第 3 章 新聞における「外来語言い換え提案」に関する調査分析
第 8 節 調査結果の分析
2、 以下表13は「朝日新聞」(1991~2015合計)においては中頻度使用の外来語につ いて理解度の高いものから順に並べる。
表13
外来語 言い換え語 分かる 分からない
ディサービス 日帰り介護 99% 1%
モニタリング 継続監視 97% 3%
クライアント 顧客 94% 6%
バイオテクノロジー 生命工学 94% 6%
ベンチャー 新興企業 81% 19%
フロンティア 新分野 64% 36%
コミュニケ 共同声明 46% 54%
シーズ 種 42% 58%
セクター 部門 33% 67%
本章の「朝日新聞」「読売新聞」「毎日新聞」外来語言い換え語及び現代大学生の使用意 識、理解度、使用度、妥当性に関する調査分析では、国立国語研究所の外来語の言い換え 語提案に関しては、いくつかの問題点を明らかにした。
使用意識において、現代の日本社会において外来語について、「今のままでよい」の意 識があるとする回答は7割以上があり、最も多かった。つまり、これ以上に外来語が増加 しないと良い。それに対して、「もっと減った方がよい」と答えた学生は8.3%を占めてい る。
特に「朝日新聞」「読売新聞」「毎日新聞」から抽出した頻度の高い外来語10語の中では
「ビジョン(展望)」、「コミュニティー(地域社会 共同体)」、「アクセス(①接続 ②交通 手段 ③参入)」について外来語言い換え提案に基づいて妥当性が強く示している。
また、「インフラ(社会基盤)」、「ガイドライン(指針)」、「グローバル(地球規模)」、「ケ ア(手当て 介護)」においては使用度が強く表れている。大学生の中では定着度も高いと 推測される。
前述のように、三大紙とも高使用頻度、第1位は「ケア(手当て 介護)」であることが 明らかになった。次に、「朝日新聞」の第2位は「アクセス(①接続 ②交通手段 ③参入)」 で、そして「読売新聞」は第4位で、「毎日新聞」第3位となっている。
「朝日新聞」の第 3 位は「シェア(①占有率 ②分かち合う 分け合う)」で、「読売新 聞」は第5位になり、「毎日新聞」は第2位となっている。「朝日新聞」の第4位は「コミ ュニティー(地域社会 共同体)」で、「読売新聞」は第 3 位となり、そして、「毎日新聞」
は第10位となっている。「朝日新聞」の第5位は「ビジョン(展望)」で、「読売新聞」は第 6位となり、そして、「毎日新聞」も第5位となっている。「朝日新聞」の第7位は「グロー バル(地球規模)」で、「読売新聞」も第7位となり、そして、「毎日新聞」も第4位となっ ている。「朝日新聞」の第8位は「ガイドライン(指針)」で、「読売新聞」も第8位となり、
そして、「毎日新聞」も第6 位となっている。「朝日新聞」の第9位は「インフラ(社会基 盤)」で、「読売新聞」も第2位となり、そして、「毎日新聞」も第7位となっている。この ように、「朝日新聞」「読売新聞」「毎日新聞」(1991年~2015年)合計において、高使用頻 度の言い換え語の上位10語の中で、それぞれ、以上の8語が同時に現れたことが明らかに なった。
一方、「朝日新聞」から抽出した中頻度使用の外来語10語の中では「意味の理解度」に ついては「分からない」項目は「セクター(部門)」67%で、「アセスメント(影響評価)」
64%で、「シーズ(種)」58%を占めている。「聞くことがあるか」においては「聞いたこ
とがない」項目は「コミュニケ(共同声明)」が58%を占めている。また、「シーズ
(種)」は56%を示す。「使うことがあるか」については「使ったことがない」項目は「ア
セスメント(影響評価)」92%で、「セクター(部門)」90%で、「シーズ(種)」87%を示し ている。外来語言い換え語の妥当性と必要性について「よい」項目は「クライアント(顧
調査結果について、筆者は次のように考えている。
「朝日新聞」「読売新聞」「毎日新聞」三大紙は外来語を多用していることが明らかになっ た。過剰に外来語を取り込めば、読者に大きな影響を与えるであろう。読者への関心度、理 解度、使用度、そして、認知度も大きく影響されると考えられている。新聞は外来語を多用 すればするほど、。読者に対して外来語の過剰使用に誘導する恐れがあると思われる。
ところが、例えば、新聞は国立国語研究所が発表した外来語の言い換え語に基づいて、意 味が分かりにくい外来語を避けて、言い換え語を使えば、読者は行き過ぎた外来語の使用に 迎合するような社会を心配することは必要ないだろう。
今後の研究課題として外来語「言い換え語の提案」に関して他の新聞の使用状況も調べ ていく必要があろう。また、外来語「言い換え語の提案」について日本社会だけではなく 国際社会の中で、特に海外日本語教育の現場で学習者どう受け止めるかを考察する必要が ある。つまり、他言語話者の視点から「外来語の頻用」の意識を研究していきたいと考え ている。
注
1 金田 拓(2012)『コーパスに基づく言語教育研究報告』N08 コーパスに基づく
『外来語言い換え提案』の評価
2 堀切 友紀子(2013)「外来語に関する研究動向 -使用意識と言語接触の視点から」
お茶の水女子大学『人文科学研究』N099
3 田中 建彦(2002)『外来語とは何か』33頁 鳥影社
4 1956年「国立国語研究所の語彙調査」 田中 建彦(2002)『外来語とは何か』37頁 鳥影社
5 橋本 和佳(2010)『現代日本語における外来語の量的推移に関する研究』7頁 ひつ
じ書房