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課  題

ドキュメント内 はじめに (ページ 70-87)

ⅧⅧ    実実

②  課  題

ア  漁業就業者対策 

地区内では

I

ターン、

U

ターンによる若い漁業者の着業が見られ、平成

15

年の

40

歳未満の漁業者が占める割合は

5

年前に比べ

2%上昇しています。今後も若い漁業者

の着業を促進するために、漁家子弟を始めとする新規就業者の受入体制の整備と経営 支援が必要です。

また、本土との格差をなくすため、離島の環境整備を進める必要があります。

イ  漁業生産・資源管理対策 

当地区の栽培漁業については、中間育成施 設の拠点化が進み、(社)山口県光・熊毛地区栽 培漁業協会及び(社) 山口県内海東部栽培漁 業協会が中心となって推進しています。両協会 とも、専門職員が従事している関係から、種苗の 育成技術上の問題はほとんどありませんが、放 流後の資源管理が十分とは言えない状況にあり ます。

また、栽培漁業の経済効果を明らかにして行くとともに、両協会とも、低金利時代に対 応した協会運営のあり方等の検討が必要となっています。

一方、漁業者の高齢化や燃油価格の高騰に伴い、沿岸域での漁業依存度がますま す高まってくることが予想され、漁場環境と生態系の保全・修復が重要な課題となってい ます。

ウ  水産物流通・加工対策 

地区内には大規模な市場が存在せず、流通ルートは多岐にわたっています。今後、

山口県漁協のスケールメリットを生かした販売戦略の構築が必要です。

また、地区内の主幹漁業の一つであるいわし船びき網漁業は、脂分の多いイワシの 増加、いりこ製品の価格の低迷により経営が厳しくなっています。

エ  漁協の基盤強化対策 

山口県漁協の経営は、各統括支店の独立採算制となっており、地区内の光熊毛統括 支店及び岩柳玖珂大島統括支店の経営基盤の安定強化を図る必要があります。

また、地区内には、依然として山口県漁協への合併に参加していない漁協が多く、こ れらの漁協の経営基盤強化のため、合併の促進を図る必要があります。

オ  漁村活性化対策 

水産業の低迷による漁家所得の減少、過疎化・高齢化による漁村地域の疲弊が懸念 されることから、豊かな自然や新鮮な魚介類等、漁村地域の持つ多様な地域資源を生 かした新たな取組みが必要です。

また、漁業者による遊漁船業は拡がりをみせておりますが、優良な漁場等において、

漁業と遊漁とのトラブル等が頻発しており、これらの調整を進めていく必要があります。

③  振興方向と施策展開  ア  漁業就業者対策 

○  新規就業者の定着促進

若い漁業者の着業により浜が活性化してい る地区をモデルに、受入地区の拡大を図りま す。また、若者同士の交流の促進や、儲かる 漁業推進事業の導入等による経営の安定と 自立を促進します。

○  離島における環境整備

水産基盤整備や離島漁業再生交付金による環境整備を進めます。

○  中核的漁業者の育成と支援

漁業生産の中核を担う漁業者の経営安定を図るため、儲かる漁業に取り組む協業 体の掘り起こしを進めるとともに、事前・事後の指導・支援を強化していきます。

イ  漁業生産・資源管理対策 

○  栽培漁業と資源管理の推進

協会の会員、漁業者のニーズに即した種苗の放流や放流尾数の見直しを行うととも に、資源回復と連携した栽培漁業を推進します。また、栽培漁業の経済効果の一層の 把握に努めるとともに、協会運営の健全化に向けた取組みを推進します。

○  漁場環境の改善・修復

沿岸域の生産力を高めるために、錦川水系における植林活動を通じて森・川・海を

つなぐ豊かな流域づくりの取り組みを進めます。

また、アサリやナマコなどの資源回復のために、研究機関とも連携し、漁場造成や 害敵駆除の取組みを進めます。

○  漁業規制の見直し

漁業生産の活性化を図るために、現在の操業実態にそぐわない規制については地 元調整が図れるものから見直しを進めていきます。

ウ  水産物流通・加工対策 

○  集荷拠点の整備

統括支店単位の販売事業効率化のために、販売戦略に基づいた集荷拠点の整備 を推進します。併せて品質向上や付加価値向上などの産地の取組みを支援します。

○  離島の流通対策

水産物の出荷条件が不利な離島の流通対策として、離島漁業再生交付金の活用 による流通改善や、必要となる基盤整備等について推進します。

エ  漁協の基盤強化対策 

地区内統括支店の合併のスケールメリットを活かした事業展開・販売戦略の構築など 経営の安定化・健全化に向けた取組みに対し、積極的に指導支援をしていきます。併せ て、これに必要となる基盤整備等について推進します。

また、合併に参加していない漁協については、引き続き合併を促進していきます。

オ  漁村活性化対策 

○  ブルー・ツーリズムの推進

平成

17

3

月に策定した「やまぐちブル ー・ツーリズム推進計画」に基づき、モデル 地区である周防大島町で具体的な取組み を進めます。

また、味覚が形成される幼児期の子供た ちを対象とした魚食普及や、漁業への理解 を進める体験漁業など、食育の観点からも 都市と漁村との交流を積極的に進めていき ます。

○  平郡島周辺海域等の漁場利用調整

平郡島沖漁場利用調整協議会の活動を強化するとともに、漁業と遊漁の競合が 生じている優良漁場毎に利用調整を進めていきます。

(2)

内海中西部地区

重点目標 ◆漁協経営の安定化と多様な流通形態の構築

①  現  状 

○  当地区は、西端に位置する関門海峡で外洋とつながり、木屋川、椹野川、佐波川等 の河口に発達した広大な干潟と周防灘に広がる浅海域を有する西部地区、及び多くの 島嶼に囲まれ変化に富んだ海岸線を有する東部地区に分かれ、アサリ、クルマエビ等の

浅海生物からトラフグ、ヒラメ等の回遊性魚類ま で幅広く分布しています。漁業はほとんどが小 規模な沿岸漁業ですが、小型底びき網漁業の 一部は伊予灘に、ふぐはえなわ漁業は豊後水 道周辺にまで出漁しています。 

○  西部地区を主体とするのり養殖漁家の大幅な 減少や高齢化に伴う漁船漁業の廃業の影響を 受けて、平成

15

年の経営体数は

1,437

体で平 成

10

年の

82.4%となっています。 

○  主な漁業種類は小型底びき網漁業、潜水器漁業、建網漁業、小型定置網漁業等で すが、近年、アサリの減少により採貝はほとんど生産がなく、小型底びき網漁業の主対 象である小型えびやカレイ等の底魚も減少しています。このため、生産量は低位で推移 しており、平成

15

年の生産量は

7,864

トンで平成

10

年の

60.6%

となっています。漁業 者の高齢化、減少が続いており、特に現在の漁業者の主力が

60

才以上であることから、

今後も就業者の減少に伴い、生産量も減少すると思われます 

○  養殖業は西部地区ののり養殖、東部地区のトラフグ等の魚類養殖がありますが、特に のり養殖は栄養塩濃度の低下により、漁期の早い段階で商品価値を無くしてしまうことか ら厳しい経営を強いられています。 

○  地区内の海面漁協は、その多くが合併により設立された山口県漁協となり、漁協経営 基盤の強化は進んできていますが、残る漁協は概して経済事業体としての機能は脆弱 です。 

○  内水面漁業は、木屋川、厚狭川、厚東川、椹野川、佐波川、島田川、錦川(上流域)

7

水系に漁業権が免許され、アユを主体に、ウナギ、モクズガニ、ます類、コイ、フナの 種苗放流が行われています。また、木屋川、椹野川の河口にはシジミを対象とした漁業 権が免許されています。椹野川漁協ではアユの養殖が行われています。 

 

②  課  題 

ア  後継者対策 

現在の漁業は、魚価の低迷、資源の減少等により他産業並みの所得が得難いうえ、

不規則かつ長時間の労働という要素が加わり、新規就業者は毎年わずかな人数となっ ています。

一方、漁業は、定年制がなく長期にわたる就業が可能な点や、収入の多寡は自分の 経営能力次第という魅力もあります。

県内外の若者が、漁業に着業しやすい環境づくりを推進するため、漁村及び行政の バックアップ体制をさらに進める必要があります。 

イ  のり養殖の振興とアサリ資源の回復 

のり養殖は、近年、海域の窒素やリン等の栄養塩の低下による色落ち等により生産量 は大幅に落ち込んでいます。海域における栄養塩の回復が望まれない中で、また、輸 入のりの

IQ

枠の増大等にも対応した、生産コストの低減を図ることが必要となってきてい ます。このため、のり漁場において期間や量を限って人為的に栄養塩を補う施肥や大規

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