1) 模擬地盤での鉄粉スラリー噴射試験
3.1.2 試験の方式
実験室内で行う拡散試験には、透過型(Through-diffusion)、浸入型(In-diffusion)、カラム 型(Column)などいくつかの手法があることから、これらを比較して表 3.1 に示した。
この結果より、浸入型及びカラム型拡散試験法は、水素の拡散試験に適さないと判断し、本 研究では、透過型拡散試験法を採択し、溶存水素の拡散を評価することとした。
なお、装置自体の開発時点においては、試験に要する時間を適切に短縮するために、下流側
(低濃度側)を開放し、また、上流側(高濃度側)溶液槽の容量を適切に小さくした条件下で 試験を実施した。
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表3.1 拡散試験方式の比較 方
式 透過型 浸入型 カラム型
考 え 方
周囲の側面がシールされ た試験体の両端にそれぞれ 溶液槽を設け、片方の溶液槽 (上流側:高濃度側)にトレー サー物質を投入し、試験体を 介 し て 他 方 の 溶 液 槽(下 流 側:低濃度側)に拡散してい くトレーサー物質の量の経 時的な変化を測定し、試験体 におけるトレーサーの拡散 し易さ(即ち、拡散係数)を求 める
試験体の周囲側面をシー ルし、試験体の一端若しくは 両端を一定濃度のトレーサ ー溶液に浸漬させ、ある一定 の時間経過後における試験 体軸方向の濃度分布を分析 し、試験体の拡散係数を評価 する
一定動水勾配のもとで試 験体内を流れる水にトレー サー物質を投入し、下流側か ら流出する水の中のトレー サー物質の量の経時的な変 化を測定し、試験体の拡散係 数を求める
適 用 性
―
水素は揮発しやすいため、
試験終了後に試験体を切断 し、その中の水素濃度分布を 正確に分析するのが極めて 難しい
水が常に流れており、溶存 水素を試験システム外へ揮 発させないことが極めて困 難である
概 念 図
41 3.1.3 試験材料と装置
(1) 供試試料
試験用試料としては、ガラスビーズ(J-90Potters-Ballotini Co.,Ltd.)および豊浦標準砂(JIS Z
8801 豊浦硅砂鉱業株式会社)を使用した。
図 3.1 試料の粒経加積曲線
水素拡散試験に用いたガラスビーズおよび豊浦標準砂についての粒径分布試験結果は、図3.1 に示すとおりである。
拡散試験では、試料の両サイドにガラスビーズの場合はステンレス製網(目開き150 μm)を、
豊浦標準砂の場合はステンレス製網(目開き 106 μm)を設置した。
このことから、試験体を形成させるため、篩を用いてガラスビーズは150 μm以下(重量百分
率0.2%)、豊浦標準砂は106 μm以下(重量百分率0.7%)の微小なガラス粉末や砂の粒子を事
前に取り除いた。
(2) 試験容器
水素は分子サイズが小さく、揮発しやすいという特性を持つため、試験容器からの水素ガス の漏洩が大きな問題であった6)。
この点を改善するために水素ガスを透過しにくい材質で、溶接箇所を極力減少させた試験容 器を作製した。これを図 3.2 に示す。さらに、内部構造を図 3.3 に示す。
ここで、容器本体はアルミ合金、サンプリングポートのゴム栓およびO-リングは、ガス透過 性の最も小さいブチルゴム製のものを使用した。
溶液槽の設計容量は上下流とも1L で、使用容積は溶液槽内に投入するガラスビーズの量で 任意に調整できるように考案した。
この実験に先立ち、事前に試験容器を密閉して、内部からの水素ガス漏洩がないことを確認 する試験を実施した。
溶存水素水作成の状況を図 3.4に、この結果を図 3.5 に示す。
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図 3.2 水素拡散試験容器の外観
図 3.3 水素拡散試験容器内部の模式図
図 3.4 溶存水素水の作成 図 3.5 水素ガス漏洩試験の結果 サンプリングポート
サンプル取り出し
蒸留水注入
試 料 直径:100mm 厚さ:5~10mm
測定用溶液槽
(1L)
(蒸留水)
トレーサー溶液水槽
(1L)
(水素溶解水)
試験容器
(アルミ削り出し・完全密閉)
網と固定装置
(ステンレス網/紙フィルタ―)
43 3.1.4 試験方法とその結果
(1) 溶存水素拡散試験
1) 溶存水素拡散試験の方法