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5-1 評価5項目による評価結果

5-1-1 妥当性

以下に示すような点で、妥当性は非常に高い。

(1) 国家開発計画との合致

 ボリビア国家開発計画 2006-2011 の上位目標である「人として尊厳のある生活の回復」の柱とし て、貧困削減のための社会開発支援を目指している。ここでは、教育、保健、安全な水などの基 本的社会サービスへのアクセスを改善し、最も脆弱な社会階層が直接受益することを目指している。

本プロジェクトは、この中の保健医療分野で主に貧困層向けサービスのアクセス改善に貢献するた

めに 2008年に開始された。本プロジェクト開始以来、ボリビア政府の国家開発政策は継続してお り、本プロジェクトとの合致に変化はない。

(2) 保健セクター開発計画との整合性

 保健スポーツ省の「保健セクター開発計画2010-2020年45」では、上記国家開発計画の上位目 標を具現化するため、a) 保健医療サービスへのユニバーサルアクセスに主眼を置いた多文化コミュ ニティ家族保健(SAFCI)政策、b) 健康増進と社会参加、c) 健康の主権と教義46、の3つの 軸を設定している。本プロジェクトのFORSAモデルは、上記3つの軸に含まれ、その達成を支援する 手段と位置づけることができる。このように、本プロジェクトは「保健セクター開発計画」と上位目標

を共有し、その達成手段の一部になっているという点で、両者の整合性は極めて高い。

45 http://enfermeria.bvsp.org.bo/textocompleto/bvsp/boxp79/tc/nacional/nplans23.pdf

46 住民が自らの健康のために主体的に活動をするうえで参考になる行動指針。

65 (3) 多文化コミュニティ家族保健政策との整合性

 本プロジェクトは2008年に保健スポーツ省から発表された国家政策であるSAFCI政策の実現を 支援する役割を担っていると位置づけられる。SAFCI政策では、「マネジメントモデル」と「保健ケア

モデル」が示されている。本プロジェクトの成果2のFORSAモデルは、SAFCI政策のマネジメントモ デルが目指す地域保健活動の強化を実現するための知見を提供している。住民参加保健活動

を除くFORSAモデルは、SAFCI政策の保健ケアモデルが目指す保健行政サービスの改善を実現

する役割を担う。このように、本プロジェクトはSAFCI政策を実現するための手段であるため、両者 の整合性と補完性は極めて高い。

(4) 日本のボリビアに対する援助政策との合致

 日本は外務省の対ボリビア国別援助計画(2009年4月)において、ボリビアに対する支援の2 柱の1つである「貧困削減のための社会開発支援」の中で、「ボリビアの貧困削減を含むミレニア ム開発目標(MDGs)の達成」を支援することとしている。

 JICAは、対ボリビア国別援助方針(2009年10月)を具現化するために「JICA国別事業実施

計画2011年」の中で、「母と子どもの健康に焦点をあてた地域保健医療ネットワーク強化プログラ ム(PROFORSA)」を定めており、母子保健分野は重要課題の一つに挙げられている。これら により本プロジェクトは、ボリビア及び我が国の開発政策に合致している。

5-1-2 有効性

(1) プロジェクト目標達成の見込み

66 1) サンタクルス県

5つの分野でのFORSAモデル47による能力開発により、PDMの成果1~6が達成されつつあり、地域 の保健サービスネットワークの能力は、以下に示すようなレベルで強化されつつあるといえる。言い換えると、

プロジェクト目標は6つの成果達成により以下のようなレベルに達成されつつあるといえ、有効性は高い。

 8つの農村部の保健ネットワークでは、本プロジェクト開始後に施設分娩率が8%増加した(プロ ジェクト目標の指標1)。

 地域住民が適切な予防保健の知識を獲得して実践する傾向にある。その中で、保健サービスを

以前より積極的に活用するようになりつつある(プロジェクト目標の指標2)。

 1次、2次保健医療施設でのケアの質は改善し、問題解決能力は向上する傾向にある(プロジェ クト目標の指標3)。

 保健医療施設での事務・財務管理の効果と効率性が改善し、保健医療活動をより適切に支援

できる傾向にある(プロジェクト目標の指標4)。

 医療機材の予防メンテナンスと管理について、恒常的に支援する人材が配置される見込みである

(プロジェクト目標の指標5)。

2) ベニ県とパンド県

ベニ県では2011年8月に成果1と2の活動を開始、パンド県では2011年10月に成果1、2、5の 活動を開始したところであるが、いずれも 11 月からの雨季のため活動は停滞し、現在成果が発現するま でには活動は進捗していない。したがって、プロジェクト目標は計測できるレベルでは達成されていない。言

い換えると、成果とプロジェクト目標の達成度を根拠にしてFORSAモデルの2県での有効性を検証でき

47 FORSA SCZ Ph.1で開発された5つの重点分野の活動の中でそれぞれ使われている手法の総称。

67 る段階まで至っていない。

5-1-3 効率性

(1) 成果の達成度

サンタクルス県では、成果1と成果5に一部未達成の課題がある。成果の達成状況は概ね良好と いえるが、他方でプロジェクトのマネジメントを担う日本人専門家の投入量が十分でなかったことは教訓 とすべきである。ボリビア側カウンターパートの人事異動という外部条件により活動が一時停滞したことも、

効率性に負の影響を及ぼした。以下に投入の質、量、タイミングに関する調査結果を示す。

(2) 投入の質、量、タイミング 1) 日本人と第3国の専門家

 委員会メンバーによれば、日本人と第3国の専門家は、各成果の達成を支援するために必要 な専門性、資質を満たしていたと評価している。

 総括担当の日本人専門家の投入総量2M/MはPCM手法にもとづくマネジメントを実施する には十分ではなかった。

2) ボリビア人カウンターパート

 サンタクルス県では、プロジェクトの技術委員会メンバーは、各分野の専門家であり、さらにそのうち

の多くはFORSA SCZ Ph.1プロジェクトから継続して関わっているメンバーであるため、FORSAの5

つのサブシステムの技術内容に精通していた。このため、プロジェクト開始後直ちに委員会メンバー によるターゲットグループへの研修を開始することができたほか、各メンバーが蓄積した経験とノウハウ を活用して、プロジェクトの活動を効率的に実施することができた。このようにボリビア側の人材の質

68 はプロジェクトの効率性に大きく貢献した。

 サンタクルス、ベニの両県のSEDESの人事異動はプロジェクト活動の遅延の原因となった。

3) 供与機材

供与機材は、超音波診断機、恒温槽、ドップラーなどの医療機材のほか、住民参加型保健活 動で使うプロジェクター、事務・財務管理用のソフトウェアをインストールするパソコンなど多岐にわたる。

いずれも現場のニーズに合ったものが投入されており、良好に管理され現場で十分に活用されてい る。

4) 本邦、第3国研修

第3国研修として、2009年にブラジルのペルナンブコ連邦大学での住民参加型保健活動研修に

4人が参加した。日本での研修では、2008年に「医療機材維持管理コース」の集団研修に2人、

2010年に「コミュニティヘルスプロモーション」の集団研修に5人が参加した。いずれの研修の参加者 も、当時はプロジェクトの各分野の活動担当者または責任者だった。研修参加者11人のうち、研 修後に1人が退職、他の1人は私立のクリニックに転職したが、残り9人は現在も同様の部門に 勤務している。退職した1人以外の全員が、日本で学んだことを現在の業務に活用していると答え ているほか、研修に派遣されたカウンターパートが勤務するミネロス市のポルフィア保健ポストでは、ブラ ジルでのバンブー手法を使った住民参加型保健活動の研修教材を日常の業務に活用していた。こ

れらのことから、第3国と日本での研修は、テーマ、参加者、研修内容の選定の面で概ね適切だっ たといえる。

5) 保健ネットワーク長と保健医療施設人員の配置状況

 サンタクルス県の幾つかの保健ネットワーク長は、プロジェクト実施期間中交代したが、保健医療

69

施設人員の交代はなく、プロジェクトの活動に大きな支障はなかった。

5-1-4 インパクト

上位目標の指標の情報源は国家人口保健調査(ENDSA)によるが、次回の ENDSA 実施予定 年の 2012 年後半まで指標値を計測することはできない。しかしながら、上位目標の達成に繋がるインパ クトの他、5 つのサブシステムが以下のように多様な正のインパクトを産み出しているため、総じてプロジェク トによるインパクトは大きいといえる。

(1) 上位目標の達成に繋がるインパクト

終了時評価調査では、以下のようなインパクトが確認され、上位目標達成は十分期待できる。これら の事例からは、住民参加型保健活動が他の医療分野の効果を巻き込んでインパクトを生み出しているこ とがわかる。

 プロジェクトによりコミュニティの保健活動のリーダーが育てられ、併せて住民の連帯意識が強化され たため、デング熱防止の清掃活動が効果的に行われた。その結果、フロリダ保健ネットワークのマイ

ラナ保健センターでは、デング熱の発症認知件数が、2009年の30件からゼロに激減した。

 同じく、マイラナ保健センターでは、手洗いキャンペーンが拡大されたことにより、2011年では、5歳

以下の幼児の下痢の認知件数が、2006年の数値に対し60%程度に激減した。

 オビスポ・サンティエステバン保健ネットワークのビルヘン・デ・ファティマ保健センターでは、パルトグラム を適切に活用できるようになり、出産への適切な対処ができるようになった。その結果、住民の信 頼度が高まって、このセンターの受診妊婦が増えたことと併せて、出産時死亡率の改善に貢献して いる。

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