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第2章 建物間双方向熱融通ネットワークの検討

2.3 建物間双方熱融通に必要な装置の検討と留意事項の整理

2.3.3 システムの熱融通配管の検討

(1)融通熱量

図2.3.7に某地域冷暖房プラントの2012年度の冷熱の累積負荷曲線を示す。ピーク負荷に対して

10%以下の負荷の合計が年間総熱負荷の43%であり、同部分を省エネルギー化する事で大きな効果

が期待できる。実際に、同効果について、第1章の事例調査において示した、大丸有地区及び名古 屋駅前地区で確認されており、熱融通により複数建物のベース負荷を省エネルギーな熱で融通する 事は、大きなエネルギー削減に繋がる事が期待される。

図2.3.7 某地域冷暖房施設の冷熱の累積負荷曲線

(2)熱融通配管口径

熱融通する際、熱融通配管中で発生するエネルギーロスは、圧力損失(配管摩擦抵抗)と放熱ロ スである。具体的には、搬送動力と放熱熱量であり、その算定には配管口径が大きく影響する。そ こで、異なる口径の熱融通配管に対して流量及び配管内温度を変化させた場合、その搬送動力、放 熱ロスの変化について確認した。以下にそれぞれの試算結果を述べる。

①搬送動力の算定

流体が配管の断面に充満して流れる場合の圧力損失は、ダルシー・ワイスバッハの式(2・1)で表さ れる。摩擦損失水頭𝐻𝑓は、摩擦係数𝑓、全揚程𝐻、搬送動力𝑃𝑝で以下の様に求められる。

H𝑓= 𝑓 × 𝑙 𝑑×𝑣2

2𝑔 (2.1) 𝐻𝑓:摩擦損失水頭[m]

𝑓 :摩擦係数[-]

𝑑 :配管内径[m]

0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000

1 256 511 766 1021 1276 1531 1786 2041 2296 2551 2806 3061 3316 3571 3826 4081 4336 4591 4846 5101 5356 5611 5866 6121 6376 6631 6886 7141 7396 7651 7906 8161 8416 8671

冷熱量(RT)

時間(h)

2,000 4,000 6,000 8,000

ピーク負荷の10 %ライン

42 𝑙 :配管延長 [m]

𝑣 :流速[m/s]

𝑔 :重力加速度[m/𝑠2] 𝑓 = 0.002 ×0.0005

𝑑 (2.2) 𝑑 :配管内径[m]

𝐻 = 𝐻𝑓× 𝑎 (2.3) 𝑎 :損失水頭補正係数(1.2)

𝑃𝑝= 0.163 × 𝛾 ×𝐻 × 𝑄 𝑛𝑝

(2.4) 𝑃𝑝 :搬送動力[kW]

𝛾 :水の比重量[ton/𝑚3] 𝐻 :全揚程[m]

𝑄 :流量[𝑚3/min.]

𝑛𝑝 :ポンプ効率(70%)

流配管口径を50A~300A、流量を0.5m3/min.~3.0m3/min.と変化させて、単位配管長さ当りの搬送 動力を算出した。その結果を図2.3.8に示す。

図2.3.8 配管口径別・単位長さ当りの搬送動力

②放熱ロスの算定

一般的に配管単位長さ当りの放熱量の算出は以下の式を用いる。

𝑞 =2𝜋(𝜃𝑠𝑖− 𝜃𝑎) 1

𝜆ln 𝑑1 𝑑0+ 2

𝛼𝑑1

(2.5) 𝑞 :放熱量[W/m]

0.00 0.05 0.10 0.15 0.20

50A 100A 150A 200A 250A 300A

搬送動力(KW/m)

3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 流量

(m3/min

43 𝜃𝑠𝑖 :保温内側温度[℃]

𝜃𝑎 :周囲温度 [℃]

𝑑𝑒 :保温材の外径 [m]公共建築工事標準仕様書から25mmで計算 𝑑𝑖 :保温材の内径 [m]50A~300Aで計算

𝜆 :保温材の熱伝導率[W/m・K]JIS A 9504/グラスウール保温管 𝛼 :表面熱伝達率[W/𝑚2・K]JIS A 9504附属書から12 W/𝑚2・K 保温内側温度を30℃~100℃、保温材の内径を50A~ 300Aとした場合の熱ロスを算出した。同

結果を図2.3.9に示す。

図2.3.9 保温内側温度を変化させて場合の配管口径別単位長さ当りの放熱ロス

③搬送動力+放熱ロスの算定

以上から、内側温度を40℃~100℃、流量を0.5m3/min.~3.0m3/min.に変化させて場合の口径別 の搬送動力及び放熱ロスは表2.3.10となる。

表2.3.10 口径別の単位長さ当たりの搬送動力及び放熱ロス(内側温度及び流量を変えた場合)

0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12 0.14

50A 100A 150A 200A 250A 300A

熱ロ量(KW/m

100 90 80 70 60 50 40 30 保温内側 温度(℃)

単位:kW/m 50A 100A 150A 200A 250A 300A 熱ロス(内側温度100℃) 0.030 0.050 0.068 0.086 0.104 0.123 熱ロス(内側温度80℃) 0.022 0.037 0.050 0.063 0.077 0.090 熱ロス(内側温度60℃) 0.014 0.023 0.032 0.040 0.049 0.057 熱ロス(内側温度40℃) 0.007 0.011 0.015 0.020 0.024 0.028 搬送動力(流量3.0m3/分) 12.323 0.331 0.045 0.011 0.004 0.001 搬送動力(流量2.5m3/分) 7.132 0.192 0.026 0.006 0.002 0.001 搬送動力(流量2.0m3/分) 3.651 0.098 0.013 0.003 0.001 0.000 搬送動力(流量1.5m3/分) 1.540 0.041 0.006 0.001 0.000 0.000 搬送動力(流量1.0m3/分) 0.456 0.012 0.002 0.000 0.000 0.000 搬送動力(流量0.5m3/分) 0.057 0.002 0.000 0.000 0.000 0.000 放熱ロス

搬送動力

44

熱媒温度80℃の場合における、搬送動力+放熱ロスの合計値を図2.3.10に示す。

図2.3.10 配管口径別の放熱ロス+搬送動力(熱媒温度80℃)

図2.3.10から配管口径が200A 程度までのエネルギーロスは搬送動力が支配的であるが、それ以

上の大口径配管は、配管表面積が大きくなるため放熱ロスが支配的となる傾向が確認できる。以上 から、システムの熱融通配管は放熱ロスを考慮し、配管口径200A以下とした。

④熱融通実施条件

時刻別に熱融通を実施する判断の考え方は、時刻別配管放熱ロス(𝑅𝐿)と同搬送動力(𝑃𝐿)に融 通する熱の製造に要するエネルギー投入量の合計量が自己熱源に投入するエネルギー量よりも小 さい場合に熱融通を行い、以下の算定式で熱融通実施判断する。

𝑄

𝐶𝑂𝑃𝑅 >(𝑅𝐿+ 𝑄)

𝐶𝑂𝑃𝑆 + 𝑃𝐿 (2.6)

Q :時刻別熱融通量

𝐶𝑂𝑃𝑅:自己熱源のCOP

𝑅𝐿 :時刻別配管放熱ロス

𝐶𝑂𝑃𝑆 :熱融通する熱を製造する熱源のCOP

𝑃𝐿 :時刻別搬送動力(時間当たりの消費電力量を熱量換算)

0.00 0.05 0.10 0.15 0.20

50A 100A 150A 200A 250A 300A

熱ロ+搬送動力(KW/m

熱ロス+搬送動力(流量3.0m3/分) 熱ロス+搬送動力(流量2.5m3/分) 熱ロス+搬送動力(流量2.0m3/分) 熱ロス+搬送動力(流量1.5m3/分) 熱ロス+搬送動力(流量1.0m3/分) 熱ロス+搬送動力(流量0.5m3/分)

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