命題 8.4.1 証明中の(1) を示せ。

8.4.2 命題 8.4.1 証明中の(2) を示せ。

8.4.3 次を示せ:z C, 1 +z2 ̸∈ (−∞,0]とするとき,1 ±iz ̸∈ (−∞,0] かつ Log (1 +z2) = Log (1 +iz) + Log (1iz).

8.4.4 α, z C, |z| < 1 とする。exp(αLog (1 +z)) =

n=0

(α

n

)zn (絶対収束) を 示せ。

8.4.5 x∈R に対し次を示せ:Arctanx= 2i1Log (1+ix

1ix

).

8.4.6 命題 8.4.3 証明中、(1) を確かめよ。

9 (⋆)極限と連続 III — 積分への準備

(2013321日更新)

第9節では,コンパクト集合上の連続関数に関する幾つかの事柄を述べる.これら は第10節で積分を厳密に論じるための準備であるが,第10節の(⋆)付き項目でのみ必 要なので,それらを飛ばすのであれば,第9節も飛ばしてよい.

9.1 ボルツァーノ・ワイエルシュトラスの定理II (コンパクト集合)

ここでは、ボルツァーノ・ワイエルシュトラス の定理(定理 9.1.4)を通じ「コンパク ト」という概念を導入する。また、定理9.1.4 から、連続関数に関する最大・最小値存 在定理 (定理 9.2.1) を導く。

定義 9.1.1 (閉集合) A⊂Rd とする。A が、A 内の点列の極限になりうる点を全 て含むとき、A は 閉 であると言う。

9.1.2 (多次元区間)区間 I1, ..., IdR の直積:

I =I1× · · · ×Id Rd.

を Rd の区間 と呼ぶ。特にI1, ..., Id が全て閉(開)区間ならI を閉(開)区間 と

呼ぶ。

定義 9.1.3 (部分列) (an) を Rd の点列とする。自然数列 ℓ(0) < ℓ(1) < ... を用い て(aℓ(n))と表される点列を(an) の部分列 と言う。

次の定理の中で「コンパクト」という概念を述べる。コンパクト集合上の連続関数が 持つ性質(最大・最小値存在や一様連続性)は微分積分学において大変有用な道具と

なる。

定理 9.1.4 (ボルツァーノ・ワイエルシュトラスの定理 II) A⊂Rd とする。以下

の条件 (a), (b) について、A の有界性は(a) と同値、また、A が有界かつ閉である

ことは (b) は同値である。

(a) A 内の任意の点列が収束部分列を持つ(その極限は A の点でなくてもよい)。

(b) A 内の任意の点列が、 A の点に収束する部分列を持つ(このとき、A はコン パクト であると言う)。

注:定理9.1.4 より、Rd ではコンパクト性と「有界かつ閉」は同じで、両者を区別す

る必要はない。「コンパクト集合」とは、「有界閉集合」の別名で、特にコンパクト性 を強調したいときに使うものと考えればよい。

定理 9.1.4 の証明:有界 (a): A は有界だから十分大きな に対しA⊂ [−ℓ, ℓ]d. A の点列 (xk)k0 を任意に取り、収束部分列の存在を言う。

d= 1 の場合: 区間[an, bn][−ℓ, ℓ],n = 0,1, ...を以下のように定める:[a0, b0] = [−ℓ, ℓ].

更にcn= (an+bn)/2に対し [an+1, bn+1] =

{

[an, cn], xk[an, cn]となる k が無限個あるとき, [cn, bn], xk[an, cn]となる k が有限個であるとき.

こうすると、任意の n に対し xk[an, bn]となるk が無限個存在するから、そのひと つをk(n) と書く。このとき、

an は有界かつ ↗, bn は有界かつ ↘, bn=an+ 2n+1ℓ.

従って、区間縮小法(系 3.3.2)より(an), (bn) の極限は存在し等しい。更に、はさみ うちの原理より(xk(n)) は収束する。

d≥2 の場合: 次のようにして、d = 1の場合に帰着する。(xk)k0 の第1座標(xk,1)k0d= 1の結果を適用すれば、(xk)の部分列(xk1(n))n1であり、その第1座標(xk1(n),1)n0 が収束するものの存在が分かる。次に (xk1(n))n0 の第2座標 (xk1(n),2)n0d = 1 の 結果を適用すれば、(xk1(n))n0 の部分列(xk2(n))n0 であり、その第2座標 (xk2(n),2)n0 が収束するものの存在が分かる。この際、(xk2(n))n0 の第1座標 (xk2(n),1)n0 は収束 数列 (xk1(n),1)n0 の部分列だから、これも収束する。従って 部分列(xk2(n))n0 は第1、

第2 座標が共に収束する。このようにして、順次部分列を選ぶことにより、全ての座 標が収束する部分列 (xkd(n))n0 を得る。これが、所期のものである。

(a) 有界: 対偶を示す。Aが非有界なら、任意のn に対し n <|xn|を満たす xn∈A が存在する。(xn)の任意の部分列(xk(n))は k(n)≤ |xk(n)|をみたすから、収束しない。

有界かつ閉 (b): A が有界なら、(a) より、A 内の任意の点列が収束部分列を持つ。

一方、A は閉だから、その極限はA の元である。

(b) 有界: (b) (a) による。

(b) 閉: xn∈Aかつ limn→∞xn=xとする。(b)より (xn)はlimn→∞xℓ(n) ∈Aとな る 部分列 (xℓ(n)) を含む。一方、(xℓ(n))は (xn) の部分列だからlimn→∞xℓ(n) =x よっ て x∈A. 以上よりA は閉である。 \(2)/

9.1.1 例 9.1.2 で、閉区間は閉集合であることを示せ。

9.1.2 (⋆) A Rd とする。 A 内の点列の極限になりうる点 x RdA の触点 (adherent point) と呼ぶ。また、A の触点全体の集合を A と記し、A の閉包(closure) と呼ぶ。A, B Rd に対し以下を示せ:

(i)A は閉。

(ii)A ⊂B ならA⊂B.

(iii)A∪B =A∪B,A∩B ⊂A∩B. また、A∩B ̸=A∩B となる例を挙げよ。

(iv) A, B が閉なら、A∪B, A∩B も閉。

9.1.3 (⋆) f :RdRk について次の条件(a)–(c) は同値であることを示せ:

(a) f ∈C(Rd Rk).

(b) F Rk が閉なら f1(F)Rd は閉。

(c) G⊂Rk が開ならf1(G)Rd は開。

9.1.4 (⋆) A Rd とする。任意の ε > 0 に対し有限個の点 xi (i = 1, ..., N) が存 在し、A⊂ ∪Ni=1B(xi, ε) となるとき、A は全有界であると言う(但し、B(x, ε) ={y Rd; |y−x|< ε}.) 有界であることと全有界であることは同値であることを示せ。

9.1.5 f ∈C(Rd −→Rk) に対し以下を示せ:

(i)F Rk が閉ならf1(F)Rd は閉。

(ii) K Rd がコンパクトなら f(K)Rk はコンパクト。

9.1.6 (⋆) 次のような例を挙げよ:

(i)K Rはコンパクト、f ∈C(RR), f1(K)はコンパクトでない。

(ii) F R は閉、f ∈C(RR),f(F) は閉でない。

9.1.7 0≤r≤R <∞ とするとき、以下を示せ:

(i) Ar,R = {x Rd ; r ≤ |x| ≤ R} はコンパクトである。特に A0,R は半径 R の球、

AR,R は球面である。

(ii) {x∈Rd; r <|x| ≤R}はコンパクトでない。

9.1.8 K1, K2 Rd に対しK1 +K2 ={x+y ; x∈K1, y ∈K2} とする。

(i)K1, K2 が共にコンパクトならK1+K2 ={x+y; x∈K1, y ∈K2}もコンパクトで あることを示せ。

(ii) (⋆) K1, K2 Rd が共に閉でも、K1+K2 は閉と限らないことを例示せよ。

ドキュメント内 .1 1,... ( ) (ページ 106-114)