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第 2 章 実験装置および実験方法

3.3 らせん溝形状が熱交換性能の劣化に及ぼす影響

3.3.3 試験結果

表3-3に形状BのEGRクーラに対するすす堆積試験の排ガス流量条件および 試験結果を示す.また図 3-17は表 3-3の中からNo.34~No.36 について,繰返し サイクル数に対する熱伝達率の推移を示す.ここでの排ガス流量はすす堆積試 験の第 1 サイクルから最終サイクルまでの平均値であり,熱伝達率は式(3-1)を 用いて排ガス流量条件が同じとなるよう補正した.グラフからわかる通り,サ

イクル数 25~30 の区間においては熱伝達率の変化はほぼ横ばいとなっており,

すすの堆積は一定に達していると考えられる.

Table3-3 Exhaust flow and experimental results of fouling test (B-Type EGR Cooler)

Fig.3-17 Degradation behavior of heat transfer coefficient during fouling test (B-type EGR cooler)

続いて溝形状の違いによる比較を行う.図3-18は熱伝達率について,図3-19 は圧力損失について,形状Aと形状BのEGRクーラの第1サイクルと第30サ イクルにおける結果を示した.形状 A の試験結果は 3.1 節で行ったホットスタ ートのすす堆積試験である No.4~No.11(排ガス流量が小さいNo.8 と No.11を 除く)を用いている.また図3-18には,2.3.4節に示した熱交換性能測定装置を 用いて,すす堆積前の熱伝達率の初期値を空気試験によって測定した結果を併 せて示した.空気試験における排ガスと冷却水の条件は,JE05モードの1470sec

~1640secの平均値と同等とした.図中の実線は溝形状A,破線は溝形状Bの結

果を示している.また,AとBの記号の後の数字は試験サイクル数を表し,A-0 とB-0はすす堆積前の初期値を表している.図3-18からJE05モードの第1サイ クル中に,すでに 15%~20%の熱伝達率の低下が起きていることがわかる.形 状Bの熱伝達率は,初期状態においては形状Aよりも高いが,第1サイクル以 降は形状Aの値とほぼ同等となる.また図3-18から,溝形状Aの場合はサイク

103 105

144 106

aon last cycle 116 [W/(m2K)]

157 195

218 190

aon 1st cycle 214 [W/(m2K)]

12.1 17.1

19.1 10.6

Exhaust gas 18.3 flow [g/s]

No.36 No.35

No.34 No.33

No.31

103 105

144 106

aon last cycle 116 [W/(m2K)]

157 195

218 190

aon 1st cycle 214 [W/(m2K)]

12.1 17.1

19.1 10.6

Exhaust gas 18.3 flow [g/s]

No.36 No.35

No.34 No.33

No.31

0 50 100 150 200 250

0 5 10 15 20 25 30

No.34(wg = 12.1g/s) No.35(wg = 17.1g/s) No.36(wg = 18.9g/s)

Repetition number of JE05 mode test N Heat transfer coefficient aW/(m2K)

ル数の増加に伴う圧力損失の低下が見られるのに対し,溝形状 B では第 1サイ クル時点と第30サイクル時点で圧力損失にほとんど差が見られなかった.すな わち形状Bでは圧力損失の変化を伴わない熱伝達率の低下が起きていた.

Fig.3-18 Heat transfer coefficient of two types of EGR-cooler

Fig.3-19 Pressure loss of two types of EGR-cooler

前述の通り,溝形状BのEGRクーラによるすす堆積試験は,溝底部での排ガ スの滞留が起きにくく,すす堆積による熱交換性能の低下が緩和されることを 期待して行った.しかし実際の試験結果では,溝形状BのEGRクーラの方が熱 伝達率の低下幅が大きくなり,表面的には前の考察と矛盾する結果となった.

30 サイクル後のすすの堆積質量は排ガス流量19g/s において,溝形状 Aと溝形 状Bの両方で0.7gであり,同等であった.従って伝熱面積の小さい溝形状Bの 方が,単位面積当たりのすす堆積質量が大きくなっており,これが前の考察に 反して熱伝達率が大きく低下する要因になったと思われる.言い換えると,ら せん溝の深い溝形状 A ではすすの堆積が熱伝達率と圧力損失の双方の低下に影

0 100 200 300 400 500

5 10 15 20 25

Exhaust gas flow wg g/s

Heat transfer coefficient aW/(m2K) B-1

B-0 A-1 A-0

A-30 B-30

0.0 1.0 2.0 3.0

5 10 15 20 25

Pressure loss DP kPa

Exhaust gas flow wg g/s A-1 A-30

B-30 B-1

響を及ぼしているのに対し,らせん溝が浅い溝形状 B では,すすの堆積が熱伝 達率を低下させる要因になっているが,それが排ガスの流れの状態を変えない ため,圧力損失に変化が無かったと考えられる.

EGRクーラの性能に関して言えば,溝形状BのEGRクーラは初期の熱伝達率 は溝形状AのEGRクーラよりも高いが,伝熱面積が小さいため総熱交換量は小 さい.さらにすす堆積後の熱伝達率は形状 Aの EGRクーラとほぼ同等となる.

また溝形状AのEGRクーラでは圧力損失の低下から熱伝達率の低下を推定する ことが可能であるが,溝形状 B ではそれが不可能である.以上の観点から今回 比較した2種類のEGRクーラでは,溝形状Aの方が熱交換器として優れている ことは明らかである.しかしいずれのEGRクーラも,ホットスタート試験の繰 返しによって 40%以上熱伝達率が低下するため,この性能劣化を低減すること は重要な課題である.

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