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説明文の文法的特徴

ドキュメント内 専門語の諸問題 (ページ 149-163)

第4章  専門文献の語彙と文法・……一…一・

第2節  説明文の文法的特徴

 結果は,表 4−6にみるとおりで,専門語の比率は,基準A1(r基本語用例辞 典s)で2〜4害IJ,基準A2(r岩波国語辞典』)で1罰以下,基準B(専門語辞典)

ではその中間,といったところである。囲碁と料理では,基準Bによる比率 が基準AIによる比率をうわまわっているが,これは,基本語がそのまま専 門語になっている,軍門語辞典の採録語数がおおい,という2重の理由が考

えられる。

 図4−2は,基準Bによって,各分野の文献のうち,専門語の比率が最大の ものから最小のものまでの範囲をしめしたものである。機械・動物などにく

らべて,経済・相撲などでは専門語の比率がひくくなっている。

第2節 説明文の文法的特徴

 専門語は「専門言語」ではなくて「専門用語」,つまり単語である。そし て,そのつかわれる場面・文章様式も,議論・講演・論文・広告とさまざま であって,それらに共通の,専門的文章の文体的特徴といったものをもとめ るのは,むずかしい。しかし,かきことばにかぎっていえば,そのおおくは

(とくに,専門文献の代表ともいうべき学術論文は),説明文というワクにはいる といってよいだろう。それで,このジャンルの文法的特徴を小説と比較して みることにする。なお,会護の見本として,ナマの資料ではないが,シナリ オについても調査した。

 資料はつぎのとおりである。

(説明文)

 第1節でつかった,

  竹中規雄『工作機械』(1958年冬

(小説)

  小田切進編『日本の短編小説 昭稲(下)』(1973年前

146eg 4章専門文献の語奨と文法 にのっているもののうち,つぎの10編   安岡章太郎「寅撫」

  小島儒夫「アメリカン・スクール」

  椎名麟三「神の道化師」

  遠藤周作「白い人」

  有吉佐二子「地唄」

  北 杜夫「岩尾根にて」

  小川国夫「アポロンの島」

  開高 {建「パニック」

  吉行淳之介「鳥獣虫魚」

  福永武彦「飛ぶ男」

(シナリオ)

  シナリオ作家協会編『年鑑代表シナリオ集 にのっている,つぎの5編

  薪藤兼入「或る映画監督の生涯」

   〃  「昭和継れすすき」

  小野竜之助/佐藤純弥「新幹線大爆破」

  ジェームズ・三木「さらば夏の光よ」

  玉村 孟「青春の殺人者」

75』 「1司  ,76』

 以上3つのジャンルから,ランダムに100文ずつえらんで標本とした。た だし,シナリオは,すべて会話の部分で,動作の説明など,小説の地の文に あたる部分はふくんでいない。

(文のながさ)

 文のながさは,語数(文節数)によってはかった。ただし,小説における 会話の引用部分,『工作機械sで文中にでてくる式の部分(ni/ni−t・…iPなど)

は,ながくても,全体で1語とした。

第2節 説明文の文法的特徴 147 表4−7文のながさ

語   数 1234567

8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

『工作機楠 小   説 シナリオ

平均

一一一

T2173565963345511241一

一34471291058666351223一一21−

29i41e 153771131121−2−1−2一一一一一一

25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 ・一v 56 57

 231312一一2−2−1一一11一一11 一 1

 一一 1 ve 一 m一一一 ww 一wwm ww m 一一一一一

標準偏差  変異係数

17.e

9. 8

4.5

 このように,       小説家によっ ては,もっとながい文をかくこともあるようである。樺島忠夫・寿岳章子両 氏が現代小説100についてしらべた結果(r文体の科学』1965年置によれば,谷 崎潤一郎「猫と庄造と二人置をんな一.1(平均23.0語)をはじめ,石一と玄一郎・

井上友一郎・円地文子・大谷藤子・北原武夫・里見弾・田圃英光・牧野信一 の9氏の文夷は,『工作機Stthよりもながかった。

10. 26 O. 60 5. 03 O. 51 4. 37 O. 97

『工作機械sの文は小説よりもながいのだが,

(文の種類)

 文の種類としては,まず大きく,「述語文」と「独立語文」とにわける。

前者は一般の文であb,後者は「はい3(うけこたえ),「兄さん」(よびかけ),

「畜生!」(さけび)などの類である。(注)

 (注)鈴木重幸「B本語文法・形態論』(1972年目p.67

 実例にあたると,これらのあいだに線をひくのも,むずかしいばあいがあ る。ここでは,

  あそこ!

  もうおしまいだ!

  もしもし漣田ですが……

148第4章 専門文献の語彙と文法 などを述語文に,『

  そうです。

  そんな阿呆な!

  なんだよう。

  中止!

などを独立語文にかぞえた。

 単文と複文との区別は,日本語では意味がうすく,ひじょうにむずかしい。

つまり「従属句」か「従属節」かの区甥だが,ここでは,主語とのむすびつ きを重視して,つぎのような基準をたてた。(以下の例では,問題になっている 従属殉・節の述語部分に,下線をひいてある。)

 (1)ことば・考えの引用をふくむものは複文とする。

  「いや……いい男だなと思って……」(複文)

 ② 「ゾウは鼻がながい」の型のものは,「鼻がながい」の部分を複合述語   とみて,単文とする。

 (3)中止・条件などは,主文とおなじ主体のばあい,従属句とする。

  女は,また長火鉢の前へすわって,煙草をつめはじめた。(単文)

  なにか言いたそうに口を開いたが,そのまま挿んだ。(単文)

  そう衰うと伊佐は囁いた当のミチ子より真赤になった。(単文)

 したがって,つぎのようにながいものも,「茶わんは,めしをくう道具で,

こわれやすい」とおなじ構造だから,単文である。C与えることのできるliは,

「与えられる」とおなじ意味の複合述語とみる。)

  パワー一 一ユニットは工具を取付ける主軸に翻転切劇運動を行わせるとともに,軸  方向に直線送り運動を与えることのできる,動力を備えた機能的な一一単位で,加エ  すべき品物の形状加工方法に応じて適当な工具,取付具などを取付けて切劇を行う  ことができる。

 しかし,主体がかわるばあいには,従属節とする。

  一一人娘で希望を託してたんだな。(複文)

  警察へ訴えたらどうするんだ。(複文)

  一個ll抵抗に関しては多くの実験結果があるが,その一例として簡単なKronen・

 bergの式を掲げておく。(複文)

 ただし,主体がかわっても,その主体が一般化されていて,主語をおぎな

       第2節 説明文の文法的特徴 149 えないようなばあいには,従属句とする。たとえば,

  多くの油圧厩路も大別すると次の2種の基本型に分類される。

という文で,「大別する」主体は「人」「われわれ」などだろうが,これらを 主語としておぎなうと,不自然な文になる。それで,これは従属句とし,全 体を単文とする。以下にあげるのも,この類である。

 園転切削運動を行う工作機械で,加工物あるいは工具を取付けて:れに園転運動 を与える軸を主軸といい,きわめて重要な町彫要素である。

 一例を第9−4図に示すが,特殊な加工物に対しては専用の直立上盤が製作されて

いる。

 簡単なものは第2−18図に示すようにベルト段車と組み合わせて淵いられている。

 また第2−14図のように配列すれば装置の幅を狭くすることができる。

 ff工作機械』には,つぎの型の文がたびたびでてくるが,これは,ながく ても単文になる。

  いま,ある工{乍機械で趨さなければならない切削速度の最大値をv・max,最小値  をv minとし,この工作機械で加工することのできる加工物の直径または取付け  て使罵することのできる工具の直径の最大値を4max,最小値をd minとすれ  ば,回船数nの範閉はつぎのようになる。

 (4)連体的なもののばあい,主語をおぎないうるようなものは,従属節と   する。

  僕たちをウラんだり,憎んだりしていないことも,またたしかだった。(複文)

  そうである以上》私は彼女を見失いたくなかった。(複文)

  「典子に,金のネックレスを買ってやったのはどういうわけだ1(複文)

 つぎの文は,「善やんの」という主語をふくんでいるから,複文である。

  準次は,善やんの残した紙包みを晃た。

 しかし, これが

  準次は,紙包みを残した善やんを見た。

だったら,「残した」に主語をおぎなうことができないから,単文というこ とになる。ここで採用した基準は,このように機械的なものだが,すべての 述語文を,種類や程度の差を無視して,単文と複文とに2分するのが,もと

もとムリなのだから,しかたがない。

 150第4章 専門文献の語彙と文法

 つぎのような例では、「われわれが」「作業をする人が」などの主語を,お ぎなえないこともないが,やや不自然になるので,不定法にあたる従属匂と

みた。

  金属を鋸挽きする方法は3種類ある。(単文)

  水銀整流器を用いて直流電源をつくり,これによって直流電動機を駆鋤する方式  もある。(単:文)

  由型案内颪を1個所用いる講成は,自然にこの条件を満足しいる。(単文)

 独:立語文をのぞいた述語文は,述語の品詞によって,名詞文・動詞文・形 容詞形容動詞文・省略文にわけた。一部の形式化した要素は,述護吾に付属し たものとして,無視した。たとえば,「たかいのである」「たかくなければな らない」は形容詞文である。ただし,「〜わけである」「〜はずである」は名 詞文,「〜てもいい」は形容詞文とした。

 以上の基準によって集計すると,つぎのとおり,ほぼ予想されるような結 果になった。

        独立語文  単文   複文

  『工脅F機械』        一       46       54  !1、      説       一       56       44

 シナリオ  16  60  24

(文の構造)

 文の構造の分類として,ここでは,文の成分のくみあわせの次数という基 準をとることにした。この方法は,国立国語研究所報告8 「談話語の実態』

(1955年)でつかわれている。(この部分の担当は飯豊毅一)以下に,同書P.77 の説明を引用する。

 次の三つの文を成分の組合せという点からみると,

(1)本オ 読ンダノヨ。

 (2)オモシロイ 本オ 読ンダノヨ。

 (3)アナタガ オモシロイ 本ダト ユーカラ 読ンダノヨ。

 (ljと(2>との「本オ」は述語の「読ンダノヨ」の連用修飾語である。「読ンダノヨ」

と第一次的な関係にある。これに対し,(2>の「オモシmイ」は本の連体修飾語であっ

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