3. 受援者に与える効果
3.4. 受援者実験の分析結果及び考察
3.4.1. 衝突率
衝突率に関する仮説 A)では、共助システムによりリスクを早期に認知でき るため、減速及び回避行動に余裕が生まれ、衝突率が減少すると考えられた。
また、衝突率が減少する傾向は、警告提示タイミングが早くなるほど強く表れ ると考えられた。
図 3-11 は共助システムによる警告が提示される場合と警告が提示されない 場合の衝突率を比較した結果を示している。警告が提示されることによって衝 突率は半分以下に低下することが分かった。
Fisher の正確確率検定の結果 p≒0.09 で有意傾向が見られ、想定システム
による警告が提示された場合には、警告が提示されない場合と比較して統計的 にも衝突率に違いがあるということができる。
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図 3-11 警告の有無による衝突率
図 3-12 は警告提示タイミング別の衝突率を比較した結果を示している。警 告なしの場合が最も衝突率が高いが、警告が提示される場合でも 2.5~3.5 秒 前に警告が提示されると衝突率は殆ど低下しないことが分かった。対して 1.5
~2.5 秒前では衝突率が半分程度に低下し、3.5~4.5 秒前では衝突が起こらな かった。
図 3-12 警告提示タイミング別の衝突率 20.63%
9.64%
0%
5%
10%
15%
20%
25%
警告なし 警告あり
衝 突 率[
%]
p ≒ 0.09
20.63%
10.71%
20.00%
0.00%
0%
5%
10%
15%
20%
25%
警告なし ~2.5秒前 2.5~3.5秒前 3.5秒前~
衝 突 率 [
% ]
p≒0.012 p≒0.008
1.5~2.5秒前 2.5~3.5秒前 3.5~4.5秒前
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ライアン法による多重比較の結果、以下のペアに有意差が確認できた。(他の ペアには有意差はなかった)
“警告なし”>“3.5~4.5秒前” … p≒0.008
“2.5~3.5秒前”>“3.5~4.5秒前” … p≒0.012
従って衝突率を有意に低下させることができるのは、今回用意した警告提示 タイミングの中では、警告発信から対向車両が衝突予測位置に到達するまでの 間隔が最も長い3.5秒前~4.5秒前の警告であることが分かった。
これらの結果から、衝突率に関する仮説のうち全体的に衝突率が低下すると いう部分は仮説を採択できると考えられる。
一方で、警告提示タイミングが早まるに連れ衝突率が減少するという部分は 仮説に反した結果が得られた。特に 2.5~3.5 秒前という中間領域で共助シス テムの効果が表れないことが分かった。これは受援者が警告を認知した際に、
減速して衝突対象を先に通過させるか、加速して衝突対象より先に通過するか の迷いを生じさせるタイミングがあるためと考えられる。
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また実験中では各シナリオで図3-8に示した4種類の右直事故が起きやすい イベントを起こし分析対象データとした。図 3-13 は各イベントの衝突率を比 較した結果を示している。基準となる警告提示なしに比べ 1.5~2.5 秒前の警 告では”通常”と”サンキュー”の衝突率が半分以下になっているが、”片側2車線”
では少し上昇している。2.5~3.5 秒前では”通常”と”サンキュー”の衝突率が減 少しているが、”歩行者有り”と”片側 2 車線”が上昇しており、平均の衝突率は 警告なしと同等になっている。
図 3-13 イベント別の衝突率
※ 各セルにおける分析対象データ数が異なる
この結果から、“通常”と”サンキュー”に関しては共助のシステムが効果を発 揮していると考えられる。特に警告なしの”サンキュー”では、支援者から進路 を譲られている状況にあるため安全確認が不十分なまま右折を開始してしま い衝突率が高いと思われる。対して警告提示がある場合には、進路を譲られ右 折を開始した直後に警告が提示されたとしても、受援者は警告を認知して衝突 回避操作を取ることができると考えられる。
逆に、あまり共助のシステムが効果を発揮していないイベントとして”片側2 車線”が挙げられるが、片側 2 車線の道路では道幅が広いため、受援者の右折 を開始してから完了するまでに多くの時間が掛かることが予測される。警告が 提示される場合、特に”2.5~3.5秒前”で片側2車線の衝突率が明らかに高いの は、警告が提示された時点で受援者が衝突対象より先に右折を完了できると判 断したが、受援者が思うよりも右折が完了するのに時間が掛かってしまい、そ の間に衝突対象が接近して衝突が発生した確率が高いと考えられる。
警告なし 1.5~2.5秒前 2.5~3.5秒前 3.5~4.5秒前 平均
通常 25.00% 10.00% 0.00% 0.00% 13.64%
歩行者有り 0.00% 0.00% 12.50% 0.00% 2.63%
サンキュー 33.33% 14.29% 10.00% 0.00% 20.00%
片側2車線 18.18% 25.00% 75.00% 0.00% 25.00%
平均 20.63% 10.71% 20.00% 0.00% 14.38%
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