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浄化原理確認を目的とした高濃度汚染サイトでの試験 .1 施工手順と実験条件

2) 透水試験の結果

4.1 浄化原理確認を目的とした高濃度汚染サイトでの試験 .1 施工手順と実験条件

(1) 施工手順

ウォータージェットを用いた原位置浄化技術の作業工程を図 4.2 に示す。

ロッド削孔を所定の噴射深度まで実施した後、次にロッドを回転させながら40 MPa 程度の 超高圧で清水を噴射し、薄層状のスリットを切削する。その後、噴射剤を浄化促進剤に切り替 え、再度高圧噴射を行い、スリットに浄化促進剤を投入する。噴射完了後、次のスリット深度 までロッドを引き上げ、再び清水を噴射し、浄化促進剤を投入するためのスリットを切削する。

この作業を繰り返し、浄化対象区間に必要枚数の薄層状の浄化促進剤注入域を造成する。

なお、噴射による浄化促進剤の投入は、スリット毎に繰り返して行うのではなく、必要枚数 流線直進性向上

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のスリットを切削した後、まとめて順番に投入することも可能である。後者は前者より作業効 率を向上させることも可能であり、本章の 4.2 で述べる低濃度汚染サイトでの試験ではこの方 式を用いた。また、切削スリットの間隔については、第3章で述べた難透水性地盤におけるバ イオレメディエーションのための浄化促進剤投入方式に関する理論的基礎検討の結果を踏まえ、

浄化にはスリットとスリットの中間で一定濃度以上の水素濃度が必要であること、浄化期間の 短縮また地盤を泥濘化させないとの観点から、本章で述べる二つの実証試験ではいずれも0.3m とした。

現場作業のイメージを図 4.3 に示す。

①削孔 ②清水噴射 ③薬剤噴射 (地盤をスリット状に切削) (浄化促進剤投入)

図 4.2 ウォータージェットによる浄化促進剤投入工程

(a) 施工状況 (b)施工プラント状況

図 4.3 現場作業のイメージ

水素徐放剤

超高圧ポンプ ミキサー

水槽

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(2) サイトAの地質及び汚染状況

実験箇所は、都内某所のクリーニング工場跡地であり、この汚染サイト(サイトA)の土質 柱状図を図 4.4 に示す。透水層は GL-0~-9m であり、それ以深はシルトを含む難透水層であ る。

GL-10m付近の難透水層の土壌の粒径加積曲線を図 4.5 に示す。

VOCs 汚染は難透水層に到達し、表 4.1 に示すように、この層境より下方にも浸透している ことが確認された。

予備調査では、PCEの土壌汚染濃度が最大で75 mg/Lと検出されていた。

なお、黄色着色部は土壌溶出量基準値を超過しているが第二溶出量値を超過していない部位、

茶色着色部は第二溶出量値を超過している部位を各々示す。

表 4.1 サイトAの汚染状況(単位:mg/L)

図 4.4 サイトAの土質柱状図

深度 (GL)

対象物質

cis-1,2-

DCE TCE PCE

- 0.5 m ND ND 0.010

透 水 層 - 1.0 m ND ND 0.001

- 2.0 m ND ND 0.014 - 3.0 m 0.019 0.006 0.044 - 4.0 m ND ND 0.001 - 5.0 m ND ND 0.004 - 6.0 m ND ND 0.004 - 7.0 m 0.007 0.001 0.004 - 8.0 m 1.9 0.81 6.3

- 9.0 m 5.2 2.4 75 難

透 水 層 -10.0 m 3.1 0.003 0.059 -11.0 m 0.005 0.004 0.004 -12.0 m ND ND 0.002

溶出

基準 0.04 0.03 0.01

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図 4.5 浄化対象土壌の粒径加積曲線 4.1.2 事前室内試験

微生物分解による浄化の可能性を検討するに当たって、同サイトAから採取した地下水及び 土壌試料を用いてトリータビリティー試験を実施した。

メジューム瓶(500 mL)に土壌を50g投入し、ここに現地から採取した地下水を注水して全

体として200 mLに調整した後、0.8 mLの水素徐放剤を添加した。なお、土壌は現地の難透水

層としてGL-9~-10 mの砂質シルト層から採取したものを混練して均一にした後、所定の試料

分に小分けしたものを用いた。培養による分解試験期間中、週1回の頻度でメジューム瓶を上 下逆転させたのち上下左右に振って内部を撹拌した。試料は恒温器で25℃にて保管した。

分析直前に、一旦、メジューム瓶を撹拌させた後、泥土分の沈降を待って、上部の水を採取 し、VOCs濃度を測定した。なお、測定はPID/DELCDガスクロマトグラフ(米国SRI社製 GC-310型)を用いた簡易分析とした。

水素徐放剤種類を3ケース、比較のために無添加(Control)を1ケースとして、計4ケース について6箇月間にわたって試験を実施した。水素徐放剤としてはグリセロール重合乳酸を主 成分とした水溶性基質のもの(タイプA)と植物油である大豆油を主成分としたもの(タイプ

B)及びこれにpH調整剤を添加したもの(タイプC)とした。

このトリータビリティー分解試験結果を図 4.6 に示す。

なお、初期値としての分析データは、無添加(Control)のものの分析データを、すべてのケ ースにおいて用いている。また、分析項目には調査項目にはなかった、1,1-DCEおよび cis-1,2-DCEの分解生成物であるクロロエチレン(VC)も加えた。

水素徐放剤が無添加のものについては、分解速度が遅く、有意な分解性が確認できなかった。

GL-10m採取

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水溶性基質のもの(タイプA)については、高い分解性は確認できたが、cis-1,2-DCEが6箇 月経過時点では分解が進んでおらず、添加薬剤が消費されてしまったと考えられる。植物性基 質の薬剤 2 種類についてはcis-1,2-DCE の分解速度に差異は発生したがどちらも高い分解性が 確認された。

このことから、現場実証実験のステップに進むこととした。

図 4.6 サイトAのトリータビリティー分解試験結果

0 1 2 3 4 5 6

0 1 2 3 4 5 6

濃度(mg/L)

経過時間(月)

(a)  Control

PCE TCE cis-1,2-DCE 1,1-DCE VC

0 1 2 3 4 5 6

0 1 2 3 4 5 6

濃度(mg/L)

経過時間(月)

(b)  タイプA

PCE TCE cis-1,2-DCE 1,1-DCE VC

0 1 2 3 4 5 6

0 1 2 3 4 5 6

濃度(mg/L)

経過時間(月)

(c)  タイプB

PCE TCE cis‐1,2‐DCE 1,1‐DCE VC

0 1 2 3 4 5 6

0 1 2 3 4 5 6

濃度(mg/L)

経過時間(月)

(d)  タイプC

PCE TCE cis‐1,2‐DCE 1,1‐DCE VC

65 4.1.3 現場実証試験

(1) 浄化促進剤の投入条件

サイトAでのウォータージェットによる浄化促進剤の投入条件を表 4.2 に示す。ここで、噴 射量と圧力については、汎用性が高く地盤改良でよく用いられる超高圧ポンプの仕様より設定 した。また、スリットの間隔は、水素分子の拡散速度に関する第3章での解析結果を参考に決 定した。

表 4.2 サイトAにおける浄化促進剤の投入条件 噴射量

(圧力:40MPa)

清水(地盤切削) 70 L/min 浄化促進剤(注入) 70 L/min

対象範囲 φ2.0 m

対象(H=3.0m) No.1 GL-7.5 m~-10.5 m No.2 GL-8.0 m~-11.0 m

注入ゾーン土量 9.42 ㎥/本 スリット数 11スリット

スリット間隔 0.3 m

浄化促進剤は水素の徐放持続期間を3~5年間持続できるタイプBを使用した。

ここで、浄化剤噴射範囲の確認は、清水噴射を25℃に加温して噴射することにより、地中に 事前に設置した熱電対の温度上昇の変化を目視観測で実施した。なお、既存井戸の地下水温度

は20℃であった。熱電対の設置は、噴射位置から平面で1.0 m離れの位置とし、ウォータージ

ェット噴射深度の最下端と最上端および中間深度の3深度とし、この深度での温度変化を確認 することにより、加温したウォータージェットの到達を評価した。

この結果を図 4.7 に示す。

図 4.7 熱電対の計測結果

測定時期

上昇温度 ()

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結果として、熱電対の温度変化を確認できたことから、設計径である直径2.0 mまでの温水 の到達を確認できた。

なお、目視ではなく、記録計を用いて熱電対による噴射範囲の確認を実施したケースについ ては、本章4.2 にてデータを示して詳述した。

(2) 浄化効果の確認方法

浄化効果は、土壌をサンプリングして汚染濃度を分析することで確認した。

なお、土壌サンプリング開始の時期は、浄化体打設直後に設置した井戸の地下水汚染濃度の 変化を 2~3 箇月ごとにモニタリングして分解が進んでいることを確認できた後とするものと した。ここで、井戸内の水を完全に入れ替える作業(井戸パージ)は最初の1回だけとし、そ の後は、貯留した状態の井戸内水をサンプリング分析した。