本論文の構成を図1.4.1に示す。
第 1 章では、既成市街地における熱エネルギーの面的利用を推進する方策として建物間熱融通を 挙げ、熱エネルギーの面的利用の事例を調査し、建物間双方向熱融通等に関する研究の目的と意義に ついて整理した。
第 2 章では、建物間双方向熱融通を可能とする熱融通搬送接続装置「熱ルータ」及びそれをベース とした熱融通ネットワークを提案し、それを構築するための留意事項と期待される効果を整理した。
なお、本研究ではこの「建物間双方向熱融通ネットワークシステム」を「スマート・ヒート・グリット
(Smart Heat Grid以下、SHGを記す)」と称する。
第 3 章では、SHG のコア技術である熱融通相互接続装置「熱ルータ」の特徴である、供給側と受入側 の切替による任意の熱融通ルートの設定と適切な搬送動力の選定について、通水による相互水搬送 制御実験を行い、その有効性を確認した。
第4章では、分散型エネルギー複合最適化実証研究の一環として行った、太陽熱を有する建物とコ ージエネルギーレーションシステム(以下CGSと記す)を有する建物間において太陽熱とGGS廃 熱を双方向熱融通の実証試験を行い、熱融通効果を確認した。
第 5 章では、既成市街地における段階的な建物や熱源設備の更新ケースとして、4 つの既築建物が段 階的に熱源設備を更新する「基本形 SHG モデル」を想定し、SHG による継続的な省エネルギー化と 熱源設備の低負荷率稼働時間の低減等の熱融通効果を分析した。
第 6 章では、既成市街地における既存地域熱供給の熱源プラントから需要家以外の周辺建物で形 成された SHG に熱融通する「地域熱供給連携型 SHGモデル」を想定し、その熱融通効果と事業性な
30 どを分析した。
第 7 章では、都市部におけるバイオマスエネルギー利用の推進方策として、「地域熱供給連携モデ ル」において事業系一般廃棄物バイオガス利用を検討した。具体には、リサイクル率が低い厨芥やそ の他の紙ごみ(表面が特殊な加工がされている紙ごみや汚れた紙ごみ)のメタン発酵実証実験を行 いバイオガス発生量のポテンシャルを確認した。そしてそれを基に、地域熱供給熱源プラントで活用 する「地域熱供給連携型SHGにおける都市型バイオマス利用モデル」を想定し、その効果を分析した。
第8章では、本論文で得られた知見を取りまとめる。
なお、上述した第5章から第7章で検討するモデルのイメージを図1.4.2に示す。
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図1.4.1 本論文の構成 第1章:序論
・研究の背景 【SHG基本型】
・本研究の目的と意義 第5章:段階的に熱源更新を行う
・国内外事例調査 既築建物に導入したSHG による建物間双方向熱融通 第2章:建物間双方向熱融通 の有効性に関する研究
ネットワークシステム ・検討条件の設定
の検討 ・導入効果の評価
・建物間熱融通の整理
・建物間双方向熱融通モデル
の概要 【SHG地域冷暖房連携型】
・SHGの考え方 第6章:既存地域冷暖房と連携したSHG
(熱融通量・熱融通配管口径 による建物間双方向熱融通に ・適用留意事項) 関する研究
・既存DHCを取り巻く環境の変化と 既築建物の状況
第3章:熱ルータ(熱融通相互 ・シミュレーションモデルの設定 接続装置)に関する ・環境性「省エネルギー性)及び
実験研究 その他評価結果
・熱ルートのコンセプト ・DHC連携型SHG設備保有スキーム
・相互水搬送制御実験 ・SHG導入事業性評価
・実験から得られた知見 と今後の展望
【SHG地域冷暖房連携発展型UBES※モデル】
第7章:事業系一般廃棄物起源バイオ 第4章:建物間熱融通に関する ガスのポテンシャルと地域熱
実証研究 供給システムにおける活用効果
・建物間熱融通制御に関する ・乾式メタン発酵法による事業系一般
検証 廃棄物のバイオマス資源化実証
・熱源統合制御に関する実証 ・モデル地区におけるUBES導入検討
評価 ・都市再生緊急整備地域を対象とした
UBES導入評価効果の推計
※都市型バイオマスエネルギーシステム (Urban Biomass Energy System)
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【個別中央熱源方式】 経 年 化 等 に 伴
い 、 建 物 毎 に 高 効 率 機 種 ( 高 COP 機 種 ) に 更新
【建物間双方向熱融通ネットワークシステム基本型】 各熱源を配管で
接続・ネットワーク 化 し 、 熱 源 機 の 中で高効率機種
( 高 COP 機 種)を定格稼働 させ自家消費後 余剰分を融通
【建物間双方向熱融通ネットワークシステム地域熱供給連携型】 地域熱供給プラ ント定格稼働時 余剰分を地域熱 供 給 需 要 家 以 外の隣接する建 物に熱融通
【建物間双方向熱融通ネットワークシステム地域熱供給連携型都市型バイオマスエネル ギーシステムモデル】
SHG 地域熱供 給連携型の熱源 プラントにバイオマ ス由来の熱を活 用した将来発展 形モデル
図1.4.2 本研究で検討する街区・地区レベルにおける
建物間双方向熱融通ネットワークシステム活用モデルのイメージ図 熱源
リプレース
熱源
リプレース
熱源 熱源 熱源 熱源
【共通凡例】
熱源
低COP機種
熱源
高COP機種
R
熱ルータ
R
熱源 熱源 熱源
R R R
熱源
R
熱源 熱源 熱源
R R R
熱源 DHC
DHC 需要家
R
R
熱源 熱源 熱源
R R R
熱源 DHC
DHC 需要家
R
バイオマス+同ボイラ 本研究の検討対象部分
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