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計算結果および考察

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 53-65)

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図 2.27 自然対流の卓越する環境における表面温度および発熱面の計算結果

図 2.28 移流量の計算結果(検討断面:X=1.8m)

700 750 800 850 900 950

15 20 25 30 35 40

C D A A C A B C D B D A B C D B A

ceiling window South West North East floor

surfacetemperature[] thermal flow[W]

Case-1 Case-2 Case-3

converged

initial initial converged

a:Case-1 b:Case-2 c. Case-3

50

図 2.29 移流量連成の有無による各ゾーンの室温 図 2.30 移流量によるバルク温度の比較

図 2.31 強制対流の卓越する環境における表面温度および対流熱伝達率の計算結果

図 2.32 移流量連成による各ゾーンの温度 図 2.33 移流量連成によるバルク温度の比較

0 5 10 15 20

5 10 15 20 25

C D A A C A B C D B D A B C D A B

ceiling window South West North East floor

surfacetemperature[] heat transfer coefficient[W/m2K]

calculated by ES convection

initial calculated by CFD convection

surface temperature heat transfer coefficient

15 20 25 30 35 40

initial convergenced initial convergenced initial convergenced

Case-1 Case-2 Case-3

A B C D A B C D A B C D A B C D A B C D A B C D

air temperature[]

24 26 28 30 32

initial convergenced initial convergenced initial convergenced

Case-1 Case-2 Case-3

ES CFD ES CFD ES CFD ES CFD ES CFD ES CFD

room temperature[]

ES CFD

(initial) (convergenced)

18 19 20 21 22 23 24

initial calculated by ES convection

calculated by CFD convection

roomtemperature[]

ES CFD

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図 2.34 強制対流の卓越する環境下でのゾーン間の移流量および風速分布 Fig. 18 Wind speed distribution (x

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まとめ

本章では,BES_ Exの設定条件および収束判定基準を明らかにし,非定常解析での使用を 前提とした基礎的検討として床暖房を対象にBES_Exの計算を行った。また提案したBES_Ex を多数ゾーンへと拡張し,自然対流および強制対流の卓越する計算条件で計算を行った。主 な知見を以下に列記する。

・対流熱伝達率の精度検証

1) CFDによる対流熱伝達率の計算方法に関して,境界層理論を正値としてその精度を確認

し,メッシュ数やy+の感度を確認した。メッシュ数が少なくなると壁面近傍のセルの間 隔が大きくなってしまうため,正確に y+の値を参照できないことが計算値と温度場に よって確認できた。

2) CFDによる対流熱伝達率の計算方法に関して,メッシュが詳細な方がy+が線形に計算で

きる事が確認できた。

3) y+=75~125 の距離を参照温度として対流熱伝達率の計算を行うことで十分な計算精度

が得られることを確認した。なお,y+=100でBES_Exを行うこととした。

・床暖房を敷設した実験室のBES_Exの適用事例

1) 床暖房を敷設した実験室にBES_Exを適用し,収束判定基準が⊿T=0.01℃且つ熱源の境

界条件は熱流で与えることでTHERBのバルク温度とCFDのバルク温度が熱バランスを満 たすことを確認した。

2) 床暖房を敷設した実験室に BES_Ex を適用し,温度分布が再現出来ている事を確認し,

非定常解析への応用の可能性を示した。

・BES_Exの多数ゾーンへの拡張

1) BES_Ex を多数ゾーンへ拡張する際に,自然対流においては熱源からの熱量をを熱流と

して正しく与えて対流熱伝達率を境界層理論を用いて計算することでTHERBとCFDの熱 バランスが一致する事を示した。

2) BES_Exを多数ゾーンへ拡張する際に,自然対流では各ゾーンのバルク温度は,ゾーン間

移流量の連成有無の違いによりゾーンAで4~5℃違いが生じた。

3) BES_Exを多数ゾーンへ拡張する際には,強制対流場においては,境界層理論は主流速度

が未知数のため対流熱伝達率を正確に計算できない。対流熱伝達率を CFD で計算し,

THERBへ連成することで熱バランスが合う事を示した。

4) BES_Ex を多数ゾーンへ拡張する際に,強制対流では対流熱伝達率がエアコンの気流が

当たる面は7.0W/m2Kを示したが,気流の影響が小さくなるエアコン面は約4.0W/m2Kと 小さい値を示しており,ゾーン毎に差異が生じた。

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5) BES_Exを多数ゾーンへ拡張する際に,強制対流では巡回流の発生を想定しているため,

エアコン設置ゾーンの温度が高くなる傾向があり,指向性の強い移流の影響をES で考 慮する際には各ゾーンへの熱の分配をCFDで計算するなど,何らかの方法が必要である ことが示唆された。

記号

𝛼𝛼𝑐𝑐 :対流熱伝達率[W/(m2・K)]

A :表面積[m2 𝑐𝑐𝑤𝑤 :水の比熱[J/(kg・K)]

Gr : グラスホフ数 [-]

g : 重力加速度 [=9.8 m/s2] j :対象要素[-]

𝑘𝑘𝑝𝑝 :配管内乱流熱伝達率[W/(m2・K)]

L :代表長さ [m]

l :分割した内部層までの距離[m]

𝐿𝐿𝑓𝑓 :配管の長さ[m]

Nu : ヌセルト数 [-]

Pr : プラントル数 [-]

𝑄𝑄 :床暖房(温水)の供給熱量[W]

𝑞𝑞𝑓𝑓 :温水の供給熱量[m3/s]

𝑞𝑞𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 : 壁面の熱流束 [W/m2]

Ra : レイリー数 [-]

Re : レイノルズ数 [-]

𝑅𝑅𝑚𝑚 :配管部分と床材の見かけの熱抵抗[m2/(W・K)]

s :対象表面[-]

T :温度[K]

Ta : 表面と主流空気の温度差 [K]

𝑡𝑡𝑓𝑓𝑤𝑤𝑓𝑓𝑖𝑖𝑓𝑓 : 流体の参照温度 [K]

𝑇𝑇𝑚𝑚 :各材料の温度[K]

𝑇𝑇𝑠𝑠 :表面温度 [K]

𝑇𝑇 :主流空気の温度 [K]

𝑡𝑡𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 : 壁面の表面温度 [K]

𝑇𝑇𝑤𝑤 :管内の温度[K]

𝑇𝑇𝑤𝑤𝑠𝑠 :供給温水の温度[K]

𝑉𝑉𝑤𝑤 :管内の水量[m3] ν :動粘性係数 [m2/s]

54 y+ :無次元距離[-]

𝜆𝜆 :流体の熱伝導率 [W/(m·K)]

𝜆𝜆𝑠𝑠 :個体の熱伝導率[W/mK]

𝜂𝜂𝑓𝑓 :フィン効率[-]

𝜌𝜌𝑤𝑤 :水の比重[kg/m3]

55 参考文献

2-1) 清野新, 前真之, 佐藤誠, 赤嶺嘉彦, 高瀬幸造, 芹川真緒, 米澤星矢:外皮性能及び暖房方式によ

る温熱環境の空間的不均一性に関する研究, 日本建築学会環境系論文集, 81 巻, 727 号, 20169月, pp.775-783

2-2) 安友哲史, 他:床下空間を空調還気経路とした大空間の暖房特性―躯体熱容量と空調制御を組

み込んだ非定常CFDによる検討―, 日本建築学会環境系論文集, 596号,200510月, pp.75-82

2-3) 酒井孝司, 小野浩己, 加治屋亮一, 久保隆太郎, 岩本静男:弱い自然対流流れ場におけるCFD

対流熱伝達率予測精度の検証, 空気調和・衛生工学会論文集, No.148, 20097月, pp.25-33 2-4) Ozaki A., et al., : Prediction of Hygrothermal Environment of Buildings Based upon Combined

Simulation of Heat and Moisture Transfer and Airflow, Journal of the International Building Performance Simulation Association, Vol.16, No.2,2006, pp.30-37

2-5) H. Schlichting, Boundary Layer Theory, 7th edn., 1979.

2-6) H.K. Verstreeg, W. Malalasekera, An Introduction to Computational FluidDynamics:The Finite Volume Method, 2007.

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BES_Ex の簡易化の検討

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はじめに

前章では,ESとCFDの概要を示し,強制対流が卓越する環境下での対流熱伝達率の扱 いに注目し,ESの課題点を明らかにしたうえで,CFDとの連成方法を示し,実験結果と の比較により計算精度の妥当性を検討した。

Dynamic Couplingはタイムステップ毎に収束計算を行うため,CFD側の計算負荷が高く,

計算に時間を要する。省エネ基準などの決められた要件を満たす必要のある設計業務に向けた 技術開発としては計算負荷を小さく抑える事の出来るStatic Couplingを採用するのが望ま しい。商用ソフトウェアはインターフェースが充実し,APIなどの公開によりCAD等ほか の設計ツールと連携の取りやすいが,ソースコードが公開されておらず,拡張性に問題があ る。それに伴い,対流熱伝達率の計算方法の定義も商用コード毎に異なり,標準化されてお らずES・CFD連成の再現性が担保されていない。また,ESとCFDの連成に向けて対流 熱伝達率の詳細な定義をZhaiらは示している[1]が,拡張性のある商用コード(例えば,

Star-CD[2]やFluent[3]),あるいはOpenFOAM[4]のようなオープンソースのCFD で無くては適用が難しいといった課題が生じてしまう。Dynamic Couplingでは,ESは表 面温度,CFDは対流熱伝達率を受け渡し,収束計算を行うので計算負荷の観点から考えれ ば,現代の計算機能力では実用性に乏しい。Static CouplingではESで計算した境界条件 を CFD に与えて解析対象の温度成層を計算する試みが行われているが[5-6],CFD は計 算負荷が高く非定常解析には向いていない事から,温度成層の時間変化を評価することは 難しい。ESは吹き抜け空間やオフィスのような大空間の解析をするには,任意に分割した ゾーン間の移流量が未知数であるため,通常では室容積に対して10回/hや20回/hの換気 回数を与える[7]。移流量が慣用値では温度分布が発生しない様な特殊な熱環境でなければ 実際の物理現象を予測することは難しい。この課題に対して空間を層状に分割し,ブロック モデルとしてゾーン間の熱輸送を計算する手法[8-9]が開発されているが,調整すべき入力 条件が多く,相当な経験を必要とするため,実用的であるとは言い難い。2章では,ゾーン 間の移流量をCFDで算出してESに受け渡す連成解析を行った。この連成手法でも,複数 の空調機により空調されるオフィスや自然対流が卓越する環境下では,精度は保障される と推測される。しかし,空調機などの気流の卓越する環境下においてはES側のゾーン分割 では指向性を持つ移流の熱量を過大に見積もってしまい,吹き出し口の直下の熱損失が大 きくなり,温度が高くなりすぎる恐れが生じる。これに対して本研究では,CFDで空調機 による投入熱量が各ゾーンに到達した割合を計算して,ESにより計算された全熱負荷を分 配する手法を開発する。類似する研究として,樋山らは固定された流れ場における熱応答を 事前にCFDによって計算しておき,ESに組み込む熱分配比率の計算手法を開発している が[10],予じめ流入した熱流を対流と放射熱伝達に分離しており,対流熱伝達の計算方法 で結果が異なる可能性が生じる。また,加藤らにより開発された熱源の足し合わせにより温 度分布の形成に寄与する割合を表現するCRI[11-13]では空間の任意の点を解析する手法

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であるため,ESのようなゾーンを対象とした場合,ゾーンの計測点の計算値を積分する必 要性が生じる。本研究で提案する熱分配法は,ゾーンの温度を計算することに特化した手法 であり,計算負荷も少ない。

本章では,そのような課題に対してESによって分割した各ゾーンへの熱の分配率をCFD 側で算出して,ES の計算に各ゾーンへの熱分配量を加味することで長期の非定常解析を可 能とする連成手法を開発する。

なお,本章においては近年の設計での採用が増加している吹き抜け空間を有する住宅を 対象としている。

ESとCFDにおける熱流路の比較を図 3.1に示す。本章の検討で対象とする吹き抜け空間 では,特に空調機気流の影響によって,吹き出し口からの熱拡散により暖房時に1Fから2 Fに暖気が移動する現象が生じると考えられる。その場合,ゾーン間の移流量の連成では吹 き出し口の直下のゾーンの熱量を過大に見積もる可能性が生じる。各ゾーンへ到達する熱 量を正確に計算する方法として提案手法は妥当であると考えた。

本章では,BES_Exの計算負荷を抑える形で拡張することを目的として,空調機の吹き出 し口から室内の各所への熱配分をBES_Exによって求める手法「熱分配法」を提案し,研究 施設内の実大家屋を用いた実験によって手法の妥当性を検討する。

3.1 では,章の目的とアウトラインを整理する。

3.2 では,熱分配法の計算内容を示し,ES・CFD連成計算プログラムへの実装方法を解説 する。

3.3では,熱分配法の検証に使用した実験住宅の概要を説明し,実測結果について考察を 行う。

3.4では,熱分配法を実験住宅に適用した際の分配係数を用いて任意に分割したゾーンの 非定常な温度を計算し,その精度を確認する。投入熱量を計算した上で風向の感度解析を行 い,熱分配法における移流量の熱環境予測への影響について考察する。

3.5では,本章の総括として,内容を端的にまとめる。

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