• 検索結果がありません。

求めた基底ベクトルの妥当性の評価

2.4 本手法による眼鏡なし顔画像の推定精度の評価

2.4.1 求めた基底ベクトルの妥当性の評価

本項では,PCAで求めた基底ベクトルが,眼鏡なし顔画像を推定するものとして適切な ものかどうか評価する.まず,適切な基底ベクトルとはどのようなものか,その条件を示 し,求めた基底ベクトルの特性が条件を満たしているか評価する.

眼鏡なし顔画像の推定に必要な基底ベクトルの条件

ここでは,眼鏡なし顔画像を忠実に推定するために必要な基底ベクトルの条件について 考察する.

眼鏡なし顔画像ni(i=1,2,· · ·,N)を平均顔画像n¯ と対象人物の顔の特徴成分pi を用い て式(2.19) のように表す.

ni = ¯n + pi (2.19)

同様に,眼鏡顔画像mi を眼鏡なし顔画像ni と眼鏡成分ei を用いて次式のように表す.

mi =ni + ei (2.20)

= ¯n + pi + ei (2.21)

式(2.21)(2.22) により眼鏡顔画像mi 内の対象人物の顔の特徴成分pi を推定するには,基 底ベクトルuj は式(2.23)(2.24) に示すように,眼鏡成分ei を表現せずにpi だけを表現す るような条件を満足する必要がある.

N−1

j=1

utj·(mi n)¯ uj = pi (2.22)

N−1

j=1

(utj·pi)uj = pi (2.23)

N−1

j=1

(utj·ei) uj =O (2.24)

眼鏡なし顔画像を入力とした推定実験

眼鏡なし顔画像集合の基底ベクトルuj が式(2.23) の条件を満足しているか検討するた め,眼鏡なし顔画像ni を入力として眼鏡のない顔画像を推定する.

式(2.5)における眼鏡顔画像mi に代えて眼鏡なし顔画像ni1 を入力として式(2.25)(2.26) により推定した結果nˆi1|ni1,ujk を図2.16 に示す.

人物 1 人物 2 人物 3

n11 n21 n31

nˆ11|n11,uj1 nˆ21|n21,uj1 nˆ31|n31,uj1

nˆ11|n11,uj2 nˆ21|n21,uj2 nˆ31|n31,uj2

nˆ11|n11,uj3 nˆ21|n21,uj3 nˆ31|n31,uj3

図 2.16: 眼鏡なし顔画像ni1 に対する推定結果nˆi1|ni1,ujk

qijk = utj

k ·(ni1n)¯ (2.25)

nˆi1|ni1,ujk =

N−1 j=1

qi

jk ujk + ¯n (2.26)

主観的に評価してみると,対象人物の顔の特徴を有した忠実な結果が得られていることか ら,基底ベクトルuj は式(2.23)を満たしていると言える.ただし,人物3の場合,基底ベ

顔画像m2 から手動で抽出した眼鏡フレーム画像f2(図2.17) を用いて基底ベクトルと の直交性について検討する.

眼鏡顔画像m2 眼鏡フレーム画像f2 図 2.17: 眼鏡顔画像m2と眼鏡フレーム画像f2

眼鏡フレーム画像と基底ベクトルとの内積値を図2.18 に示す.比較として,眼鏡なし顔

画像(図2.6 の人物2)と基底ベクトルとの内積値も同時に示した.

眼鏡フレーム画像と基底ベクトルが直交していれば,その内積値は0になるが,図2.18 を見ると内積値は0 にはなっておらず,完全には直交していないことが判る.ただし,全 体の傾向として,内積値は低次から高次へ進むにつれて減少しており,眼鏡なし顔画像の 場合と比較すると,特に低次において内積値が小さくなっている(基底ベクトルの累積寄 与率を求めると,第59主成分において0.9 を越えている).基底ベクトルは,低次のもの ほど眼鏡なし顔の特徴を良く表し,高次のものは肌の質感などの輝度値の細かなばらつき を表すと考えられる.このことから,眼鏡の成分は基底ベクトルと完全には直交していな いものの,眼鏡の成分と顔の特徴をよく表す基底ベクトルとは比較的良く直交していると 考えている.

基底ベクトルと眼鏡の成分との非直交性により,推定結果にどのような影響が現れるの かを確認するため,眼鏡フレーム画像を入力として推定実験を行った.図2.19 に,眼鏡フ レーム画像f2 を入力として式(2.27)(2.28) により推定した結果を示す.

q2jk = utj

k·(f2 n)¯ (2.27)

nˆ2|f2,ujk =

N−1 j=1

q2jk ujk + ¯n (2.28)

0 200 400 600 800 1000 1200

0 50 100 150 200

眼鏡フレーム画像 眼鏡なし顔画像

基底ベクトル(第n主成分)

内積値

図 2.18: 眼鏡フレーム画像および眼鏡なし顔画像と,基底ベクトルとの内積値の絶対値

をほぼ満足していると言える.

以上のように,眼鏡なし顔画像の推定と,眼鏡の成分との直交性から,PCAで求めた基 底ベクトルは眼鏡顔画像からの眼鏡なし顔画像推定に適したものと言える.

nˆ2|f2,uj1 nˆ2|f2,uj2 nˆ2|f2,uj3

図 2.19: 眼鏡フレーム画像f2 に対する推定結果nˆ2|f2,ujk