第4章 実建物における建物間熱融通に関する実証研究
4.4 熱源統合制御に関する実証評価
4.4.3 熱源統合制御の効果確認
(1) 「通常の台数制御」と「熱源統合制御」の差異分析
「熱源統合制御」の導入効果を確認するため、「通常の台数制御」と「熱源統合制御」について、
熱源調合制御を行った2011年実績冷房負荷データを元に、シミュレーションを行い、通常の台数制 御との差異を確認、省エネルギー化を目的に太陽熱やCGS廃熱の利用率向上を図った。
両制御による結果を比較すると、
① 太陽熱・CGS廃熱による冷房出力は、「熱源統合制御」のほうが大きい。
「通常の台数制御」では、熱源の容量比により負荷按分比率が固定されるため、太陽熱やCGS廃熱 温水を最大活用する負荷率にジェネリンクを調整する事ができない。そこで「熱源統合制御」では、
冷水ポンプをインバータ制御し、負荷按分比率を変える事で、ジェネリンクの太陽熱・CGS廃熱温 水の利用量が拡大し、最大限活用できる熱源負荷率に調整、結果、太陽熱・CGS廃熱による冷熱出 力割合が大きくなった。
② ジェネリンクのガス追焚モードOFF機能による低炭素化
ジェネリンクは「通常の台数制御」では高負荷域でガスを使用するが、「熱源統合制御」はガス追焚 モードをOFFとする。これは、「通常の台数制御」では、ジェネリンクの機能はCGS廃熱等の温水 が不足する場合、冷熱を安定供給するため、ガスによるバックアップ機能が働くが、「熱源統合制御」
では、極力、都市ガスを使用しない様に、ジェネリンクのガスを強制OFFモードとし、蒸気吸収ヒ ートポンプも蒸気弁開度制限を設定、廃熱利用しない場合にはガス追焚は行わない設定とした。
2011年8月9日(火)の冷房負荷実績を元に、時刻別冷熱製造量と同エネルギー源内訳及び年間 省エネルギーそして太陽熱とCGS廃熱の利用率について「通常の台数制御」のシミュレーションで 求めた結果と「熱源統合制御」の実績値の比較を図4.4.2に示す。
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図4.4.2 「台数制御(上)」と「熱源統合制御(下)」の時刻別冷房出力
以上から、「熱源統合制御」は「通常の台数制御」に比べて、太陽熱とCGS廃熱の利用率が通常 の「台数制御」が87.2%に対し、「熱源統合制御」97.8%と比率で12%程度向上した。結果、図4.4.2 に示した様に、ジェネリンクのガス使用量が減少し、CGS 電力の使用割合が増え、7 時~22 時の CGS 発電電力及びガス由来の冷熱比率が通常の台数制御で 1:2 であったものが、5:2 と改善された CGS発電由来のターボ冷凍機製造冷熱が増加した。
0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
冷房出力(MJ/h)
蒸気 温水 ガス CGS電気 電気 太陽熱温水+CGS廃熱
0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
冷熱出力(MJ/h)
蒸気 温水 ガス CGS電気 電気 太陽熱温水+CGS廃熱
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(2) 「熱源統合制御」の概要
「熱源統合制御」は、太陽熱や CGS廃熱を最大限活用するため、ジェネリンクが太陽熱や CGS 廃熱を最大活用する負荷率に調整する冷水流量を変えて、負荷按分比率調整を行っている。
具体的には、図4.4.3に示す様に、蒸気ジェネリンクとガス焚ジェネリンクの冷水流量を以下のよう に制御する。CGS廃熱は蒸気及び温水の2系統取り出しとなっており、このうち、廃熱蒸気につい ては蒸気吸収ヒートポンプで全量活用可能なため、蒸気焚ジェネリンクが高負荷率で稼動した場合、
CGS廃熱蒸気だけでなく、ガス焚蒸気ボイラからの蒸気を消費する可能性がある。それを回避する ため、蒸気焚ジェネリンクは低負荷域で稼動させる必要がある。同様に、ガス焚ジェネリンクも高 負荷率で稼動した場合、熱源統合制御の起動順位が先の CGS 電力で稼動するターボ冷凍機に先行 して、ガスによる追焚モードとなるため、低負荷率の温水モードで稼動してしまう。但し、他の全 ての熱源が稼動しても冷熱負荷対応ができない場合にはガス焚モードで稼動させる。そこで、蒸気 焚ジェネリンクの冷水配管に冷水流量を調整するバルブを設けて、開度調整する事で、蒸気ボイラ からの蒸気を消費する事にならない様に、冷水量を調整し、低負荷域での運転とすると共に、ガス 焚ジェネリンクには冷水一次ポンプをインバータ制御して低負荷域を選択し温水モードで稼動させ るとした。(但し、高負荷運転が必要となった場合には、冷水を定格流量とし、ガス追焚モードで定 格能力稼動できるようにしている)2011年8月9日の熱源統合制御を行った廃熱利用熱源の負荷率
推移を図4.4.4に示す。
この冷水一次ポンプのINV制御による負荷按分比率調整は、熱源を選択して負荷率を変える設定を 行い、稼働率を高く設定する事が可能となる事から、SHGに応用して、熱融通量と熱融通受入側で 補完運転する熱源を最適な負荷分担を行う制御に考えられる。
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図4.4.3 廃熱利用熱源負荷率調整の仕組み
図4.4.4 廃熱利用熱源負荷率の推移(2011年8月9日)
(3) 夏期・中間期・冬期の代表日における「熱源統合制御」の稼動実績評価
「熱源統合制御」による、夏期・中間期・冬期の代表日における冷温水製造に要する時刻別のエ ネルギー源内訳推移、及び蒸気(CGS廃熱)や温水(太陽熱・CGS廃熱)の利用状況を図4.4.5(夏 期代表日)、図4.4.6(中間期代表日)、図4.4.7(冬期代表日)に示す。夏期・中間期・冬期のいずれ も、太陽熱・CGS廃熱を優先的に活用した熱源制御ができている。又、中間期には蒸気吸収ヒート ポンプが冷水製造時に発生する廃熱を暖房用の温水製造に有効活用し、不足する負荷対応をCGS廃 熱で補完している。
蒸気吸収HP 蒸気焚ジェネリンク
ガス焚ジェネリンク
INV
負荷率
冷房出力 蒸気
負荷率
冷房出力
負荷率
冷房出力
蒸気 ガス
温水 温水
蒸気吸収HP 蒸気焚ジェネリンク ガス焚ジェネリンク
現状CGSでは蒸気ジェネ分の蒸気は出力で きない。高負荷率で運転しても、蒸気ボ イラの蒸気が使用されるため、低負荷率 で運転したい。
高負荷で運転してもガスが使われるため、
低負荷率で運転したい。ただし、他熱源 機の能力不足時(高負荷時)は、ガス焚運 転をしたい。
バルブ開度調整し て、流量を調整。
INV制御により低負荷時は流量を半減。
高負荷時には定格流量とする制御を導入。
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011121314151617181920212223 負
荷 率
%
蒸気吸収HP(冷房専用)
蒸気焚太陽熱併用ジェネリンク ガス焚太陽熱併用ジェネリンク
負荷按分比率の調整
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図4.4.5 夏期代表日における稼動実績(2011年8月9日)
図4.4.6 中間代表日における稼動実績(2011年11月11日)
0 2000 4000 6000 8000 10000 12000
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
冷水製造量(MJ)
時刻
ガス_三重効用ナチュラルチラー 電気_空冷チラー 電気_ターボ冷凍機 CGS温水_ガス焚ジェネリンク2号機 CGS温水_蒸気焚ジェネリンク CGS蒸気_蒸気焚ジェネリンク CGS蒸気_蒸気吸収 太陽熱_蒸気焚ジェネリンク 太陽熱
CGS廃熱(蒸気)
CGS廃熱(温水)
電気 ガス
0 500 1000 1500 2000 2500 3000
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011121314151617181920212223
高温水熱量(MJ)
時刻 特老供給熱量 給湯温水熱交 温水熱交 ガス焚ジェネリンク2号機 ガス焚ジェネリンク1号機 蒸気焚ジェネリンク 合計高温水製造量
0 200 400 600 800 1000 1200 1400
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011121314151617181920212223
蒸気熱量(MJ)
時刻
ボイラ給水加熱 蒸気焚ジェネリンク 蒸気焚吸収HP 合計蒸気製造量
蒸気利用率
88%
CGS廃熱・太陽熱温水利用率
93%
7:00~22:00 CGS700kW 9:00~20:00 CGS370kW
冷房負荷と供給エネルギー源(8/9)
蒸気利用状況(8/9)
CGS廃熱・太陽熱温水利用状況(8/9)
0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
温水製造量(MJ)
時刻
ガス_蒸気-水熱交 ガス_温水ボイラ ガス_三重効用ナチュラルチラー ガス_ガス焚ジェネリンク2号機 ガス_ガス焚ジェネリンク1号機 CGS温水_温水熱交 CGS蒸気_蒸気-水熱交 CGS蒸気_蒸気吸収HP 冷房廃熱_蒸気吸収HP 太陽熱_温水熱交
0 500 1000 1500 2000 2500
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011121314151617181920212223 蒸気焚ジェネリンク ガス焚ジェネリンク1号機 ガス焚ジェネリンク2号機 温水熱交
給湯温水熱交 特老供給熱量
合計高温水製造量 0
200 400 600 800 1000 1200
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011121314151617181920212223 蒸気吸収HP 蒸気焚ジェネリンク
蒸気温水熱交 ボイラ給水加熱
合計蒸気製造量
0 500 1000 1500 2000 2500 3000
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
温水製造量(MJ)
ガス_温水ボイラ CGS温水_温水熱交 蒸気温水熱交 冷房廃熱_蒸気吸収HP 0
200 400 600 800 1000 1200
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
冷水製造量(MJ)
CGS蒸気 CGS温水
電気
蒸気利用率
80%
CGS廃熱・太陽熱温水利用率
86%
CGS廃熱・太陽熱温水利用状況(11/11) 蒸気利用状況(11/11)
温水熱量(MJ)
0 200 400 600 800 1000 1200
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
冷水製造量(MJ)
ガス_三重効用ナチュラルチラー 電気_ターボ冷凍機 CGS温水_蒸気焚ジェネリンク CGS蒸気_蒸気吸収HP CGS蒸気
CGS温水
電気
冷房負荷と供給エネルギー源(11/11)
暖房負荷と供給エネルギー源(11/11)
蒸気吸収HPによ る冷房廃熱利用
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図4.4.7 冬期代表日における稼動実績(2012年2月9日)